73 / 123
第7章:犬を飼う猫人
第70話:仔犬とお風呂
しおりを挟む
アズが仔犬を洗いに風呂場へ向かった後。
エカたちは動植物学部の生き物や植物の世話を手伝いつつ、人懐っこい動物たちと触れ合って癒されていた。
「かわいい~」
ソナは、自分と同じ虹色の虹彩を持つモフモフを愛でて喜んでるよ。
その生き物は、夏夜の夢洞窟から連れて来られた夢幻ウサギ。
夢幻ウサギは、純白の身体、長い耳、額に小さな1本角、背中には白い鳥の翼がはえている綺麗な動物。
攻撃性は無く臆病な性格の、夢幻種と呼ばれる種類の生き物だよ。
夢幻種は7色の虹彩が特徴って聞いたら、ソナは親近感を持ったみたい。
すばしっこい夢幻ウサギの捕獲はほぼ無理って言われてるんだけど、この子は大怪我をして気を失っていたところを発見・保護されたらしい。
「この子も最初は怯えてて、ケージの隅で縮こまって震えてたんだよ」
話しながらモモンが撫でると、ウサギは気持ちよさそうに目を閉じた。
最初は慣れてなくて可哀想なくらい怯えてたけど、モモンたちが愛情を注いで接していたら懐いてくれたらしい。
そんな話を聞いたら、ソナはエカと出会って間もない頃を連想したみたいだよ。
「わたしと、同じね。わたしも最初は怖かったけど、エカが優しくしてくれたから、今は大好きなの」
「ほうほう」
「いいね~」
「幸せね」
「……」
無意識にノロケてしまったソナ。
モモン、クロエ、マリンたち女子が、口元に笑みを浮かべてエカを見た。
チャデとダイキチさんも察したみたいでニヤニヤしてるし。
エカはといえば、動揺しちゃって鼻の穴広げて真顔になりつつ赤面してるよ。
そんな温かい?雰囲気の飼育部屋に、アズがそ~っと入って来た。
「あれ? 寮へ行くんじゃなかった?」
気付いたクロエが声をかける。
アズはシッポで器用に扉を開け閉めして、中に入って来た。
青い毛並みが湿ってるから、風呂上がりっぽい。
猫人の身体は全身毛皮で覆われてるから服を着なくても平気だけど、アズは一応の恥じらいなのか腰にタオルを巻いていた。
「モモン教えて。雪狼って変身するの?」
「え? しないと思うけど……っていうか、その子は?」
困惑してる様子のアズは、猫人ではない知らない子をお姫様抱っこしていた。
抱っこされてる子供は裸で、バスタオルを掛けてもらってる。
顔や身体は火照ってる感じで赤く、髪は濡れていて、クタ~ッとしていた。
お風呂でのぼせたかな?
肩くらいまでの長さの黒髪だけど、多分ニホン人じゃないと思う。
抱かれてる子供の頭には黒い立ち耳、バスタオルの隙間からフサフサのシッポが見えるよ。
「エカ、お水もらえる?」
「お、OK」
アズに頼まれて、エカは異空間倉庫に保管しているコップを取り出して、魔法で出した水と氷を入れてアズに渡した。
「ありがとう。……ほら起きて」
「う~ん……」
アズは床に座ると、黒髪の子供を自分の身体で支えるように抱き直しながら呼びかけた。
黒髪の子は目を覚ましたけどボンヤリしてる。
「お水飲んで」
声をかけながら、アズが黒髪の子の口元にコップを近付けると、そ~っと口を付けて少しずつ飲み始めた。
「風呂場で異世界人を拾ったのか?」
ダイキチさんが聞いた。
学園敷地内で異世界人を保護する事は、よくある。
たまに転移ミスで、風呂場に落とされる人もいた。
今回の子もそうかな? と思ったら、違った。
「この子、黒仔犬だよ」
「にゃっ?!」
アズの言葉に、ダイキチさんが驚いてシッポを膨らませる。
他の面々も唖然としていた。
その子、雪狼には見えないよ?
ソナや世界樹の民に近い、ニンゲンに似た容姿だ。
水を飲み終えた子供は、まだ少しボ~ッとしながらアズの胸に甘えるように頬を寄せた。
アズはコップをエカに返して、子供を寝かしつけるように背中を撫でる。
それが心地よいのか、子供は目を閉じて寝息をたて始めた。
「雪狼ってお湯に浸かると変身するんだね。知らなかったよ」
「いや普通は変わらないけど……」
アズはもう既に風呂場で充分驚いて、落ち着いちゃったらしい。
モモンはまだ困惑中だ。
「うちの先生にに聞いてみよう。新種の異世界人かもしれないし」
モモンの提案で、一同は動植物学部の担任の元へ向かった。
エカたちは動植物学部の生き物や植物の世話を手伝いつつ、人懐っこい動物たちと触れ合って癒されていた。
「かわいい~」
ソナは、自分と同じ虹色の虹彩を持つモフモフを愛でて喜んでるよ。
その生き物は、夏夜の夢洞窟から連れて来られた夢幻ウサギ。
夢幻ウサギは、純白の身体、長い耳、額に小さな1本角、背中には白い鳥の翼がはえている綺麗な動物。
攻撃性は無く臆病な性格の、夢幻種と呼ばれる種類の生き物だよ。
夢幻種は7色の虹彩が特徴って聞いたら、ソナは親近感を持ったみたい。
すばしっこい夢幻ウサギの捕獲はほぼ無理って言われてるんだけど、この子は大怪我をして気を失っていたところを発見・保護されたらしい。
「この子も最初は怯えてて、ケージの隅で縮こまって震えてたんだよ」
話しながらモモンが撫でると、ウサギは気持ちよさそうに目を閉じた。
最初は慣れてなくて可哀想なくらい怯えてたけど、モモンたちが愛情を注いで接していたら懐いてくれたらしい。
そんな話を聞いたら、ソナはエカと出会って間もない頃を連想したみたいだよ。
「わたしと、同じね。わたしも最初は怖かったけど、エカが優しくしてくれたから、今は大好きなの」
「ほうほう」
「いいね~」
「幸せね」
「……」
無意識にノロケてしまったソナ。
モモン、クロエ、マリンたち女子が、口元に笑みを浮かべてエカを見た。
チャデとダイキチさんも察したみたいでニヤニヤしてるし。
エカはといえば、動揺しちゃって鼻の穴広げて真顔になりつつ赤面してるよ。
そんな温かい?雰囲気の飼育部屋に、アズがそ~っと入って来た。
「あれ? 寮へ行くんじゃなかった?」
気付いたクロエが声をかける。
アズはシッポで器用に扉を開け閉めして、中に入って来た。
青い毛並みが湿ってるから、風呂上がりっぽい。
猫人の身体は全身毛皮で覆われてるから服を着なくても平気だけど、アズは一応の恥じらいなのか腰にタオルを巻いていた。
「モモン教えて。雪狼って変身するの?」
「え? しないと思うけど……っていうか、その子は?」
困惑してる様子のアズは、猫人ではない知らない子をお姫様抱っこしていた。
抱っこされてる子供は裸で、バスタオルを掛けてもらってる。
顔や身体は火照ってる感じで赤く、髪は濡れていて、クタ~ッとしていた。
お風呂でのぼせたかな?
肩くらいまでの長さの黒髪だけど、多分ニホン人じゃないと思う。
抱かれてる子供の頭には黒い立ち耳、バスタオルの隙間からフサフサのシッポが見えるよ。
「エカ、お水もらえる?」
「お、OK」
アズに頼まれて、エカは異空間倉庫に保管しているコップを取り出して、魔法で出した水と氷を入れてアズに渡した。
「ありがとう。……ほら起きて」
「う~ん……」
アズは床に座ると、黒髪の子供を自分の身体で支えるように抱き直しながら呼びかけた。
黒髪の子は目を覚ましたけどボンヤリしてる。
「お水飲んで」
声をかけながら、アズが黒髪の子の口元にコップを近付けると、そ~っと口を付けて少しずつ飲み始めた。
「風呂場で異世界人を拾ったのか?」
ダイキチさんが聞いた。
学園敷地内で異世界人を保護する事は、よくある。
たまに転移ミスで、風呂場に落とされる人もいた。
今回の子もそうかな? と思ったら、違った。
「この子、黒仔犬だよ」
「にゃっ?!」
アズの言葉に、ダイキチさんが驚いてシッポを膨らませる。
他の面々も唖然としていた。
その子、雪狼には見えないよ?
ソナや世界樹の民に近い、ニンゲンに似た容姿だ。
水を飲み終えた子供は、まだ少しボ~ッとしながらアズの胸に甘えるように頬を寄せた。
アズはコップをエカに返して、子供を寝かしつけるように背中を撫でる。
それが心地よいのか、子供は目を閉じて寝息をたて始めた。
「雪狼ってお湯に浸かると変身するんだね。知らなかったよ」
「いや普通は変わらないけど……」
アズはもう既に風呂場で充分驚いて、落ち着いちゃったらしい。
モモンはまだ困惑中だ。
「うちの先生にに聞いてみよう。新種の異世界人かもしれないし」
モモンの提案で、一同は動植物学部の担任の元へ向かった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
7
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる