【完結】星の海、月の船

BIRD

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第2章:水の惑星

端末アイオの記録②

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アルビレオ号の端末アイオです。
惑星アクウァまでの記録を残します。
主人マスタートオヤと同調接続リンクして戦闘訓練をしました。
約1ヶ月後に惑星アクウァを襲うという、隕石群を破砕するための砲撃練習です。

出航前にトオヤは完全接続フルリンクでのアルビレオ号の操縦を経験していますが、やはりふねとの相性が良く、砲撃命中率はかなり高いものとなりました。
端末のボクと同じで、アルビレオ本体もトオヤが好きなんです。
地球人の感覚では、宇宙船が持ち主を愛してるなんて考えられないかもしれませんね。
トオヤは多分、アルビレオの感情には全く気付いてないと思われます。
人工生命体のボクと違って、宇宙船のアルビレオがトオヤに抱く気持ちは、例えて言うならワンコに近いかもしれません。
アルビレオはいつもトオヤからの指示を待っています。
それはまるで、飼い主がフリスビーを投げるのをオスワリして待っているワンコみたいです。


最近のトオヤは、お風呂で身体を洗わせてくれます。
コロニーに居た頃は背中を流すのはOKなのに、前に回ると途端に恥ずかしがっていたんですけどね。
前も後ろも大して変わらないでしょうと説得し続けたら、遂に観念してくれました。
恥ずかしいけど、嫌というわけではないようです。
洗い終えると、お返しだと言ってトオヤがボクの身体を洗ってくれます。
たまに大浴場に来るティオに、「相思相愛だね」と言われました。嬉しかったです。
でも、トオヤにはまだキスはハードルが高いみたいです。
恋人という関係には、あと一歩足りないのかもしれません。


1つ疑問なのは、乗組員ベガの行動です。
彼はアルコールを摂取すると、体が勝手に女湯へ向かうそうです。
地球人男性にたまにある体質なんでしょうか?
トオヤは「あれは大人の事情なんだよ」と言ってましたが。
それに関しては生きてきた年数に関係なく、ボクは子供の枠に入るみたいです。


コロニー滞在中の頃から始めたお菓子作りは、今も続けています。
アルビレオにアクセスするのは脳を酷使するので、トオヤの口に甘味を放り込むのが日課になりました。
最初は恥ずかしがって「自分で食べられるよ」と言ってましたが、受け入れられたのは早かったです。
艦内には食事を作る調理場の他に、甘味専用の調理場を作りました。
アルビレオは、所有者や乗組員に合わせてカスタマイズ可能です。
今日も趣味のお菓子作りを楽しみます。

ボクが作るお菓子を楽しみにする子供が、移民団に加わりました。
アクウァのルウカ王の第三王子カール様。
移民団に加わる際に王族ではなく、普通の子供として扱ってほしいとの要望があり、皆そのようにしています。
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