2 / 6
2 犯人特定かっ!?
しおりを挟む
萌音の驚いたが聞こえたらしく、室内にいた三人全員の視線が集まった。男性が二人に、女性が一人。三人とも萌音より少し年上に見える。
向こうも急に見知らぬ人間が現れたことに驚いたらしくぎょっとした表情をしている。互いに顔を見合わせたまま、動くことが出来ない。
室内の様子が、萌音が知ってる普通のオフィスとは明らかに違って見える。
三人は羽織っている白衣は同じデザインたが、下はスーツではない。随分ラフな格好をしている。研究でもしているのだろうか。
書類が蓄積し雑然としたデスクが10程ある。それだけならばどこかのオフィスに見えるが、デスクの上にはよく分からない実験道具らしきものがちらほらあり、パソコンを始め、電子機器類が一つも見当たらない。
窓の形も見慣れたものと違う。古びて見える木枠で出来たガラス窓はレトロ風。外は闇と一緒に木の陰が薄っすらと辛うじて見える。
それに天井にあるだろう蛍光灯もなく、壁に幾つもの蝋燭が灯されている。だから室内の明かりはオレンジ色っぽい。萌音の知っているLED照明の白い明かりの色とは全然違う。
えーっと、えーっと。こういう時って、どうすべき?
こんなに対処に困る場面に遭遇したことが無い。どうすべきか接客サービスのやり方を思い出そうとしても無理だと言える。
睡眠不足で知らないうちに倒れ夢でも見ているのでなければ、これは現実だと思う。うん。いつの間にか見知らぬ場所に居ましたなんて、私は夢遊病かっ。って、一人突っ込みをしてる場合じゃなーい。
怪しいものではありません、とか言うべき?自分の意思でここへ来たわけじゃないし。気が付いたらここにいたんだから違うよね。でも、向こうの人からすれば明らかに自分が不自然に現れたと見えただろうし。
萌音は心の中に大量の汗が流れ、精神的に焦りまくっていたが、どう説明すればいいのか分からなくて体は固まったまま前を向いたまま三人を見続けていた。
私は確かに外にいたはず。それは絶対に間違いない。仕事が終わってアパートに帰ろうとしていたんだよね。その証拠に両手には店から貰ったケーキボックスと、自販機ので買った缶を持っているんだし。
はっ!!
って、そうだよっ、この缶が原因なんじゃない!?
缶が光り輝くなんてありえない現象が起きた。そして、缶に書かれていた文字はかなり変だった。原因があるとすればこれしか思い当たらないと萌音は確信し、左手に持っていた当たりの缶を明るい室内の中、もう一度缶に書かれていた文字を確かめようと目の前に近づけた。
「あっ!それっ俺が作ったヤツっ!」
ナヌっ!?これを作ったヤツがいるだとっ!?
聞き捨てならんっ、どこのどいつだ、こんな変なものを作った重宝人は!?
一体何をどうすれば、アパート近くからこんなところに来たのか分からないが、誰のせいだとはっきり分かるのであれば有難い。後で犯人に慰謝料請求してやるっ。
息を荒くしつつ前を見れば背の高い男の人が萌音の手にしている缶を指差している。三人の内の一人から大きな声で叫び声をあげたらしい。萌音は缶と指を差したままの男の人を交互に見た。
「何っ!?ジェラルド、お前まさか、また許可もなく勝手に新しい魔法を試したんじゃないだろうなっ!?」
今度は女の人が缶を作ったと思われる人に抗議の声を上げた。
「えっ?えーっと、そのー・・・」
「やっぱりかっ!!最近影でコソコソおかしな行動してると思ったら、お前はまたっ」
心当たりがありまくるジェラルドと呼ばれた男の人は目を泳がせている。どうやらこの男が犯人で間違いがないらしい。こんなに早くに犯人が見つかってよかった。
よしっ、請求相手の顔はばっちり覚えた。
「バラデュール所長。落ち着いてください、そんなに大声を出すと血圧上がりますよ。これで何度目でしょうね。、ジェラルド・ブルグスミューラー。流石にそろそろ魔術研究所の退団も近いんじゃないですか?」
もう一人の男の人は実に冷静に女性を宥めると、犯人には冷徹な言葉を投げている。
「やめてくれ、デヴィッド次長。あんたに言われると現実になりそうだ」
どうやら今回の犯人であるジェラルドは以前にも何度も問題を起こしているらしい。
・・・ちょっと。そろそろ仲間内で揉めてないでこっちのことも少しは気にしてくれませんかね?
「どーでもいいけど、誰でもいいから私に現状を説明してほしーんですケド!?」
自分にはその資格が大いにあるはずだと萌音は胸を張って言い切った。
向こうも急に見知らぬ人間が現れたことに驚いたらしくぎょっとした表情をしている。互いに顔を見合わせたまま、動くことが出来ない。
室内の様子が、萌音が知ってる普通のオフィスとは明らかに違って見える。
三人は羽織っている白衣は同じデザインたが、下はスーツではない。随分ラフな格好をしている。研究でもしているのだろうか。
書類が蓄積し雑然としたデスクが10程ある。それだけならばどこかのオフィスに見えるが、デスクの上にはよく分からない実験道具らしきものがちらほらあり、パソコンを始め、電子機器類が一つも見当たらない。
窓の形も見慣れたものと違う。古びて見える木枠で出来たガラス窓はレトロ風。外は闇と一緒に木の陰が薄っすらと辛うじて見える。
それに天井にあるだろう蛍光灯もなく、壁に幾つもの蝋燭が灯されている。だから室内の明かりはオレンジ色っぽい。萌音の知っているLED照明の白い明かりの色とは全然違う。
えーっと、えーっと。こういう時って、どうすべき?
こんなに対処に困る場面に遭遇したことが無い。どうすべきか接客サービスのやり方を思い出そうとしても無理だと言える。
睡眠不足で知らないうちに倒れ夢でも見ているのでなければ、これは現実だと思う。うん。いつの間にか見知らぬ場所に居ましたなんて、私は夢遊病かっ。って、一人突っ込みをしてる場合じゃなーい。
怪しいものではありません、とか言うべき?自分の意思でここへ来たわけじゃないし。気が付いたらここにいたんだから違うよね。でも、向こうの人からすれば明らかに自分が不自然に現れたと見えただろうし。
萌音は心の中に大量の汗が流れ、精神的に焦りまくっていたが、どう説明すればいいのか分からなくて体は固まったまま前を向いたまま三人を見続けていた。
私は確かに外にいたはず。それは絶対に間違いない。仕事が終わってアパートに帰ろうとしていたんだよね。その証拠に両手には店から貰ったケーキボックスと、自販機ので買った缶を持っているんだし。
はっ!!
って、そうだよっ、この缶が原因なんじゃない!?
缶が光り輝くなんてありえない現象が起きた。そして、缶に書かれていた文字はかなり変だった。原因があるとすればこれしか思い当たらないと萌音は確信し、左手に持っていた当たりの缶を明るい室内の中、もう一度缶に書かれていた文字を確かめようと目の前に近づけた。
「あっ!それっ俺が作ったヤツっ!」
ナヌっ!?これを作ったヤツがいるだとっ!?
聞き捨てならんっ、どこのどいつだ、こんな変なものを作った重宝人は!?
一体何をどうすれば、アパート近くからこんなところに来たのか分からないが、誰のせいだとはっきり分かるのであれば有難い。後で犯人に慰謝料請求してやるっ。
息を荒くしつつ前を見れば背の高い男の人が萌音の手にしている缶を指差している。三人の内の一人から大きな声で叫び声をあげたらしい。萌音は缶と指を差したままの男の人を交互に見た。
「何っ!?ジェラルド、お前まさか、また許可もなく勝手に新しい魔法を試したんじゃないだろうなっ!?」
今度は女の人が缶を作ったと思われる人に抗議の声を上げた。
「えっ?えーっと、そのー・・・」
「やっぱりかっ!!最近影でコソコソおかしな行動してると思ったら、お前はまたっ」
心当たりがありまくるジェラルドと呼ばれた男の人は目を泳がせている。どうやらこの男が犯人で間違いがないらしい。こんなに早くに犯人が見つかってよかった。
よしっ、請求相手の顔はばっちり覚えた。
「バラデュール所長。落ち着いてください、そんなに大声を出すと血圧上がりますよ。これで何度目でしょうね。、ジェラルド・ブルグスミューラー。流石にそろそろ魔術研究所の退団も近いんじゃないですか?」
もう一人の男の人は実に冷静に女性を宥めると、犯人には冷徹な言葉を投げている。
「やめてくれ、デヴィッド次長。あんたに言われると現実になりそうだ」
どうやら今回の犯人であるジェラルドは以前にも何度も問題を起こしているらしい。
・・・ちょっと。そろそろ仲間内で揉めてないでこっちのことも少しは気にしてくれませんかね?
「どーでもいいけど、誰でもいいから私に現状を説明してほしーんですケド!?」
自分にはその資格が大いにあるはずだと萌音は胸を張って言い切った。
0
あなたにおすすめの小説
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
好きすぎます!※殿下ではなく、殿下の騎獣が
和島逆
恋愛
「ずっと……お慕い申し上げておりました」
エヴェリーナは伯爵令嬢でありながら、飛空騎士団の騎獣世話係を目指す。たとえ思いが叶わずとも、大好きな相手の側にいるために。
けれど騎士団長であり王弟でもあるジェラルドは、自他ともに認める女嫌い。エヴェリーナの告白を冷たく切り捨てる。
「エヴェリーナ嬢。あいにくだが」
「心よりお慕いしております。大好きなのです。殿下の騎獣──……ライオネル様のことが!」
──エヴェリーナのお目当ては、ジェラルドではなく獅子の騎獣ライオネルだったのだ。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
黒騎士団の娼婦
イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる

