マイノリティロマンス

ごったに

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マイノリティロマンス

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 「マイノリティってさ。本来少数派って意味じゃん?」

 「そりゃあマジョリティの対義語だしね」

 昼過ぎのマックにて、彼女が急に難しい発言をかましてきたのでとりあえず合わせる今日このごろ。季節は新学期も始まりクラス替えもし、ボチボチ落ち着いた良いお日柄ではある。

 「それがね、声を大にしてマジョリティがおかしいって、そう言って自分らの方が正しいみたいにしちゃう主張って根本的に自分らのアイデンティティを無くすというか、自分らのマイノリティの理由とかをガン無視し過ぎな気がするのよ」

 「そりゃあね。少数派の意見も大事だけど多数派の意見には多数派になる理由もある訳だしね。でも前提としてアイデンティティとは思ってないから」

 まあ、彼女の言うようにだ。それぞれに理由があるならそれぞれ妥協と歩み寄りを見せる必要もあるし、双方の立ち位置や背景も理解せねばなるまい。かといって何故こんな話題が出たかは未だ見当もつかない。別にイジメもなければ将来を憂うには高校2年生の一学期は早すぎる・・・少なくとも自分にはまだ早い。様な気持ちではある。

 「双方の歩み寄りって大事じゃん」

 「その意見には同意ですわ」

 珍しく、普段はティックトックのダンスを踊っては机の角に腰をぶつける位にお茶らけている彼女でも、色々考えているんだなあと感心して残りのコーラを飲み干す。

 「だから勉強しろよ」

 そしてコーラを噴くのだった。それにしても、終盤のコーラはほぼ水だな。うん、コーラフレーバーの水だ。

 「ゲホッ、、、急にどうした??勉強して政治家なって国を変えろってか?いいか?ああいうのは学業も大事だけどタレント性や地盤の方が大事であって、、、」

 「ちげえよ、そんな話ししてねえよ。赤点という少数派の再テストに付き合ってる方の気持ちも考えろって話してんのよ」

 「あっ!そういう話だったのね」

 「何で年度明け早々2人でマック来てると思ったのよ。そんで何で堂々とコーラ飲み干すまでくっちゃべってんのよ」

 「え?デートじゃないの!?」

 「お前、自分の立場わかってる?」

 「・・・彼氏?」

 「ノンノンノン」

 否定された!?

 「友人以上恋人未満?」

 「次フザケたらゲンコツな?」

 否定はされなかったが脅しは喰らったのだった。

 「部活仲間×赤点者は部活出れない×追試験対策に付き合ってくれてる」

 「何か次回予告風なのは気に食わんが正解としとこう」

 正解者に拍手である。てへへ

 「てへへ」

 「いや、ご満悦するなよ。な?頼むよ。4月のテストとか去年の復習じゃん?なんでそうなるのよ」

 「いや、ほら。ね?ってか春休みは一緒にゲームしてたじゃん??何で普通に赤点じゃないの??」

 「は?いや、普通に??」

 「はぁ~・・・出ましたよ。そういう作りが違うんですよアピール」

 嫌ですねえ、こういうの。そもそも同じ学力で入る高校生で何でこうも成績に差が開くのかねえ。

 「卑屈になる前にまず筆箱と教科書出せよ」

 「と言われましてもモチベーションがどうもねぇ」

 「モチベーションはいらん、危機感を持て」

 「オカンムーブやめい」

 一昨日も親に言われたセリフをマックでも聞くとは思わなかったわ。

 「てか真面目に留年視野に入ってるよ?」

 「我、危機感出たなりけり」

 自分が思ってたよりヤバい状況だったわ・・・

 「おせーよ・・・」

 「まあさ、延々と出ないよりは遅過ぎても出す事自体が大事じゃね?」

 「うん、おっしゃる通りだが筆箱出して満足してスマホでクーポン探すなよ。危機感帰るのはえーよ」

 え?コーラLサイズはクーポン使えば安く済むのに??

 「師走っつってね」

 とりあえず気まずいので1ボケかましたが、彼女の目がとても冷酷残忍になってきたのでとりあえずスマホはしまったのだった。

 「もう4月だよ、なんならもう少しで5月だよ」

 「早いもんだねぇ」

 「早いのはお前の集中力の持続時間だよ」

 このツッコミの速さよ。有吉さんといい勝負出来るね彼女

 「何ていうかさ・・・」

 「・・・なに?」

 「こんだけツッコミしてるとこって、普段と違う一面見てるみたいでワクワクする」

 実際普段落ち着いてる子が一緒にゲームしたりツッコミ入れてるの見ると大体の男子は興奮すると思うんだ。

 「はーい、帰りまーす。もう付き合いきれませーん。期待値と信頼値が同時に0に達しましたー」

 「ここの問題の数式教えて!!勉強頑張る!!!」

 「・・・始めからそうしろ、ばーか」

 「めんしゃい」

 「可愛く言うな」

  だめか

 「じゃあ真面目に言うとさ」

 「うむ」

 「付き合って?」

 「は?」

 「付き合ってけろ?」

 「違う、そういうことじゃない」

 「この追試験クリアしたら付き合おう」

 「そもそも追試験になるなよ」

 この状況でもツッコめる。そんな女に惚れました。あと陰キャな自分とも会話してくれると大概は惚れるやん。気があると思うやん。

 「それもそうだわ・・・」

 「それで?」

 「はい?」

 「どんくらいマジ?」

 「ん~・・・この試験の結果次第で親に部活辞めさせられるくらいにはマジ?」

 実はそんくらいにヤバいのは自覚あります。

 「そんぐらいマジならもっと早く本気出してよ・・・ってかそっちのマジは色々ヤバいだろ」


 「まあ待て待て待て待て」

 「まあ言い分だけは聞こう」

 「友達としての付き合いが長い×告白するタイミングを見失う×なら強制的にタイミングを作る」

 「いや、次回予告風なのは置いといて告白する為のリスクデカすぎんだろ・・・もっとあったろ?文化祭とか良い雰囲気なった時とか色々あったろ?」

 「え?あった?」

 あったっけ?

 「あったよバカ死ねよ。告白するために勉強しないって訳わかんねえよ!!」

 わかんないかあ!!こっちは女心がわからん!!

 「死んだら進級出来ない・・・」

 「死ななくてもこのままじゃ進級出来ねーよ!!」

 「と言うことでモチベーションの為にこの条件を呑んでくれ!!」

 よし!無事に流れは繋いだぞ!!むしろよく告白する勇気出した!!偉いぞ自分!!

 「もっとあったろ!!せめて勉強して帰る時とかに雰囲気作って告白とかなかったのかよ!!」

 「そこまで考えられるならまず赤点にはならない!!」

 そんなリア充なこと出来たら多分もっと人生上手くいってると思うな。あと勉強も。

 「そ、そうか・・・」

 そして思ったより引かれた・・・

 「引かないで引かないで」

 「いや、色々引くよ。自分にもなんなら引くよ」

 「なんでにゃ??」

 「だから可愛く言うな!!追試験受かったら考えてやるから!!」

 「やったー!!!言ったな!!言質取ったぞ!!!」

 「いいから勉強しろよ!!その余裕何だよ!!」

 「いや、告白する為にわざと赤点取っただけだから正直追試験余裕よ」

 多分ガチればいける!!恋も勉強も!!多分!!

 「もう怖いよ色々と!!まあ良いけど!!!」

 「本当っっ!!??」

 「良いよ!!惚れたこっちもバカだったよ!!」

 うん、え?えええええ!!!??いや、顔には出すまい。クールでいこう。あと一歩なんだ。

 「ちなみにさ」

 「何だよもう・・・」

 「こんな根暗な低身長ソバカス坊やに何で惚れるん?」

 でも気になるので聞いちゃおう。

 「死ぬか?あっ?いっぺん死ぬか?あっ??」

 「いやいやいや!部活でも見てると思うけど女っ気お前以外無さすぎるの分かるでしょ!?逆に俺の中の卑屈さが不信感と危機感出してくれるの分かって!!」

 我ながら卑屈な言い回しだなあ。まあ持ち味を活かしてると言うことで

 「・・・・はぁ、・・・・・だから」

 最後微妙に聞き取れなかったけどこれ理由言ってるよね?

 「え?なんて?」

 いけ!自分!!多分人生で一番大事な瞬間だ!!いけぇ~!!!

 「その学力クラス最下位猫背低身長一重根暗ソバカスゲーマーなのがいいんじゃん・・・」

 「ええぇ・・・あと何か増えてるう・・・」

 「その、ほら、マイノリティだから・・・正直競合相手もいなくて凄い安心してた・・・」

 「うわぁ、ちゃんとマイノリティって自覚はあるんだぁ・・・でもありがとう・・・」

 うん、とんでもない彼女の性癖が見えた気もするが、良しとしよう。うん、こういう幸せも、うん。さっき自分で言っといてアレだけど。これもアイデンティティなのだ。そうして自分で自分に歩み寄ろう。

 はぁ・・・多分幸せ



おしまい
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