【画像あり】転生双子の異世界生活~株式会社SETA異世界派遣部・異世界ナーゴ編~

BIRD

文字の大きさ
29 / 428
転生者モチ編

第28話:氷魔法講習と身体強化(画像あり)

しおりを挟む
 3つ目の飛ばされ先は、冷凍庫のように寒い部屋だった。
 体育館よりも広い室内の床は、白い氷に覆われていた。

「寒っ! 何だこの部屋……」

 呟きと共に吐いた息が白くなる。
 俺は凍った床に右の掌を向けた。

「出てこいフラム、氷を融かせ」

 命じると不死鳥フェニックスが現れて、氷上を優雅に旋回し始める。
 床を覆っていた氷だけが超高温で融けて蒸発した。
 室内の他の物は燃えたり焦げたりせずにそのままだ。
 冷凍庫みたいな寒さではなくなり、室内の温度は冷房を強めに効かせたくらいになった。

「ふう、これで過ごしやすくなったな」
「何やってんのよ」

 戻って来たフラムを撫でながら、氷が無くなった室内を見回す俺。
 その背後から、低くて怖~い声が聞こえた。
 俺は凍り付いた。精神的な意味で。
 声の主が誰かは、すぐ分かった。

「誰が氷を融かしていいって言った?」

 山根さんだ。
 絶対零度の美少女が、白いワンピースを着て、部屋の扉の前に立っていた。
 作動部の着物姿も美しいが、フィギュアスケート選手が着るようなワンピース姿も麗しい。
 でも心を凍結させそうなくらい怖い。

「この後、体育学部のフィギュアスケートクラスが練習に来るんだけど」

 ……やばい。
 氷全部消しちゃったよ。
 フラムまで怯えて目を見開き、両翼で俺に抱きついた。

「氷、出・し・て・くれる?」

 凄まれて、俺はヒィッとすくみ上がった。
 フラムも抱き付いてガタガタ震えている。

「……す、すいません、俺まだ氷……」
「なんか言った?」

 氷魔法を覚えてない、と言わせてくれない山根さん。
 俺とフラムが目をウルウルさせ始めたところで、山根さんは片手を俺の頭上に近付ける。
 凍らされる?! 物理的な意味で。
 と思ったけど、山根さんは、異空間倉庫ストレージから出した本で、俺の頭を軽く叩いただけだった。

「へ………?」
「あんたが氷魔法をまだ使えない事くらい知ってるわよ。これで習得しなさい」

 呆然とする俺に、山根さんが手渡す本。
 それは氷魔法の魔法書だった。

「覚えたらここの床一面に氷を張って、アイススケートリンクを作りなさい」
「は、はい!」

 表情が絶対零度から-40℃くらいになったけど、山根さん怖い。
 俺は必死で魔法書を読み、氷魔法を覚えた。

最上位氷魔法マヒャデドス!」

 起動言語を唱えると、ブワッと氷の結晶が部屋全体に舞い、床に落ちたら凍結が一気に広がった。
 床は氷に覆われ、スケートリンクに変わる。
 氷の表面は鏡のように平らで滑らかだ。

「やれば出来るじゃない。ここでの修行は終わりよ。次へ行きなさい」

 命拾いしたと思った後、山根さんが起動した転送陣で、俺たちは次の場所へ飛ばされた。





 飛ばされた場所4つ目は、以前来た事がある場所だった。

 西洋の円形闘技場にドーム状の屋根が付いた、体育学部の建物。
 武道館と呼ばれている場所だ。

「これまでの流れでいくと、今度は俺の修行かな」
「その通りだ。モチはベンチで休憩してていいぞ」

 イオの呟きに答えるのは、松本先生。
 俺は精神的に瀕死だったから、ホッとしたようにベンチに座った。

「じゃあ修行始めるぞ」

 松本先生が片手の指先で空中に六芒星を描く。
 西洋竜ドラゴンが現れた!

「ここでの課題は、お前の身体強化をフル使用してあれを倒す事。4つ全部使えよ」
「はい」

 松本先生はイオが習得した4つの身体強化魔法を知っていた。
 それは属性神が創った魔法で、世界に1人だけが授かるもの。
 爆裂魔法や完全回避と同じで、それをもつ者が存命中は、次の習得者は出ないらしい。

 火神の激怒イグニス:一撃のダメージを大幅に上げる。
 水神の必中ティアマト:物理・魔法問わず命中率が100%になる。
 地神の慈悲ガイア:体力が半減している敵を即死させる。
 風神の息吹ルドラ:行動の素早さが大幅に上がる。

 その魔法を、イオはまだ使い慣れていなかったそうで、最初は1つ1つ試すように使っていた。
 火神の激怒イグニスを使うだけで、ドラゴンは即死だ。
 以前に黒オークを倒した時に使ったのがその魔法だろう。
 水神の必中ティアマトは夢幻種の捕獲で既に知ってる。
 地神の慈悲ガイア風神の息吹ルドラを使うのは、今回初めてだったそうだ。

「よし、合格!」

 イオが1頭のドラゴンとの対戦で身体強化を4つ全て使用して倒すと、合格となった。
 魔法の効果を把握させることが目的だったらしい。

「捕獲任務に使いどころは少ないかもしれんが、自分の魔法の性能を把握するのは大事だからな」

 言いながら、松本先生が片手を向けると、足元に魔法陣が現れる。
 もう飛ばされ慣れてきた俺たちは、次の場所へと移動した。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ホスト異世界へ行く

REON
ファンタジー
「勇者になってこの世界をお救いください」 え?勇者? 「なりたくない( ˙-˙ )スンッ」 ☆★☆★☆ 同伴する為に客と待ち合わせしていたら異世界へ! 国王のおっさんから「勇者になって魔王の討伐を」と、異世界系の王道展開だったけど……俺、勇者じゃないんですけど!?なに“うっかり”で召喚してくれちゃってんの!? しかも元の世界へは帰れないと来た。 よし、分かった。 じゃあ俺はおっさんのヒモになる! 銀髪銀目の異世界ホスト。 勇者じゃないのに勇者よりも特殊な容姿と特殊恩恵を持つこの男。 この男が召喚されたのは本当に“うっかり”だったのか。 人誑しで情緒不安定。 モフモフ大好きで自由人で女子供にはちょっぴり弱い。 そんな特殊イケメンホストが巻きおこす、笑いあり(?)涙あり(?)の異世界ライフ! ※注意※ パンセクシャル(全性愛)ハーレムです。 可愛い女の子をはべらせる普通のハーレムストーリーと思って読むと痛い目をみますのでご注意ください。笑

おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ

双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。 彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。 そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。 洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。 さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。 持ち前のサバイバル能力で見敵必殺! 赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。 そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。 人々との出会い。 そして貴族や平民との格差社会。 ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。 牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。 うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい! そんな人のための物語。 5/6_18:00完結!

異世界でカイゼン

soue kitakaze
ファンタジー
作者:北風 荘右衛(きたかぜ そうえ)  この物語は、よくある「異世界転生」ものです。  ただ ・転生時にチート能力はもらえません ・魔物退治用アイテムももらえません ・そもそも魔物退治はしません ・農業もしません ・でも魔法が当たり前にある世界で、魔物も魔王もいます  そこで主人公はなにをするのか。  改善手法を使った問題解決です。  主人公は現世にて「問題解決のエキスパート」であり、QC手法、IE手法、品質工学、ワークデザイン法、発想法など、問題解決技術に習熟しており、また優れた発想力を持つ人間です。ただそれを正統に評価されていないという鬱屈が溜まっていました。  そんな彼が飛ばされた異世界で、己の才覚ひとつで異世界を渡って行く。そういうお話をギャグを中心に描きます。簡単に言えば。 「人の死なない邪道ファンタジーな、異世界でカイゼンをするギャグ物語」 ということになります。

世紀末ゾンビ世界でスローライフ【解説付】

しおじろう
SF
時は世紀末、地球は宇宙人襲来を受け 壊滅状態となった。 地球外からもたされたのは破壊のみならず、 ゾンビウイルスが蔓延した。 1人のおとぼけハク青年は、それでも のんびり性格は変わらない、疲れようが 疲れまいがのほほん生活 いつか貴方の生きるバイブルになるかも 知れない貴重なサバイバル術!

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

異世界で至った男は帰還したがファンタジーに巻き込まれていく

竹桜
ファンタジー
 神社のお参り帰りに異世界召喚に巻き込まれた主人公。  巻き込まれただけなのに、狂った姿を見たい為に何も無い真っ白な空間で閉じ込められる。  千年間も。  それなのに主人公は鍛錬をする。  1つのことだけを。  やがて、真っ白な空間から異世界に戻るが、その時に至っていたのだ。  これは異世界で至った男が帰還した現実世界でファンタジーに巻き込まれていく物語だ。  そして、主人公は至った力を存分に振るう。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

処理中です...