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おまけ 3 ※人同士、注意
しおりを挟むタンニンでなめした革のような濃い色の肌は、触れてみるとさらりとしていて、ごく普通の温かい人の肌だ。
人に触れることも、触れられることも気持ち悪いと思っていたのに、この見慣れない色の肌だけは違う。
誰かに抱きしめられたことのない俺の貧相な体に、こいつは問答無用で触れて抱きしめてくる。
「……っ、ん…………っ、……ぅ」
「しゅうや、こえをがまんはしないです」
腰を振る小刻みな一突きごとに長い竿の先端が奥まで届き、ぐちぐちと壁を捏ねられると声を殺すのが難しい。
「そんな、こと、っ」
おっさんの喘ぎ声なんて萎える原因でしかないだろ!と必死で声を我慢しているのに、俺を見下ろしている野生の獣のようにしなやかな体躯を持つ若者は、酷なことを言ってくる。
「こえはだします」
「それ、をっ言うなら、声を出してくれ、だろっ」
高く持ち上げられている両足の足首を、顔に押し付けるように押されて、股関節が鈍く痛む。
腹が押しつぶされて息ができない。
自分の足と一緒に近づいてきたチョコレートのような色の口元から、白すぎる歯がのぞいた。
「こえをだしてくれ」
「……っいや、だっ」
耳元で言われた声を認識した途端、無意識に全身に力が入ってしまい、きゅうと尻に力が入ってしまう。
「しゅうや、あいしてる」
「っ、う、っ」
声を出したくない、はしたない姿を見られたくないのに、実の親にさえ言われたことのない、そこらの歌にさえありふれてる単語一つで、俺はおかしくなってしまう。
「~ぁ、あぁ、んっ、ギルっ」
体を半分に折られ、男二人分の体重がかかっている腰が痛いのに、ぐちぐちと腹の奥に向けて突かれると、甘えるような声が止まらなくなる。
初めは違和感と痛みしか感じられなかったのに、何度も女のように抱きしめられて、腹の中を奥の奥まで押し開かれているうちに、そこを突かれる快感で目の奥がチカチカするようになった。
「しゅうや、いれます」
「!、ギルそれ、しごとが、それ、やめろっ」
必死で抵抗しようとするのに、体はその先にある快楽を知っているせいで、逃げようとしても力が入らない。
解剖されるカエルのように仰向けで、尻を串刺しにされてベッドに押さえつけられて、どこにも逃げ道なんてないのに、溶けきれていない頭が必死で逃げろと言ってくる。
気持ちいいのを知っているのに、拒絶しなくてはいけない理由は、そう多くない。
一番の理由は、翌日の仕事に差し支える、からだ。
「立てなくなるからやめろっ」
必死で言い切ると、若者はものすごく拗ねた顔をして腰を止めたが、しばらくするとわざと音を立てるように出し入れさせながら、息ができなくなるキスをして来た。
音をさせるのは恥ずかしいから嫌だって前に言ってから、やらなかったのに。
そう思いながら、耳に入ってくる卑猥な音を聞きたくないと両腕で耳を塞いだ。
「だめです、きいてください」
「やめろ、嫌だって言ったろっ」
本当に同じ人類なのか?と思うほど長い舌で口の中を掻き回されていた俺は、しばらく呼吸を整えることしかできず、指を絡められて左右に広げられた腕を再び耳に当てることもできない。
「かわいいしゅうやが、みたいです」
「何度も、言ってるだろうが、四十超えのおっさんに可愛いとか言うな!」
子供が敬語を使っているような口調のくせに、その声はひどく淫らな響きを持っている。
男同士の性交どころか、異性相手の恋愛さえもしたことがなかった俺は、この手の睦言が苦手だ。
おっさんが可愛いなんて言われて喜んでいたら、本気で変態じゃないか。
変態かそうでないか以前の問題として、ギルの手で何度も洗浄されて、ゼリーみたいなものを注ぎ込まれている自分の尻を音を立てながら掻き混ぜられて、まともな反応なんてできるわけがない。
可愛いとか愛らしいとか、こいつ頭おかしい。
おっさんに何言ってんだよ、と言ってるのに、全然改善しないとか、こっちの話を聞く気がないのか、理解してないのか、理解したくないのか、どうなんだよ!と怒りすら湧いてくる。
「にほんごはかわいいをたくさんつかうと、ききました」
「それは、若、いっ奴らの話だっ」
「わかいやつらはなんさいですか?」
のんきに会話を続けながら、だんだん動きが大きくなって、聞こえてくる音もぐちゅぐちゅからぶぽとかぶぷっとか、訳がわからないものになってくる。
「やめ、も、無理、これ以上無理っ」
「ああ、きもちいいですか?」
基礎体力が違うのか、人種の差なのか。
余裕綽々のギルに押しつぶされながら、さらに激しくなった動きに、ただ泣かされるしかなくなる。
ゆっくりとした動きが早くなり、奥を突かれる間隔が短くなり、腹の中をこすっていく肉の感触が背筋を駆け上る快感に直結していく。
「愛してます、しゅうや、いつでも、どこでも、あなたをおもっています」
「あ、あ、っ、だめ、これだめ、イく、これ、イくか、らぁあ"あ"っっっ」
明日も仕事なのに、無理をさせるなよ!と思っても、ギルに一番上まで連れて行かれた俺には逃げ場がない。
ただハリのある若いギルの体にしがみついて、少しでも早くこの波が過ぎ去ればいいのに、と耐えるしかない。
「しゅうや、かわいいしゅうや」
「あうぁも、むりぃっイってるからっ」
前に「イく」って言ってくださいと頼まれたので断ったら、言うまで尻の穴をこねられ続けた。
そのせいで、今では勝手に口から出てしまう。
こっちは快感でおかしくなっているのに、腹の中を蹂躙し続ける肉は熱くて長くて、奥を激しく突いてくる。
さっきから、やばいのが分かる。
もう少し激しくされたら、これ、入る。
なんで、いっつも気絶するまでなんだ?
そう思いながら、奥の奥にねじ込まれた亀頭がズッポリとはまり込んだ衝撃で、絞め殺される豚みたいな声をあげた。
そのあとはほとんど覚えていない。
英語で何か言われた気がするし、ギルに言われるままに何かひどく卑猥な言葉を言った気がする。
こいつに出会って、俺は恋を知った。
こいつに出会って、俺は人肌の心地よさを知った。
だが、こいつに出会ったことで、変態になってしまった、ような気がする。
色々と手遅れな気がする。
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