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春の大陸の最奥へ!
66.欲を満たすためのルール
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春の大陸に着くまであと数時間。ゲンは自室に戻って荷物をまとめている。俺たちは大して荷物を出していなかったから、すぐに荷物をまとめてみつ兄とメリストの部屋に集まった。
「…喉の痛み、良くなった?」
「うん、ありがとうメリスト」
「ったく、このために薬草を買っといたワケじゃねぇぞ…」
メリストが入れてくれた薬草のお茶のおかげでガラガラの喉の痛みがすぅっ…と消えていった。ガルさんが付けた噛み跡やキスマも結構濃かったみたいで、薬を塗って湿布を貼ってもらった。
で、結局みつ兄は俺に何も言わない。みつ兄じゃない人に抱かれてマーキングまでされたのに、全く妬かないのか?ちらりとみつ兄の顔を見ると、みつ兄は俺から顔を逸らしてガルさんの方を向いた。
「ガルさん、加減はしなかったんですか?」
「加減してなかったら死んでるぞ」
「でもやり過ぎです!傷跡が残ったらどうするんですか!」
傷跡は残ってもおかしく無いだろうな。血が出てたみたいだし。
でもみつ兄、俺の体の心配はしてくれてもガルさんに抱かれたことは何も言わないんだな……。
ガルさんのことは俺もみつ兄も信用してる。だから、ガルさんが相手だから何も言わないのかな。それとも…みつ兄は俺が誰に抱かれても何も言わない?
「こう君?泣きそうな顔してどうしたの?」
「え?俺、そんな顔してた?」
そりゃあ…泣きそうにもなるよ。だって、酷く寂しくて虚しいんだ。ずっとみつ兄に見放されてるみたいで。
俺はみつ兄が他の人に抱かれるなんて嫌だよ。それが例えガルさんやメリストだとしても、どんな理由があっても心が痛くなる。
「……兄貴、少し話したいことがあるから場所を変えよう」
「あ?あぁ、分かった」
ガルさんはメリストを連れて部屋を移した。
みつ兄と部屋に二人きり、俺はみつ兄の目が見れないでずっと俯いている。言っていいのか?
『俺のこと、どう思ってるの?』
『本当に好きなのか?』
『俺たちは恋人?それとも兄弟?』
そんなこと、簡単に聞けるわけない。なんて返されても嫌な感じがする。
俺は欲張りだから、みつ兄とは兄弟でも恋人でもいたい。気持ちいいことは好きだし、それを満たす人はみつ兄じゃなくてもいい。でも、そのことにみつ兄が何も言わないのは無関心なようで嫌だ。
分かってる、あまりにも身勝手だって分かってる。けど、お願いだから、もっと俺を見てよ。
「ねぇ、こう君、さっきからどうしたの?お腹痛い?」
「違う…ねぇみつ兄、俺、ガルさんに抱かれたんだよ?」
「え?そうみたいだね」
「……何も、思わないのか?こんなの不貞だよ?浮気なんだよ!?なのに、っなんで……!」
爪が食い込むほど握りしめた俺の拳をみつ兄がそっと包んだ。そのまま拳を開くと爪の跡がしっかり付いていて、みつ兄が跡の付いた手のひらにそっと口付けた。
「……傷付けるのはダメ、だよ。ごめんねこう君、兄さんが何も言わないばかりに傷付けちゃったね」
「みつ兄は、俺のことが好き?家族としても、恋人と、しても……」
「当たり前でしょ、誰より何よりこう君のことが好き。こう君を愛してるよ」
ずっと聞きたかった言葉を言わせて、やっと心が落ち着く。俺ってこんなんだっけ?
まだ不安の残る俺にみつ兄は目をしっかりと合わせて説明し始めた。…みつ兄の手も震えてる。怖いのは俺だけじゃ無い?
「こう君と兄さんは『同じ』だからダメなんだ」
「同じって…?」
「兄さんは元々ネコ専…抱かれる側しかしてなかった。こう君しか抱いたことは無いし、正直、兄さんは抱かれる方が合ってる。でもそれはこう君にも言えることで、こう君は兄さん以上に抱かれる側の適正があったんだ」
……それは、少し思ってた。みつ兄と比べてじゃないけど、みつ兄を抱いた時よりみつ兄に抱かれた時の方が俺には合っていると、こっちがいいと思った。
二人とも抱かれる方でしか満たされないなら…お互いで満たすのはかなり難しいだろうな。
「こう君のことは本当に大好きだよ。でも、兄さんじゃこう君の欲は満たせてあげられないの。だから、性行為の二つの目的をそれぞれ分けないといけないなって」
「二つの目的?」
「そう、一つは欲を満たすため。もう一つが心を通わせるため。欲を満たすためならこう君が誰に抱かれようとも文句は言わないよ。でも、心を通わせる、想いを伝える手段の一つとしての意味もあるから、そっちは兄さんとだけ、ね?」
みつ兄の言いたいことはなんとなく分かった。あれだ、恋人がいるけど他の人のAVを見たり風俗に行ったりする感覚と同じなんだ。そしてみつ兄はそれを許してる。
俺はそういうの良くないって思うタイプ…だったけど、自分の行動を振り返ると『どの口が言ってんだ』状態だし…。
「……わ、分かったよ。でもルールを決めよう?」
「兄さんも同じこと考えてたよ。そうだな…じゃあ、お互いにお互い以外を抱くのはダメ、とか?」
「二人ともその気も無いけどな。あと、お互いとガルさんとメリスト以外に抱かれるのはダメ…とか?二人を巻き込むようで悪いけど、向こうも嫌そうじゃ無かったし」
そんな感じでルールをいくつか作った。
・お互い以外は抱かないこと
・お互いとガルさん、メリスト以外に抱かれないこと
・抱かれたら言わなくていいけど嘘は吐かないこと
・お互い以外はあくまで欲を満たすだけであること
俺もみつ兄以外に抱かれたいとはあまり思わないけど、でもみつ兄じゃ満足出来なかったのも確か。じゃなかったら俺からフェロモンが出てガルさんに処理してもらうことも無かった。
このこと、二人にも言って協力してもらわないとな。
不思議な話のまとまり方はしたけど、それでも、みつ兄に見捨てられた訳じゃ無くて良かった………
「…喉の痛み、良くなった?」
「うん、ありがとうメリスト」
「ったく、このために薬草を買っといたワケじゃねぇぞ…」
メリストが入れてくれた薬草のお茶のおかげでガラガラの喉の痛みがすぅっ…と消えていった。ガルさんが付けた噛み跡やキスマも結構濃かったみたいで、薬を塗って湿布を貼ってもらった。
で、結局みつ兄は俺に何も言わない。みつ兄じゃない人に抱かれてマーキングまでされたのに、全く妬かないのか?ちらりとみつ兄の顔を見ると、みつ兄は俺から顔を逸らしてガルさんの方を向いた。
「ガルさん、加減はしなかったんですか?」
「加減してなかったら死んでるぞ」
「でもやり過ぎです!傷跡が残ったらどうするんですか!」
傷跡は残ってもおかしく無いだろうな。血が出てたみたいだし。
でもみつ兄、俺の体の心配はしてくれてもガルさんに抱かれたことは何も言わないんだな……。
ガルさんのことは俺もみつ兄も信用してる。だから、ガルさんが相手だから何も言わないのかな。それとも…みつ兄は俺が誰に抱かれても何も言わない?
「こう君?泣きそうな顔してどうしたの?」
「え?俺、そんな顔してた?」
そりゃあ…泣きそうにもなるよ。だって、酷く寂しくて虚しいんだ。ずっとみつ兄に見放されてるみたいで。
俺はみつ兄が他の人に抱かれるなんて嫌だよ。それが例えガルさんやメリストだとしても、どんな理由があっても心が痛くなる。
「……兄貴、少し話したいことがあるから場所を変えよう」
「あ?あぁ、分かった」
ガルさんはメリストを連れて部屋を移した。
みつ兄と部屋に二人きり、俺はみつ兄の目が見れないでずっと俯いている。言っていいのか?
『俺のこと、どう思ってるの?』
『本当に好きなのか?』
『俺たちは恋人?それとも兄弟?』
そんなこと、簡単に聞けるわけない。なんて返されても嫌な感じがする。
俺は欲張りだから、みつ兄とは兄弟でも恋人でもいたい。気持ちいいことは好きだし、それを満たす人はみつ兄じゃなくてもいい。でも、そのことにみつ兄が何も言わないのは無関心なようで嫌だ。
分かってる、あまりにも身勝手だって分かってる。けど、お願いだから、もっと俺を見てよ。
「ねぇ、こう君、さっきからどうしたの?お腹痛い?」
「違う…ねぇみつ兄、俺、ガルさんに抱かれたんだよ?」
「え?そうみたいだね」
「……何も、思わないのか?こんなの不貞だよ?浮気なんだよ!?なのに、っなんで……!」
爪が食い込むほど握りしめた俺の拳をみつ兄がそっと包んだ。そのまま拳を開くと爪の跡がしっかり付いていて、みつ兄が跡の付いた手のひらにそっと口付けた。
「……傷付けるのはダメ、だよ。ごめんねこう君、兄さんが何も言わないばかりに傷付けちゃったね」
「みつ兄は、俺のことが好き?家族としても、恋人と、しても……」
「当たり前でしょ、誰より何よりこう君のことが好き。こう君を愛してるよ」
ずっと聞きたかった言葉を言わせて、やっと心が落ち着く。俺ってこんなんだっけ?
まだ不安の残る俺にみつ兄は目をしっかりと合わせて説明し始めた。…みつ兄の手も震えてる。怖いのは俺だけじゃ無い?
「こう君と兄さんは『同じ』だからダメなんだ」
「同じって…?」
「兄さんは元々ネコ専…抱かれる側しかしてなかった。こう君しか抱いたことは無いし、正直、兄さんは抱かれる方が合ってる。でもそれはこう君にも言えることで、こう君は兄さん以上に抱かれる側の適正があったんだ」
……それは、少し思ってた。みつ兄と比べてじゃないけど、みつ兄を抱いた時よりみつ兄に抱かれた時の方が俺には合っていると、こっちがいいと思った。
二人とも抱かれる方でしか満たされないなら…お互いで満たすのはかなり難しいだろうな。
「こう君のことは本当に大好きだよ。でも、兄さんじゃこう君の欲は満たせてあげられないの。だから、性行為の二つの目的をそれぞれ分けないといけないなって」
「二つの目的?」
「そう、一つは欲を満たすため。もう一つが心を通わせるため。欲を満たすためならこう君が誰に抱かれようとも文句は言わないよ。でも、心を通わせる、想いを伝える手段の一つとしての意味もあるから、そっちは兄さんとだけ、ね?」
みつ兄の言いたいことはなんとなく分かった。あれだ、恋人がいるけど他の人のAVを見たり風俗に行ったりする感覚と同じなんだ。そしてみつ兄はそれを許してる。
俺はそういうの良くないって思うタイプ…だったけど、自分の行動を振り返ると『どの口が言ってんだ』状態だし…。
「……わ、分かったよ。でもルールを決めよう?」
「兄さんも同じこと考えてたよ。そうだな…じゃあ、お互いにお互い以外を抱くのはダメ、とか?」
「二人ともその気も無いけどな。あと、お互いとガルさんとメリスト以外に抱かれるのはダメ…とか?二人を巻き込むようで悪いけど、向こうも嫌そうじゃ無かったし」
そんな感じでルールをいくつか作った。
・お互い以外は抱かないこと
・お互いとガルさん、メリスト以外に抱かれないこと
・抱かれたら言わなくていいけど嘘は吐かないこと
・お互い以外はあくまで欲を満たすだけであること
俺もみつ兄以外に抱かれたいとはあまり思わないけど、でもみつ兄じゃ満足出来なかったのも確か。じゃなかったら俺からフェロモンが出てガルさんに処理してもらうことも無かった。
このこと、二人にも言って協力してもらわないとな。
不思議な話のまとまり方はしたけど、それでも、みつ兄に見捨てられた訳じゃ無くて良かった………
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