召喚？それでは第2の人生はじめます！私、ブラック魔力の持主ですって。

4.初めて見た魔法

アンドレアの書斎に入るとタイミングが悪かったみたい。

「少し座って待ってくれ。キリが悪い。」

アンドレアはサイド机の上に置いてある幾つもの石に手をかざして目を離さない。

執事さんに促されるまま椅子に座りお茶を飲みながら不思議な作業を見つめた。

それぞれの石からモヤが出て空中で混ざり合い透明の水晶に吸収された。
水晶は深い青に変色している。

驚いて執事の顔を見ると小声で教えてくれた。

「高度魔法の錬金術です。石の力を合成して水晶に入れてます。」

「魔法？！」

思わず大きな声が出てしまったわ。
魔法って！

「魔法とは魔法ですよね？」

「はい。ご存知では無いのですか？」

そう言うと執事さんは指先から爽やかな風を出してくれた。

「わぁ～！信じられないわ。」

作業を終えたアレクセイがソファへ加わった。

「改めて、この館の主人のガルシア・ゴーゼッドの孫のアレクセイ・ゴーゼッドだ。」

「私はマリノ・ハラダです。お世話になっています。」

「まだ少女のようだがいくつなんだ？一人で身の回りの事は出来るのか？」

「昨日で20歳になり成人なので大丈夫です。」

「これは失礼をした。随分と若く見えたものでな。さて、どう言う経緯でこの館に滞在しているのか説明してくれ。」

執事さんが、古代文明調査局の人間が勝手に古文書に書かれた方法で聖女召喚術を行い、私が呼び出されてショックで気を失ったのでこの家に連れてこられたと説明をした。

「何て事だ。伝説は本当だったと言うのか。それでお爺様はどうすると？」

アレクセイはセバスチャンに問う私の顔や身体をジロジロと観察を始めた。

「コホン。あの、視線が気になるんですけど。」

「ああ、すまない。異世界召喚をされた人間を初めて見たので観察をしてしまった。さっきの話だと魔法を知らないのか？」

「はい。私のいた所では魔法は無かったですから。物語の話です。」

「いや、確かに存在する。さっきも見ただろう？それにこの石だか。」

ポケットからさっきの深い青い石を取り出すと手のひらで握りしめた。
手を開いた時には水晶は、元の透明な色に戻っていた。

「魔力回復石だ。体内に吸収して失われた魔力を回復してくれるんだ。
マリノ殿は魔力は持っていないのか？」

「はい。そのはずです。私、仕事で毎日、宝石を売っていたんです。でも一度そんな事は無かったわ。」

アレクセイは立ち上がると机から丸い透明の水晶を持って戻ってきた。

「手をかざしてみなさい。」

言われるままにかざすと水晶の色が一瞬で変わった。

「何？何？なんで真っ黒に？」

「これは、、」

「アレクセイ様、旦那様をお呼びしましょうか？」

「ああ、頼む。」

一体何が起こったのだろう？
2人が異様な者を見る目をしているけれど。
何かまたやってしまった？