タイムロード(時の小道)

カルラ店長

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1章 峠の釜めし

窓の向こう側

その日は冬でありながら日中は暖かくこの小道の老人もうつらうつらと居眠りしていました。そこへ少年が1人「おじいちゃんこっちにボールない?」老人はゆっくりと目を開け「ないなぁ!」と言った。少年は分かったと言って去っていく。「運命とは自分で切り開くもの」「そう誰かが言ってましたねぇ」そう言うと優しく少年の後ろ姿を見続けていた。

ここはとある総合病院病棟・・・そろそろ年の瀬になるこの病院の中庭で元気に遊ぶ2人の子供がいた。「いくぞー!」「早く投げなさいよ!」野球帽を被った少年が勢いよく球を投げるその球はかなり速かったが遥か向こうへ「どこに投げてんのよ!このノーコン!」とポニーテールの女の子が叫ぶ!「いやあ悪い悪い!」少年は照れながら笑った。「そう思ったんならちゃんと投げろ!」少女は怒って言った。
場面は変わってそれを見ている10代後半の少女。ノックの音がして看護婦が入ってくる「卯月さん、リハビリの時間ですよ」二十代後半のショートボブの看護婦がそう告げた。胸のネームプレートには徳永と書いてあった。少女は窓の外を見ながら「嫌よ!」と一言言った。「えっ?」徳永看護婦が聞き返す。「嫌って言ったのよ!私の事はほっといてよ!」いかにも負けん気の強そうな顔のロングストレートヘヤーの少女は怒って言った。「でも卯月さんちゃんとリハビリしないと一生歩けなくなるのよ?」卯月はそっぽを向いて「もう、何で毎日毎日同じ事繰り返すの?」「バカらしい!もうちょっとパッと歩けるような方法はないの?」徳永看護婦は困った顔で「そんな方法は無いわ、ちゃんと地道にやっていかないとリハビリは」卯月は頭を押さえて「あーもうイヤ!ねぇ何とかお金で解決できないの?」「私のお父さん有名な政治家だからお金なら沢山あるのよ」「ねぇ?日本一のお医者さんならすぐ治せるんじゃないの?」徳永看護婦は困った顔で「無理よ例え世界一のお医者さんでもそんな事は出来ないわ」すると卯月は手を上げて「あーもういいわ!出てってよ!」「でもリハビリしないと足治らないわよ!」徳永看護婦はちょっと怒ったように言ったが「いいから、それともここの病院の事お父さんに言ってもいいんだよ?とても最悪な病院だって!」「そ、そんな!」「オホン!徳永くん!」ふと見ると扉の所に主治医が立っていた。「あっ先生!!」「ちょっといいかい?徳永くん?」外に出る2人「何ですか?先生?」「徳永くん!彼女はしばらくそっとしときなさい!」「でも、先生?」「仕方ないんだよ、もし彼女のお父さんが本気で怒ればこの病院なんか簡単になくなるんだよ?」「でも、先生!そんな事で引き下がっては私達のメンツが!」「徳永くん!」主治医は一括した!徳永看護婦は納得していなかったが「はい、すいません。」と言った。「それでいい、じゃああと彼女の事たのんだよくれぐれも粗相のないように!」
「はい・・・」  
「はぁ~」深くため息をつきまた卯月の病室へ「んっ?」徳永看護婦がみると卯月は外を眺めていた。「卯月さん・・・」「何よ?リハビリはしないからね?」「うんっ今の所はいいわ、それより何見てんの?」「えっああ!あいつら!」卯月は外の2人を指す。
「あそこのガキ2人!」「ああ、あの子達・・・」「そう、私が入院して来てから毎日あそこでキャッチボールしてんだけど見てよあの男の子」「あいつすげぇ下手くそで見てらんないわよ!付き合わされてる女の子可哀想だわ」徳永看護婦も窓際行って2人を見ると「ああ、あの子の夢将来、野球選手にることなのよ。」「それで頑張ってるの」すると卯月は指差して「アハハハハ!あれで野球選手?バッカじゃねえの?あんなんでなれるわけないじゃん!」「いくら努力したって無理よ100年かかっても無理!」・・・「そうね本当に無駄ね」徳永看護婦は言った。「えっ?」卯月は驚いた!その瞬間徳永看護婦の目に涙が・・・「ねぇ徳永さんどうしたの?」徳永は目頭を押さえて「何でもないわ!じゃあ今日は失礼します!」と言うと足早に去ってしまった。
「何?急にどうしたのよ?・・・」卯月は戸惑った。
次の日
中庭にはいつまで経っても2人は現れなかった。病室をノックして徳永看護婦がはいってくる「卯月さん、おはよう!」「昨日はごめんねー卯月さん?」「えっいいけどさ、ところで今日は珍しくあの2人いないね?」すると徳永看護婦は慌てた様子で「ああ、あの2人ね?ま、そうね今日は見ないね調子悪いんじゃない?」その慌てようを感じ取った卯月は「徳永さん?何か私に隠してない?」「えっ?な、何も隠してないわよ」「あっ、今日のリハビリは午後からだからね?今日はちゃんとやるのよ!」するとそそくさと「じゃあまた後でね~」と言うとすぐ出てってしまった。「何なのよ?」卯月は気になった。「まさかあのがきに何かあったの?」
小児病棟・・・今日もみんな忙しそうに行き帰りしていた。そんな中車椅子の卯月は一生懸命辺りをウロウロした。すると程なく一つの病室に人だかりが?ざわざわとする中あの女の子が泣いていた。「まさか!」
卯月は「最悪な事を思った。」近くの2人の看護士の声が聞こえる「可哀想ね・まだ若いのにね」「そうね、プロの野球選手が夢で毎日練習してたのに」卯月は「はっ!」とした!・・・まさかあのキャッチボールしてた少年が?そんな・・・「はっ!」卯月は思い出した「バッカじゃないの?」「そうね、まったく無駄ね」・・・また看護婦達の声が聞こえる。「それにあの子自分の余命の事知ってたみたいよ」「凄いね・・・私だったらそんな事やらないのに」
それを聞いて卯月は愕然とした!・・・知ってた?知っててなお夢を追って努力し続けたの?そんな・・・そんなそれに比べて私は・・・
車椅子でとぼとぼ帰る卯月を徳永看護婦が見つけ「あっ卯月さん!ここにいたの?さぁ今日はリハビリ行くわよ!」卯月は下を向いて「ええ・・・そうね」と言った。「えっ?どうしたの急に素直になった?」「まあねー!」「そんな事より早く行かないと私の気が変わるかもよ?」「え、ええそうね!」
「じゃあ早速行きましょう!」「はいはい行きますよ」「あんなの見せられたらね・・・」「やらないわけいかないよねリハビリくらい・・・」そうゆうと2人はリハビリルームに向かった。
先程の2人の看護士ロッカールームでまたお喋り「甲子園目指したんでしょあの子のお兄ちゃん」「そうね甲子園目指してたけど部屋の中で基礎トレーニングしか出来なかったみたい」「結構かっこよかったのになぁ・・・」「不謹慎よ!それよりあのガキのこと聞いた?」「ああ、あの亡くなられた妹さんと毎日遊んでたガキ?」「今回は新人の徳永さんが引っかかったみたい」「まったくあのエロガキここにも入って下着漁ってたんだって」「本当に亡くなった人とは大違いね」「亡くなった人の真似して野球選手になるって嘘ついてお母さんが病院から引き取ったみたい。」「徳永さんも騙されたみたいね、可哀想」

今日もタイムロードのいつものベンチで老人は座っていた。「人間知らない方が幸せな時があるんですよね」そう言うと帽子をばっと取った!スキンヘッドだった。「これもその一つ」陽の光を浴び頭は光り輝いていた。 完    
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