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第4章:ダンジョン実習

第31話:バナナケーキでステータスUP

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エカたちが初めて入った上級ダンジョンは、豊穣の洞窟と呼ばれる場所だった。

「クワッ、クワッ、クワッ」

独特の鳴き声で、洞窟内を流れる川を泳ぐのは、カモカモと呼ばれる鳥系の魔物。
前後が長い体型で、足には水掻きが付いていた。
名前の由来は、ニホンから来た異世界人が初めて見た時に、「カモかも」と言ったからなんだって。
この洞窟内には、食べられる植物もはえてるよ。
その植物とカモカモの肉を一緒に煮込んで美味しく食べられる事も、異世界人が伝えたらしい。

「秋の森で一番オススメといえば、この【豊穣の洞窟】だ。カモカモの肉は美味いし街で高く売れるぞ」

説明しつつ、ダイキチさんも狩りに加わる。
現役冒険者の太刀筋は、学生のチャデよりずっと疾かった。
一太刀で、カモカモ2羽まとめて斬ったりしてるよ。

上級ダンジョン以上は、こんな風に引率の冒険者も戦闘に参加出来るそうだよ。

「ほおほお、美味いのかこいつ」
「グワッ!」
「ははは、なかなかいい蹴りだな」
「グワッ! グワッ!!」

チャデが、川に浮んでいるカモカモを大雑把に捕まえて、全力で蹴られてる。

「おいおい大丈夫か? そいつの蹴りは強いぞ」
「ん~、机の角にぶつかるより痛くないぜ」

心配するダイキチさんに、チャデがケロリとした様子で答えた。

「さすがチャデの筋肉だね!」
「おう、俺の筋肉は学園最強だぜ」
「グワッ!!!」

エカが褒めたら、チャデは得意そうに笑ってる。
カモカモ、かなりの勢いで蹴ってるけど。

「おかしいな、カモカモはそんなに弱くは…あぁそうか、さっきのケーキか」

ダイキチさんが、1人で不思議がって1人で解決しちゃった。

「どれどれ…」
「グワッ!」
「ははは、痛くも痒くもないな」
「グワグワッ!!」

って、ダイキチさんまでカモカモに蹴られてるし。
あんな勢いで蹴られて痛くないなんて、ダイキチさんも筋肉で出来てるの?

「どうかしたの?」
「さっきの防壁バリア使いの子、凄いな。作ったケーキに防御を上げる効果がついてるぞ」

エカが聞いたら、ダイキチさんは教えてくれた。

ローズとエアが作ったバナナケーキには、防御力を上げる効果がついてたのか。

「あの子に保存食でも作ってもらうといいぞ。ボス攻略で頼りになる筈だ」

カモカモのつかみ獲りをしながら、ダイキチさんが言う。

バナナケーキ効果、上級ダンジョンの魔物を素手でつかみ獲り出来るくらいだから、防御力はかなり上がってるのかもね。

「むしろあの子が高等部まで進んだら、パーティに誘ってみるといいかもな」

と言うダイキチさんは知らない。
ローズは他にも支援の力を持ってる。
それが学園で知られるようになるのは、もう少し後の事だった。
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