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13.謎の訪問者

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一体、誰なんだろう?
誰にしても屋敷の女主人として対応しなきゃ。応接室へ向かうとドアの外で見た事のない騎士が2人待機をしていて、私の姿を見ると礼をとり室内へ取りなした。

ドアが開けられ入室をするとブロンドの若く美しい女性が優雅にお茶を飲んでいた。

「失礼致します。初めてお目にかかります。私はこの館の女主人ハルナ・タカナシ・ギャンダーと申します。お約束も先触れがありませんでしたが、、、失礼ですが貴方はどなたでしょうか?」

「ギャンダーですって?クスッ。」

そう言うと部屋の隅で待機していた執事に命令を下した。

「セバス、この者にもお茶を。同席を許可します。」

「はい。只今ご用意致します。」

いつもポーカーフェイスで冷静な執事のセバスが目が合うと硬い表情で口を一文字にして軽く頭を下げメイトに指示を出した。一体誰?  

「どうぞ座ってちょうだい。私くしは、マリーローズ・ギャンダー。アナタ、私くしをご存知ないのね。」

クスクスと鈴の音の様に軽やかに笑い背筋を伸ばしてお茶を飲む姿はとても洗礼されていてそれだけで生粋の貴族だとわかった。

「申し訳ありません。親戚の方のお名前をまだ把握しておりませんでした。どういった血縁の方でしょうか?」

「ねぇ、アナタ。ギャンダー侯爵家嫡男を呼んで頂戴。会ってみたいの。」

「グリーンベルトの事ですか?構いませんが、、。」

私の質問には答えてくれず、自分の希望を持ち出してきた。戸惑いながらグリーンベルトを連れて再び居間へ戻った。

「お待たせしました。グリーンベルト・ギャンダーでございます。」

グリーンベルトを彼女へ紹介をすると私だけ椅子に座るように言われた。1人だけ立たされるグリーンベルトは、不安そうにしている。

「ギャンダー家の特徴の赤い髪ね。あら、目は、黒に近いグリーンなのね。セバス、教育は進んでいるの?」

「はい。3人の家庭教師と剣の指導役を付けてやっております。」

「そう。アマーガサキ語の勉強はどれぐらい進んでいるの?」

アマーガサキ語ですって?ここから西にあるこの国と肩を並べる大国アマーガサキ帝国の言葉なんて私も話せないわ。

「グリーンベルトは、まだ5歳です。まだ時期早かと。」

「アナタに聞いてないわ。セバス、どうなの?」

マリーローズからまさかのキツイ言葉が出た。呼びかけられたセバスを見ると彼も顔が完全に強張っていた。

「まだです。早急に、、始めます。」

「頼んだわよ。とっても大切なルドヴィカ家後継者を育てるのです。失敗は許されません。」

マリーローズは優雅に立ち上がるとグリーンベルトの側に行き見下ろした。
しばらく見つめると屈んでグリーンベルトに目線をあわせると微笑んだ。

「グリーンベルト、お前は完璧でなければなりません。それはあなたの義務です。わかりましたか?」

無言の圧力で見下ろされグリーンベルトは、返事に困って私の顔を見ている。急いで側に行き返事を促した。

「は、、い。」

ポツリとションボリ答えると床を見てしまった。

「大丈夫よ。ゆっくりやっていけばいいから。ね。」

「グリーンベルト。もう下がっていいわ。」

慰めの言葉をかけているとマリーローズが手を振り退出の合図をした。
親子でドアへ向かうと呼び止められた。

「アナタは、ここにいなさい。」

グリーンベルトが不安そうな顔をするので笑顔で見送った。扉が閉まるとマリーローズは、さっきまでとは違い明らかに下げずむ口調て話し出した。

「アナタじゃ、侯爵家の後継者を育てられないし任せもられない。子供の未来の為にも決断をして欲しいわ。」

「決断とは、、なんでしょうか?」

「勘の悪い者ね。クスクスッ、それともとぼけているのかしら?」

「あの、、」

ジッと私を見つめる目には笑は無く何を考えているのかわからない。

「セバス、帰ります。馬車の用意を。」

「はい。只今!」

サッと開けられたドアから出ていことするマリーローズを呼び止めた。

「待って下さい!お話はまだ終わってません!」

マリーローズは、足を止めるとため息を吐き振り返った。

「アナタ、立場をわきまえなさい。よろしくて?」

扇越しに見つめる目は先程と違い鋭いものだった。
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