Strawberry Film

橋本健太

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第57話 いざロンドンへ

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 2012年になり、薫はロンドンでの冒険を心待ちにしていた。3年ぶりの海外での撮影、パスポートは2007年に更新しており、有効期限は2017年までなので問題なし。海外の撮影オファーが来たことに、両親も喜んでいた。
「良かったな、薫。お前は世界的なカメラマンやからな。」
「世界的って、そう言われると照れるな。」
薫はこれまで海外で撮影したことはあるが、ヨーロッパは初めてである。
「イギリスって、飯美味いんか?」

 日々の仕事では、卒業アルバムの作成を進めていた。1月なので大学のセンター試験や一般入試の期間。3年生達は進路に向けて頑張っている。
「みんな頑張りや。」
写真館でも、成人祝いや家族写真の撮影など忙しい日々を送っていた。家庭では、良き父親として娘を可愛がる。
「京香、こっち、こっち!」
ハイハイから徐々に立とうとする京香に、薫は笑顔がはじける。

 ロンドンオリンピックへの準備で、博信と打ち合わせを進めていく。女子サッカーは、出場を決めており、あとは男子だけである。3連勝で折り返している日本、このまま突破なるか。

 2012ロンドンオリンピック 男子サッカー
 アジア最終予選
 2012年2月5日 第4戦 VSシリア A
 内戦中のシリアを離れ、ヨルダンで開催。日本は大迫勇也のオウンゴールで先制を許し、45+1分に永井謙佑のゴールで追いつくが、90分にアッ・サリーフに決められ、1-2で敗れた。
「まぁ、次に勝てば行ける。」

 2012年2月22日 第5戦 VSマレーシア A
 ここで勝てば出場が決まる大一番。アウェイでマレーシアと対戦。33分に酒井宏樹がゴールを決めると、そこからゴールラッシュ。44分に大迫勇也、55分に原口元気、60分に齋藤学のゴールで勝負あり。4-0で快勝し、ロンドンオリンピック出場を決めた。
「よっしゃあ!!男子も行けた!!」

 20th2014FIFAW杯ブラジル大会 アジア3次予選
 2012年2月29日 第6戦 VSウズベキスタン H
 ザックジャパンは、3勝1分1敗 勝ち点10と最終予選進出を決めており、ウズベキスタンも4勝1分 勝ち点13で最終予選進出を決めている。首位通過を懸けた1戦。本田圭佑が怪我で代表離脱しているのもあるのか、3次予選で今ひとつ調子が上がらない日本は、54分にシャドリンに決められ、そのまま0-1で敗れた。ウズベキスタンは5勝1分 勝ち点16 8得点1失点で悠々と最終予選進出を果たした。日本は3勝1分2敗 勝ち点10 14得点3失点、格下のタジキスタンに2勝(H 8-0 A 4-0)を除けば、北朝鮮に1勝1敗(H 1-0 A 0-1)、ウズベキスタンに1分1敗(H 0-1 A 1-1)と苦戦を強いられた。
「締まらへんな。」

 2月も終わり、卒業アルバムが完成。卒業生達に配布された。卒業式の様子を撮影し、各クラスごとのクラス写真を撮って廻った。
「青春やな。」
高校卒業後は、大学や就職とそれぞれの進路へ向かう。1つの長期スパンの仕事をやり遂げ、その顔は達成感に満ちていた。3月になり、ロンドンオリンピックの撮影で共に行く博信から、航空券とスケジュールの詳細が送られた。

2012ロンドンオリンピック
大会期間 2012年7月27日~8月12日
サッカーは7月25、26日に開幕するので、7月23日にロンドン入り。

日本とイギリスの時差は9時間あり、時差ボケが生じるリスクがある。
「9時間の時差はキツいな。アジアでは、そこまで感じひんかったけど。」
撮影器具の手入れをし、入念に準備を進めていく。
「イギリスか、薫はヨーロッパ初めてやもんね。」
久美とも撮影で海外に赴いたが、全てアジアなので、ヨーロッパは未知の領域である。更によく聞く話で、「イギリス料理はマズい」と言われている。フランスやイタリアが美食の国なので、それと比較するとなのか、味付けと食材がイマイチなのか、それは定かでない。
「イギリス料理のイメージある?」
「分からへん。」

 翌日、久美は3週間以上生理が無く、高温期が続いているので、妊娠検査薬で検査する。すると、陽性となり、妊娠が発覚した。
「薫、私、また妊娠したで。」
久美の妊娠を聞き、薫は喜んだ。
「良かったな!!久美!!!」
京香を抱き上げ、喜びを共有する。
「京香、お姉ちゃんになれるぞ!!弟か妹かは、まだ分からんけど。」
久美の妊娠で、薫はまた一層頑張ろうと誓った。
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