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11.大切なご縁
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初めてのデート当日、時間キッチリにドアの呼び鈴が鳴りライアンが迎えに来てくれた。
「晴れて良かったね。さぁ、手を取って。馬車で行こう。」
今日は、付き添いがいるので騎士の同行も無し。解放された気分だわ。
車の代わりの馬車は、町の人達の足代わりになっている。行者付きでレンタルが出来るのでいわゆるタクシーだ。
馬車の中で会話が続かないとどうしよう?などはいらぬ心配で彼のリードで会話は弾み神殿に到着した。
「凄い人ね。」
流石は大人気観光地。拝殿に入るのに長い列が続いている。
でも、そのおかげで沢山、彼と会話が出来た。
彼は両親が亡くなって家族は妹だけで隣国の親戚の家に住んでいて、貿易の仕事は、その親戚に弟子入りして8年前に独立したらしい。
私も日本のことや好きな物の話してお互いをより知る良い時間になった。
やっと拝殿に入るとその美しさに圧巻された。美しい女神像がステンドグラスと絵画で飾られた部屋に鎮座している。
「どう、凄いだろう?女神の恩恵を感じる?」
「黄金の女神像なのね。なんて綺麗なの。」
「ここで祈りを捧げるんだ。こうだよ。やってみて。」
見よう見まねでやってみる。
どうか日本に帰れますように。
ライアンと上手くいきますように。
赤髭がサッサと出ていきますように。
女神様お願い!
「エリコ。」
必死に目をつぶり祈りを捧げていたらライアンの呼びかけにハッとした。
「ごめんなさい。必死になって祈ってしまって。」
「何か感じた?」
「ううん。全力で祈ったけどなぁーんにも。お願いが多すぎたかしら?ライアンはどうだったの?」
「もう叶ったよ。」
緑の目が微笑えんでそっと指で私を示している。
「前にさ祈ったんだ。エリコと話が出来ますように。デートが出来ますようにって。」
「そんな事、祈る程の事じゃないわ、、、照れるでしょ。」
こんな事をサラっと言われると自惚れてしまうじゃない。頬が熱くなってしまっている。どうしよう。恥ずかしくて彼の目が見れない。
「じゃあ、今日は何を願ったの?」
彼の笑顔が寂しげに表情をかえた。
「妹の病気の事。」
「どうしたの?悪いの?」
「ああ。もう、、、聖女様の祝福でしか治らないんだ。」
「そんな。」
言葉に詰まってしまった。たった一人の家族のなのに。治らないだなんて。
「すまないな。嫌な話をした。さあ、そろそろお昼にしよう。お腹が空いただろ?」
先程の表情は消え何事も無かったようにいつもの爽やかな微笑みになった。
食事の後は、花祭り会場の庭園を鑑賞して楽しい時を過ごした。
店の前まで送ってくれ別れ際、彼がさり気なく声をかけた。
「今日は嬉しかったよ。また来週、妹の為に神殿へ祈りに行くんだけど、、予定が無ければまた一緒にどうかな?」
治せない病の妹さんへの思いを想像すると切なくなってしまう。
彼は爽やかなうえに家族思いだ。
エスコートもできて男前。こんな人を断る女性がいるだろうか?
勿論、私も好意を持ったわ。
ならもう一歩踏み出してみるのよ。
「はい。今日と同じ時間でいい?」
私の答えを聞いて彼から今日1番の笑顔が出た。
「本当に?ありがとう!楽しみにしているよ!」
大きく手を振り別れの挨拶を送ってくれた。
私みたいな地味な女に目をかけてくれるなんて半信半疑だったけれど、今日、話をしてみて本気で私を気にかけているんだと感じたわ。
この黒髪が目立って目を引いたのかな?それでもこれもご縁。大切にしてみよう。
「晴れて良かったね。さぁ、手を取って。馬車で行こう。」
今日は、付き添いがいるので騎士の同行も無し。解放された気分だわ。
車の代わりの馬車は、町の人達の足代わりになっている。行者付きでレンタルが出来るのでいわゆるタクシーだ。
馬車の中で会話が続かないとどうしよう?などはいらぬ心配で彼のリードで会話は弾み神殿に到着した。
「凄い人ね。」
流石は大人気観光地。拝殿に入るのに長い列が続いている。
でも、そのおかげで沢山、彼と会話が出来た。
彼は両親が亡くなって家族は妹だけで隣国の親戚の家に住んでいて、貿易の仕事は、その親戚に弟子入りして8年前に独立したらしい。
私も日本のことや好きな物の話してお互いをより知る良い時間になった。
やっと拝殿に入るとその美しさに圧巻された。美しい女神像がステンドグラスと絵画で飾られた部屋に鎮座している。
「どう、凄いだろう?女神の恩恵を感じる?」
「黄金の女神像なのね。なんて綺麗なの。」
「ここで祈りを捧げるんだ。こうだよ。やってみて。」
見よう見まねでやってみる。
どうか日本に帰れますように。
ライアンと上手くいきますように。
赤髭がサッサと出ていきますように。
女神様お願い!
「エリコ。」
必死に目をつぶり祈りを捧げていたらライアンの呼びかけにハッとした。
「ごめんなさい。必死になって祈ってしまって。」
「何か感じた?」
「ううん。全力で祈ったけどなぁーんにも。お願いが多すぎたかしら?ライアンはどうだったの?」
「もう叶ったよ。」
緑の目が微笑えんでそっと指で私を示している。
「前にさ祈ったんだ。エリコと話が出来ますように。デートが出来ますようにって。」
「そんな事、祈る程の事じゃないわ、、、照れるでしょ。」
こんな事をサラっと言われると自惚れてしまうじゃない。頬が熱くなってしまっている。どうしよう。恥ずかしくて彼の目が見れない。
「じゃあ、今日は何を願ったの?」
彼の笑顔が寂しげに表情をかえた。
「妹の病気の事。」
「どうしたの?悪いの?」
「ああ。もう、、、聖女様の祝福でしか治らないんだ。」
「そんな。」
言葉に詰まってしまった。たった一人の家族のなのに。治らないだなんて。
「すまないな。嫌な話をした。さあ、そろそろお昼にしよう。お腹が空いただろ?」
先程の表情は消え何事も無かったようにいつもの爽やかな微笑みになった。
食事の後は、花祭り会場の庭園を鑑賞して楽しい時を過ごした。
店の前まで送ってくれ別れ際、彼がさり気なく声をかけた。
「今日は嬉しかったよ。また来週、妹の為に神殿へ祈りに行くんだけど、、予定が無ければまた一緒にどうかな?」
治せない病の妹さんへの思いを想像すると切なくなってしまう。
彼は爽やかなうえに家族思いだ。
エスコートもできて男前。こんな人を断る女性がいるだろうか?
勿論、私も好意を持ったわ。
ならもう一歩踏み出してみるのよ。
「はい。今日と同じ時間でいい?」
私の答えを聞いて彼から今日1番の笑顔が出た。
「本当に?ありがとう!楽しみにしているよ!」
大きく手を振り別れの挨拶を送ってくれた。
私みたいな地味な女に目をかけてくれるなんて半信半疑だったけれど、今日、話をしてみて本気で私を気にかけているんだと感じたわ。
この黒髪が目立って目を引いたのかな?それでもこれもご縁。大切にしてみよう。
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