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憧れの陽キャ英雄の本性が、自死願望持ち陰キャだった話
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初めまして、お久しぶりです
十月終わりに頂いたコロコロで寝込んで以来、昼以降の体調不良、エロ欲求の欠如、読めず書けないという謎症状に苦しんでましたが、唐突に書きたくなりました、二日くらいかかったし短いけど書けた(*゜∀゜*)
文章が理解できない体験、体調不良時は多いので焦らないのですが、今回は恐怖でした
脳みそが病変して、エロや活字と無縁になるのではないかと怯えていたので、安堵です
クオリティに関してはご容赦ください、あるのは書ける喜びだけです!
受けは人外設定ですが、ずっと人の姿っぽいままです
長編まで書く元気なくて燃え尽きました
☆
これは夢なのかな。
初仕事に緊張しながら入った、狭い部屋の中で。
そう思いながら、僕はぽかんと開いてしまった口を閉じて、冷静さを取り戻そうと瞬きした。
今、僕の目の前には、三年間ずっと憧れてきた人がいる。
でもその姿は僕が知っていた、頼りになって、優しくて、格好良くて、明るくて、人付き合いがうまくて、どんな時も弱音を吐かない憧れのリーダー、の真逆に見える。
「もうほんとしにたい、いますぐしにたい、いまここでぽっくりいったりしねえかな、かみさまとかいんならなんでおれをいかしとくんだよ、こんなむのうなおれがいきてるいみとかなくねぇ……」
見たことのない暗い表情でぶつぶつ呟いているのは、この街で唯一の特級冒険者、ギニオニストさん、だった。
それとも、顔がそっくりな別人の可能性はあるのかな。
だって、僕の知っているギニオニストさんは、いつでも笑顔で頼り甲斐のある兄貴で、誰よりも格好良い人だ。
「……あ、あのーお客様?」
「ああ、すまない、ええと、それで……」
とりあえず、今の僕は仕事をしないといけないのだ。
接客する時間が終わっても、仕事をしてないと給金はもらえない。
目を合わせても顔見知りだと気づいていない様子に安心しながら、にこりと練習したばかりの笑顔を浮かべる。
「はい、初物指名ありがとうございます、ごほうしいたしますので、出して下さいませ」
習ったばかりの接客語一揃えを、なんとか間違えずに言えた。
話しても、僕だと気づいてないみたいで、よかったと安心する。
英雄のギニオニストさんに憧れて三年、冒険者になって二年。
見習いから低級には上がれたけれど、そこから抜け出せなかった僕は、とうとう素泊まり宿に泊まる金もなくなって、夜の街で客をとる仕事をするしかなくなった。
とはいえ、見た目が悪くて貧弱な僕を店員として使ってくれる店を、見つけるまでが大変だった。
昼は冒険者を続けたい、夜は仕事にくるから、という条件も良くなかったみたい。
僕を採用してくれたこの店も、ありがちな男女の欲を発散する店だけれど、値段が安い、早い(拘束時間が短い)、(店員が)若い、が特徴の店らしい。
店員が使うのは口と手だけ。
男女関係なく希望する局部に触れて、なめてしゃぶってイかせたり、しごいて出す店だ。
未熟な僕でも雇ってもらえたのは、店員が服を脱がない店だから。
まだ店長と常勤の少女一人しか会ってないけれど、店員が少ないらしい。
お客の体内に局部をつっこんだり、つっこまれる店の方が給料が良いから、なのかな。
一応、仕事の内容的に男性客には女性店員が良い、という判断で、僕は少女に借りたかつらと紐付き帽をかぶっている。
服も少女の服を一枚もらった。
僕より年若い少女の服は、少し大きかった。
服の下、胸元には変なもこもこのやつを巻いてもらった。
今夜の稼ぎで、新しい服を買って渡す約束になっている。
少女が服をくれたのは優しさからではなく、必要だからと店長が言った。
出す時にぶっかけたがる男性客がいるらしいから、僕も明日からは着替えを用意しておかないといけない。
仕事の説明を受けて、店長と少女の実践を見ながら、木製の男性器官をごしごししてなめなめする指導を受けた。
女性の形の木製も、なめなめして指をつっ込んで、練習した。
性器以外への触れ方は、後日教えるって。
なにもかもが初めての経験で、一度で覚えることはできないと、僕もそう思った。
やる気はないけど、やらないと。
そう考えながら。
初勤務の日は初物として少し高い料金がお客に要求できるよ、と店長に言われた僕は、素直にそれを望んだ。
今夜、宿に泊まる金が必要だったから。
新しい服を買う金もいる。
それなのに、初めての仕事が、どうしていきなり顔見知りというか、憧れていた人なんだろう。
本音を言えば困っているけれど、ここで、僕の初めてのご奉仕をもらってもらいたい、とも思った。
慣れていないのか、ギニオニストさんは、もたもたと腰ひもに手を掛ける。
基本はお客さんに希望を言われるまで、手出し厳禁なので、大人しく待つことにした。
ギニオニストさんとは、二回だけ話したことがある。
朗らかで優しくて、頼り甲斐のあるお兄さんで。
僕も彼のようになりたい、と思ったんだ。
だから、目の前で慣れない様子で股間をさらけだそうとしているのは、間違いなく本人だと思う。
でも、なんか、別人みたい。
きっと、パーティメンバーのきれいな女の人たちと、いっぱいそういうえっちな事を、してると思ってたのに。
「す、すまん、ひもが、……っ」
ちょうちょう結びになっているだけに見える腰ひもが解けなくて、ギニオニストさんが焦ったように唸る。
どうしよう。
お客さんが望む場所以外に触れない、と習ったんだけど。
「ほどいても良い?」
「え、あ、ああ、頼んでもいいかな」
接客の時の話し方はいらっしゃいませ、しか教わってない。
少女が「口と手を使うんだから、客と会話なんてしないわよ」と言ってた。
ぎゅ、ときつく締められた幅広のひもに指をかけて、尖った爪先を使って結び目をほぐす。
するんとゆるんだひもを引いて、ぱらりと解く。
「……きみは」
「この先は、やって」
どこまで望まれるんだろう。
局部をなめるのかな。
両手で局部を揉みながらなめて、と言われるかな。
初物を望む客は、店員のぎこちなさとか初々しさを楽しみにする、と店長に聞いたんだけど。
あまり無茶なことは望まれないと良いな。
「う、うん、わかった」
僕が知っている自信満々で快活な姿と違って、目と手をうろうろと彷徨わせて挙動不審なギニオニストさんは、ぎこちなく下衣を膝まで引き下ろした。
「……」
ぽろん、と下着の中から顔を出したギニオニストさんの局部は、可愛らしい大きさだった。
薄く傷跡の残るたくましく隆起した腹筋や太もも、成人男性らしい豊かな濃色の陰毛に隠れるように、子供のように色の薄いそれが力なく垂れていた。
背が高くて筋肉質で分厚い体には不釣り合いな、小さくて可愛らしいそれ。
誰にも言えないでいたけれど、他人に触れる、なめるという行為に怯えを持っていた僕にとって、ぎんぎんに勃起して黒光りしていないことは、安心を与えてくれた。
この見た目なら、触れるし、なめられるかも。
「や、やっぱりなしで、今日は帰るっ」
僕が言葉を失っている間に、焦ったように服を引っ張り上げるギニオニストさんの服を引いた。
「待って」
「あの、でも、おれ、ちょっと都合が」
「他の店員が良いの?」
どうしても今夜の宿泊費用を稼がなくてはいけない。
それなら、相手はギニオニストさんが良い。
そう思っていたのに。
街中で転がって寝ようとすると見回りの衛兵に見つかってしまう可能性が高く、その場合は一晩を詰所で過ごせるけれど、その後の罰金は安宿の宿泊費用より高い。
僕が落ち込んだことに気がついたのか、ギニオニストさんが服から手を離して、あわあわと両手を上げ下げした。
今日のギニオニストさんは、知らない姿ばかりを見せてくれる。
これまで格好良い姿しか知らなかった憧れの人も、完璧じゃ無いんだな。
そう思うと、少しだけ胸がほっこりと温かくなる。
故郷を失ってから凍えてしまっていた心が、少しだけ柔らかさを取り戻す。
「さわって良い?」
「……っ、う、うんっ」
目をぐらぐらと彷徨わせて、ギニオニストさんは頭を上下に振った。
伸ばした指先に触れたのは、ふに、とした柔らかさ。
僕の指先よりも温かくて、揃えた指先で持ち上げるようにして、そっと唇を寄せた。
「希望はある?」
客の望み通りにする、がこの店のやり方だ。
僕が勝手に触れてなめてしまってはいけない。
そう考えて動きを止めた僕を、ギニオニストさんは目をカッ!!、と身開いて見下ろしていた。
「ふ、ふ、っっぐふっ」
「ふ?」
「ふふ、ふ、ふれ、ふれてくれればっっ」
なぜかがくがくと震えるギニオニストさんに合わせて、僕の手の中のふにふにもふるふると動いた。
僕は、胸がきゅうと温かくなるのを感じた。
故郷と共になにもかもを失ったと思っていたけれど、新しい出会いを得たのかもしれない。
「はい、ギニオニストさん」
「えっ?!」
呼吸が届く距離にあったふにふにへ、唇で触れた。
ちゅ、と吸い付いて、習った通りに先っぽをちろりとなめた。
「ふぐぅっっうそだろ、おい、おいぃぃぃいっ」
ちろり、ちろちろ、と舌先で触れていくと、ふにふにが僕の揃えた片手の上でむくむくと大きくなっていく。
大きくなっていくけれど、僕が何度か蒸し風呂で見た成人男性の局部のように、黒蛇の頭のように気持ち悪くない。
ふっくらとした竿は、滑らかな皮膚に覆われていて、日焼けしていない肌の色。
先端は竿よりも少し張り出しているけれど、つるりと丸くて可愛らしい。
股間周辺は黒々と色の濃い陰毛がごわごわと生えていて、お腹の上の方まで続いている。
服に隠れているけれど、胸まで毛が続いているのかも。
人には体毛が無いと思っていたけれど、時折、男はごわごわの毛がある者がいると、蒸し風呂で僕は知った。
僕が舌先で先っぽに触れると、腹筋や太ももがびく、びくん、と震える。
「痛い?」
震え方が傷に沁みる薬を塗った時のようで、心配になって声を掛けると、手の上に乗せていた竿がぴょこん!、と飛び起きた。
「……ふぐっ……ぅぐ、うそだろおい、おれのおれにていこうなくふれてくれるこがこのよにいるなんて、かみさまいままでしにたいとぐちばかりはいてすいませんでした、おれかのじょとしあわせになりますぅ」
自分の股間を見つめて、目を爛々と光らせているギニオニストさんが早口すぎて、聞き取れなかった。
いつもの明朗快活な彼と違いすぎて、なんだか怖いけどこれもきっと、彼の性格の一部なんだろう。
この街では底辺冒険者でしかない僕だって、故郷では息子で子供で、みんなの守護者になれるはずだったように。
痛そうではないのなら続けて良いのかな、と空いていた片手を添えて、いつのまにか中身がいっぱいの肉詰めのように膨らんだ局部を両の手のひらで包む。
「失礼します」
ここは事前に伝えた方が良いと習ったとおりに言って、ぱくん、と先っぽを咥えた。
「う゛う゛っっっ」
「むうっ」
びゅく
びゅるりっ
ぴゅく
ぴゅるっ
口の中に、知らない味が広がっていく。
店長と少女が教えてくれたように、出るのが終わるまで耐えて、ぷるりとハリのある先っぽを拭うように唇で撫でながら、口を離した。
この先は、たしか。
「んあ」
あーん、と口を開けて、僕の口の中に全部出てますよ、と見てもらう。
なんでこんなことをするのか、は分からない。
変な声が出てしまったのは、鼻に届く生臭さがちょっと苦手だなと感じてしまったから。
「うわ、ちょ、ま、え、っ牙!?」
「ん」
本当は嫌だけど、ごくん、と飲んだ。
考えていた以上にのどごしが悪くて、喉がすごくごろごろするから水が欲しい。
後で吐き戻すのよ、と少女が言っていたから、頑張った。
でも、少し残念にも思うんだ。
僕の中にギニオニストさんの一部を受け入れたと言うことは、僕が憧れていたギニオニストさんと繋がりを持てたということでもある。
……ところで、これでお仕事は終わりのはず。
初物指名の客は、一回だけ、だよね。
「お客様、ご指名いただきありがとうございました、お気をつけてお帰り下さいませ」
「え、ええ、えええ」
習った通りに深々と頭を下げて、ギニオニストさんの退室を待つ。
入るのはお客より後、出るのはお客の後。
掃除や片付けを済ませてから、店長の元へ戻ってお給料をもらう。
僕にやる気があるなら、もっとお客をとっても良い。
ギニオニストさん一人の相手で、どれだけお給料がもらえるのかな。
事前の話だと、宿代と服の二枚はなんとか払えそう。
色をつけてくれたら嬉しいんだけど。
そんな事を考えている間も、ギニオニストさんは動かない。
早く小部屋から出ていってくれないと、掃除とお給料の受け取り、店長に清掃完了の確認がしてもらえない。
「……あの?」
「君は、俺が特級冒険者のギニオニストだと、知っているのか?」
「え?」
思わず見上げた顔は、これまでに知っていた快活な表情のギニオニストさんではなく、絶望と言う感情を表情に乗せたギニオニストさんだった。
これは、なんて答えたら良いのかな。
知っているけど、顔見知り程度で友人どころか知人というのもちょっとおこがましい、と事実を言うべきだよね。
「ああうそだろしにたい、しにたいしにたいしにたいしにたいしにたい、なんでかくごをきめたひにかぎってこんなめにあうんだ、やはりかみはいる、おれがきらいなんだ、かみをころしておれもしぬぅ」
「死なないで、ギニオニストさんがいないと、生きていけないから」
「!?」
僕が三年を生き延びたのは、彼を知ったから。
三年前に、彼が終わりを与えて故郷を救ってくれたから。
「ご利用ありがとうございました」
「ま、待ってくれ」
僕の事情を彼に知られるわけにはいかない、と逃げ出した。
おちまい( ^ω^ )
☆
ギニオニストは、短小性器にコンプレックスを持っている拗らせ童貞さんです
一応、考えた今後の展開 ↓
主人公を女の子だと思って街中を探しまくって、ギニオニストに片思いしているギルドメンバーすら巻き込んで大騒ぎになった挙句、見つけた運命の少女は少年だった~w( ^ω^ )w
さらにその後、人外だと発覚するかもしれない
リハビリなので、ここで力尽きました
お読みいただきありがとうございました
十月終わりに頂いたコロコロで寝込んで以来、昼以降の体調不良、エロ欲求の欠如、読めず書けないという謎症状に苦しんでましたが、唐突に書きたくなりました、二日くらいかかったし短いけど書けた(*゜∀゜*)
文章が理解できない体験、体調不良時は多いので焦らないのですが、今回は恐怖でした
脳みそが病変して、エロや活字と無縁になるのではないかと怯えていたので、安堵です
クオリティに関してはご容赦ください、あるのは書ける喜びだけです!
受けは人外設定ですが、ずっと人の姿っぽいままです
長編まで書く元気なくて燃え尽きました
☆
これは夢なのかな。
初仕事に緊張しながら入った、狭い部屋の中で。
そう思いながら、僕はぽかんと開いてしまった口を閉じて、冷静さを取り戻そうと瞬きした。
今、僕の目の前には、三年間ずっと憧れてきた人がいる。
でもその姿は僕が知っていた、頼りになって、優しくて、格好良くて、明るくて、人付き合いがうまくて、どんな時も弱音を吐かない憧れのリーダー、の真逆に見える。
「もうほんとしにたい、いますぐしにたい、いまここでぽっくりいったりしねえかな、かみさまとかいんならなんでおれをいかしとくんだよ、こんなむのうなおれがいきてるいみとかなくねぇ……」
見たことのない暗い表情でぶつぶつ呟いているのは、この街で唯一の特級冒険者、ギニオニストさん、だった。
それとも、顔がそっくりな別人の可能性はあるのかな。
だって、僕の知っているギニオニストさんは、いつでも笑顔で頼り甲斐のある兄貴で、誰よりも格好良い人だ。
「……あ、あのーお客様?」
「ああ、すまない、ええと、それで……」
とりあえず、今の僕は仕事をしないといけないのだ。
接客する時間が終わっても、仕事をしてないと給金はもらえない。
目を合わせても顔見知りだと気づいていない様子に安心しながら、にこりと練習したばかりの笑顔を浮かべる。
「はい、初物指名ありがとうございます、ごほうしいたしますので、出して下さいませ」
習ったばかりの接客語一揃えを、なんとか間違えずに言えた。
話しても、僕だと気づいてないみたいで、よかったと安心する。
英雄のギニオニストさんに憧れて三年、冒険者になって二年。
見習いから低級には上がれたけれど、そこから抜け出せなかった僕は、とうとう素泊まり宿に泊まる金もなくなって、夜の街で客をとる仕事をするしかなくなった。
とはいえ、見た目が悪くて貧弱な僕を店員として使ってくれる店を、見つけるまでが大変だった。
昼は冒険者を続けたい、夜は仕事にくるから、という条件も良くなかったみたい。
僕を採用してくれたこの店も、ありがちな男女の欲を発散する店だけれど、値段が安い、早い(拘束時間が短い)、(店員が)若い、が特徴の店らしい。
店員が使うのは口と手だけ。
男女関係なく希望する局部に触れて、なめてしゃぶってイかせたり、しごいて出す店だ。
未熟な僕でも雇ってもらえたのは、店員が服を脱がない店だから。
まだ店長と常勤の少女一人しか会ってないけれど、店員が少ないらしい。
お客の体内に局部をつっこんだり、つっこまれる店の方が給料が良いから、なのかな。
一応、仕事の内容的に男性客には女性店員が良い、という判断で、僕は少女に借りたかつらと紐付き帽をかぶっている。
服も少女の服を一枚もらった。
僕より年若い少女の服は、少し大きかった。
服の下、胸元には変なもこもこのやつを巻いてもらった。
今夜の稼ぎで、新しい服を買って渡す約束になっている。
少女が服をくれたのは優しさからではなく、必要だからと店長が言った。
出す時にぶっかけたがる男性客がいるらしいから、僕も明日からは着替えを用意しておかないといけない。
仕事の説明を受けて、店長と少女の実践を見ながら、木製の男性器官をごしごししてなめなめする指導を受けた。
女性の形の木製も、なめなめして指をつっ込んで、練習した。
性器以外への触れ方は、後日教えるって。
なにもかもが初めての経験で、一度で覚えることはできないと、僕もそう思った。
やる気はないけど、やらないと。
そう考えながら。
初勤務の日は初物として少し高い料金がお客に要求できるよ、と店長に言われた僕は、素直にそれを望んだ。
今夜、宿に泊まる金が必要だったから。
新しい服を買う金もいる。
それなのに、初めての仕事が、どうしていきなり顔見知りというか、憧れていた人なんだろう。
本音を言えば困っているけれど、ここで、僕の初めてのご奉仕をもらってもらいたい、とも思った。
慣れていないのか、ギニオニストさんは、もたもたと腰ひもに手を掛ける。
基本はお客さんに希望を言われるまで、手出し厳禁なので、大人しく待つことにした。
ギニオニストさんとは、二回だけ話したことがある。
朗らかで優しくて、頼り甲斐のあるお兄さんで。
僕も彼のようになりたい、と思ったんだ。
だから、目の前で慣れない様子で股間をさらけだそうとしているのは、間違いなく本人だと思う。
でも、なんか、別人みたい。
きっと、パーティメンバーのきれいな女の人たちと、いっぱいそういうえっちな事を、してると思ってたのに。
「す、すまん、ひもが、……っ」
ちょうちょう結びになっているだけに見える腰ひもが解けなくて、ギニオニストさんが焦ったように唸る。
どうしよう。
お客さんが望む場所以外に触れない、と習ったんだけど。
「ほどいても良い?」
「え、あ、ああ、頼んでもいいかな」
接客の時の話し方はいらっしゃいませ、しか教わってない。
少女が「口と手を使うんだから、客と会話なんてしないわよ」と言ってた。
ぎゅ、ときつく締められた幅広のひもに指をかけて、尖った爪先を使って結び目をほぐす。
するんとゆるんだひもを引いて、ぱらりと解く。
「……きみは」
「この先は、やって」
どこまで望まれるんだろう。
局部をなめるのかな。
両手で局部を揉みながらなめて、と言われるかな。
初物を望む客は、店員のぎこちなさとか初々しさを楽しみにする、と店長に聞いたんだけど。
あまり無茶なことは望まれないと良いな。
「う、うん、わかった」
僕が知っている自信満々で快活な姿と違って、目と手をうろうろと彷徨わせて挙動不審なギニオニストさんは、ぎこちなく下衣を膝まで引き下ろした。
「……」
ぽろん、と下着の中から顔を出したギニオニストさんの局部は、可愛らしい大きさだった。
薄く傷跡の残るたくましく隆起した腹筋や太もも、成人男性らしい豊かな濃色の陰毛に隠れるように、子供のように色の薄いそれが力なく垂れていた。
背が高くて筋肉質で分厚い体には不釣り合いな、小さくて可愛らしいそれ。
誰にも言えないでいたけれど、他人に触れる、なめるという行為に怯えを持っていた僕にとって、ぎんぎんに勃起して黒光りしていないことは、安心を与えてくれた。
この見た目なら、触れるし、なめられるかも。
「や、やっぱりなしで、今日は帰るっ」
僕が言葉を失っている間に、焦ったように服を引っ張り上げるギニオニストさんの服を引いた。
「待って」
「あの、でも、おれ、ちょっと都合が」
「他の店員が良いの?」
どうしても今夜の宿泊費用を稼がなくてはいけない。
それなら、相手はギニオニストさんが良い。
そう思っていたのに。
街中で転がって寝ようとすると見回りの衛兵に見つかってしまう可能性が高く、その場合は一晩を詰所で過ごせるけれど、その後の罰金は安宿の宿泊費用より高い。
僕が落ち込んだことに気がついたのか、ギニオニストさんが服から手を離して、あわあわと両手を上げ下げした。
今日のギニオニストさんは、知らない姿ばかりを見せてくれる。
これまで格好良い姿しか知らなかった憧れの人も、完璧じゃ無いんだな。
そう思うと、少しだけ胸がほっこりと温かくなる。
故郷を失ってから凍えてしまっていた心が、少しだけ柔らかさを取り戻す。
「さわって良い?」
「……っ、う、うんっ」
目をぐらぐらと彷徨わせて、ギニオニストさんは頭を上下に振った。
伸ばした指先に触れたのは、ふに、とした柔らかさ。
僕の指先よりも温かくて、揃えた指先で持ち上げるようにして、そっと唇を寄せた。
「希望はある?」
客の望み通りにする、がこの店のやり方だ。
僕が勝手に触れてなめてしまってはいけない。
そう考えて動きを止めた僕を、ギニオニストさんは目をカッ!!、と身開いて見下ろしていた。
「ふ、ふ、っっぐふっ」
「ふ?」
「ふふ、ふ、ふれ、ふれてくれればっっ」
なぜかがくがくと震えるギニオニストさんに合わせて、僕の手の中のふにふにもふるふると動いた。
僕は、胸がきゅうと温かくなるのを感じた。
故郷と共になにもかもを失ったと思っていたけれど、新しい出会いを得たのかもしれない。
「はい、ギニオニストさん」
「えっ?!」
呼吸が届く距離にあったふにふにへ、唇で触れた。
ちゅ、と吸い付いて、習った通りに先っぽをちろりとなめた。
「ふぐぅっっうそだろ、おい、おいぃぃぃいっ」
ちろり、ちろちろ、と舌先で触れていくと、ふにふにが僕の揃えた片手の上でむくむくと大きくなっていく。
大きくなっていくけれど、僕が何度か蒸し風呂で見た成人男性の局部のように、黒蛇の頭のように気持ち悪くない。
ふっくらとした竿は、滑らかな皮膚に覆われていて、日焼けしていない肌の色。
先端は竿よりも少し張り出しているけれど、つるりと丸くて可愛らしい。
股間周辺は黒々と色の濃い陰毛がごわごわと生えていて、お腹の上の方まで続いている。
服に隠れているけれど、胸まで毛が続いているのかも。
人には体毛が無いと思っていたけれど、時折、男はごわごわの毛がある者がいると、蒸し風呂で僕は知った。
僕が舌先で先っぽに触れると、腹筋や太ももがびく、びくん、と震える。
「痛い?」
震え方が傷に沁みる薬を塗った時のようで、心配になって声を掛けると、手の上に乗せていた竿がぴょこん!、と飛び起きた。
「……ふぐっ……ぅぐ、うそだろおい、おれのおれにていこうなくふれてくれるこがこのよにいるなんて、かみさまいままでしにたいとぐちばかりはいてすいませんでした、おれかのじょとしあわせになりますぅ」
自分の股間を見つめて、目を爛々と光らせているギニオニストさんが早口すぎて、聞き取れなかった。
いつもの明朗快活な彼と違いすぎて、なんだか怖いけどこれもきっと、彼の性格の一部なんだろう。
この街では底辺冒険者でしかない僕だって、故郷では息子で子供で、みんなの守護者になれるはずだったように。
痛そうではないのなら続けて良いのかな、と空いていた片手を添えて、いつのまにか中身がいっぱいの肉詰めのように膨らんだ局部を両の手のひらで包む。
「失礼します」
ここは事前に伝えた方が良いと習ったとおりに言って、ぱくん、と先っぽを咥えた。
「う゛う゛っっっ」
「むうっ」
びゅく
びゅるりっ
ぴゅく
ぴゅるっ
口の中に、知らない味が広がっていく。
店長と少女が教えてくれたように、出るのが終わるまで耐えて、ぷるりとハリのある先っぽを拭うように唇で撫でながら、口を離した。
この先は、たしか。
「んあ」
あーん、と口を開けて、僕の口の中に全部出てますよ、と見てもらう。
なんでこんなことをするのか、は分からない。
変な声が出てしまったのは、鼻に届く生臭さがちょっと苦手だなと感じてしまったから。
「うわ、ちょ、ま、え、っ牙!?」
「ん」
本当は嫌だけど、ごくん、と飲んだ。
考えていた以上にのどごしが悪くて、喉がすごくごろごろするから水が欲しい。
後で吐き戻すのよ、と少女が言っていたから、頑張った。
でも、少し残念にも思うんだ。
僕の中にギニオニストさんの一部を受け入れたと言うことは、僕が憧れていたギニオニストさんと繋がりを持てたということでもある。
……ところで、これでお仕事は終わりのはず。
初物指名の客は、一回だけ、だよね。
「お客様、ご指名いただきありがとうございました、お気をつけてお帰り下さいませ」
「え、ええ、えええ」
習った通りに深々と頭を下げて、ギニオニストさんの退室を待つ。
入るのはお客より後、出るのはお客の後。
掃除や片付けを済ませてから、店長の元へ戻ってお給料をもらう。
僕にやる気があるなら、もっとお客をとっても良い。
ギニオニストさん一人の相手で、どれだけお給料がもらえるのかな。
事前の話だと、宿代と服の二枚はなんとか払えそう。
色をつけてくれたら嬉しいんだけど。
そんな事を考えている間も、ギニオニストさんは動かない。
早く小部屋から出ていってくれないと、掃除とお給料の受け取り、店長に清掃完了の確認がしてもらえない。
「……あの?」
「君は、俺が特級冒険者のギニオニストだと、知っているのか?」
「え?」
思わず見上げた顔は、これまでに知っていた快活な表情のギニオニストさんではなく、絶望と言う感情を表情に乗せたギニオニストさんだった。
これは、なんて答えたら良いのかな。
知っているけど、顔見知り程度で友人どころか知人というのもちょっとおこがましい、と事実を言うべきだよね。
「ああうそだろしにたい、しにたいしにたいしにたいしにたいしにたい、なんでかくごをきめたひにかぎってこんなめにあうんだ、やはりかみはいる、おれがきらいなんだ、かみをころしておれもしぬぅ」
「死なないで、ギニオニストさんがいないと、生きていけないから」
「!?」
僕が三年を生き延びたのは、彼を知ったから。
三年前に、彼が終わりを与えて故郷を救ってくれたから。
「ご利用ありがとうございました」
「ま、待ってくれ」
僕の事情を彼に知られるわけにはいかない、と逃げ出した。
おちまい( ^ω^ )
☆
ギニオニストは、短小性器にコンプレックスを持っている拗らせ童貞さんです
一応、考えた今後の展開 ↓
主人公を女の子だと思って街中を探しまくって、ギニオニストに片思いしているギルドメンバーすら巻き込んで大騒ぎになった挙句、見つけた運命の少女は少年だった~w( ^ω^ )w
さらにその後、人外だと発覚するかもしれない
リハビリなので、ここで力尽きました
お読みいただきありがとうございました
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