1 / 108
復讐の旅、開始!
1.異世界召喚された…らしい
しおりを挟む
熱い…臭い…家が燃えてる?今は家に誰もいないから火事なんて起きないはず。となれば……まさか放火?
手で口を覆って自室を飛び出し、火元を確認しようと一階へ向かった。火元はリビングのようだが、コンセントから火花でも出たか?俺が階段を降りてる途中ですぐに廊下も燃え始めた。このままだと火に飲まれるだろう。
一階はもうダメだ、急いで二階のベランダから家を出ないと……!
急いで階段を駆け上ったが、炎は不自然に俺を追いかける。高校の制服の裾が焼け焦げる程に直ぐ側まで迫り来る炎から何とか逃げようと走った。でも、ベランダに出るには窓の鍵を開け無いといけない。
もう炎は目の前だ。間に合わない………!
そう、思った。でも俺は生きていた。やけに風通りが良く開放感がある場所に座り込んでいた。………え?ここ、どこだよ。
明らかに現代日本ではない。建物も、人も、明らかにおかしい。見たこともない紋章の旗が掲げられ、人々は中世の貴族の様な衣装をまとっている。何かのゲームかアニメみたいな世界観だ。でも周りから聞こえる声は確かに日本語…。
「召喚は失敗したのか…?」
「どう言う事だ…?」
「伝承と違うではないか…!」
「贄を無駄にしたな…」
……何を言ってるんだ?召喚は失敗した?贄を無駄にって、まさか俺を召喚するために生贄でも出したか?それじゃあ本当にゲームか漫画みたいな展開じゃないか。
もっと情報が欲しい。
俺は周りを見渡した。そしていくつか気がついた。玉座があるってことは多分ここは王宮かなんかだ。人数もかなり多い上にみんな無駄に高そうな服を着ている。全員貴族か?となれば、かなり大掛かりな何かをしていた筈だ。
そういえば地面のこの模様はなんだ?かなり大きな魔法陣?へんなグニャグニャしたやつは筆記体の文字みたいだ。俺を中心に広がっている。
そしてもう一つ……
俺の左斜め後ろにある白骨死体は一体……
……
……………
死体を見ても動じない俺の精神が気になる。見慣れてるみたいに何ともない。でも今はそれどころじゃない。
すぐ側にある白骨死体は服装を見る限り女性と思われる。修道服のような質素なワンピースとベールみたいなものを身に着けている。この死体があるのは魔法陣みたいなやつの範囲内。まさかこれが生贄?
なんてじっくり観察をしていると、玉座に座っている王冠を被ってやけにキラキラした服を着てる中年……多分王様が立ち上がって俺の元まで来た。
重そうなキラッキラの王冠と、ジャラジャラしたアクセサリー、それに赤と黄金の服。形は軍服に似てる感じか。黒髪と黒い目…装飾に比べたら落ち着いている。で、ど定番みたいに口髭と顎髭があるんだよなー。うーわ、服が全然似合ってない。
百歩譲って煌びやかな服装とか王冠とかのデザインはいいよ?ただ、この王様みたいな人が、なんていうか…めちゃくちゃモブ顔のただのオッサンにしか見えないんだよな。周りの人たちは金髪とか青髪とか髪色だけでも目立つのに、めちゃくちゃアジア系の塩顔だから印象が薄い。
まぁ、王様になるのに派手な容姿は条件に入ってないか。
「貴様、男か?なぜ貴様が召喚された、貴様は一体何者だ?」
酒焼けたような声、やっぱりどこにでもいるアジア系のオッサンなんだよな…。俺もそんな目立つ容姿かと言われたらそんなだが、それでも顔立ちは整ってるからまだモブじゃ無いぞ?
ってそんな容姿とか声とかより気にするとこあるだろ俺!このオッサン、さっきからめちゃくちゃ見下して質問攻めしてきてるだろうが!
とりあえず見下されるのが凄く腹立つから立ち上がった。…このオッサン、俺より背低いな。ちょうど平均身長の俺より明らかに低い。
「それはこっちのセリフですよ。こっちに聞くなら最初に自分から名乗るべきじゃ無いんですか?」
「私を王と知っての態度か」
やっぱり王様か。いや……こんな礼の無いやつに様なんてつけたく無い。それに、何者かなんて質問にどう答えればいいと?素直に名乗ればいいか?それもそれで嫌だ。個人情報は大事だからな。人間ですとしか答えられない。
「ともかく、我らが求む救世主様では無い様だな」
「救世主……?って言うか、さっきから聞こえてくる伝承とかってなんです?」
「生意気だな……兵よ!この不審な者を地下牢に連れて行け!」
なっ……はぁ!?
勝手に呼び出しておいて、性別が違うからって投獄!?つか伝承って何!?先に説明くらいしろよいい大人だろジジイ!
ここが異世界である事はすぐに理解したし何となく納得した。驚くべき順応力……。でも、こんな地下の錆臭いとこに入れられるのはおかしくね?
とか思ってたら、いつの間にか数時間は経ってた。ずっと焼け焦げた動きにくい制服を着て、蜘蛛の巣が天井に張られた場所で家具なんて物はなく、床に座っている。
……でもすぐに慣れた。と言うより、炎から逃げた時に精神的にも体力的にもゴッソリ削られたから、疲れすぎて考える気力も無い。
本当ならそろっと夕飯の時間だけど、当たり前のように食事は無かった。あっても一日一食とかそんなもんだろうなぁ…。あ、っていうか家燃えたけど父さんと弟達大丈夫かな。俺の遺体とかもないよなー…。
なんて考えながら焼け焦げたブレザーを布団代わりに敷いて、疲弊しきった体を倒して眠りについた。
●●●
………どれくらい寝たんだろ。窓なんて無いし、あったとしても状況は分からない。大きなあくびをして、鉄格子の向こうにいる兵士を呼んだ。
「あの、俺が召喚されてからどれくらい経ったかって分かりますか?」
「………そうですね、明確な時間は分かりませんが召喚の儀は昨日の夕刻に行われ、ちょうど今が夜明け頃です」
「ご親切にどうも」
お、結構いい感じの睡眠時間。やっぱりなんだか普通に過ごせてる気がする。
ただ、今はそれより一つ気になったことがある。顔を隠す形の鎧を着たこの兵士、ものっっっ凄くいい声だった気がするんだけど……。
割と話の内容理解するのに苦労しそうになった。若干の威圧感がある重低音。この人の事は『声が良い人』で覚えておこう。って、それよりこれからどうするか……
クルル……
あ、やべ、腹の虫が……。緊張が解けたからか、腹を空かせてることを今自覚した。その音に気付いた声がいい人は笑いを堪えていた。流石にこれは恥ずかしいな。
「ふふっ………。今、食事を持ってきますね」
「あ、ありがとう、ございます……」
声がいい人は別の兵士に見張りを任せてどこかに行った。
暫くして戻ってくると、ひとつの器に全て放り込まれたような食事が運ばれてきた。何これ、家畜の餌?ペットでももっとマシな食事を与えられるだろ。
なんか、アニメとかでたまに見る紫の毒々しい見た目…よりはマシくらいの茶色い汁。
交代していた兵士は自分の持ち場に戻って、また声のいい兵士と二人になった。
「粗末なもので申し訳ありません。貴方に罪は無いと分かっていても規則ですので……」
「食事があるだけありがたいですよ…」
内容はアレだけど。
スプーンで器に入ってるものを見てみたけど、何これ。にんじんの皮と何かの軟骨?それから魚の目玉と小骨。あとは玉ねぎと肉の端か。
……あれ?これってもしかして……。
恐る恐る匂いを嗅いでみた。あ、やっぱりいい匂い。これ、スープの出汁を取った後のやつだ。
流石は貴族の生ゴミと言うべきか。ゴミですら普通に食べれるものだ。肉の端はそぼろより大きいし、軟骨と魚の目玉は普通に食感が好きなんだよな。
「なんだ、普通の飯じゃん」
「え?」
おっと、思わず声に出してしまった。でも貧乏な一般庶民にとっては全然食べれるものだ。魚の骨もよく煮込まれて缶詰のものみたいに柔らかくなってるし、全然イケる。
が、声がいい兵士は何も気にせず食べてる俺に驚いている。この人も貴族なのか?ちゃんと食べ物なんだから、これくらい普通に食えるだろ…。
欲を言えば米が欲しかった。それさえあれば完璧だったんだけどな。
●●●
少ない量を簡単に平らげると、さっきまで交代していた兵士が大慌てで戻ってきた。
「陛下がこちらにいらっしゃるそうです…!」
え…?陛下って、あの無駄にキラキラ中年の王っぽいのことだよな。
もしかして俺をこれからどうするか決めたとか?いや、なら本人が来る必要は無い気が……なんて思ってるとすぐに王が来た。
昨日よりも落ち着いた服装だけどやっぱキラキラしてる。似合ってない。
ここにくるなり俺をジロジロと見てくる。何か見定めると言うか、値踏みするような目。間違い無く俺を道具のようにみている。
なんだろう…嫌な予感。
「ふむ、貴様を私の奴隷としよう。光栄に思うがいい」
「………は?」
このクソジジイ、なんて言った?俺を奴隷にする?光栄に思え?ふざけんな!?
舐め回す様に見てくるこの愚王の目が気持ち悪い。ニタニタと笑う口元は歪んでいて、まー普通の使用人とかじゃ無いだろうな、なんて思った。
あーもー、最悪だ。目の前のジジイが気持ち悪い。勝手に呼び出しておいて理不尽に投獄したと思ったら、次は奴隷になれ!?バカだろこいつ!
「忘れるなよ、貴様には服従か死の二択しか無い」
「だったら死を選んだ方がずっとマシだ!死んでもお前なんかの言う事は聞かない!」
「また生意気な…!」
愚王は剣を抜き、俺を串刺しにしようと剣を突き出した。いや、死んだ方がマシとは言ったけどさ?こんな即決する事はないんじゃ無いかな?まず、体、動かな……あれ?
剣は俺の肩を貫く直前で止まった。あの声の良い人が止めたんだ。……でも、なんで自分が仕える主君に敵対する様なことをしたんだろう。
その人は剣の刃の部分を強く握り、粉砕した。………粉砕した!?な、何か魔法の類いだろうか。砕けた剣の破片がバラバラと床に散らばる。その行動にはその場にいた全員が驚いた。
「……まったく、もう見ていられませんね」
そう呟くと、俺が入れられてる牢の檻を曲げた。人ひとり通れるくらいの穴を開けたと思ったら、俺の腕を引っ張っていつの間にかお姫様抱っこをしていた。
鎧が硬くて痛いけどそれ以上に状況が飲み込めない。
「え!?」
「暫く大人しくしてなさい」
そして俺を抱えたその人は壁や天井を壊しながら城の外へと脱走した。
手で口を覆って自室を飛び出し、火元を確認しようと一階へ向かった。火元はリビングのようだが、コンセントから火花でも出たか?俺が階段を降りてる途中ですぐに廊下も燃え始めた。このままだと火に飲まれるだろう。
一階はもうダメだ、急いで二階のベランダから家を出ないと……!
急いで階段を駆け上ったが、炎は不自然に俺を追いかける。高校の制服の裾が焼け焦げる程に直ぐ側まで迫り来る炎から何とか逃げようと走った。でも、ベランダに出るには窓の鍵を開け無いといけない。
もう炎は目の前だ。間に合わない………!
そう、思った。でも俺は生きていた。やけに風通りが良く開放感がある場所に座り込んでいた。………え?ここ、どこだよ。
明らかに現代日本ではない。建物も、人も、明らかにおかしい。見たこともない紋章の旗が掲げられ、人々は中世の貴族の様な衣装をまとっている。何かのゲームかアニメみたいな世界観だ。でも周りから聞こえる声は確かに日本語…。
「召喚は失敗したのか…?」
「どう言う事だ…?」
「伝承と違うではないか…!」
「贄を無駄にしたな…」
……何を言ってるんだ?召喚は失敗した?贄を無駄にって、まさか俺を召喚するために生贄でも出したか?それじゃあ本当にゲームか漫画みたいな展開じゃないか。
もっと情報が欲しい。
俺は周りを見渡した。そしていくつか気がついた。玉座があるってことは多分ここは王宮かなんかだ。人数もかなり多い上にみんな無駄に高そうな服を着ている。全員貴族か?となれば、かなり大掛かりな何かをしていた筈だ。
そういえば地面のこの模様はなんだ?かなり大きな魔法陣?へんなグニャグニャしたやつは筆記体の文字みたいだ。俺を中心に広がっている。
そしてもう一つ……
俺の左斜め後ろにある白骨死体は一体……
……
……………
死体を見ても動じない俺の精神が気になる。見慣れてるみたいに何ともない。でも今はそれどころじゃない。
すぐ側にある白骨死体は服装を見る限り女性と思われる。修道服のような質素なワンピースとベールみたいなものを身に着けている。この死体があるのは魔法陣みたいなやつの範囲内。まさかこれが生贄?
なんてじっくり観察をしていると、玉座に座っている王冠を被ってやけにキラキラした服を着てる中年……多分王様が立ち上がって俺の元まで来た。
重そうなキラッキラの王冠と、ジャラジャラしたアクセサリー、それに赤と黄金の服。形は軍服に似てる感じか。黒髪と黒い目…装飾に比べたら落ち着いている。で、ど定番みたいに口髭と顎髭があるんだよなー。うーわ、服が全然似合ってない。
百歩譲って煌びやかな服装とか王冠とかのデザインはいいよ?ただ、この王様みたいな人が、なんていうか…めちゃくちゃモブ顔のただのオッサンにしか見えないんだよな。周りの人たちは金髪とか青髪とか髪色だけでも目立つのに、めちゃくちゃアジア系の塩顔だから印象が薄い。
まぁ、王様になるのに派手な容姿は条件に入ってないか。
「貴様、男か?なぜ貴様が召喚された、貴様は一体何者だ?」
酒焼けたような声、やっぱりどこにでもいるアジア系のオッサンなんだよな…。俺もそんな目立つ容姿かと言われたらそんなだが、それでも顔立ちは整ってるからまだモブじゃ無いぞ?
ってそんな容姿とか声とかより気にするとこあるだろ俺!このオッサン、さっきからめちゃくちゃ見下して質問攻めしてきてるだろうが!
とりあえず見下されるのが凄く腹立つから立ち上がった。…このオッサン、俺より背低いな。ちょうど平均身長の俺より明らかに低い。
「それはこっちのセリフですよ。こっちに聞くなら最初に自分から名乗るべきじゃ無いんですか?」
「私を王と知っての態度か」
やっぱり王様か。いや……こんな礼の無いやつに様なんてつけたく無い。それに、何者かなんて質問にどう答えればいいと?素直に名乗ればいいか?それもそれで嫌だ。個人情報は大事だからな。人間ですとしか答えられない。
「ともかく、我らが求む救世主様では無い様だな」
「救世主……?って言うか、さっきから聞こえてくる伝承とかってなんです?」
「生意気だな……兵よ!この不審な者を地下牢に連れて行け!」
なっ……はぁ!?
勝手に呼び出しておいて、性別が違うからって投獄!?つか伝承って何!?先に説明くらいしろよいい大人だろジジイ!
ここが異世界である事はすぐに理解したし何となく納得した。驚くべき順応力……。でも、こんな地下の錆臭いとこに入れられるのはおかしくね?
とか思ってたら、いつの間にか数時間は経ってた。ずっと焼け焦げた動きにくい制服を着て、蜘蛛の巣が天井に張られた場所で家具なんて物はなく、床に座っている。
……でもすぐに慣れた。と言うより、炎から逃げた時に精神的にも体力的にもゴッソリ削られたから、疲れすぎて考える気力も無い。
本当ならそろっと夕飯の時間だけど、当たり前のように食事は無かった。あっても一日一食とかそんなもんだろうなぁ…。あ、っていうか家燃えたけど父さんと弟達大丈夫かな。俺の遺体とかもないよなー…。
なんて考えながら焼け焦げたブレザーを布団代わりに敷いて、疲弊しきった体を倒して眠りについた。
●●●
………どれくらい寝たんだろ。窓なんて無いし、あったとしても状況は分からない。大きなあくびをして、鉄格子の向こうにいる兵士を呼んだ。
「あの、俺が召喚されてからどれくらい経ったかって分かりますか?」
「………そうですね、明確な時間は分かりませんが召喚の儀は昨日の夕刻に行われ、ちょうど今が夜明け頃です」
「ご親切にどうも」
お、結構いい感じの睡眠時間。やっぱりなんだか普通に過ごせてる気がする。
ただ、今はそれより一つ気になったことがある。顔を隠す形の鎧を着たこの兵士、ものっっっ凄くいい声だった気がするんだけど……。
割と話の内容理解するのに苦労しそうになった。若干の威圧感がある重低音。この人の事は『声が良い人』で覚えておこう。って、それよりこれからどうするか……
クルル……
あ、やべ、腹の虫が……。緊張が解けたからか、腹を空かせてることを今自覚した。その音に気付いた声がいい人は笑いを堪えていた。流石にこれは恥ずかしいな。
「ふふっ………。今、食事を持ってきますね」
「あ、ありがとう、ございます……」
声がいい人は別の兵士に見張りを任せてどこかに行った。
暫くして戻ってくると、ひとつの器に全て放り込まれたような食事が運ばれてきた。何これ、家畜の餌?ペットでももっとマシな食事を与えられるだろ。
なんか、アニメとかでたまに見る紫の毒々しい見た目…よりはマシくらいの茶色い汁。
交代していた兵士は自分の持ち場に戻って、また声のいい兵士と二人になった。
「粗末なもので申し訳ありません。貴方に罪は無いと分かっていても規則ですので……」
「食事があるだけありがたいですよ…」
内容はアレだけど。
スプーンで器に入ってるものを見てみたけど、何これ。にんじんの皮と何かの軟骨?それから魚の目玉と小骨。あとは玉ねぎと肉の端か。
……あれ?これってもしかして……。
恐る恐る匂いを嗅いでみた。あ、やっぱりいい匂い。これ、スープの出汁を取った後のやつだ。
流石は貴族の生ゴミと言うべきか。ゴミですら普通に食べれるものだ。肉の端はそぼろより大きいし、軟骨と魚の目玉は普通に食感が好きなんだよな。
「なんだ、普通の飯じゃん」
「え?」
おっと、思わず声に出してしまった。でも貧乏な一般庶民にとっては全然食べれるものだ。魚の骨もよく煮込まれて缶詰のものみたいに柔らかくなってるし、全然イケる。
が、声がいい兵士は何も気にせず食べてる俺に驚いている。この人も貴族なのか?ちゃんと食べ物なんだから、これくらい普通に食えるだろ…。
欲を言えば米が欲しかった。それさえあれば完璧だったんだけどな。
●●●
少ない量を簡単に平らげると、さっきまで交代していた兵士が大慌てで戻ってきた。
「陛下がこちらにいらっしゃるそうです…!」
え…?陛下って、あの無駄にキラキラ中年の王っぽいのことだよな。
もしかして俺をこれからどうするか決めたとか?いや、なら本人が来る必要は無い気が……なんて思ってるとすぐに王が来た。
昨日よりも落ち着いた服装だけどやっぱキラキラしてる。似合ってない。
ここにくるなり俺をジロジロと見てくる。何か見定めると言うか、値踏みするような目。間違い無く俺を道具のようにみている。
なんだろう…嫌な予感。
「ふむ、貴様を私の奴隷としよう。光栄に思うがいい」
「………は?」
このクソジジイ、なんて言った?俺を奴隷にする?光栄に思え?ふざけんな!?
舐め回す様に見てくるこの愚王の目が気持ち悪い。ニタニタと笑う口元は歪んでいて、まー普通の使用人とかじゃ無いだろうな、なんて思った。
あーもー、最悪だ。目の前のジジイが気持ち悪い。勝手に呼び出しておいて理不尽に投獄したと思ったら、次は奴隷になれ!?バカだろこいつ!
「忘れるなよ、貴様には服従か死の二択しか無い」
「だったら死を選んだ方がずっとマシだ!死んでもお前なんかの言う事は聞かない!」
「また生意気な…!」
愚王は剣を抜き、俺を串刺しにしようと剣を突き出した。いや、死んだ方がマシとは言ったけどさ?こんな即決する事はないんじゃ無いかな?まず、体、動かな……あれ?
剣は俺の肩を貫く直前で止まった。あの声の良い人が止めたんだ。……でも、なんで自分が仕える主君に敵対する様なことをしたんだろう。
その人は剣の刃の部分を強く握り、粉砕した。………粉砕した!?な、何か魔法の類いだろうか。砕けた剣の破片がバラバラと床に散らばる。その行動にはその場にいた全員が驚いた。
「……まったく、もう見ていられませんね」
そう呟くと、俺が入れられてる牢の檻を曲げた。人ひとり通れるくらいの穴を開けたと思ったら、俺の腕を引っ張っていつの間にかお姫様抱っこをしていた。
鎧が硬くて痛いけどそれ以上に状況が飲み込めない。
「え!?」
「暫く大人しくしてなさい」
そして俺を抱えたその人は壁や天井を壊しながら城の外へと脱走した。
64
あなたにおすすめの小説
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新!
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
メインキャラ達の様子がおかしい件について
白鳩 唯斗
BL
前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。
サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。
どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。
ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。
世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。
どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!
主人公が老若男女問わず好かれる話です。
登場キャラは全員闇を抱えています。
精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。
BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。
恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。
キュートなモブ令息に転生したボク。可愛さと前世の知識で悪役令息なお義兄さまを守りますっ!
をち。「もう我慢なんて」書籍発売中
BL
これは、あざと可愛い悪役令息の義弟VS.あざと主人公のおはなし。
ボクの名前は、クリストファー。
突然だけど、ボクには前世の記憶がある。
ジルベスターお義兄さまと初めて会ったとき、そのご尊顔を見て
「あああ!《《この人》》、知ってるう!悪役令息っ!」
と思い出したのだ。
あ、この人ゲームの悪役じゃん、って。
そう、俺が今いるこの世界は、ゲームの中の世界だったの!
そして、ボクは悪役令息ジルベスターの義弟に転生していたのだ!
しかも、モブ。
繰り返します。ボクはモブ!!「完全なるモブ」なのだ!
ゲームの中のボクには、モブすぎて名前もキャラデザもなかった。
どおりで今まで毎日自分の顔をみてもなんにも思い出さなかったわけだ!
ちなみに、ジルベスターお義兄さまは悪役ながら非常に人気があった。
その理由の第一は、ビジュアル!
夜空に輝く月みたいにキラキラした銀髪。夜の闇を思わせる深い紺碧の瞳。
涼やかに切れ上がった眦はサイコーにクール!!
イケメンではなく美形!ビューティフル!ワンダフォー!
ありとあらゆる美辞麗句を並び立てたくなるくらいに美しい姿かたちなのだ!
当然ながらボクもそのビジュアルにノックアウトされた。
ネップリももちろんコンプリートしたし、アクスタももちろん手に入れた!
そんなボクの推しジルベスターは、その無表情のせいで「人を馬鹿にしている」「心がない」「冷酷」といわれ、悪役令息と呼ばれていた。
でもボクにはわかっていた。全部誤解なんだって。
ジルベスターは優しい人なんだって。
あの無表情の下には確かに温かなものが隠れてるはずなの!
なのに誰もそれを理解しようとしなかった。
そして最後に断罪されてしまうのだ!あのピンク頭に惑わされたあんぽんたんたちのせいで!!
ジルベスターが断罪されたときには悔し涙にぬれた。
なんとかジルベスターを救おうとすべてのルートを試し、ゲームをやり込みまくった。
でも何をしてもジルベスターは断罪された。
ボクはこの世界で大声で叫ぶ。
ボクのお義兄様はカッコよくて優しい最高のお義兄様なんだからっ!
ゲームの世界ならいざしらず、このボクがついてるからには断罪なんてさせないっ!
最高に可愛いハイスぺモブ令息に転生したボクは、可愛さと前世の知識を武器にお義兄さまを守りますっ!
⭐︎⭐︎⭐︎
ご拝読頂きありがとうございます!
コメント、エール、いいねお待ちしております♡
「もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!」書籍発売中!
連載続いておりますので、そちらもぜひ♡
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
-----------------------------------------
0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼不定期連載となりました。
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
悪役令息の兄って需要ありますか?
焦げたせんべい
BL
今をときめく悪役による逆転劇、ザマァやらエトセトラ。
その悪役に歳の離れた兄がいても、気が強くなければ豆電球すら光らない。
これは物語の終盤にチラッと出てくる、折衷案を出す兄の話である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる