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理名の壮絶な過去。漆黒の三日間 <episode0>
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〈あらすじ〉
鬼畜度★★★★★
有限会社代行。
都会のど真ん中に佇む雑居ビルの一室に小さく表札を構えるその会社。
その組織の実際は、あらゆる復讐を代行する依頼人を地獄の底に堕とすことを目的としていた。
現代社会の日本にはパワハラ、セクハラといったモラル違反なものから、肉体的、精神的、そして性的な被害といった違法なものまでありとあらゆる不条理がある。
だが、それらの被害者が一向に救われないのは、その被害に遭った時に他者がその被害を想像できないことが大きな要因だ。
無実の罪で冤罪となり20年収監されたものをメディアで見ても、人々は「長かった」「辛かった」「大変だった」「可哀想」と口々には言うが、その実、その収監者の本当の辛さを知らない。
収監中は好きなものを食べる権利すらない。
収監中は誰にも自由に会うことが叶わない。
収監中は誰かに想いを伝えることもできない。
収監中は社会のあらゆる情報が制限される。
眠りたくない夜に勝手に消灯し、起きたくもない朝も強制的に起床する。
薬一つも自由には手に入らず、眠れないほど歯が痛くても鎮痛剤一つをもらうために誰かに媚なければならない。
そう。
その態度は”犯罪者”としてなのだ。
自慰すらできる自由もなく、異性と触れ合うことも、見ることさえも叶わない。
時には他の犯罪者のいじめのターゲットになることもあるだろう。
それでもその場から逃れる術もない。
そういう彼らの本当の悲劇の何割かさえも理解せず「大変だっただろう」と誰かが声をかけても彼らは救われない。
本当の被害の救済とはなんなのか。
法律や国家がそれができぬなら……。
(有)代行の初代発起人の西条もまた、犯罪被害者の子供であり、真の救済を目的に組織を立ち上げた。
はずだった…。
〈プロローグ〉
コンコン
「里緒です。入ってもいいっすか?」
西条「入れ」
「失礼しーます」
「今日もチャイナドレスか。相変わらずだな、お前は」
「まあ、これがアタシの正装なんでw」
「たしか亡くなった祖母の形見だったな」
「おい。いくら社長でもその話を深堀したら許さねーぞ」
「ハハハ。お前は誰に対しても媚びないのが素晴らしいな。態度は社員の中で一番悪いが、その分残酷無慈悲さもまた、飛びぬけているから雇ってやっている」
「は?w。それ、褒めてんの?w」
「ところで里緒。元バディのお前だから既に知ってるかもしれないが、理名が先日退職届を持ってきた」
「え!!!!聞いてないんだけど!」
「やはりそうか。あいつらしいな。誰にも相談せずに…」
「マヂかー。いつか理名を食べようと思ってたのになぁーw」
「お前が狙った獲物で獲得できていないのは理名だけって話か」
「うん。そう」
「じゃあ、ちょうどいい。理名を拉致しろ」
「は……?なんで?」
「この会社は一度入社したら、簡単には辞められない。それは入社時にちゃんと説明しているはずだ」
「それはそうだけど、なんで拉致なんだよ」
「理名は知りすぎている。アタマのいいあいつに普通の"退社手続き"を踏ませても、いくらでも対策はできるだろう」
「は?ちょっと待った。今までも数人は辞めたよね?たしかに厳しい厳しい誓約を誓わせてから退社させてきたけど、なんで理名ちんだけは拉致なんだよ。優秀だから拉致されるっておかしいだろーが」
「里緒。優秀なやつほど多くの仕事を任されて、多くの責任を伴う立場に回される。だからこそ多くの秘密を知ることにもなる。だから簡単に辞めさせるわけにはいかない。企業なんてそんなもんだろ」
「は!そんなの詭弁じゃん」
「詭弁の何がおかしい。俺たちがやってる仕事など全て詭弁から成り立っていると言っても過言ではない。お前がやらないなら別にいいぞ。それならアオイに頼むだけだ」
「……マヂ?」
「俺が決めたことを覆す男だって、数年俺の下で働いて思うのか?」
「拉致してどうするんだよ」
「理名が辞めてから何をするつもりなのかを探れ。同業他社に引き抜かれてる可能性もある。それならば、なぜウチじゃなくてそっちでやりたいのかも聞け」
「おいおい。そんなもん、どんな理由にしても理名が満足して働けないウチと社長のせいぢゃん」
「理名の報告書を読んだ。美香という高校生を救ったあたりから理名は定期的に休みを取って、何かを計画している。理名の車のGPSもオフにされている時間がある。従業員の安全のためのGPSだ。そこまでして場所や会っている人間を特定されたくない事情があるのだろう」
「うわー。ストーカーみてー。GPS履歴まで辿ってやがるw」
「当たり前だろう。俺たちは表面上は探偵業になっているのだからな。素行調査なんて朝飯前だ」
「っていうか、じゃあ、万が一理名ちんが同業他社に行くとかだったらどうするんだよ」
「再起不能にしろ」
「え、、、?」
「二度と誰かを責めることも、誰かに責められることもできないくらいの体験をさせてやれ」
「は…?」
「『退社するにあたり、万が一ウチで掴んだ情報を外部に漏らしたら全社員からターゲットにされる。同業他社に移動した場合も同様』。そういう誓約で今までの人間は辞めていっている。それは入社時にも、いや、入社前にも説明している。理名が他社にいくなら、その覚悟を持って動いているはずだ。」
「いや!だから、それは仮に"そう"だった場合だろーが!今回はまだ、そうとは決まって…!」
「里緒。俺の勘が外れたことあったか?」
「くっ……」
「やるのか?」
「やるに決まってるだろ。なんでアオイに理名を取られなきゃなんねーんだよ。理名っちを壊すなら、それはアタシに決まってるだろーが」
鬼畜度★★★★★
有限会社代行。
都会のど真ん中に佇む雑居ビルの一室に小さく表札を構えるその会社。
その組織の実際は、あらゆる復讐を代行する依頼人を地獄の底に堕とすことを目的としていた。
現代社会の日本にはパワハラ、セクハラといったモラル違反なものから、肉体的、精神的、そして性的な被害といった違法なものまでありとあらゆる不条理がある。
だが、それらの被害者が一向に救われないのは、その被害に遭った時に他者がその被害を想像できないことが大きな要因だ。
無実の罪で冤罪となり20年収監されたものをメディアで見ても、人々は「長かった」「辛かった」「大変だった」「可哀想」と口々には言うが、その実、その収監者の本当の辛さを知らない。
収監中は好きなものを食べる権利すらない。
収監中は誰にも自由に会うことが叶わない。
収監中は誰かに想いを伝えることもできない。
収監中は社会のあらゆる情報が制限される。
眠りたくない夜に勝手に消灯し、起きたくもない朝も強制的に起床する。
薬一つも自由には手に入らず、眠れないほど歯が痛くても鎮痛剤一つをもらうために誰かに媚なければならない。
そう。
その態度は”犯罪者”としてなのだ。
自慰すらできる自由もなく、異性と触れ合うことも、見ることさえも叶わない。
時には他の犯罪者のいじめのターゲットになることもあるだろう。
それでもその場から逃れる術もない。
そういう彼らの本当の悲劇の何割かさえも理解せず「大変だっただろう」と誰かが声をかけても彼らは救われない。
本当の被害の救済とはなんなのか。
法律や国家がそれができぬなら……。
(有)代行の初代発起人の西条もまた、犯罪被害者の子供であり、真の救済を目的に組織を立ち上げた。
はずだった…。
〈プロローグ〉
コンコン
「里緒です。入ってもいいっすか?」
西条「入れ」
「失礼しーます」
「今日もチャイナドレスか。相変わらずだな、お前は」
「まあ、これがアタシの正装なんでw」
「たしか亡くなった祖母の形見だったな」
「おい。いくら社長でもその話を深堀したら許さねーぞ」
「ハハハ。お前は誰に対しても媚びないのが素晴らしいな。態度は社員の中で一番悪いが、その分残酷無慈悲さもまた、飛びぬけているから雇ってやっている」
「は?w。それ、褒めてんの?w」
「ところで里緒。元バディのお前だから既に知ってるかもしれないが、理名が先日退職届を持ってきた」
「え!!!!聞いてないんだけど!」
「やはりそうか。あいつらしいな。誰にも相談せずに…」
「マヂかー。いつか理名を食べようと思ってたのになぁーw」
「お前が狙った獲物で獲得できていないのは理名だけって話か」
「うん。そう」
「じゃあ、ちょうどいい。理名を拉致しろ」
「は……?なんで?」
「この会社は一度入社したら、簡単には辞められない。それは入社時にちゃんと説明しているはずだ」
「それはそうだけど、なんで拉致なんだよ」
「理名は知りすぎている。アタマのいいあいつに普通の"退社手続き"を踏ませても、いくらでも対策はできるだろう」
「は?ちょっと待った。今までも数人は辞めたよね?たしかに厳しい厳しい誓約を誓わせてから退社させてきたけど、なんで理名ちんだけは拉致なんだよ。優秀だから拉致されるっておかしいだろーが」
「里緒。優秀なやつほど多くの仕事を任されて、多くの責任を伴う立場に回される。だからこそ多くの秘密を知ることにもなる。だから簡単に辞めさせるわけにはいかない。企業なんてそんなもんだろ」
「は!そんなの詭弁じゃん」
「詭弁の何がおかしい。俺たちがやってる仕事など全て詭弁から成り立っていると言っても過言ではない。お前がやらないなら別にいいぞ。それならアオイに頼むだけだ」
「……マヂ?」
「俺が決めたことを覆す男だって、数年俺の下で働いて思うのか?」
「拉致してどうするんだよ」
「理名が辞めてから何をするつもりなのかを探れ。同業他社に引き抜かれてる可能性もある。それならば、なぜウチじゃなくてそっちでやりたいのかも聞け」
「おいおい。そんなもん、どんな理由にしても理名が満足して働けないウチと社長のせいぢゃん」
「理名の報告書を読んだ。美香という高校生を救ったあたりから理名は定期的に休みを取って、何かを計画している。理名の車のGPSもオフにされている時間がある。従業員の安全のためのGPSだ。そこまでして場所や会っている人間を特定されたくない事情があるのだろう」
「うわー。ストーカーみてー。GPS履歴まで辿ってやがるw」
「当たり前だろう。俺たちは表面上は探偵業になっているのだからな。素行調査なんて朝飯前だ」
「っていうか、じゃあ、万が一理名ちんが同業他社に行くとかだったらどうするんだよ」
「再起不能にしろ」
「え、、、?」
「二度と誰かを責めることも、誰かに責められることもできないくらいの体験をさせてやれ」
「は…?」
「『退社するにあたり、万が一ウチで掴んだ情報を外部に漏らしたら全社員からターゲットにされる。同業他社に移動した場合も同様』。そういう誓約で今までの人間は辞めていっている。それは入社時にも、いや、入社前にも説明している。理名が他社にいくなら、その覚悟を持って動いているはずだ。」
「いや!だから、それは仮に"そう"だった場合だろーが!今回はまだ、そうとは決まって…!」
「里緒。俺の勘が外れたことあったか?」
「くっ……」
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「やるに決まってるだろ。なんでアオイに理名を取られなきゃなんねーんだよ。理名っちを壊すなら、それはアタシに決まってるだろーが」
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