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第1章:算数のない世界へ
第6話:八重山人(ヤイマンチュ)
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オイラは姿をかくしたまま王妃さまと七海の後からついて行き、魂の鏡がうつした文字を見た。
「存在を同じくする」っていうのがよくわからないけど。
王妃さまが「ちがう世界のナナミ」って言っているし、王妃さまは七海の母ちゃんにそっくりらしいから、オイラたちがいた世界とこっちの世界で、そっくりな人間がいるってことか?
「もうひとりのナナミ、あなたにお願いがあるの」
七海が何者か分かった王妃さまは、何か思いついたようにお願いをした。
お願いって何だろう? って思ったらしい七海は、キョトンとして王妃さまを見上げている。
「この世界のナナミが帰ってくるまで、第七王子としてこの城にいてもらえないかしら?」
「えっ? ぼくが王子さまのフリをするの?」
ほうほう。
どこ行ったか分からない王子さまが帰ってくるまで、七海が代わりをするのか。
これって、おじぃおばぁが見る「ジダイゲキ」でたまにある「カゲムシャ」みたいなもんか?
「あなたがこちらに来るとき、ナナミとすれちがったのは、たぶん『居場所』が入れかわったんだと思うの。存在を同じくする者は、同じ世界にいることはないから。あなたがこちらにいるということは、ナナミは今あなたの世界に行っているほずよ」
「ぼくがいた場所に、あの子が……」
そこで、七海もオイラもハッと気づいて青ざめた。
七海がいた場所、それは海の上だ。
おぼれた七海をオイラが水面に助け上げて、2人で水の上を歩き始めたときに転移しているよ。
「大変だ。ぼくと場所を入れかわったら、あの子、おぼれちゃう!」
「どういうこと?」
あわてて言う七海に、王妃さまはギョッとして聞いた。
星の海ですれちがったあの子に、キジムナーは付いてない。
つまり、水面には立てずに海中ドボンだ。
「ぼく、海でおぼれて、キジムナーに水の上へ助け上げてもらったところだったんです」
「つまり、ナナミはあなたと入れかわって海に落ちているということね」
七海もオイラも、向こうへ行ったあの子が海に落ちておぼれてるんじゃないかって心配になったんだけど。
王妃さまは落ち着いている。
「でも大丈夫。あの子は危険から身を守る【お守り】を持っているから」
「海でおぼれたりしませんか?」
「特に強い守りの力がある珊瑚を使っているから、無事に岸へ着いているはずよ」
王妃さまは心配する七海に教えてくれた。
さっき王妃さまも魔法っぽいものでドアを開けていたから、この世界には魔法があって、危険から身を守る道具もあるのかな?
「だから安心して。あなたにはここで暮らしてほしいの」
「そういえば、あの子はすれちがったときに『じゃあ、あとはまかせたよ』って言ってました」
「ということは、この入れかわりはナナミのしわざね。何か道具を使ったんだわ」
王妃さまは、イタズラっ子に手を焼く母ちゃんみたいだ。
あの子、他にも何かやらかしたことがあるんじゃないか?
「ごめんね、もうひとりのナナミ。ここにいる間は不自由のないようにしてあげるからね」
「ぼく、もうすぐ夏休みで、友達と遊ぶ約束をしているんですけど」
不自由のないようにって言ったそばから、不自由あったな。
不幸な七海、せっかくテストの紙をかくして、夏休みに友達と遊ぼうとしていたのに。
「ごめんね、代わりにこちらの兄弟と遊んでね」
「この世界のナナミの友達と遊べますか?」
「それが、ナナミにはまだ友達がいないの。王族だから、他の子は遠慮しちゃうみたいね」
王妃さまの話を聞いたとき、オイラはふと思った。
あの子、まさか七海のことを前から知っていて、うらやましくて入れかわったんじゃないか?
すれちがったときのあの子は、なんだか楽しそうに見えた。
友達を求めて異世界転移したのかもしれない。
「この世界のナナミは、学校に通っていますか?」
「ええ。王族は魔術を学ぶために学校へ通うの」
「魔術?!」
七海は「学校」といえば国語算数理科社会を勉強して、体育で体を鍛えるところだと思っている。
あっちの世界の小学校なら、そういうものだからな。
けれど、返ってきた答えが思ってたのとちがってビックリしたようだ。
沖縄方言で「マジ」は「魔」、「ティー」は「術」、マジティーなら魔術ってことだな。
七海やオイラは「魔法」という言葉の方が聞き慣れているけど。
魔物もいるのかな?
あれ?
まてよ?
女官たちが「テストで0点」とか言ってなかったか?
「お父上やお母上には内緒に」とも言ってたような?
七海が算数のテストで0点をとったみたいに、この世界のナナミは魔術のテストで0点をとったのか?
テストの紙は女官が燃やしてくれたみたいだけど。
もしかしたらナナミは、魔術の勉強がイヤで、魔術のない世界へ行ったんじゃないか?
「ぼく、魔術はゲームでしか使ったことがないですけど、使えるようになりますか?」
「使えると思うわ。魂の鏡が示す能力に、魔力もあったから」
「じゃあ、ぼくも学校へ行きます」
七海は、魔術と聞いたら急にワクワクしてきたみたいだ。
もうひとりのナナミが0点とったみたいだけど、大丈夫か?
「存在を同じくする」っていうのがよくわからないけど。
王妃さまが「ちがう世界のナナミ」って言っているし、王妃さまは七海の母ちゃんにそっくりらしいから、オイラたちがいた世界とこっちの世界で、そっくりな人間がいるってことか?
「もうひとりのナナミ、あなたにお願いがあるの」
七海が何者か分かった王妃さまは、何か思いついたようにお願いをした。
お願いって何だろう? って思ったらしい七海は、キョトンとして王妃さまを見上げている。
「この世界のナナミが帰ってくるまで、第七王子としてこの城にいてもらえないかしら?」
「えっ? ぼくが王子さまのフリをするの?」
ほうほう。
どこ行ったか分からない王子さまが帰ってくるまで、七海が代わりをするのか。
これって、おじぃおばぁが見る「ジダイゲキ」でたまにある「カゲムシャ」みたいなもんか?
「あなたがこちらに来るとき、ナナミとすれちがったのは、たぶん『居場所』が入れかわったんだと思うの。存在を同じくする者は、同じ世界にいることはないから。あなたがこちらにいるということは、ナナミは今あなたの世界に行っているほずよ」
「ぼくがいた場所に、あの子が……」
そこで、七海もオイラもハッと気づいて青ざめた。
七海がいた場所、それは海の上だ。
おぼれた七海をオイラが水面に助け上げて、2人で水の上を歩き始めたときに転移しているよ。
「大変だ。ぼくと場所を入れかわったら、あの子、おぼれちゃう!」
「どういうこと?」
あわてて言う七海に、王妃さまはギョッとして聞いた。
星の海ですれちがったあの子に、キジムナーは付いてない。
つまり、水面には立てずに海中ドボンだ。
「ぼく、海でおぼれて、キジムナーに水の上へ助け上げてもらったところだったんです」
「つまり、ナナミはあなたと入れかわって海に落ちているということね」
七海もオイラも、向こうへ行ったあの子が海に落ちておぼれてるんじゃないかって心配になったんだけど。
王妃さまは落ち着いている。
「でも大丈夫。あの子は危険から身を守る【お守り】を持っているから」
「海でおぼれたりしませんか?」
「特に強い守りの力がある珊瑚を使っているから、無事に岸へ着いているはずよ」
王妃さまは心配する七海に教えてくれた。
さっき王妃さまも魔法っぽいものでドアを開けていたから、この世界には魔法があって、危険から身を守る道具もあるのかな?
「だから安心して。あなたにはここで暮らしてほしいの」
「そういえば、あの子はすれちがったときに『じゃあ、あとはまかせたよ』って言ってました」
「ということは、この入れかわりはナナミのしわざね。何か道具を使ったんだわ」
王妃さまは、イタズラっ子に手を焼く母ちゃんみたいだ。
あの子、他にも何かやらかしたことがあるんじゃないか?
「ごめんね、もうひとりのナナミ。ここにいる間は不自由のないようにしてあげるからね」
「ぼく、もうすぐ夏休みで、友達と遊ぶ約束をしているんですけど」
不自由のないようにって言ったそばから、不自由あったな。
不幸な七海、せっかくテストの紙をかくして、夏休みに友達と遊ぼうとしていたのに。
「ごめんね、代わりにこちらの兄弟と遊んでね」
「この世界のナナミの友達と遊べますか?」
「それが、ナナミにはまだ友達がいないの。王族だから、他の子は遠慮しちゃうみたいね」
王妃さまの話を聞いたとき、オイラはふと思った。
あの子、まさか七海のことを前から知っていて、うらやましくて入れかわったんじゃないか?
すれちがったときのあの子は、なんだか楽しそうに見えた。
友達を求めて異世界転移したのかもしれない。
「この世界のナナミは、学校に通っていますか?」
「ええ。王族は魔術を学ぶために学校へ通うの」
「魔術?!」
七海は「学校」といえば国語算数理科社会を勉強して、体育で体を鍛えるところだと思っている。
あっちの世界の小学校なら、そういうものだからな。
けれど、返ってきた答えが思ってたのとちがってビックリしたようだ。
沖縄方言で「マジ」は「魔」、「ティー」は「術」、マジティーなら魔術ってことだな。
七海やオイラは「魔法」という言葉の方が聞き慣れているけど。
魔物もいるのかな?
あれ?
まてよ?
女官たちが「テストで0点」とか言ってなかったか?
「お父上やお母上には内緒に」とも言ってたような?
七海が算数のテストで0点をとったみたいに、この世界のナナミは魔術のテストで0点をとったのか?
テストの紙は女官が燃やしてくれたみたいだけど。
もしかしたらナナミは、魔術の勉強がイヤで、魔術のない世界へ行ったんじゃないか?
「ぼく、魔術はゲームでしか使ったことがないですけど、使えるようになりますか?」
「使えると思うわ。魂の鏡が示す能力に、魔力もあったから」
「じゃあ、ぼくも学校へ行きます」
七海は、魔術と聞いたら急にワクワクしてきたみたいだ。
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