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第83話:三毛猫国王の御褒美

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「では、頑張ってくれたみんなへ御褒美を渡すニャ」

三毛猫国王が言うと、近くで待機していた家臣の黒白猫人が、国王の隣りにあるテーブルにかかっていた布をサッと取り払った。

「まずは金貨ニャ。もしも日本に帰るなら、魔王に頼めば日本円に両替してくれるニャン」
「「魔王が両替?!」」

モチと俺がハモる。
魔王が異世界通貨両替とか、どこのゲームの世界だよ……

「え? 日本に帰れるの?」

カジュちゃんはそっちに食いついた。
そういえば、この世界に来て間もない頃に学園長が行ってたっけ。
日本に帰れるかどうかは俺たち次第とか。

「もちろん。トゥッティを捕獲出来た今なら、説明してあげられるニャ」

微笑むように目を細めて、三毛猫国王は765名もの大人数異世界転移のワケを話してくれた。


───世界の破滅も征服も興味が無くなった魔王。
戦争の無い、平和な猫人の世界。
蛇将軍は退屈過ぎて、魔王から離れて地球へ転移する。
部下が逃げた事に気付いた魔王は後を追い、日本のとあるゲーム会社のアミューズメントテーマパークに潜伏している気配に気付いた。
しかし、敷地内にいる事は分かっても、誰がそうかは分からない。
そこで魔王は、アミューズメントテーマパークの社員からバイトまで全員をアサケ学園へ転移させた。
765人の中から、人間に化けている蛇将軍を見つけ出す為に…───


「そしてみんなに全寮制の学園で生活してもらいながら、様子を見ていたニャン」
「白髪の生徒は、今までどのクラスにいたんですか? 寮の食堂では見た事が無いです」

説明してくれた国王に、リユが聞いた。
寮の食堂でも働いていたリユは、食事に来る全生徒の名前と顔を覚えている。

「校内の屋根裏に潜んで、腹が減るとヘビに戻って、森や洞窟で鳥を襲って食べていたらしいニャン」
「………」

ヘビと聞いて、リユの顔がが青ざめた。

「飼育棟の夢幻ウサギ、リユの聖歌鳥ビオラン、カジュの愛歌鳥ルベライト、そして山根の月光鳥セレナイトが狙われたのは、その秘められた能力を吸収しようとしたからニャン」
「ピヨ?」
「ユズ~食べられなくて良かったね~」

胸ポケットからヒョッコリ顔を出したヒヨコ。
それをナデナデしてカジュちゃんが言う。

「捕まえたトゥッティは、今後どうするんですか?」
「ウタの館に幽閉して、愛と平和の大切さについて教育するそうニャ」

……教育、出来るのかな?

とりあえず、殺されるワケじゃないらしい。


「さて、転生者たちに見せたい場所があるニャ。聖者になった江原も一緒に行くニャン」
「え?」
「「どこ飛ばす気?!」」

国王に話を振られて、キョトンとする江原。
なんかまたどっか飛ばされる予感がして、モチと俺がハモった。
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