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一園木蓮

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過去からの招待状

21話

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「こんばんはーっす! 高瀬貿易さん! 高速が思ったより空いてまして、ご指定いただいてた時間よりだいぶ早めに着いちゃったんですが! 今晩中に必着ってご連絡いただいた例のお荷物、お届けに上がりました。お手数ですが、前のシャッター上げていただけませんかね?」
 一般の住宅と違って、わざわざ受話器を取らずとも来訪者の用件が聞けるようになっているインターフォンだから、否が応でも高瀬の耳に入る。
「……ッ! 今頃何だってんだ! 荷物が届くなんて予定はないはずだが……」
 高瀬は思い切り舌打ちをしてみせたが、インターフォン越しからは催促の声が続けられる。
「高瀬貿易さんー! すいませんですー! 西ノ井運送でーす!」
 大声を張り上げている様子が中からでも容易に分かる。しかも、西ノ井運送といえば、高瀬貿易が普段から一等贔屓にしている業者である。外からは業者が二人いるのか、ぼそぼそと彼らのやり取りが聞こえてくる。
『やっぱまだ担当の人、来てねえかも』
『マジかー? まあ、早く着き過ぎた俺らがいけねえわけだしな。仕方ねえから来るまでちょっと待ってっか』
『けどよー、そこに車一台停まってんべ? それ、担当さんの車じゃねえのかよ』
『どうかな。いつものと違う車だし、関係ねんじゃね?』
 もしかして自分の与り知らぬところで至急の荷物の納品の約束でもあったのかと、高瀬は瞬時に蒼白となっていった。
 そんなことよりも、これから社の担当者が荷物の受け取りに出向いてくるやも知れない。高瀬自身も普段から頻繁にこの倉庫に出入りしているわけではないから、そこまで詳しい取引状況など把握しきれてはいない。その上、紫月を押し込んできたあの車を調べられでもしたら、非常にまずい。
 つい今しがたまで心中するだのと息巻いておきながら、そんなことはすっかりと忘れたようにして高瀬はみるみると顔色を変えた。つまりは、心中というのは単なる脅しでしかなかったということだ。ハナから死ぬつもりなどないわけだろう。
「じょ……冗談じゃないぞ……! 今からここに社員が来るかも知れないだと……!?」

 まさかこんな夜半に運送業者が訪ねて来るなどとは思いもよらなかった――!

「クソ……! せっかくの時間に水を差しやがって!」
 もう目の前の冰に現を抜かしている場合ではなかった。もしも社の人間にこんな現場を見られたとしたら、全てがパァだ。社長が男を監禁して陵辱していただなどと噂になれば、ただでは済まない。
 高瀬は真っ青な表情で衣服を繕うと、慌ててインターフォンの通話口へと向かった。
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