優しい人

mami

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高橋斗真

9.

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三階にある教室を全て確認したところで授業開始のチャイムが鳴る。
このまま探してもよかったが、授業中に授業をサボり廊下を歩き回ってたら流石に目立つな、と思い。もう一度屋上へ引き返す。

屋上へ着くと、そこにはまだあの二人がいて、俺が顔を出すなり先程の収穫を聞いてきた。

「まだ、全然みれてねぇ。てか、全クラス確認するって結構大変なんじゃないか?その上、相手は人間だから、動き回るわけだし、しかも本当にこの学校にいるのかも危ういんたぞ?」
これからの地道な道のりを想像して、愚痴がこぼれた。
「まぁ、そんな上手くはいかないだろうな。」
項垂れる俺に、健人のシビアなお言葉がかかる。

「何かもう見つけれるきがしねぇよー」
「いやいや、まだ探し始めたばっかりでしょ?落ち込むの早いって」
優から励ましの言葉がかかるが、気持は浮かない。

うんうん唸っていると、ふとみきの事を思い出す。
「そう言えば、みきに会った」俺が尚も項垂れたままボソボソ言うと。
「みきちゃんって、あのみきちゃん?」優が首を傾げながら言いった。
「あの、ってどのみきだよ」健人が眉を寄せながら言う。
「あの子だよ、斗真の可哀想な元カノ」
「可哀想って、俺はそんなことした覚えはない」
「いや、あれは酷いでしょ。好きな男の愛を確かめようと、引き止めてもらうために別れを告げたのに、当の相手は考えることもなくOK出しちゃうんだもんね。」
「別れたいって言ってる相手を無理に引き止める事はないだろ」
優は、は~っとため息をつく。
「これだから斗真は女心をわかってないんだよ」
言われたことに言葉が詰まる。その言葉は耳にタコが出来るほど聞いているからだ。
「俺は優みたいに、嘘と建前がうまくないんでね」
俺の刺を含んだ言葉に、優はニヤっと笑い、「この世はね、斗真君。本心を見せた方の負けなんだよ。全て手の内を見せたら終わりだよ。恋愛でもよく言うだろう?惚れた方の負けだって。」
お前は誰だよ。本当に可愛くな奴だ、性格が歪んでやがる。

優の言葉に呆れかえっていると、「言い合ってるところ悪いが」と、健人の声が横から入り。
「なんか、あそこにいる奴が、お前の言ってた奴に、結構当てはまりそうなんだが」
そう言って健人は、中庭の方を指さし、俺の方を見る。
「え?」
その言葉に、急いで健人の方へ行き中庭を覗く。そして、そこにいる人物を見て一瞬の間呼吸をすることを忘れる。
「いた、あいつだ」
中庭の人物は、帰りの支度をし、一人正門のある方へと歩いていた。
しっかりと目をこらして再度確認し、間違いがないことを確信する。
あぁ、良かった、ちゃんといてくれた。何だよ、やっぱ同じ学校だたのかよ。驚きと喜びが一度にこみ上げてくる。
「何だ、お前が言ってた奴ってあいつの事だったのか」健人が何か言っているが耳には入ってこない。

また、あいつと話せる。今度は、絶対に逃さない。ちゃんと名前も、連絡先とかも聞き出してやる。
そうこう思っている内も、早くそばに行きたくて居ても経っても居られなくなり、フェンスから体をはなす。
「え、いたの?どんな子?」興味本位で覗きに来た優を押しのけ、屋上の扉へと急ぐ。
「うわぁ!ちょっと斗真!」背中越しに優の声が聞こえるが、聞こえないフリをしてドアノブへ手をかけ、中庭への道をいそいだ。



「いたーい。本当、斗真は単純というか、なんというか。あんなんでよく好きじゃないとか言えたよね。もしかしてあれって自覚ないわけ?」
「無いんだろうな。本人はどういうつもりであんな行動とってるんだかな」
残された二人は、斗真の出ていった扉を見つめた。

「にしても、まさか斗真が探してる奴があいつだったとは」
健人の言っていることに優は興味を示す。
「え?健ちゃんの知り合いだったの?」
「いや、知り合いというか。知ってる奴は知っているって奴だな」
「何?どういうこと?」
「お前と斗真は、成績とかあんま気にしてないもんな、知らなくて当然か。あいつ、テストでいっつも学年上位にいる奴だよ」
「成績?あ、そうか健ちゃんは良くチェックしてるもんね、確か全教科10位以内を条件で好き勝手さしてもらってるんだっけ?」
「あ~そうそう、自分で言い出した事なんだけどな。まぁ、そのせいで毎回順位を確認するんだが、あいつの名前が5位以内に無いとこを俺はまだ見たことがないな」
「え、それって全教科?」
「全教科」
「へ~凄いね」
「あ、この前の順位表写メったやつが確か」言いながら、親に確認してもらうために撮った表をフォルダから探す。
「あった、ホレ。こいつがいってる奴なんだけど」
健人の指が画面の中の「日高 明希(ひだかあき)」という名前を指す。
「わ~本当だ、1位とかもあんじゃん」
「毎回、こんな感じだな。あと、確かこいつ斗真と同じクラスだった気がするんだが…」
「え!そうなの?」ガバっと携帯の画面を見ていた目線を健人へ移す。
健人は無言で頷く。その顔はこの場に居ない人物を哀れんでいる。

「斗真…あんな子が、学年1位とっちゃう子と上手くいくのかな…俺心配になってきちゃった」

優は、は~と本日二回目のため息を一回目のものより盛大についた。
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