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復讐の旅、開始!
1.異世界召喚された…らしい
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熱い…臭い…家が燃えてる?今は家に誰もいないから火事なんて起きないはず。となれば……まさか放火?
手で口を覆って自室を飛び出し、火元を確認しようと一階へ向かった。火元はリビングのようだが、コンセントから火花でも出たか?俺が階段を降りてる途中ですぐに廊下も燃え始めた。このままだと火に飲まれるだろう。
一階はもうダメだ、急いで二階のベランダから家を出ないと……!
急いで階段を駆け上ったが、炎は不自然に俺を追いかける。高校の制服の裾が焼け焦げる程に直ぐ側まで迫り来る炎から何とか逃げようと走った。でも、ベランダに出るには窓の鍵を開け無いといけない。
もう炎は目の前だ。間に合わない………!
そう、思った。でも俺は生きていた。やけに風通りが良く開放感がある場所に座り込んでいた。………え?ここ、どこだよ。
明らかに現代日本ではない。建物も、人も、明らかにおかしい。見たこともない紋章の旗が掲げられ、人々は中世の貴族の様な衣装をまとっている。何かのゲームかアニメみたいな世界観だ。でも周りから聞こえる声は確かに日本語…。
「召喚は失敗したのか…?」
「どう言う事だ…?」
「伝承と違うではないか…!」
「贄を無駄にしたな…」
……何を言ってるんだ?召喚は失敗した?贄を無駄にって、まさか俺を召喚するために生贄でも出したか?それじゃあ本当にゲームか漫画みたいな展開じゃないか。
もっと情報が欲しい。
俺は周りを見渡した。そしていくつか気がついた。玉座があるってことは多分ここは王宮かなんかだ。人数もかなり多い上にみんな無駄に高そうな服を着ている。全員貴族か?となれば、かなり大掛かりな何かをしていた筈だ。
そういえば地面のこの模様はなんだ?かなり大きな魔法陣?へんなグニャグニャしたやつは筆記体の文字みたいだ。俺を中心に広がっている。
そしてもう一つ……
俺の左斜め後ろにある白骨死体は一体……
……
……………
死体を見ても動じない俺の精神が気になる。見慣れてるみたいに何ともない。でも今はそれどころじゃない。
すぐ側にある白骨死体は服装を見る限り女性と思われる。修道服のような質素なワンピースとベールみたいなものを身に着けている。この死体があるのは魔法陣みたいなやつの範囲内。まさかこれが生贄?
なんてじっくり観察をしていると、玉座に座っている王冠を被ってやけにキラキラした服を着てる中年……多分王様が立ち上がって俺の元まで来た。
重そうなキラッキラの王冠と、ジャラジャラしたアクセサリー、それに赤と黄金の服。形は軍服に似てる感じか。黒髪と黒い目…装飾に比べたら落ち着いている。で、ど定番みたいに口髭と顎髭があるんだよなー。うーわ、服が全然似合ってない。
百歩譲って煌びやかな服装とか王冠とかのデザインはいいよ?ただ、この王様みたいな人が、なんていうか…めちゃくちゃモブ顔のただのオッサンにしか見えないんだよな。周りの人たちは金髪とか青髪とか髪色だけでも目立つのに、めちゃくちゃアジア系の塩顔だから印象が薄い。
まぁ、王様になるのに派手な容姿は条件に入ってないか。
「貴様、男か?なぜ貴様が召喚された、貴様は一体何者だ?」
酒焼けたような声、やっぱりどこにでもいるアジア系のオッサンなんだよな…。俺もそんな目立つ容姿かと言われたらそんなだが、それでも顔立ちは整ってるからまだモブじゃ無いぞ?
ってそんな容姿とか声とかより気にするとこあるだろ俺!このオッサン、さっきからめちゃくちゃ見下して質問攻めしてきてるだろうが!
とりあえず見下されるのが凄く腹立つから立ち上がった。…このオッサン、俺より背低いな。ちょうど平均身長の俺より明らかに低い。
「それはこっちのセリフですよ。こっちに聞くなら最初に自分から名乗るべきじゃ無いんですか?」
「私を王と知っての態度か」
やっぱり王様か。いや……こんな礼の無いやつに様なんてつけたく無い。それに、何者かなんて質問にどう答えればいいと?素直に名乗ればいいか?それもそれで嫌だ。個人情報は大事だからな。人間ですとしか答えられない。
「ともかく、我らが求む救世主様では無い様だな」
「救世主……?って言うか、さっきから聞こえてくる伝承とかってなんです?」
「生意気だな……兵よ!この不審な者を地下牢に連れて行け!」
なっ……はぁ!?
勝手に呼び出しておいて、性別が違うからって投獄!?つか伝承って何!?先に説明くらいしろよいい大人だろジジイ!
ここが異世界である事はすぐに理解したし何となく納得した。驚くべき順応力……。でも、こんな地下の錆臭いとこに入れられるのはおかしくね?
とか思ってたら、いつの間にか数時間は経ってた。ずっと焼け焦げた動きにくい制服を着て、蜘蛛の巣が天井に張られた場所で家具なんて物はなく、床に座っている。
……でもすぐに慣れた。と言うより、炎から逃げた時に精神的にも体力的にもゴッソリ削られたから、疲れすぎて考える気力も無い。
本当ならそろっと夕飯の時間だけど、当たり前のように食事は無かった。あっても一日一食とかそんなもんだろうなぁ…。あ、っていうか家燃えたけど父さんと弟達大丈夫かな。俺の遺体とかもないよなー…。
なんて考えながら焼け焦げたブレザーを布団代わりに敷いて、疲弊しきった体を倒して眠りについた。
●●●
………どれくらい寝たんだろ。窓なんて無いし、あったとしても状況は分からない。大きなあくびをして、鉄格子の向こうにいる兵士を呼んだ。
「あの、俺が召喚されてからどれくらい経ったかって分かりますか?」
「………そうですね、明確な時間は分かりませんが召喚の儀は昨日の夕刻に行われ、ちょうど今が夜明け頃です」
「ご親切にどうも」
お、結構いい感じの睡眠時間。やっぱりなんだか普通に過ごせてる気がする。
ただ、今はそれより一つ気になったことがある。顔を隠す形の鎧を着たこの兵士、ものっっっ凄くいい声だった気がするんだけど……。
割と話の内容理解するのに苦労しそうになった。若干の威圧感がある重低音。この人の事は『声が良い人』で覚えておこう。って、それよりこれからどうするか……
クルル……
あ、やべ、腹の虫が……。緊張が解けたからか、腹を空かせてることを今自覚した。その音に気付いた声がいい人は笑いを堪えていた。流石にこれは恥ずかしいな。
「ふふっ………。今、食事を持ってきますね」
「あ、ありがとう、ございます……」
声がいい人は別の兵士に見張りを任せてどこかに行った。
暫くして戻ってくると、ひとつの器に全て放り込まれたような食事が運ばれてきた。何これ、家畜の餌?ペットでももっとマシな食事を与えられるだろ。
なんか、アニメとかでたまに見る紫の毒々しい見た目…よりはマシくらいの茶色い汁。
交代していた兵士は自分の持ち場に戻って、また声のいい兵士と二人になった。
「粗末なもので申し訳ありません。貴方に罪は無いと分かっていても規則ですので……」
「食事があるだけありがたいですよ…」
内容はアレだけど。
スプーンで器に入ってるものを見てみたけど、何これ。にんじんの皮と何かの軟骨?それから魚の目玉と小骨。あとは玉ねぎと肉の端か。
……あれ?これってもしかして……。
恐る恐る匂いを嗅いでみた。あ、やっぱりいい匂い。これ、スープの出汁を取った後のやつだ。
流石は貴族の生ゴミと言うべきか。ゴミですら普通に食べれるものだ。肉の端はそぼろより大きいし、軟骨と魚の目玉は普通に食感が好きなんだよな。
「なんだ、普通の飯じゃん」
「え?」
おっと、思わず声に出してしまった。でも貧乏な一般庶民にとっては全然食べれるものだ。魚の骨もよく煮込まれて缶詰のものみたいに柔らかくなってるし、全然イケる。
が、声がいい兵士は何も気にせず食べてる俺に驚いている。この人も貴族なのか?ちゃんと食べ物なんだから、これくらい普通に食えるだろ…。
欲を言えば米が欲しかった。それさえあれば完璧だったんだけどな。
●●●
少ない量を簡単に平らげると、さっきまで交代していた兵士が大慌てで戻ってきた。
「陛下がこちらにいらっしゃるそうです…!」
え…?陛下って、あの無駄にキラキラ中年の王っぽいのことだよな。
もしかして俺をこれからどうするか決めたとか?いや、なら本人が来る必要は無い気が……なんて思ってるとすぐに王が来た。
昨日よりも落ち着いた服装だけどやっぱキラキラしてる。似合ってない。
ここにくるなり俺をジロジロと見てくる。何か見定めると言うか、値踏みするような目。間違い無く俺を道具のようにみている。
なんだろう…嫌な予感。
「ふむ、貴様を私の奴隷としよう。光栄に思うがいい」
「………は?」
このクソジジイ、なんて言った?俺を奴隷にする?光栄に思え?ふざけんな!?
舐め回す様に見てくるこの愚王の目が気持ち悪い。ニタニタと笑う口元は歪んでいて、まー普通の使用人とかじゃ無いだろうな、なんて思った。
あーもー、最悪だ。目の前のジジイが気持ち悪い。勝手に呼び出しておいて理不尽に投獄したと思ったら、次は奴隷になれ!?バカだろこいつ!
「忘れるなよ、貴様には服従か死の二択しか無い」
「だったら死を選んだ方がずっとマシだ!死んでもお前なんかの言う事は聞かない!」
「また生意気な…!」
愚王は剣を抜き、俺を串刺しにしようと剣を突き出した。いや、死んだ方がマシとは言ったけどさ?こんな即決する事はないんじゃ無いかな?まず、体、動かな……あれ?
剣は俺の肩を貫く直前で止まった。あの声の良い人が止めたんだ。……でも、なんで自分が仕える主君に敵対する様なことをしたんだろう。
その人は剣の刃の部分を強く握り、粉砕した。………粉砕した!?な、何か魔法の類いだろうか。砕けた剣の破片がバラバラと床に散らばる。その行動にはその場にいた全員が驚いた。
「……まったく、もう見ていられませんね」
そう呟くと、俺が入れられてる牢の檻を曲げた。人ひとり通れるくらいの穴を開けたと思ったら、俺の腕を引っ張っていつの間にかお姫様抱っこをしていた。
鎧が硬くて痛いけどそれ以上に状況が飲み込めない。
「え!?」
「暫く大人しくしてなさい」
そして俺を抱えたその人は壁や天井を壊しながら城の外へと脱走した。
手で口を覆って自室を飛び出し、火元を確認しようと一階へ向かった。火元はリビングのようだが、コンセントから火花でも出たか?俺が階段を降りてる途中ですぐに廊下も燃え始めた。このままだと火に飲まれるだろう。
一階はもうダメだ、急いで二階のベランダから家を出ないと……!
急いで階段を駆け上ったが、炎は不自然に俺を追いかける。高校の制服の裾が焼け焦げる程に直ぐ側まで迫り来る炎から何とか逃げようと走った。でも、ベランダに出るには窓の鍵を開け無いといけない。
もう炎は目の前だ。間に合わない………!
そう、思った。でも俺は生きていた。やけに風通りが良く開放感がある場所に座り込んでいた。………え?ここ、どこだよ。
明らかに現代日本ではない。建物も、人も、明らかにおかしい。見たこともない紋章の旗が掲げられ、人々は中世の貴族の様な衣装をまとっている。何かのゲームかアニメみたいな世界観だ。でも周りから聞こえる声は確かに日本語…。
「召喚は失敗したのか…?」
「どう言う事だ…?」
「伝承と違うではないか…!」
「贄を無駄にしたな…」
……何を言ってるんだ?召喚は失敗した?贄を無駄にって、まさか俺を召喚するために生贄でも出したか?それじゃあ本当にゲームか漫画みたいな展開じゃないか。
もっと情報が欲しい。
俺は周りを見渡した。そしていくつか気がついた。玉座があるってことは多分ここは王宮かなんかだ。人数もかなり多い上にみんな無駄に高そうな服を着ている。全員貴族か?となれば、かなり大掛かりな何かをしていた筈だ。
そういえば地面のこの模様はなんだ?かなり大きな魔法陣?へんなグニャグニャしたやつは筆記体の文字みたいだ。俺を中心に広がっている。
そしてもう一つ……
俺の左斜め後ろにある白骨死体は一体……
……
……………
死体を見ても動じない俺の精神が気になる。見慣れてるみたいに何ともない。でも今はそれどころじゃない。
すぐ側にある白骨死体は服装を見る限り女性と思われる。修道服のような質素なワンピースとベールみたいなものを身に着けている。この死体があるのは魔法陣みたいなやつの範囲内。まさかこれが生贄?
なんてじっくり観察をしていると、玉座に座っている王冠を被ってやけにキラキラした服を着てる中年……多分王様が立ち上がって俺の元まで来た。
重そうなキラッキラの王冠と、ジャラジャラしたアクセサリー、それに赤と黄金の服。形は軍服に似てる感じか。黒髪と黒い目…装飾に比べたら落ち着いている。で、ど定番みたいに口髭と顎髭があるんだよなー。うーわ、服が全然似合ってない。
百歩譲って煌びやかな服装とか王冠とかのデザインはいいよ?ただ、この王様みたいな人が、なんていうか…めちゃくちゃモブ顔のただのオッサンにしか見えないんだよな。周りの人たちは金髪とか青髪とか髪色だけでも目立つのに、めちゃくちゃアジア系の塩顔だから印象が薄い。
まぁ、王様になるのに派手な容姿は条件に入ってないか。
「貴様、男か?なぜ貴様が召喚された、貴様は一体何者だ?」
酒焼けたような声、やっぱりどこにでもいるアジア系のオッサンなんだよな…。俺もそんな目立つ容姿かと言われたらそんなだが、それでも顔立ちは整ってるからまだモブじゃ無いぞ?
ってそんな容姿とか声とかより気にするとこあるだろ俺!このオッサン、さっきからめちゃくちゃ見下して質問攻めしてきてるだろうが!
とりあえず見下されるのが凄く腹立つから立ち上がった。…このオッサン、俺より背低いな。ちょうど平均身長の俺より明らかに低い。
「それはこっちのセリフですよ。こっちに聞くなら最初に自分から名乗るべきじゃ無いんですか?」
「私を王と知っての態度か」
やっぱり王様か。いや……こんな礼の無いやつに様なんてつけたく無い。それに、何者かなんて質問にどう答えればいいと?素直に名乗ればいいか?それもそれで嫌だ。個人情報は大事だからな。人間ですとしか答えられない。
「ともかく、我らが求む救世主様では無い様だな」
「救世主……?って言うか、さっきから聞こえてくる伝承とかってなんです?」
「生意気だな……兵よ!この不審な者を地下牢に連れて行け!」
なっ……はぁ!?
勝手に呼び出しておいて、性別が違うからって投獄!?つか伝承って何!?先に説明くらいしろよいい大人だろジジイ!
ここが異世界である事はすぐに理解したし何となく納得した。驚くべき順応力……。でも、こんな地下の錆臭いとこに入れられるのはおかしくね?
とか思ってたら、いつの間にか数時間は経ってた。ずっと焼け焦げた動きにくい制服を着て、蜘蛛の巣が天井に張られた場所で家具なんて物はなく、床に座っている。
……でもすぐに慣れた。と言うより、炎から逃げた時に精神的にも体力的にもゴッソリ削られたから、疲れすぎて考える気力も無い。
本当ならそろっと夕飯の時間だけど、当たり前のように食事は無かった。あっても一日一食とかそんなもんだろうなぁ…。あ、っていうか家燃えたけど父さんと弟達大丈夫かな。俺の遺体とかもないよなー…。
なんて考えながら焼け焦げたブレザーを布団代わりに敷いて、疲弊しきった体を倒して眠りについた。
●●●
………どれくらい寝たんだろ。窓なんて無いし、あったとしても状況は分からない。大きなあくびをして、鉄格子の向こうにいる兵士を呼んだ。
「あの、俺が召喚されてからどれくらい経ったかって分かりますか?」
「………そうですね、明確な時間は分かりませんが召喚の儀は昨日の夕刻に行われ、ちょうど今が夜明け頃です」
「ご親切にどうも」
お、結構いい感じの睡眠時間。やっぱりなんだか普通に過ごせてる気がする。
ただ、今はそれより一つ気になったことがある。顔を隠す形の鎧を着たこの兵士、ものっっっ凄くいい声だった気がするんだけど……。
割と話の内容理解するのに苦労しそうになった。若干の威圧感がある重低音。この人の事は『声が良い人』で覚えておこう。って、それよりこれからどうするか……
クルル……
あ、やべ、腹の虫が……。緊張が解けたからか、腹を空かせてることを今自覚した。その音に気付いた声がいい人は笑いを堪えていた。流石にこれは恥ずかしいな。
「ふふっ………。今、食事を持ってきますね」
「あ、ありがとう、ございます……」
声がいい人は別の兵士に見張りを任せてどこかに行った。
暫くして戻ってくると、ひとつの器に全て放り込まれたような食事が運ばれてきた。何これ、家畜の餌?ペットでももっとマシな食事を与えられるだろ。
なんか、アニメとかでたまに見る紫の毒々しい見た目…よりはマシくらいの茶色い汁。
交代していた兵士は自分の持ち場に戻って、また声のいい兵士と二人になった。
「粗末なもので申し訳ありません。貴方に罪は無いと分かっていても規則ですので……」
「食事があるだけありがたいですよ…」
内容はアレだけど。
スプーンで器に入ってるものを見てみたけど、何これ。にんじんの皮と何かの軟骨?それから魚の目玉と小骨。あとは玉ねぎと肉の端か。
……あれ?これってもしかして……。
恐る恐る匂いを嗅いでみた。あ、やっぱりいい匂い。これ、スープの出汁を取った後のやつだ。
流石は貴族の生ゴミと言うべきか。ゴミですら普通に食べれるものだ。肉の端はそぼろより大きいし、軟骨と魚の目玉は普通に食感が好きなんだよな。
「なんだ、普通の飯じゃん」
「え?」
おっと、思わず声に出してしまった。でも貧乏な一般庶民にとっては全然食べれるものだ。魚の骨もよく煮込まれて缶詰のものみたいに柔らかくなってるし、全然イケる。
が、声がいい兵士は何も気にせず食べてる俺に驚いている。この人も貴族なのか?ちゃんと食べ物なんだから、これくらい普通に食えるだろ…。
欲を言えば米が欲しかった。それさえあれば完璧だったんだけどな。
●●●
少ない量を簡単に平らげると、さっきまで交代していた兵士が大慌てで戻ってきた。
「陛下がこちらにいらっしゃるそうです…!」
え…?陛下って、あの無駄にキラキラ中年の王っぽいのことだよな。
もしかして俺をこれからどうするか決めたとか?いや、なら本人が来る必要は無い気が……なんて思ってるとすぐに王が来た。
昨日よりも落ち着いた服装だけどやっぱキラキラしてる。似合ってない。
ここにくるなり俺をジロジロと見てくる。何か見定めると言うか、値踏みするような目。間違い無く俺を道具のようにみている。
なんだろう…嫌な予感。
「ふむ、貴様を私の奴隷としよう。光栄に思うがいい」
「………は?」
このクソジジイ、なんて言った?俺を奴隷にする?光栄に思え?ふざけんな!?
舐め回す様に見てくるこの愚王の目が気持ち悪い。ニタニタと笑う口元は歪んでいて、まー普通の使用人とかじゃ無いだろうな、なんて思った。
あーもー、最悪だ。目の前のジジイが気持ち悪い。勝手に呼び出しておいて理不尽に投獄したと思ったら、次は奴隷になれ!?バカだろこいつ!
「忘れるなよ、貴様には服従か死の二択しか無い」
「だったら死を選んだ方がずっとマシだ!死んでもお前なんかの言う事は聞かない!」
「また生意気な…!」
愚王は剣を抜き、俺を串刺しにしようと剣を突き出した。いや、死んだ方がマシとは言ったけどさ?こんな即決する事はないんじゃ無いかな?まず、体、動かな……あれ?
剣は俺の肩を貫く直前で止まった。あの声の良い人が止めたんだ。……でも、なんで自分が仕える主君に敵対する様なことをしたんだろう。
その人は剣の刃の部分を強く握り、粉砕した。………粉砕した!?な、何か魔法の類いだろうか。砕けた剣の破片がバラバラと床に散らばる。その行動にはその場にいた全員が驚いた。
「……まったく、もう見ていられませんね」
そう呟くと、俺が入れられてる牢の檻を曲げた。人ひとり通れるくらいの穴を開けたと思ったら、俺の腕を引っ張っていつの間にかお姫様抱っこをしていた。
鎧が硬くて痛いけどそれ以上に状況が飲み込めない。
「え!?」
「暫く大人しくしてなさい」
そして俺を抱えたその人は壁や天井を壊しながら城の外へと脱走した。
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