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05 幸運な日 ※ バイブ
しおりを挟む組合の偉い女性を筆頭に十人ほどを、まだ店を出していた石売りの元へ連れて行った後は早かった。
人種族の手に渡るはずのない危険物が混入していた事を、組合は大変重く受け止めてくれたようだ。
行商に来ただけ、と訴えている石売りの声を聞き流しながら、私はその場を後にすることにした。
「あ、あの、組合で詳しく話を伺いたいのですが!」
退散する前に、魔術道具の眼鏡をかけた魔人族の男性、年齢は不明、に声をかけられた。
なかなか目ざといのがいるようだ。
「用がある」
「え、あ、そ、あ後で組合に来てくれますか?」
緊張しやすいのか、もごもご言っている男性に告げる。
「断る」
「うえっ、それは、あのっなんでっ」
「言う必要が?」
伝えるべき事は全て言った。
ブレーが帰ってくる前に家に戻りたい。
せっかく用意したあれこれ全てが無駄になったら、どうしてくれる。
「エレデティ殿、わたくし共は精霊入りの精霊石が危険なものである、という事しか知りませんの。
どう危険なのかを、教えていただく事はできませんかしら?」
事情を聞くために石売りを組合に連れていく事になったらしく、偉い女性がこちらに寄ってきた。
「私は外交役ではない」
妖精族が人種族に与えても問題ない、と考える知識や技術は制限されている。
それは、過去に人種族がやらかした歴史を忘れるなという警告であり、人と妖精が違うからでもある。
どこの里が外交役をしているのかも、制限されている内容も知らない私が関わる訳にはいかない。
「……大変失礼をいたしました、どうか先程の話は聞かなかった事にして頂きたく存じます」
男性が口を開き、女性が口を閉ざした。
エルフとの間に外交問題を起こすつもりはないようだ。
良かった。
私が漏らした事で街が滅んだりしたら、ブレーに叱られるからな。
同じ理由で、石を放置しておくのも良くない。
「そうしよう」
本当に、どうして人種族が積極的に距離を詰めようとするのか、理解に苦しむ。
もにょもにょと顔を動かして、形容しがたい表情をしている偉い女性と、諌めている眼鏡の男性を放置して、私は急ぐ事にした。
屋根のない流しの馬車を捕まえて、副都の外壁まで急いでもらう。
支払い、あ、金貨は石売りに渡してしまった。
手持ちが足りない。
「少し待ってもらいたい、この後で家まで乗せてもらえたら払える」と頼むと、嫌な顔をされたが、帽子を持ち上げて顔と耳を見せたらあっさりと了承された。
副都に一人しかいないエルフなので、無賃乗車で逃げる気はないと理解してもらえたようだ。
街の外なら魔法を使っても問題ない。
たぶん、おそらく、良いとも言われてないけれど、壁や街に傷をつけなければ良いだろう。
精霊石を手に持ち、精霊に声をかけて……。
今日の私はとてもついている!
大変に嬉しい。
交渉を終えた精霊石を懐に家路を急ぐ。
ブレーの帰宅よりも早く戻ってこれたので、夕食の準備を進めつつ、魔法道具の作成に勤しむ事にした。
馬車を貸切にしてもらって悪いね、と謝礼ははずんだ。
今日はこのまま素晴らしい日であってほしい。
どうやって手に入れようか悩んでいた材料の上位互換品が手に入るなんて、今日は素晴らしい日だ。
一年暮らせる金額の精霊石もどきでなんとかなるかもくらいだったのに、一月も暮らせない金額で、百年しっかり使ってもお釣りが来る精霊石を手に入れてしまった。
うきうきしながら自室に入って、隠してあった鍵付き箱と工具箱を引っ張り出す。
机の上に作りかけの魔法道具と工具、その他諸々を並べて準備は万端だ。
ブレーが帰ってくる時間まではもう少し余裕があるから、完成させられるだろう。
椅子に腰を下ろして、魔法道具を手に取る。
作りかけだが、見た目は完成している。
勃起した陰茎を模した淫具で、片手で握り込めないくらいに太く、真ん中あたりで少し曲がっていて、先端はしっかりと張り出している。
私が一から設計して加工して作った魔法道具なので、完成していなくてもすでに愛着がある。
早く完成させて、使ってみたい。
何本も浮かび上がった血管や曲がりを削り出すのに細心の注意を払い、こだわりを詰めこんだ。
張り出した亀頭なんて、どこからどう見てもブレーの陰茎にそっくりだ。
そっくりに作ったつもりだ。
見た目は完璧。
以前に作ったものより、さらに本物に近づける事ができた。
体の中に入れるものだから、つるつるに磨き上げた。
これを使って怪我をするのは困る。
前のものからの改善点として、抜き差ししやすいように持ち手をつけたから、使い勝手も良くなっているはず。
色を染められたらもっと似せられるけれど、魔物由来の素材に使える染色加工魔法を知らない……里に手紙を送って聞いてみよう。
底の持ち手を外し、中の多重魔法式に小さく形を整えてもらった精霊石を固定して、持ち手を戻す。
持ち手が外れないことを確認してから一つ目の魔法式を起動すると、じんわりと全体が温かくなってくる。
成功したぁ。
使用前にお湯で温める必要がなく、途中で冷めない。
ブレーの体温を参考に設定したけれど、うまく動いたようだ。
潤滑液を垂らして、両手で包み込む。
上下に扱いて、引っ掛かりがない事を最終確認。
この太さ、最高ぉ。
……硬さに違和感があるけれど、素材由来の硬さを変えるのは難しそうだ。
先端は張りがあって柔らかく、竿部分の硬さも肉っぽい感じが欲しい……複合素材にしたら良いのか。
なにを組み合わせたら、本物そっくりになるかな。
潤滑液を舐めてみたけれど、魔法で精製して不純物を取り除いたので匂いも味もない。
よし、じゃあ、舐めて、咥えてみよう♪
ぺろり、べろべろ、と舐めて、舌に引っかからないかを確認終了。
つるりと滑らかな触感は本物とは違うけれど、そこは素材の問題なので諦める。
素材を磨くためだけに研磨の魔法式を組み替えた甲斐があった。
ぱくり、じゅる、あむあむ。
頬や上顎の内側に押しつけてみても、違和感はないかな。
「あー、ん、んん、ぅぉあいいあんぃい」
やっぱり太さが良い感じ。
少し太すぎて苦しいから、ブレーのと同じくらいだ。
温かさも、ちょうどブレーが興奮している時くらいかな。
それじゃ、後はもう一つの魔法式の設定通りに動くかを……。
「エレン、なにしとる?」
「むえっ!?」
思わず振り返って、口から淫具が抜けた。
手の中の淫具と口の間で潤滑液が糸を引いて、ぽたぽたと床にこぼれた。
「おかえり?」
今、私はどんな表情をしている?
「……ただいま、つうかなんだそいつは、おい、エレン?」
どどどどどうしよう。
見られてしまった、ブレーにブレーの勃起ブレーを模した魔法道具を見られてしまった!
「エレン、なんだ、どうした…………顔がへんだぞ」
「ちがうんだ、これちがうからっ」
一年近く帰りを待ち侘びていた恋人の存在に、うまく言葉が出てこない。
私が一番言いたい事は……あれだ、あれあれ!
「わかったわかった、違うんだな、わかったから落ち着け」
ブレーの視線が、ブレーの勃起ブレーそっくりに作った魔法道具に向けられる。
「こここれは買ったわけじゃなくて、私がブレーそっくりに作ったものだから勘違いしないでくれ!」
「……なるほど?」
浮気じゃない。
私は自分とブレーの陰茎しか知らない!
「ブレーがいない間もブレーを忘れないようにしたかったんだ、これは魔法の刻印が正しく作動するかの確認をしようと思っていただけでっ!」
そう、一生懸命訴えた。
だって、私が魔法道具を作れる事は、ブレーに知らせていないから。
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