舞台裏プロレス〜リングの裏は超大変〜

ごったに

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転職アイドルの苦悩

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 「みっんな~~っ!!」



大歓声の中心はワタシ。花道を最後に歩くのもワタシ。


 「みんなのお陰でこの6年間・・・最高の景色が見れましたぁ!!」


星空の様に煌めく無数のペンライトは何よりも強く赤色の輝きを放ち。


 「ワタシのアイドルとしての皆との時間は今日までだけど・・・」


その光が虹彩を描くのはきっと涙だけが理由では無いのだろう。


 「天道さぁゆ のミンナシンパシーはこれからも永遠だよぉおっ!!!」


ワタシとファンの・・・歩んできたこれまでの道程は様々な色を灯してきたのだから。


 「ありがとぅいんくるっ!!」






     ~5年後~


 「って武道館での締めMCまでしたワタシが何で市民ホールで第2試合なんだよっ!!」


 「いや、ほらアンタ今ジョバーだし。今大会ストーリー組まれてないじゃん」


 「ありえねえっだろ!!『こんにちは峠W』で?5枚目と7枚目のシングルでセンター張った『天道さぁゆ』が?女子プロレス界に降臨して4年経った結果が前座試合!?」


 「しかも試合時間4分でウチに丸め込み負けというね。会長見えないし今日もうリングの撤収作業始まるまで先に牛角でプチ打ち上げしね?だって終了予定あと2時間あるっしょ?」


 「馬鹿かっ!?んなもん速攻でバレてTwitterで晒されてどえりゃあ事なるがに!!」


 「お郷出てんぞ。ってかそういうリテラシーはしっかりしてんのな」


 「おかしい・・・こんな筈じゃ無かったのに・・・今頃元アイドルプロレスラーとしてゴールデンでて、ゴットタンやらSASUKEやら逃走中やらにも、オールナイトニッポンだって自分の枠がある筈だったんだ」


 「そりゃあアイドル卒業してからのがグループ売れるとね。こん峠今年紅白久々の参加っしょっ?」


 「初 紅 白 は !!ウチの代なの!!!」


 「んで、その紅白の時あんたは?」


 「・・・・・ニ列目の13番」


 「ごめんて」


 「いや、さ?普通に考えて帯番組もあったアイドルがプロレス界に転身て凄くない?インディー違うよ?バリバリ王道メジャーグループよ?」


 「はあ・・・あんたさ、今日のセミファイナルのカノンドルは?」


 「グラビア出身」


 「メインイベントに出るジェミー詩花は?」


 「元子役タレント」


 「同じ芸能上がりであんたとの違いは何だと思う?」


 「・・・・枕かっ!?」


 「ちげーよ!!若さだよ!!受け入れろよ!!他職種出身が多い時代で29歳の元アイドルと22の元子役タレントどっちのがファンと運営から支持受けると思ったんだよ!!」


 「はは、アイドル卒業しても突き上げか・・・はいはい、また昔みたいにネットで『ババアさっさと卒業して枠譲れ』って言われてんだろね・・・良いよなあ若い女は!!泣き顔だけでYou Tubeのshortもインスタライブも稼げるもんなあ!!!」


 「卒業して譲った結果がプロレスデビュー早々曲出しって、そりゃ『アイドルに未練残してるプロレス甞めた糞女』って、男ファンも女ファンも逃げるわ」


 「あれはさ?調子乗ったの認めるけどさ?ドリー北野会長先生様が一番ノリノリだったがに・・・そんで責任押付ける様に謹慎て、デビューして一ヶ月で謹慎とかアイドル時代でもビックリだわ・・・」


 「でもお陰でその時だけ『♯アイドルへの未練』でトレンド1位とれたじゃん」


 「卒業ライブの時も取れなかったのにな・・・まさかラグビー選手の引退にトレンドで負けるとは当時思わなかったわ・・・それにしてもアンタほんと地味に詳しいね」


 「そう?結構ウチの団体ドルオタ多くない?元々ウチは峠グループ推しだったからってのもあるけど」


 「えっ!?やだファン!!??嬉しい!!!」


 「単推しは『姫華 めるも』ね」


 「それ3期生じゃん!!ワタシが卒業してからセンターなった奴じゃん!!」


 「今年の紅白センターだからメッチャ楽しみなんだよね。あとクリスマスライブは2日とも当たったからマジ推ししか勝たんわ」


 「ふざけやがって・・・くそ、大分マンネリもあったし運営が新グループ作るとかの噂で本来あのまま落ちる筈だったんよ・・・話題性的にもコッチのルートが鉄板な筈だったんよ。何でそっからタイアップのお陰で再浮上すんだよ」


 「普通にバラドル目指せば良かったんじゃね?」


 「いやいや。アイドル上がりって結構枠狭いし身体張れてMCも出来て程よくイジられ場を回せますとか、あんなの一部の天才しか出来ねーよ・・・それに視聴率的には若い現役アイドルのが使い易いし人気あるし運営と番組プロデューサーのコネクションとかあるし、どんだけアイドルが芸人にイジられてるのを死んだ顔で見てるひな壇元アイドルを見たことか・・・」


 「うわぁ」


 「その点ヒナミさんはすげーよな。大学中退後普通に道場入門して今じゃ団体の顔としてちょいちょい食レポロケとかTVでてるじゃん」


 「そこはほら、事故で一度は夢を諦めた女の子がプロレスに出逢い新しい夢を見つけて0から始め苦節10年団体のスターになる!とか、ロマンあるじゃん。そらファンにもなるわ」


 「シンデレラもビックリだわな」


 「しかも今日のスポンサーのとこの役員と付き合ってるらしいよ」


 「マジかよー!安定コースかよー!!ずりーよーー!!」


 「まあ首の古傷あるから徐々にジェミーを看板にプッシュする方向で試合減らすらしいしね。再来年辺り目安に一度引退して不定期参戦に切り替える予定らしいよ?」


 「だから今日の煽りVTRやたら世代闘争とか言いまくってたのか」


 「そっちも最初は煽りV作って貰えてたのにね」


 「言うなよ・・・崖っぷちだよ・・・こんな絶望ソロ曲出して3200枚しか売れなかった時以来だよ」


 「まあアレはウチ予約して買ったけど、グループ落ち目の時だったしね」


 「アレはヤバかった。目の前で運営とレーベルと作曲担当が責任の押し付け合いしてんの7時間無言で見せられたわ」


 「もしかしてその責任でアイドル卒業?」


 「んな訳あるか!純粋に順番で『じゃああの子の次で○月頃に卒業公演予定でいきますね』ってその一年前から事務的に伝えられとるわ!!」


 「そっちのがキツ・・・」


 「何で2度も落ち目味あわなきゃいけねーんだよ・・・嫌だなあ整形してAV転身のがバラエティで復活ワンチャンあるかなあ・・・」


 「29からだとなあ・・・キツイかなあ。言うてウチも落ち目だしなあ」


 「いーじゃん、そっちは実質団体生え抜きじゃん?解説とかマネージャーポジションとかないの?」


 「この間さ・・・」


 「うん」


 「興行の移動バスの運転手勧められた。酒の席だし将来辞める時はって話の流れだったけど」


 「ごめん・・・」


 「良いよ。いやぁ、ウチも現役8年でよもやタッグのベルト戦線にも入れなくなるとは思わなかったわ」


 「ワタシ入った頃ベルト巻いてたのにね」


 「あれが最初で最後よ。しかもヒールターンして最初の試合に反則で奪ったベルトを防衛0回とか」


 「これもうアレだな。うん。運営に直談判だな」


 「解雇か、所属からフリーに変えられての契約更改でフェードアウトかの2択だろうなあ」


 「あのハゲ会長め・・・なんで大概ああいう奴ってハゲかデブなんだ・・・あっ」


 「あっ、お疲れ様っす!!」


 「いや、これからセミファイナルのセコンド入ろうと思ってストレッチしてました!」


 「ウチもね、コイツと団体盛り上げたいなって。はい。やっぱ全員での総合芸術ですから!はい!」


 「もっとワタシらなりのアプローチもはい!一緒にどう盛り上げられるか話しながら!!」


 「お互い最近目立ててないですから!頑張らないとって!!」





 「「え??」」







    ~半年後~



 「なあ?」


 「なに?」


 「ワタシこの歳でまた曲出すとは思わなかったわ」


 「ウチなんかこの歳で初歌デビューよ」


 「てか『落ち目ぇと@』ってなんだよ。ネーミングセンス平成かよ」


 「いや、平成でもねえわ」


 「だな・・・」


 「・・・・・」


 「正直こんな売れるとは思わんかったわ」


 「一度バズるとやばいわ」


 「ぶっちゃけワタシのソロ曲に比べて再生数の桁が全然違うんだけど・・・」


 「トレンドもまた1位取れたしね」


 「『♯返り咲きババア』で1位ってどうなんよ?」


 「・・・再ブレイク出来て良かったじゃん」


 「・・・ありがとぅいんくるですわ」


 「今だけはミンナシンパシー感じるわ」


 「お前絶対ワタシのファンだったろ」




おわり

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