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第5章:異国観光
第41話:海神の加護
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無人島の朝。
昨夜まだみんなが寝ているうちに戻って来た俺は、何事も無かったかのように子供たちと一緒に起きた。
マルカさんが朝食を用意してくれている。
子供たちを魅了するのは、蜂蜜トースト。
かまどで表面をカリッと焼いたパンにかかっているのは、ヴァルトさんが野生の蜜蜂の巣から採ってきた蜂蜜。
南国の花を思わせる甘くて華やかな香りがする蜂蜜は、俺史上最高に美味いやつだ。
自然に関する知識が深いヴァルトさんは、蜜蜂たちを眠らせる香を焚いて、蜂たちが飢えない程度に蜂蜜を採集したらしい。
「甘くて美味しい~」
「お花の匂いがする~」
「なんか幸せ~って感じがする~」
アトラスたちが満ち足りた笑みを浮かべてパンを齧っている。
蜂蜜は高級品だから、孤児院の子供たちには人生初の甘味との出会いだろう。
冒険者学園の学食で蜂蜜をかけたパンが出ることはあるけど、味が全然違う。
ふと隣を見れば、高級品を知ってる王族のセラフィナさえも、幸せそうに蜂蜜を味わっていた。
「では、そろそろ船に戻ろうか」
朝食を済ませた後、リピエノさんがみんなに声をかける。
帆船の船員たちが、小舟で迎えに来てくれた。
朝食を済ませた後は、みんなでキャンプの後片付けだ。
テントを畳んで、かまどを崩して、灰は土に埋める。
自然に還らないゴミはもちろん持ち帰るよ。
砂浜をキャンプ前の状態に戻して、俺たちは航海を再開した。
「おぉ?! なんだこりゃ?!」
「海流が船を後押ししているぞ!」
船が動き出してすぐ、船員たちが騒ぎ出した。
帆船は風の力と魔石を動力にするスクリュープロペラで進む。
ところが今は進行方向へ流れる潮の力が加わり、船は滑るように速く進み始めた。
「わぁ! 昨日より速い~」
明らかに昨日とは違う速度に、子供たちもテンション高い。
外海の波も昨日までとは全く違って、上下の揺れがほとんど無く、ひたすら進行方向に押し出されていた。
「凄いな、まるで誰かが海神様の加護をもっているような奇跡だな」
って言いながら、俺の方をチラッと見るのはバランさん。
それ、誰か分かってて言ってるよね?
「え~、海神様の加護を貰えるなんて、聖女か勇者くらいでしょう?」
バランさんの隣にいるミィファさんは、全然気付いてない。
聖女なら俺の隣に1人いるけどね。
「聖女でも海の生き物を助けた人じゃなきゃ、加護は貰えないかも」
って言うセラフィナは、バランさんの視線で察したかもしれない。
聖女じゃないけど海の生き物(海神族)を助けた奴が、ここにおります。
「よく分からないけど、船が速く進むのはいいことだよね~」
とりあえず俺は無難なことを言っておいた。
海神の加護については隠さなくてもいいのかもしれないけど。
その経緯で海神族を助けた話になると、ちょっと面倒かな?
ラメル様が「人間に狩られることが多い」とか言ってたし。
人魚が不老不死の薬になるとかで、狩られる話はゲームやアニメで見たからな。
あの辺りに海神族が住んでるなんて情報は、広まらない方がいい気がするよ。
昨夜まだみんなが寝ているうちに戻って来た俺は、何事も無かったかのように子供たちと一緒に起きた。
マルカさんが朝食を用意してくれている。
子供たちを魅了するのは、蜂蜜トースト。
かまどで表面をカリッと焼いたパンにかかっているのは、ヴァルトさんが野生の蜜蜂の巣から採ってきた蜂蜜。
南国の花を思わせる甘くて華やかな香りがする蜂蜜は、俺史上最高に美味いやつだ。
自然に関する知識が深いヴァルトさんは、蜜蜂たちを眠らせる香を焚いて、蜂たちが飢えない程度に蜂蜜を採集したらしい。
「甘くて美味しい~」
「お花の匂いがする~」
「なんか幸せ~って感じがする~」
アトラスたちが満ち足りた笑みを浮かべてパンを齧っている。
蜂蜜は高級品だから、孤児院の子供たちには人生初の甘味との出会いだろう。
冒険者学園の学食で蜂蜜をかけたパンが出ることはあるけど、味が全然違う。
ふと隣を見れば、高級品を知ってる王族のセラフィナさえも、幸せそうに蜂蜜を味わっていた。
「では、そろそろ船に戻ろうか」
朝食を済ませた後、リピエノさんがみんなに声をかける。
帆船の船員たちが、小舟で迎えに来てくれた。
朝食を済ませた後は、みんなでキャンプの後片付けだ。
テントを畳んで、かまどを崩して、灰は土に埋める。
自然に還らないゴミはもちろん持ち帰るよ。
砂浜をキャンプ前の状態に戻して、俺たちは航海を再開した。
「おぉ?! なんだこりゃ?!」
「海流が船を後押ししているぞ!」
船が動き出してすぐ、船員たちが騒ぎ出した。
帆船は風の力と魔石を動力にするスクリュープロペラで進む。
ところが今は進行方向へ流れる潮の力が加わり、船は滑るように速く進み始めた。
「わぁ! 昨日より速い~」
明らかに昨日とは違う速度に、子供たちもテンション高い。
外海の波も昨日までとは全く違って、上下の揺れがほとんど無く、ひたすら進行方向に押し出されていた。
「凄いな、まるで誰かが海神様の加護をもっているような奇跡だな」
って言いながら、俺の方をチラッと見るのはバランさん。
それ、誰か分かってて言ってるよね?
「え~、海神様の加護を貰えるなんて、聖女か勇者くらいでしょう?」
バランさんの隣にいるミィファさんは、全然気付いてない。
聖女なら俺の隣に1人いるけどね。
「聖女でも海の生き物を助けた人じゃなきゃ、加護は貰えないかも」
って言うセラフィナは、バランさんの視線で察したかもしれない。
聖女じゃないけど海の生き物(海神族)を助けた奴が、ここにおります。
「よく分からないけど、船が速く進むのはいいことだよね~」
とりあえず俺は無難なことを言っておいた。
海神の加護については隠さなくてもいいのかもしれないけど。
その経緯で海神族を助けた話になると、ちょっと面倒かな?
ラメル様が「人間に狩られることが多い」とか言ってたし。
人魚が不老不死の薬になるとかで、狩られる話はゲームやアニメで見たからな。
あの辺りに海神族が住んでるなんて情報は、広まらない方がいい気がするよ。
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