28 / 95
孤児院での生活
28.科学は異世界の人からしたら魔法
しおりを挟む
みつ兄と話し合って、元の世界に戻らない事を決めた。
理由は結構シンプルで、まずは帰る方法が無いから。そして、この世界なら協力してくれる人がいる事で俺たちの関係を上手に隠せるから。そしてもう一つ、帰ったところで行方不明の時の説明が出来ないからだ。ゲームの世界にいたなんて言えば、即病院送り間違いなしだ。
そしてその意思を決めてから一週間、俺たちはこの世界で仕事を探した。俺の歳でもアルバイトは出来るらしく、ガルさんにこの世界の事を教えてもらいながら資料を読み漁って仕事に就けるまでにした。
勉強を教わって、自分で資料を見つけて………学校みたいだ。不思議となじむ感覚がある。
みつ兄は孤児院で職員の手伝い、俺は孤児院に物資を運ぶアルバイトをしている。孤児院は本当なら18歳までのところを、みつ兄を職員の手伝いをさせる事で了承してもらった。みつ兄は衣食住のために手伝いして、俺は個人で使える金銭を稼いでいる。
とは言え、バイト代の一部はガルさんに授業料として支払っている。最初のうちは払ったお金を返されて大変だったけど、今ではちゃんと受け取ってくれている。
バイトを初めて3ヶ月。前の世界にいれば俺は高校生になっていた。でもなんだか元の世界と変わりなく過ごしている気がする。高校生になったらバイトをしようと思っていたし、勉強させてもらう事も出来ている。もちろん最低限の生活も。
バイトを始めてからは町に出る事も増えて、少しずつこの環境に慣れ始めている。
でも……ガルさんやリリスさんは俺たちの出自を気にしている。未だに異世界のことは言っていないし、段々と誤解が生まれて、俺たちの境遇が良くないものだと思い始めていた。
このままでいるわけにはいかない。ちゃんと、説明しないと………
アルバイトが休みの日、朝食を食べた後にガルさんの部屋に行った。
部屋の目の前まで来て、ノックをしようと手を構えるけど、いろんな不安が押し寄せてノックも出来ない。
今、部屋にいるかな。みつ兄がいないけど、ちゃんと喋れるかな。本当の事を話して変に思われないかな。そもそも信じてもらえるかな。
そんな事を考えていると、ノックする前にドアは開いた。
「さっきからそこで立ち止まってどうした?」
「き、気付いてたんだ………」
「鼻いいからな」
そう言いながら部屋に入れてくれたガルさん。椅子に座って緊張しながら待っていると、蜂蜜入りの甘いホットミルクを入れてくれた。ガルさんって甘いの好きなのかな。
「で、お前らの故郷のことだろ?」
「え…なんで分かって………」
「これ」
ガルさんはウサギ型の水晶を手に持った。そして何かの魔法を発動すると、水晶から声が聞こえてきた。それは、昨夜みつ兄と話してた時の俺の声だ。ガルさんたちに本当の事を伝えるかどうかで話し合ってた時の。
「変に疑いたくは無かったが、全部信じるわけにはいかなくてな」
「盗聴…?え、いつから!?」
「お前らに水晶を渡してから」
嘘っ!?てことは、夜のアレやコレやも全部筒抜けだったって事!?お、俺…みつ兄以外誰も聞いても見てもいないからって乱れまくってたのに………。
「お前ら、回数も頻度も減らさねぇとガチで依存するぞ?つか道具の消費が早い」
「ううううるさい!」
呆れたように鼻で笑われた!ぐうぅ………。
って、本題はそこじゃない!俺たちの故郷…元の世界のことを話に来たんだろ!
とりあえずホットミルクを飲んで心を落ち着かせた。そして深呼吸をして、今度こそはとガルさんの目を真っ直ぐ見る。
「これから話す事は信じられないかも知らないけど…それでも、誓って全部事実だから」
「分かった」
俺たち兄弟は違う世界から来た事、この世界のことが物語になっていたこと、俺だけその物語を知っていた事。それから、俺たちもこの世界に来た原因…方法を知らない事を全て話した。
メモを取りながら真剣に話を聞くガルさん。全て話終わるとメモを眺めて何かを考え始めた。その間にぬるくなったホットミルクを飲んで緊張を和らげようとした。不思議と話す前より後の方が緊張している。
「いくつか聞かせてくれ。お前は元の世界で剣を習っていたか?」
「いや、習ってない」
「習ってない?おかしいな、お前の手は確かに剣を振り続けたやつみたいな手だったが………」
「あ、もしかしてテニス部だったから?ラケットの素振りは毎回やってたからな」
ガルさんは頭にハテナを浮かべていたから、簡単にテニスを説明した。スポーツ文化も違うから、そりゃあ誤解されるよな。棒を振るのは元の世界じゃテニスもバドミントンも野球だってある。けどこの世界で棒を振るのは剣だよな。
「そんな運動があるのか…」
「俺は大会でも準優勝までしたし、そりゃあ振りすぎで手が硬くなっても不思議じゃない」
「運動に大会?剣や馬術みたいなものなのか?」
「まぁ、競技にもゲームにもなるし、そんな感じでいいと思う」
あれ、思ったより簡単に信じてくれてるみたい。しかも楽しそうに聞いてるし、普通に楽しい会話をしてるだけみたいだ。同じ言語を使う別の文化圏の人との交流みたいな。
他にも会話ができる種族が人間だけと言ったら驚いてた。他にも魔法が無いとか、モンスターがいないとか。あと、鉄の塊が人を乗せて空を飛ぶって言ったら「流石にそれは嘘だ」って言われた。現代人からしても魔法みたいだけど、それでも科学で作られた実在するものだ。たまに墜落するって言ったら「じゃあ乗るな」って言ってたのは共感。そりゃあ滅多に落ちないけど、俺は実際にそれで母と長男を失ってるから怖いものは怖い。
「お前の世界って変なとこだな。っていうかなんでこっちの世界の事を知ってたんだ?」
「いや、実在するのは知らないよ。この世界はあくまで空想とされてるから」
「じゃあ偶然ってことか……怖っ」
一通り話終わった後、俺は部屋に戻ろうとした。が、ガルさんに引き止められた。ガルさん?そんな真剣な顔してどうした……?
理由は結構シンプルで、まずは帰る方法が無いから。そして、この世界なら協力してくれる人がいる事で俺たちの関係を上手に隠せるから。そしてもう一つ、帰ったところで行方不明の時の説明が出来ないからだ。ゲームの世界にいたなんて言えば、即病院送り間違いなしだ。
そしてその意思を決めてから一週間、俺たちはこの世界で仕事を探した。俺の歳でもアルバイトは出来るらしく、ガルさんにこの世界の事を教えてもらいながら資料を読み漁って仕事に就けるまでにした。
勉強を教わって、自分で資料を見つけて………学校みたいだ。不思議となじむ感覚がある。
みつ兄は孤児院で職員の手伝い、俺は孤児院に物資を運ぶアルバイトをしている。孤児院は本当なら18歳までのところを、みつ兄を職員の手伝いをさせる事で了承してもらった。みつ兄は衣食住のために手伝いして、俺は個人で使える金銭を稼いでいる。
とは言え、バイト代の一部はガルさんに授業料として支払っている。最初のうちは払ったお金を返されて大変だったけど、今ではちゃんと受け取ってくれている。
バイトを初めて3ヶ月。前の世界にいれば俺は高校生になっていた。でもなんだか元の世界と変わりなく過ごしている気がする。高校生になったらバイトをしようと思っていたし、勉強させてもらう事も出来ている。もちろん最低限の生活も。
バイトを始めてからは町に出る事も増えて、少しずつこの環境に慣れ始めている。
でも……ガルさんやリリスさんは俺たちの出自を気にしている。未だに異世界のことは言っていないし、段々と誤解が生まれて、俺たちの境遇が良くないものだと思い始めていた。
このままでいるわけにはいかない。ちゃんと、説明しないと………
アルバイトが休みの日、朝食を食べた後にガルさんの部屋に行った。
部屋の目の前まで来て、ノックをしようと手を構えるけど、いろんな不安が押し寄せてノックも出来ない。
今、部屋にいるかな。みつ兄がいないけど、ちゃんと喋れるかな。本当の事を話して変に思われないかな。そもそも信じてもらえるかな。
そんな事を考えていると、ノックする前にドアは開いた。
「さっきからそこで立ち止まってどうした?」
「き、気付いてたんだ………」
「鼻いいからな」
そう言いながら部屋に入れてくれたガルさん。椅子に座って緊張しながら待っていると、蜂蜜入りの甘いホットミルクを入れてくれた。ガルさんって甘いの好きなのかな。
「で、お前らの故郷のことだろ?」
「え…なんで分かって………」
「これ」
ガルさんはウサギ型の水晶を手に持った。そして何かの魔法を発動すると、水晶から声が聞こえてきた。それは、昨夜みつ兄と話してた時の俺の声だ。ガルさんたちに本当の事を伝えるかどうかで話し合ってた時の。
「変に疑いたくは無かったが、全部信じるわけにはいかなくてな」
「盗聴…?え、いつから!?」
「お前らに水晶を渡してから」
嘘っ!?てことは、夜のアレやコレやも全部筒抜けだったって事!?お、俺…みつ兄以外誰も聞いても見てもいないからって乱れまくってたのに………。
「お前ら、回数も頻度も減らさねぇとガチで依存するぞ?つか道具の消費が早い」
「ううううるさい!」
呆れたように鼻で笑われた!ぐうぅ………。
って、本題はそこじゃない!俺たちの故郷…元の世界のことを話に来たんだろ!
とりあえずホットミルクを飲んで心を落ち着かせた。そして深呼吸をして、今度こそはとガルさんの目を真っ直ぐ見る。
「これから話す事は信じられないかも知らないけど…それでも、誓って全部事実だから」
「分かった」
俺たち兄弟は違う世界から来た事、この世界のことが物語になっていたこと、俺だけその物語を知っていた事。それから、俺たちもこの世界に来た原因…方法を知らない事を全て話した。
メモを取りながら真剣に話を聞くガルさん。全て話終わるとメモを眺めて何かを考え始めた。その間にぬるくなったホットミルクを飲んで緊張を和らげようとした。不思議と話す前より後の方が緊張している。
「いくつか聞かせてくれ。お前は元の世界で剣を習っていたか?」
「いや、習ってない」
「習ってない?おかしいな、お前の手は確かに剣を振り続けたやつみたいな手だったが………」
「あ、もしかしてテニス部だったから?ラケットの素振りは毎回やってたからな」
ガルさんは頭にハテナを浮かべていたから、簡単にテニスを説明した。スポーツ文化も違うから、そりゃあ誤解されるよな。棒を振るのは元の世界じゃテニスもバドミントンも野球だってある。けどこの世界で棒を振るのは剣だよな。
「そんな運動があるのか…」
「俺は大会でも準優勝までしたし、そりゃあ振りすぎで手が硬くなっても不思議じゃない」
「運動に大会?剣や馬術みたいなものなのか?」
「まぁ、競技にもゲームにもなるし、そんな感じでいいと思う」
あれ、思ったより簡単に信じてくれてるみたい。しかも楽しそうに聞いてるし、普通に楽しい会話をしてるだけみたいだ。同じ言語を使う別の文化圏の人との交流みたいな。
他にも会話ができる種族が人間だけと言ったら驚いてた。他にも魔法が無いとか、モンスターがいないとか。あと、鉄の塊が人を乗せて空を飛ぶって言ったら「流石にそれは嘘だ」って言われた。現代人からしても魔法みたいだけど、それでも科学で作られた実在するものだ。たまに墜落するって言ったら「じゃあ乗るな」って言ってたのは共感。そりゃあ滅多に落ちないけど、俺は実際にそれで母と長男を失ってるから怖いものは怖い。
「お前の世界って変なとこだな。っていうかなんでこっちの世界の事を知ってたんだ?」
「いや、実在するのは知らないよ。この世界はあくまで空想とされてるから」
「じゃあ偶然ってことか……怖っ」
一通り話終わった後、俺は部屋に戻ろうとした。が、ガルさんに引き止められた。ガルさん?そんな真剣な顔してどうした……?
18
あなたにおすすめの小説
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新!
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
ある日、人気俳優の弟になりました。
雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。
「俺の命は、君のものだよ」
初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……?
平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
【完結】我が兄は生徒会長である!
tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。
名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。
そんな彼には「推し」がいる。
それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。
実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。
終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。
本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。
(番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜
小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」
魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で―――
義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる