短い物語り ケイケンの近くに

黄緑紅葉

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第1話 「 普段の中での不思議 」

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ある年の春のことであった。

僕は一輪の綺麗な花を学校の帰りにふと目にはいった。

その花は青くて、僕のひじから指先ぐらいの長さで、人目につかない暗い道端にぽつんと寂しく咲いていた。

気づけばもう日は沈みかけていて、雲の切れ間からその光が漏れていた。

その景色は自分にとって不思議に感じて少しの間、身動きができなくなってしまった。

まさに何かに取りつかれたかのように思いどおりに動かなかった。

何日か経ってもう一度、あの景色を見た。

その場所に咲いていたはずの花がなくなっていた。

枯れてしまったのか、それとももしかしたらあの光景自体が夢だったのかもしれない。

こんなようなことはいままでもいくつかあったことがあった。

自分の好きな本がなくなったこと、大きな木があったのに数日したら跡形もなくなくなっていたりと僕の中では特別不思議なことではなかった。

まぁ、言ってしまえばこの世界で起こることはすべて不思議なものといってしまっても過言ではと思う。

普通の生活を繰り返しているうちに気づかなくなってしまう。

「不思議なもの」とは、そういう普段のなにかの中にあるものだと考える。

時間は風のように過ぎていき、何もが年をとっていく。

そしていつかは別れの時が訪れるもの。

悔しい時もあれば、嬉しい時もこの先ずっとその繰り返しで人生は続いていくだろう。

だから、嬉しい時はね、おもいっきり笑顔になって笑って、悲しいときはね、おもいっきり心の底から泣けばいいんだよ。

そうすれば、自ずと普段の生活の中から思わぬ発見やあなたにとっての「不思議なもの」が見つかるかもしれない。

それは意外と近いところかもしれないし、遠いとこかもしれない。

一つの旅のように少しずつ探していけばいいよ。
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