Strawberry Film

橋本健太

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第49話 2009エンド

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 韓国から帰国し、すぐさま写真の編集に取り掛かる。その頃、世間では、WHOが新型インフルエンザをフェーズ6(パンデミック)に引き上げ、国内では、ほぼ一斉に学級閉鎖となった。それでも、薫は編集や打ち合わせに励み、次の準備を進める。時折、気分転換を入れながら。
「「「ONEPIECE」」の映画、竹中直人出るんや。金獅子のシキ?気になるな。」
「「「めだかボックス」」、この黒神めだかって女の子、オッパイデカ過ぎひん?」
喜美子と過ごせる日々も、残り少なくなる。
「大阪の味も、存分に味わっておきたいと。」

 6月になり、撮影地の中国へ移動する。関西国際空港から北京首都国際空港へ向かう。薫は久美と共に行くので、ある意味、新婚旅行でもある。薫にとって、中国は5年ぶりである。2004年の中国でのアジアカップでは、重慶・済南・北京で日本代表の試合を観戦し、上海と広州でグラビア撮影した。真夏に開催され、猛暑と反日ムードで色々と大変であった。空港で、黄凛衣と再会した。
「ニーハオ!!薫さん!!」
「久しぶり!!凛衣ちゃん!!大人になったな!!」
髪を団子状に結い、大人の色気が増した。
「あれ、あの方は?」
「あぁ、私の妻の久美。」
「はじめまして、薫の妻の久美です。」
「妻、薫さん、結婚したの?!」
「したよ。」
一同は空港を出て、バスでホテルへ向かう。ホテルで打ち合わせを行い、撮影をする。プールで純白のハイレグレオタードを着る凛衣。プールで無邪気に遊ぶ所を撮影。
「あはは、気持ちいい~!!」
「美女、美女。いいよ。」
売店で買った棒アイスを、ペロペロ舐める所を収める。
「美味しい?」
「好吃!!」
広西チワン族の凛衣にとって、北京は大都会。北京料理も初めて。薫達と北京料理に舌鼓を打つ。中国発祥の餃子、日本では焼き餃子が主流で、おかずやサイドメニューとして食べられるが、中国では水餃子(茹で餃子)が主流で、主食として食べられる。山盛りの水餃子を分け合って食べる。
「美味いな!!」
「薫君、あーん。」
久美に食べさせてもらい、上機嫌の薫。餃子は広東料理では、蒸し餃子が主流で飲茶の点心として食べられる。
「好吃!!」
「凛衣ちゃん、あーんして。」
凛衣にも水餃子を食べさせてあげる薫。幸せな時間が流れる。

 北京での撮影では、天安門広場・紫禁城を訪れる。清王朝の最後を描いた「ラスト・エンペラー」のようなシーンを撮る。
「紫禁城で撮るとか、夢みたいね。」
清王朝の王族のような衣装で撮影、夜にはキョンシーのコスプレで撮る。
「アチョー!!!」
「美少女キョンシー、最高や!!!」
後半から、上海へ移動にした。翌年の上海万博を控えて、色々と建設中である。浦東地区も開発が進んでいる。豫園でチャイナドレスを着て撮影。
「可愛いよ。扇子を広げてね。」
久美も凛衣と打ち解ける。上海料理の小籠包も気に入ってくれた。
「美味しいお汁を、チューチュー。」
「凛衣ちゃん、エロいで。」
イメージビデオの寸劇で、豫園にて行う。ミニスカート状の満州民族のコスプレで、キョンシーガールになる凛衣。ジャッキー・チェンの「酔拳2」のようなカンフースーツを着た薫。
「小籠包美味いな~。紹興酒は砂糖入れて飲んだアカンの?」
そこに両腕を前に出し、ジャンプしながら凛衣が登場。
「ハイヤー!!我是僵死!!(ウォー シー ジィアンスー!!)」
キョンシーは、生き血を求める死体妖怪。硬直は溶け、武術も使える。
「ぬ?キョンシー、舐めるなよ!!」
「アチョー!!」
回し蹴りをする凛衣。純白のパンティが見える。ジャッキーの真似で攻撃する薫。最後に御札を貼って封印。
「天誅!!」
「えーん!!封印しないで~!!」
中国での撮影は、無事に終了した。帰国した後、すぐさま編集と準備に取り掛かる。

 最後の撮影地は、常夏の南国 シンガポール。薫は2007年に撮影で東南アジアに赴いたが、シンガポールには行っていない。シンガポールは、マレー半島最南端に位置する都市国家で、アジアトップの経済力と政治腐敗指数の低さを誇り、GDPもアジア1位である。ただ、シンガポールを表す言葉「Fine」は形容詞では「活発な・活気のある」という意味だが、名詞では「罰金」という意味があり、ポイ捨てすると罰金が科せられる厳罰主義の社会でもある。
「シンガポールか。ポイ捨てしたら罰金なんやろ?」
「確かガム持っていたら、いけんらしいよ。」
7月、最後の撮影地のシンガポールへ向かった。喜美子とは2年ぶりに東南アジアへ行く。チャンギ国際空港から外へ出ると、先進国という光景が広がっていた。
「うわー、大都会やなー。」
牧歌的な雰囲気のあるベトナム・タイ・インドネシアと紛争の痕が残るカンボジアとクーデター真っ只中のミャンマーとは、一線を画すクリーンな都市国家である。シンガポールのホテルにチェックイン。ホテルのベッドで、純白の下着を着て撮影。カメラに向けて、四つん這いでお尻を見せるところやブラジャーを外して手で隠すところなどを撮る。
「奈央ちゃん、セクシーやけんね。」
「これ、奈央のお気に入りのパンティやもん。」
南国のシンガポールで、テンションが上がる3人。現地の料理にも舌鼓を打つ。海南チキンライスは、ジューシーな蒸し鶏とスープで炊いたご飯がマッチして奥深い味わい、肉骨茶(バクテー)は豚の骨付き肉を漢方系のスープで煮込んだ料理、その他様々な料理を食べる。
「チキンライス、あっさりめで旨い。」
「ラクサっていうのも美味か。」
ホーカーズと呼ばれるエリアで楽しんだ。

 シンガポールのビーチでも撮影。純白のビキニが映える。
「ええやん、ええやん。」
シンガポールは多民族国家で、マレー人・華僑・印僑がおり、公用語も英語・中国語・マレー語と多種多様。現地の水着美女に話しかける。撮影許可を取り、イメージビデオを撮る。
「奈央ちゃん、相撲や!」
「相撲、向こうの女の人、めっちゃオッパイとケツデカいねんけど。」
砂浜での相撲を撮影。小柄な奈央が持ち上げられたり、尻が食い込むところを収める。すると、オレンジ色のビキニを着た大柄なムキムキのお姉さんが来た。
「ORANGE RANGEの「「上海ハニー」」に出てた人?」
「薫君、相撲とってきぃ。」
薫はカメラを預け、お姉さんから許可をもらい、相撲をする。しかし、お姉さんに軽々と持ち上げられた。
「Im a body builder!」
「ウソォ~!」
アルゼンチンバックブリッカーの体勢で持ち上げられ、海に落とされた。その後、皆と意気投合し、ビーチで遊んだ。すべての撮影が終了した。
 
 帰国後、薫は喜美子・久美と協力して「Strawberry Film2」の作成にかかる。リーマンショックによる不況が続き、新型インフルエンザも猛威を振るうなど、どこか暗い世相である。芸能事務所STARは、全ての負債を完済し、借金は無くなった。就活の末、皆の進路は決まり、問題なく終える見通しが立った。そして、11月に「Strawberry Film2」を出版。薫は、実家に帰る準備を進め、両親とも相談。久美と夫婦として、実家に帰り、写真館で当分働くという形になり、薫は次の進路が決まって一安心した。
「大阪とも、お別れか。」
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