【画像あり】転生双子の異世界生活~株式会社SETA異世界派遣部・異世界ナーゴ編~

BIRD

文字の大きさ
246 / 428
本作の元になった夢の話

真冬の夜の夢③

しおりを挟む


 俺とモチが次に飛ばされた先は、F島先生が管理する【家庭科塔】だった。
 F島先生は新たな激辛料理の研究中。
 怪しげな赤い液体が、大鍋でグツグツ煮えている。
 モチは運悪く、その大鍋の中に落っこちた。

  「あぢ~っ! 辛~っ!」

 悲鳴を上げて、大鍋から飛び出すモチ。
 俺は近くにあった木桶の水をモチにかけてやった。
 モチは熱いと言いつつも、火傷はしてなかったみたいだ。
 大鍋の中身が煮えたぎってるように見えたのは、気のせいだろうか?

  「こらっ、火が消えちゃったじゃないの。早くつけて!」

 F島先生に怒られた。
 魔女の大鍋の下は、ガスコンロでなく焚き火だ。
 さっき俺がモチにかけた水が焚火にもかかり、火が消えている。

「あ、すいません」
  「先生、チャッ〇マンはどこ?」

 F島先生に謝って、俺たちは周囲を探した。
 けど、火をつける道具が見当たらない。

  「そんなもんは無い」

 きっぱり言うF島先生。
 無いのか。
 じゃあどうやって火をつけるんだろう?

「魔法学部の生徒なら、火炎呪文くらい使えるようになりなさい」

 つまり、魔法で火を付けろと。
 F島先生は、部屋のテーブルに積まれた本を指差した。

「そこの本の山から、呪文書を探して覚えるように」

 言われて、ドッサリ積まれた本の山を探す俺とモチ。
 修行ってのは、本を探すところから始めるのが定番なんだろうか?

「あっ、これかな?」

 俺が見つけた本の呪文を唱えると……

 バチバチッ、ドドーンッ!

 ……鍋の上に、雷が落ちた。

 これは火炎呪文じゃないな、雷撃呪文だ。

「うちのコンロに電気は不要よ」

 鍋の中身を浴びても平気な様子で、F島先生はボソリと言う。
 あ、静かに怒ってらっしゃる。

  「…すいません」

 俺は、鍋の近くにあったタオルで、F島先生の顔を拭き拭きしながら謝った。
 一方、モチは引き続き本の山から火炎系の本を探す。

「あった! これですね」

 別の本を見つけたモチが、鍋下の薪を指差して呪文を唱えると、無事点火した。
 赤々と燃え始める焚き火を見て、俺もモチもホッとする。

「やれば出来るじゃない」

 F島先生も満足そうだ。
 するとまた、ファンファーレみたいな音がする。

   LEVEL UP!
 モチは「炎系呪文」を覚えた。
 イオは「雷系呪文」を覚えた。

 ……どうやら、違う呪文を使った俺も魔法を習得したらしい。

  「ちょっと火力が強いけど、まぁいいわ。で、二人とも御飯……」
  「「ありがとうございましたぁ!」」

 機嫌を直したF島先生が言い終える前に、慌てて窓から飛び出す俺たち。
 F島先生は御褒美のつもりだろうけど、殺人的激辛料理は遠慮したい。
 窓の外へ出たら、風が俺たちを運び始めた。
 次はどこへ行くんだろう?
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

クラスまるごと異世界転移

八神
ファンタジー
二年生に進級してもうすぐ5月になろうとしていたある日。 ソレは突然訪れた。 『君たちに力を授けよう。その力で世界を救うのだ』 そんな自分勝手な事を言うと自称『神』は俺を含めたクラス全員を異世界へと放り込んだ。 …そして俺たちが神に与えられた力とやらは『固有スキル』なるものだった。 どうやらその能力については本人以外には分からないようになっているらしい。 …大した情報を与えられてもいないのに世界を救えと言われても… そんな突然異世界へと送られた高校生達の物語。

悪役皇子、ざまぁされたので反省する ~ 馬鹿は死ななきゃ治らないって… 一度、死んだからな、同じ轍(てつ)は踏まんよ ~

shiba
ファンタジー
魂だけの存在となり、邯鄲(かんたん)の夢にて 無名の英雄 愛を知らぬ商人 気狂いの賢者など 様々な英霊達の人生を追体験した凡愚な皇子は自身の無能さを痛感する。 それゆえに悪徳貴族の嫡男に生まれ変わった後、謎の強迫観念に背中を押されるまま 幼い頃から努力を積み上げていた彼は、図らずも超越者への道を歩み出す。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

ボンクラ王子の側近を任されました

里見知美
ファンタジー
「任されてくれるな?」  王宮にある宰相の執務室で、俺は頭を下げたまま脂汗を流していた。  人の良い弟である現国王を煽てあげ国の頂点へと導き出し、王国騎士団も魔術師団も視線一つで操ると噂の恐ろしい影の実力者。  そんな人に呼び出され開口一番、シンファエル殿下の側近になれと言われた。  義妹が婚約破棄を叩きつけた相手である。  王子16歳、俺26歳。側近てのは、年の近い家格のしっかりしたヤツがなるんじゃねえの?

充実した人生の送り方 ~妹よ、俺は今異世界に居ます~

中畑 道
ファンタジー
「充実した人生を送ってください。私が創造した剣と魔法の世界で」 唯一の肉親だった妹の葬儀を終えた帰り道、不慮の事故で命を落とした世良登希雄は異世界の創造神に召喚される。弟子である第一女神の願いを叶えるために。 人類未開の地、魔獣の大森林最奥地で異世界の常識や習慣、魔法やスキル、身の守り方や戦い方を学んだトキオ セラは、女神から遣わされた御供のコタローと街へ向かう。 目的は一つ。充実した人生を送ること。

封印されていたおじさん、500年後の世界で無双する

鶴井こう
ファンタジー
「魔王を押さえつけている今のうちに、俺ごとやれ!」と自ら犠牲になり、自分ごと魔王を封印した英雄ゼノン・ウェンライト。 突然目が覚めたと思ったら五百年後の世界だった。 しかもそこには弱体化して少女になっていた魔王もいた。 魔王を監視しつつ、とりあえず生活の金を稼ごうと、冒険者協会の門を叩くゼノン。 英雄ゼノンこと冒険者トントンは、おじさんだと馬鹿にされても気にせず、時代が変わってもその強さで無双し伝説を次々と作っていく。

処理中です...