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6 防災危機管理課
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島根県庁本庁舎南塔の六階。
そこは危機管理対策課や消防総務課など、防災や消防に関する部署や部屋が目白押しとなっている。
災害時に最も頼りとなるそんな場所へ、寺山は急ぎ足で向かっていた。
「はぁ、はぁ…」
普段ならエレベーターを使って上る六階をわざわざ階段で上る。
地震などの災害時にエレベーターを使うと中に閉じ込められる恐れがあることから階段を使うことを選んだが、さすがにもう若いとは言えない寺山の体には少々堪えるようだ。
その証拠に、六階に着くころには息が上がってしまっている。
だが歩みを止めるわけにはいかない。
乱れた呼吸を整えながら廊下を歩いて行った。
やがて気が付けば、防災危機管理課の扉の前にたどり着く。
寺山はドアを開ける前に、早くなった呼吸を深呼吸で落ち着けた。
そして落ち着いた呼吸の一方、少しだけ速くなる鼓動を抑えつつ扉を開ける。
「失礼します」
おそるおそる開いた扉の先には、課の職員たちが忙しそうに部屋中を動き回っていた。
パソコンに向かっているものもいれば、電話に対応しているもの、ほかの職員同士で話し合っているものもいる。
寺山が入り口でそんな様子を見ていると、職員の一人が近づいてくた。
「あ、すみません」
「いえいえ」
申し訳なさそうに部屋から出ようとする職員に対して、寺山は邪魔にならないようよけて入れ違いに部屋の中に入る。
その職員が急いで部屋を飛び出す姿もいつもとは少し違うように寺山は見えた。
そんなことを思いつつも、寺山はこの課のトップである岩本を探す。
寺山は特に用事がない限りこの部署に訪れることはない。
そのため普段の様子をあまり知らない彼だったが、それでもあたりを見渡すとどこか異常な雰囲気を感じていた。
それも地震のせいなのかと考えながらせわしなく業務に携わる職員と彼らの机の間を縫って部屋の奥へと進んでいくと、ふと後ろから声をかけられた。
「あ、寺山知事、来てくれましたか」
「あ、これはどうも、岩本さん」
寺山が振り返ったその先には、細身の体に眼鏡とスーツを身にまとった危機管理対策課課長、岩本明彦が立っていた。
岩本は寺山に軽く挨拶をすると、部屋の奥にある机と椅子に彼を案内する。
「寺山さんにはすぐに連絡しようとしていたんですが、まさかあなたのほうからこちらにかけてくるなんて思いませんでしたよ」
ゆっくりと椅子に腰かけながら岩本はそう口にした。
「いえ、私も気になったことがあるので連絡しただけです。それで一つ、お聞きしたいことがあるのですが…」
「それは、さきほど起きた地震のことですよね」
「…はい」
岩本の核心を突く発言に寺山は緊張が走る。
それと同時に岩本の顔が曇るのを感じた。
あらかじめ覚悟はしておいたはずなのに動揺を隠しきれない寺山。
そんな彼の様子を伺いつつも、岩本は口を開く。
「本日の午前11時47分に地震が発生したことを観測しました。地震計によると震度は4にあたります」
「それが先ほどの地震ですか」
「はい。現在様々な方面からこの地震に関する情報を集めているのですが…」
そこまで言ったところで突然言葉に詰まる岩本。
寺山がそれを不審に思っていると、不穏な言葉が彼の口から飛び出してきた。
「通信が…外部との通信が取れないのです…」
そこは危機管理対策課や消防総務課など、防災や消防に関する部署や部屋が目白押しとなっている。
災害時に最も頼りとなるそんな場所へ、寺山は急ぎ足で向かっていた。
「はぁ、はぁ…」
普段ならエレベーターを使って上る六階をわざわざ階段で上る。
地震などの災害時にエレベーターを使うと中に閉じ込められる恐れがあることから階段を使うことを選んだが、さすがにもう若いとは言えない寺山の体には少々堪えるようだ。
その証拠に、六階に着くころには息が上がってしまっている。
だが歩みを止めるわけにはいかない。
乱れた呼吸を整えながら廊下を歩いて行った。
やがて気が付けば、防災危機管理課の扉の前にたどり着く。
寺山はドアを開ける前に、早くなった呼吸を深呼吸で落ち着けた。
そして落ち着いた呼吸の一方、少しだけ速くなる鼓動を抑えつつ扉を開ける。
「失礼します」
おそるおそる開いた扉の先には、課の職員たちが忙しそうに部屋中を動き回っていた。
パソコンに向かっているものもいれば、電話に対応しているもの、ほかの職員同士で話し合っているものもいる。
寺山が入り口でそんな様子を見ていると、職員の一人が近づいてくた。
「あ、すみません」
「いえいえ」
申し訳なさそうに部屋から出ようとする職員に対して、寺山は邪魔にならないようよけて入れ違いに部屋の中に入る。
その職員が急いで部屋を飛び出す姿もいつもとは少し違うように寺山は見えた。
そんなことを思いつつも、寺山はこの課のトップである岩本を探す。
寺山は特に用事がない限りこの部署に訪れることはない。
そのため普段の様子をあまり知らない彼だったが、それでもあたりを見渡すとどこか異常な雰囲気を感じていた。
それも地震のせいなのかと考えながらせわしなく業務に携わる職員と彼らの机の間を縫って部屋の奥へと進んでいくと、ふと後ろから声をかけられた。
「あ、寺山知事、来てくれましたか」
「あ、これはどうも、岩本さん」
寺山が振り返ったその先には、細身の体に眼鏡とスーツを身にまとった危機管理対策課課長、岩本明彦が立っていた。
岩本は寺山に軽く挨拶をすると、部屋の奥にある机と椅子に彼を案内する。
「寺山さんにはすぐに連絡しようとしていたんですが、まさかあなたのほうからこちらにかけてくるなんて思いませんでしたよ」
ゆっくりと椅子に腰かけながら岩本はそう口にした。
「いえ、私も気になったことがあるので連絡しただけです。それで一つ、お聞きしたいことがあるのですが…」
「それは、さきほど起きた地震のことですよね」
「…はい」
岩本の核心を突く発言に寺山は緊張が走る。
それと同時に岩本の顔が曇るのを感じた。
あらかじめ覚悟はしておいたはずなのに動揺を隠しきれない寺山。
そんな彼の様子を伺いつつも、岩本は口を開く。
「本日の午前11時47分に地震が発生したことを観測しました。地震計によると震度は4にあたります」
「それが先ほどの地震ですか」
「はい。現在様々な方面からこの地震に関する情報を集めているのですが…」
そこまで言ったところで突然言葉に詰まる岩本。
寺山がそれを不審に思っていると、不穏な言葉が彼の口から飛び出してきた。
「通信が…外部との通信が取れないのです…」
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