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呪詛師
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用意していた小説をボツにした。
技術的・構成的によくなかった点はいろいろあるが、根っこの問題を話し合った結果「呪詛のターゲットが不明確なこと」だとわかった。
ああ、思えば筆者が初めて評価された掌編からそうだった。
筆者の書き手としての性質は、呪詛師なのだと。
初めて複数の読み手から曲がりなりにも感想をもらったのは、大学の課題で書いた小説だった。
サークルの先輩への不満と反発を核に、同期のいけすかない野郎への憎悪、小学校のときのクッソ嫌いなやつへの生涯クラスの憎悪を込めて憎悪の詰め合わせで寓話的なものを書いた。
文字数規定を守っているのに守ってないと言いがかりをつけてくるクソみてぇな先輩はともかくとして、先生やまともな人からは評価してもらえた。
メンバーは筆者の学生時代の作品をあまり評価しない(それくらい今は作風が変わっている)のだが、核に憎悪がある呪詛的な作品は今でも書く。
近作でメンバーの反応が良かった作品もそういうものだったのだが、今作はダメだった。
(精神的な)原因が呪詛の標的が明確に定まっていなかったことだ、という話になった。
実際、振り返ってみれば悪役のモデルを憎んでいるわけではない。
それで、過剰な演出を加えた結果「そこまでやらなくてもキレる」「そこまでやったらリアリティがなくなる」「要らない要素を足しすぎ」という評価をもらい、一理どころか百理あると感じた。
標的は実際に遭遇した人でも会ったこともない有名人でもいいのだが、そこの感情で嘘をつくと自信がなくなるのだろう。
魔術の導師との交流が失われた結果、筆者は小説に魔術師呪術師としての生きざまを仮託することになった。おこがましいがすぎるので比べるとかではないのだが「Fate」シリーズのキャスターにも、文筆職のサーヴァントがいるわけだし。影響力のある作品で文筆職にそういう認識を付与したのなら、呪術的にはそういう意味付けが発信されたことになる。実際の小説家や劇作家が戦場で兵士を鼓舞できないとしても、だ。
それは内々の気分的な、自己実現的な考えのつもりだった。
「デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団」で、悪魔を召喚・使役するオカルト探偵として冒険したことで「実際に悪魔を召喚しなくてもいいなぁ」と思ってしまったように。
しかし、小説は精神的な作業であるがゆえに、そのルールが自分でも知らないうちに自分の中にできていたのかもしれない。
呪詛を核とする小説を書くのであれば、それはまさしく丑の刻参りに匹敵する真摯で苛烈な感情を要する、と。
これは一般的な話に翻訳すると「読んでほしい読者に身近な誰かを想定する」という話に近い。
筆者であればメンバーやネットで交流のある読者に楽しんでもらえることを目的に書く、のようなものだ。
このターゲティングがあると、「おまえらこういうのが好きなんだろ」というわかってない作品を作らずに済む……かもしれない。そういうものだと解釈している。
うん。
うん。
実に呪術的だな、小説を書くという行為は。
まあ、そんな感じですんで小説の新作はまたしばらくお待ちください。
メンバーの作品が先に上がるかもしれません。
技術的・構成的によくなかった点はいろいろあるが、根っこの問題を話し合った結果「呪詛のターゲットが不明確なこと」だとわかった。
ああ、思えば筆者が初めて評価された掌編からそうだった。
筆者の書き手としての性質は、呪詛師なのだと。
初めて複数の読み手から曲がりなりにも感想をもらったのは、大学の課題で書いた小説だった。
サークルの先輩への不満と反発を核に、同期のいけすかない野郎への憎悪、小学校のときのクッソ嫌いなやつへの生涯クラスの憎悪を込めて憎悪の詰め合わせで寓話的なものを書いた。
文字数規定を守っているのに守ってないと言いがかりをつけてくるクソみてぇな先輩はともかくとして、先生やまともな人からは評価してもらえた。
メンバーは筆者の学生時代の作品をあまり評価しない(それくらい今は作風が変わっている)のだが、核に憎悪がある呪詛的な作品は今でも書く。
近作でメンバーの反応が良かった作品もそういうものだったのだが、今作はダメだった。
(精神的な)原因が呪詛の標的が明確に定まっていなかったことだ、という話になった。
実際、振り返ってみれば悪役のモデルを憎んでいるわけではない。
それで、過剰な演出を加えた結果「そこまでやらなくてもキレる」「そこまでやったらリアリティがなくなる」「要らない要素を足しすぎ」という評価をもらい、一理どころか百理あると感じた。
標的は実際に遭遇した人でも会ったこともない有名人でもいいのだが、そこの感情で嘘をつくと自信がなくなるのだろう。
魔術の導師との交流が失われた結果、筆者は小説に魔術師呪術師としての生きざまを仮託することになった。おこがましいがすぎるので比べるとかではないのだが「Fate」シリーズのキャスターにも、文筆職のサーヴァントがいるわけだし。影響力のある作品で文筆職にそういう認識を付与したのなら、呪術的にはそういう意味付けが発信されたことになる。実際の小説家や劇作家が戦場で兵士を鼓舞できないとしても、だ。
それは内々の気分的な、自己実現的な考えのつもりだった。
「デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団」で、悪魔を召喚・使役するオカルト探偵として冒険したことで「実際に悪魔を召喚しなくてもいいなぁ」と思ってしまったように。
しかし、小説は精神的な作業であるがゆえに、そのルールが自分でも知らないうちに自分の中にできていたのかもしれない。
呪詛を核とする小説を書くのであれば、それはまさしく丑の刻参りに匹敵する真摯で苛烈な感情を要する、と。
これは一般的な話に翻訳すると「読んでほしい読者に身近な誰かを想定する」という話に近い。
筆者であればメンバーやネットで交流のある読者に楽しんでもらえることを目的に書く、のようなものだ。
このターゲティングがあると、「おまえらこういうのが好きなんだろ」というわかってない作品を作らずに済む……かもしれない。そういうものだと解釈している。
うん。
うん。
実に呪術的だな、小説を書くという行為は。
まあ、そんな感じですんで小説の新作はまたしばらくお待ちください。
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