3 / 13
出会い
3.
しおりを挟む高橋を追ってたどり着いた場所は、中に入った事は無いが何回か横を通った事のある公園で、高橋はその公園の奥にある木の茂みの前で立ち止まった。
「ここ、この奥に犬がいるんだ」
高橋は茂みの奥を指さす、少しかがんで覗いて見ると確かに犬がいるようで、大きさは小型位で、色は真っ白だ。
よく見ると首輪とリードがつけられている。
「野良というより、これは完璧に飼い犬なんじゃ…散歩中に逃げ出しちゃったのかな」
「そうだよな?この公園でうろついてるの見つけてさ。捕まえて飼い主探してやろうと思ったんだけど、近づいたらこんなとこに逃げやがって。結構ビビリっぽいから無理やり引っ張り出したら噛み付かれそうでさぁ、だからエサ使っておびき寄せようと思ってんだけど…リードついてるみてぇだからあれさえつかめればこっちのもんなんだけどな~」
なるほど、だから人手が必要だった訳だ、エサで釣る奴と出てきた時にリード確保する奴で。
「・・・分かりました、俺がこちでおびき寄せますね」
まぁ、これくらいの事なら手伝える。
それに、茂みの中で震えている犬が可哀想に思えてきた。飼い主も探しているだろう。見たところ毛並みも綺麗に手入れされていて、大事に育てられているだろう事がわかる。早く飼い主の所へ返してやらないと、このまま一人で怯えながら野垂れ死にしてしまいそうだ。
「おぉ、本当助かる!ありがとな!」
高橋はそう言いながら安心したようにヘラっと笑った。イケメンだ……
さすがは女との如何わしい噂をされるだけある。
背も高いし意外と爽やかな雰囲気もある、これで真面目にしてたら教師からも大人気だっただろうに。
「じぁあ、これ餌な」
「あ、はい」
なにやら美味しそうな肉の固まりを渡された。
高橋から渡された餌を犬の方へチラつかせてみると、お腹が減っているのか鼻をヒクヒクさせて首を伸ばした。
「良かった、何とかなりそうだな」
高橋が息を吐きながらつぶやいた。餌に興味をもってくれるか心配していたようだ。
一応色々と考えてはいたんだな。
犬は少しづつソロソロとこちらへ近づいてくる。が、しかし茂みから出るまであと一歩とゆうところでなかなか踏ん切りがつかないようだ。
餌をホレホレと振ってみるが鼻をヒクつかせるだけだ。
「やっぱビビってんな。拓馬何か声かけてやれよ」
「え……?」
犬の事に集中していてすっかり忘れていたが、そういえば俺はまだ拓馬のままなんだった。
てか、声かけなきゃいけないのか?今まで犬なんか飼ったことなかったし、犬に話しかけるなんてしたことがない。
ちょっと、っていうか結構恥ずかしい。
「ほら、飼い犬だから声かければちょっとは通じるだろ」
さぁさぁ、とゆう感じにこちらを見てくる。
犬の方へ目を向けてみるとウルウルとした目がこちらをじっと見ていて、出たいんだけどまだ怖いよぉ~;;といった感じだ。
これは……やるしかないのか…
「お…おいで」
顔が熱い、しかし出てきて欲しいのは本心なので、なるべく優しい声をだしてみた、犬は俺の声が聞こえたのか耳をピクっとさせて俺のことを見る。
もうちょっとか……やっぱり人の声ってわかるもんなんだな、何か気持ちが通じたみたいで嬉しい。
「大丈夫…怖くないよ、ほらおいで……」
何回かおいで~、と呼んでみるもののこちらに来たそうに足を浮かせるだけでなかなか踏み出せない。
おいで、と言いながら優しく微笑んでみる。俺的に今まで生きてきた中で一番の笑顔だ…
すると、何を思ったのか、先ほど茂みで立ち止まってプルプルしてた犬がいきなりダダダダっと俺のもとへ走って、ぼふっと胸に飛び込んできた。
「うわぁあ!!」
ドスン
お尻から派手に地面に倒されてしまった。
「え!?大丈夫か!!」
高橋が駆け寄ってくる音が聞こえる、が今はそれどころではない。
「うわ!やめ!ははふぁあっ!!」
犬がベロベロと俺の顔を舐めてくる、さっきまでの怯えはどうしたのか尻尾をブンブン振りながらのしかっかてくるもんだからなかなか起き上がれない。
「やめっ!!った!たすけっあっはははっはっっくっぅ」
助けを求めるがくすぐったくて笑いが止まらない。
「は、やく……たったす…けっ」
高橋の方をみて俺が必死に手を伸ばすと、慌ててヒョイっと犬を抱えてくれた。
助かった……
「はぁ、はぁ……ありがと…」
息を整えながらお礼を言う。思いっきり笑ったせいか体が凄く熱くなった。
「いや、大丈夫か?」
「大丈夫、びっくりしたけど…」
そう言いながら体の砂をはらう。服がこんなに砂まみれになったの何ていつぶりだろうか。いや、今までにそんな事はあっただろうか。
子供の頃に、同い年の子達が泥んこになって遊んでいるのを、羨ましがっていたことを思い出す。
「こいついきなり心開きすぎだろ。はははっ、さっきまで怯えてたのはなんだったんだ?」
高橋は笑いながら、抱えた犬をワサワサなで、犬はへっへっと舌を出し目を細める。
俺は体を叩きながらそれを見て、さらにもう一つ目に入ったモノを見て固まった。
「なぁ、それ……そのリードと首輪……」
「え?なんだ?リード??」
ははっと笑いながら犬のリードを見た高橋も一瞬固まった。
「○ッチ?」
そう、犬が付けていたリード首輪はあの有名なブランドの物だった…
首輪とリードで何十万かしそうなものだ。
「犬に○ッチって!!どんな金持ちだよ!野良犬どころかセレブ犬だったのかよお前!!」
「こんなの付けてる犬、初めてみた……」
俺と高橋はお互いに顔を見合わせ…
「はっははははははは」
「……くっはははは」
二人で笑った。
「犬に○ッチ付ける程だ、こりゃ飼い主泡吹いて探してんじゃねぇか?」
「本当にね」
俺が目を細めながら犬の頭をワシワシと撫でていると、高橋がこちらをじっとみてきた。
「な、何?」
「え、何が??」
「いや、俺の顔見てたからなんかあんのかなって、、、」
俺がそう言うと高橋はきょとんとした顔をした。
「、、、いや、なんでもない」
高橋は何かを言いかけてやめた。
が、しばらくうーんと考えるそぶりを見せて
「お前さ、ぱっと見は暗そうだけど、笑ってる時かわいいのな」
という、爆弾的な発言をした。
「、、、、」
笑顔が可愛いなんて言われたことがない俺はどう反応したらいいかわからない。
というか、そう言う事をサラッと言ってくるイケメンってずるいだろ、、、
「とりあえず、コイツなんとかしないとだな」
軽くフリーズしている俺をよそに高橋は犬の方へ話題をうつした。
「こういう時って警察であってるんだよな?」
そう高橋が言い、飼い主が心配しているだろうと思い、俺たちは急いで犬を交番に連れて行くことにした。
0
あなたにおすすめの小説
とあるΩ達の試練
如月圭
BL
吉住クレハは私立成城学園に通う中学三年生の男のオメガだった。同じ学園に通う男のオメガの月城真とは、転校して初めてできた同じオメガの友達だった。そんな真には、番のアルファが居て、クレハはうらやましいと思う。しかし、ベータの女子にとある事で目をつけられてしまい……。
この話はフィクションです。更新は、不定期です。
【完結】ハーレムラブコメの主人公が最後に選んだのは友人キャラのオレだった。
或波夏
BL
ハーレムラブコメが大好きな男子高校生、有真 瑛。
自分は、主人公の背中を押す友人キャラになって、特等席で恋模様を見たい!
そんな瑛には、様々なラブコメテンプレ展開に巻き込まれている酒神 昴という友人がいる。
瑛は昴に《友人》として、自分を取り巻く恋愛事情について相談を持ちかけられる。
圧倒的主人公感を持つ昴からの提案に、『友人キャラになれるチャンス』を見出した瑛は、二つ返事で承諾するが、昴には別の思惑があって……
̶ラ̶ブ̶コ̶メ̶の̶主̶人̶公̶×̶友̶人̶キ̶ャ̶ラ̶
【一途な不器用オタク×ラブコメ大好き陽キャ】が織り成す勘違いすれ違いラブ
番外編、牛歩更新です🙇♀️
※物語の特性上、女性キャラクターが数人出てきますが、主CPに挟まることはありません。
少しですが百合要素があります。
☆第1回 青春BLカップ30位、応援ありがとうございました!
第13回BL大賞にエントリーさせていただいています!もし良ければ投票していただけると大変嬉しいです!
【完結】俺とあの人の青い春
月城雪華
BL
高校一年の夏、龍冴(りょうが)は二つ上の先輩である椰一(やいち)と付き合った。
けれど、告白してくれたにしては制限があまりに多過ぎると思っていた。
ぼんやりとした不信感を抱いていたある日、見知らぬ相手と椰一がキスをしている場面を目撃してしまう。
けれど友人らと話しているうちに、心のどこかで『椰一はずっと前から裏切っていた』と理解していた。
それでも悲しさで熱い雫が溢れてきて、ひと気のない物陰に座り込んで泣いていると、ふと目の前に影が差す。
「大丈夫か?」
涙に濡れた瞳で見上げると、月曜日の朝──その数日前にも件の二人を見掛け、書籍を落としたのだがわざわざ教室まで届けてくれたのだ──にも会った、一学年上の大和(やまと)という男だった。
目覚めたら隣に副官がいた。隊長として、あれは事故だと思いたい
そよら
BL
少佐として部隊を率いる桐生蓮は、
ある朝、目覚めたベッドの隣で副官・冴木響が眠っていることに気づく。
昨夜の記憶は曖昧で、そこに至る経緯を思い出せない。
「事故だった」
そう割り切らなければ、隊長としての立場も、部隊の秩序も揺らいでしまう。
しかし冴木は何も語らず、何事もなかったかのように副官として振る舞い続ける。
二年前、戦場で出会ったあの日から、
冴木は桐生にとって、理解できない忠誠を向ける危うい存在だった。
あれは本当に事故だったのか、それとも。
今日もBL営業カフェで働いています!?
卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ
※ 不定期更新です。
先輩アイドルに溺愛されて、恋もステージもプロデュースされる件 <TOMARIGIシリーズ>
はなたろう
BL
TOMARIGIシリーズ③
進路に悩む高校三年生の戸塚ツバサ。憧れの先輩は今や人気アイドルグループ【TOMARIGI】の浅見蒼真。
同じ事務所の、候補生としてレッスンに励む日々。「ツバサ、まだダンス続けてたんだな」再会した先輩は、オレのことを覚えていてくれた。
ある日、ライバルと息の合ったダンスを疲労すると、蒼真は嫉妬を剥き出しにしに💜先輩という立場を利用してキスを迫る。
友情と、憧れと、そして胸の奥に芽生え始めた恋。「少しだけ、こうしてて」ライブ前夜、不安を打ち明けてくれた先輩。
完璧なアイドルの裏の顔。その弱さに、俺は胸が締めつけられる。この夏、俺たちの関係は、もう後戻りできない…
バツイチ上司が、地味な僕を特別扱いしてくる
衣草 薫
BL
理性的でクールなバツイチ上司・桐原恒一は、過去の失敗から、もう誰も必要としないと決めて生きてきた。
男が好きだという事実を隠し、「期待しなければ傷つかない」と思い込んできた部下・葉山直。
すれ違いと誤解の果てに、直が職場を去ろうとしたとき、恒一は初めて“追いかける”ことを選ぶ。
選ばれないと信じてきた直と、逃げないと決めた恒一。
二人の距離が近づくことで、直は「ここにいていい」と思える場所を見つけていく。
元ノンケ上司×自己肯定感低め部下の社会人BL。※ハッピーエンド保証。
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*不定期連載です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる