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復讐の旅、開始!
18.グルージアとヴィンセント
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目が覚めると、寝落ちる前と同じベッドで服を整えられた状態だった。たぶん、グルーが色々してくれたんだろうな。
「……なるほど、そんなことが。はぁ…ヴィンセント、貴方がそこまで愚かになっているとは思いませんでしたよ」
「うっせぇ…オレは、元々デキたヤツじゃねぇって言ってんだろ……!」
言い争いが聞こえた方を向くと、床に座り込むヴィンセントと、その目の前で仁王立ちするグルーがいた。グルーは俺に背を向けてるから表情は見えないが、ヴィンセントは明らかに顔色が悪く息も切れている。ただグルーに怯えてるだけじゃ無さそうだ。
「グルー…」
「ヤト!すみません、起こしてしまいましたか?」
「あぁ、それはいいんだが…ソイツ、ヴィンセント?の様子がおかしい」
「分かってますが…彼に答える気は無いようです」
本当に調子狂うな。病人相手にイジメなんてしたくは無いんだけどな。まぁでも…命に関わるようなことはしなかったし、愛国心は強いみたいだし、様子がおかしかったから少し話は聞いてみないとダメだよな。
「ヴィンセント、動けるか?」
「あぁ…?」
「無理そうか。分かった、俺がそっちに行く」
なんとかギリギリで動かせた体でヴィンセントに近付き、膝を付いてしゃがんで額に触れた。明らかに低体温症になってるな…。呼吸は浅くて遅いし、目線も少しブレて目元が痙攣してる。
最初に会った時と真逆になってるんだな。さっきまで手が異様に熱くて呼吸は荒く、目は血走っていて熱を持て余しているようだった。
それから、よく観察すると部屋にはいくつかの薬や薬草が置いてある。机に置いてあるコップは使ったばっかりか水滴が付いている。ヴィンセントの左手からも薬の匂いがして見てみたら、棚に置いてある大量の錠剤と同じ黄色の粉が付着していた。
たぶん、俺が寝る前に部屋の反対側に行ったのは薬を飲むためだったんだろうな。ベッドと机は対角線上にあって、その間に薬の並んだ棚があった。
「……薬の副作用で悪寒と頭痛がするんじゃないか?」
「………よく見てんな。この薬がなんだか知ってんのか?」
「いや知らない。ただ、明らかに違和感があったから…」
ヴィンセントは途中から急変していた。最初は俺を警戒して、しっかりと会話が出来ていた。だけど途中から自我が消えたみたいな振る舞いになった。まるで、人間から獣に変わったみたいに。
「お前、もしかしてさっきまで………」
「……貴方達、誰です!?」
わっ!?ちょ、これから肝心なことを聞こうって時に誰!?
声が聞こえたドアの方を見ると、茶髪で塩顔の、垂れたうさ耳の男が立っていた。上下白い服の上から燕尾のベストを着て細いワインレッドのネクタイを締めた、貴族か使用人みたいな兎の獣人だ。
その獣人は『誰です!?』なんて言っておきながら何も聞かずに針のようなナイフを取り出して俺達に向けた。
「控えろリット!手を出すな!」
急に叫んだヴィンセントの言葉に従い、すぐに手を止めナイフをしまった『リット』と呼ばれた兎の獣人。しかし敵意を剥き出しにしたまま俺達を睨むと、グルーを見てすぐに跪いた。
「こ、これは……!申し訳ありませんグルージア陛下!以前のお姿と違ったため気付くのが遅くなってしまいました……!」
…………は。
「……リット、私は既に退位しています。陛下と呼ばないでください」
……………はい?なんて???
一人、頭にハテナを浮かべていると、グルーが渋々と説明をした。
「お伝えするのが遅くなってしまい申し訳ありません、ヤト。私は悪魔の国の先王で、ヴィンセント…獣人の国の王には退位する前に一度会っていたのです」
「………え?ちょ、ちょっと待って!?色々急で混乱するけど、その前にグルーって人間じゃ無かったのか!?」
「はい…てっきり勘付いているかと思ってました。こんな四十代がいると思いますか?まぁ、それでもサバは読んでいますが……」
そりゃあ年齢の話は避ける訳だな!人間じゃ無いってすぐにバレるもんな!え、じゃあ本当はいくつなんだ……?
……で、誰がどこの王だって?
グルーが悪魔の国の(前の)王で、ヴィンセントが獣人の国の王。つまり、ヴィンセントが目的の人物ってことか!?って、それ本人に言ったよな!それで『会わない方がいい』って返されたよな!?
「ヴィンセント…なんで俺に隠してた?」
「はっ、見れば分んだろ?こんな使えねぇヤツ……」
「使えないかどうかを判断するのはお前じゃ無いだろ」
大して知りもしない相手の価値なんぞ分かるか!大体なぁ、ヴィンセントに声を掛けようとしたのはグルーだぞ!?知り合いなら俺に言う前にグルーが協力出来るか出来ないか判断してたってことだよな?それで仲間にするって言ってたなら、グルーからすれば協力する意味がある人物ってことなんだろうが!
……と、直接言えたらいいんだけど。流石にヴィンセントの顔色が悪いから自制した。これじゃあ説教の前に回復優先か。
リットと呼ばれてた兎獣人がヴィンセントに肩を貸して、とりあえずベッドに運んだ。
……あっ!肝心の聞きたいこと途中で遮られて結局聞けてない!あぁもう!頭がこんがらがりそうだ!
「……なるほど、そんなことが。はぁ…ヴィンセント、貴方がそこまで愚かになっているとは思いませんでしたよ」
「うっせぇ…オレは、元々デキたヤツじゃねぇって言ってんだろ……!」
言い争いが聞こえた方を向くと、床に座り込むヴィンセントと、その目の前で仁王立ちするグルーがいた。グルーは俺に背を向けてるから表情は見えないが、ヴィンセントは明らかに顔色が悪く息も切れている。ただグルーに怯えてるだけじゃ無さそうだ。
「グルー…」
「ヤト!すみません、起こしてしまいましたか?」
「あぁ、それはいいんだが…ソイツ、ヴィンセント?の様子がおかしい」
「分かってますが…彼に答える気は無いようです」
本当に調子狂うな。病人相手にイジメなんてしたくは無いんだけどな。まぁでも…命に関わるようなことはしなかったし、愛国心は強いみたいだし、様子がおかしかったから少し話は聞いてみないとダメだよな。
「ヴィンセント、動けるか?」
「あぁ…?」
「無理そうか。分かった、俺がそっちに行く」
なんとかギリギリで動かせた体でヴィンセントに近付き、膝を付いてしゃがんで額に触れた。明らかに低体温症になってるな…。呼吸は浅くて遅いし、目線も少しブレて目元が痙攣してる。
最初に会った時と真逆になってるんだな。さっきまで手が異様に熱くて呼吸は荒く、目は血走っていて熱を持て余しているようだった。
それから、よく観察すると部屋にはいくつかの薬や薬草が置いてある。机に置いてあるコップは使ったばっかりか水滴が付いている。ヴィンセントの左手からも薬の匂いがして見てみたら、棚に置いてある大量の錠剤と同じ黄色の粉が付着していた。
たぶん、俺が寝る前に部屋の反対側に行ったのは薬を飲むためだったんだろうな。ベッドと机は対角線上にあって、その間に薬の並んだ棚があった。
「……薬の副作用で悪寒と頭痛がするんじゃないか?」
「………よく見てんな。この薬がなんだか知ってんのか?」
「いや知らない。ただ、明らかに違和感があったから…」
ヴィンセントは途中から急変していた。最初は俺を警戒して、しっかりと会話が出来ていた。だけど途中から自我が消えたみたいな振る舞いになった。まるで、人間から獣に変わったみたいに。
「お前、もしかしてさっきまで………」
「……貴方達、誰です!?」
わっ!?ちょ、これから肝心なことを聞こうって時に誰!?
声が聞こえたドアの方を見ると、茶髪で塩顔の、垂れたうさ耳の男が立っていた。上下白い服の上から燕尾のベストを着て細いワインレッドのネクタイを締めた、貴族か使用人みたいな兎の獣人だ。
その獣人は『誰です!?』なんて言っておきながら何も聞かずに針のようなナイフを取り出して俺達に向けた。
「控えろリット!手を出すな!」
急に叫んだヴィンセントの言葉に従い、すぐに手を止めナイフをしまった『リット』と呼ばれた兎の獣人。しかし敵意を剥き出しにしたまま俺達を睨むと、グルーを見てすぐに跪いた。
「こ、これは……!申し訳ありませんグルージア陛下!以前のお姿と違ったため気付くのが遅くなってしまいました……!」
…………は。
「……リット、私は既に退位しています。陛下と呼ばないでください」
……………はい?なんて???
一人、頭にハテナを浮かべていると、グルーが渋々と説明をした。
「お伝えするのが遅くなってしまい申し訳ありません、ヤト。私は悪魔の国の先王で、ヴィンセント…獣人の国の王には退位する前に一度会っていたのです」
「………え?ちょ、ちょっと待って!?色々急で混乱するけど、その前にグルーって人間じゃ無かったのか!?」
「はい…てっきり勘付いているかと思ってました。こんな四十代がいると思いますか?まぁ、それでもサバは読んでいますが……」
そりゃあ年齢の話は避ける訳だな!人間じゃ無いってすぐにバレるもんな!え、じゃあ本当はいくつなんだ……?
……で、誰がどこの王だって?
グルーが悪魔の国の(前の)王で、ヴィンセントが獣人の国の王。つまり、ヴィンセントが目的の人物ってことか!?って、それ本人に言ったよな!それで『会わない方がいい』って返されたよな!?
「ヴィンセント…なんで俺に隠してた?」
「はっ、見れば分んだろ?こんな使えねぇヤツ……」
「使えないかどうかを判断するのはお前じゃ無いだろ」
大して知りもしない相手の価値なんぞ分かるか!大体なぁ、ヴィンセントに声を掛けようとしたのはグルーだぞ!?知り合いなら俺に言う前にグルーが協力出来るか出来ないか判断してたってことだよな?それで仲間にするって言ってたなら、グルーからすれば協力する意味がある人物ってことなんだろうが!
……と、直接言えたらいいんだけど。流石にヴィンセントの顔色が悪いから自制した。これじゃあ説教の前に回復優先か。
リットと呼ばれてた兎獣人がヴィンセントに肩を貸して、とりあえずベッドに運んだ。
……あっ!肝心の聞きたいこと途中で遮られて結局聞けてない!あぁもう!頭がこんがらがりそうだ!
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