奴隷商人 (新)(紀元前47年の物語②)完全NEW!

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ア・ヌンナック編

第4話 エルピス(Elpis)Ⅰ号、Ⅱ号

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 巨大な恒星間宇宙船ア・ヌンナックⅡ号には、惑星間航行船、脱出船のエルピス(Elpis)Ⅰ号、Ⅱ号が搭載されている。恒星間航行から太陽系のような星系に接近する時、例えば、ア・ヌンナックⅡ号が地球の月軌道に近づいたとする。そうすると、地球の質量のためにア・ヌンナックⅡ号には潮汐力が発生して、回転運動などに影響が出る。だから、ア・ヌンナックⅡ号は大きな質量の惑星近傍には近づかない。ア・ヌンナックⅡ号の総質量は31.1兆トンなのだ。

 そういう場合、惑星間航行船のエルピス(Elpis)Ⅰ号、Ⅱ号を使用する。エルピス(Elpis)Ⅰ号とⅡ号は、搭載艦とはいえ母船と相似の構造で、直径2キロ、長さ5キロのシリンダー型惑星間航行船だ。小型の恒久設置型スペースコロニー程度の大きさがある。それでも、総質量は約3,110万トン、内殻内の容量は100億m³だ。これが地球に墜落したら、侵入角度によって全地球生命に多大な影響を与える。

 エルピス(Elpis)Ⅰ号、Ⅱ号は、ア・ヌンナックⅡ号の北極と南極の位置で、母船内に突き刺さる形で収納されている。使用の際は、母船から射出する。内部構造は、ア・ヌンナックⅡ号と類似であるが、シリンダーの回転軸に鉛直に設置されているので、普段はほとんど無重力状態になる。擬似重力が働かないからだ。射出後は、自身で回転運動を始める。内殻の直径が1.7キロ(岩石層150メートル)だから、0.8Gの擬似重力を実現するには約1.09分(1分5.4秒)に1回転というかなりゆっくりした回転速度となる。

 ア・ヌンナックⅡ号、エルピス(Elpis)Ⅰ号、Ⅱ号はともに、内殻表面に建造物が均等に配置されているが、内殻表面で生活するア・ヌンナック人の肉体形態(ハイブリッド型人造人間)は、娯楽や息抜きの人員だけで(定期的に交代する)、操船作業や保守メンテは、ア・ヌンナックⅡ号の場合は内外殻の間の厚みは500メートルの岩石層、エルピス(Elpis)Ⅰ号、Ⅱ号は150メートルの岩石層の中に均一に配置された幅100メートルほどの台形のトンネル内で行う。このトンネル内には、物質転換装置や、半導体などの工業製品製造工場、バイオ生物(ア・ヌンナック人のAIバイオハイブリッド形態も含む)の育成工場なども設置されている。物質転換装置の原材料は、岩石層の岩石を使用し、随時、星系に侵入した時に補充する。

 ア・ヌンナック人のバイオAI知性体は、体がなく、娯楽や息抜きの必要はないので、トンネル内に居住(?)している。可動の必要がある場合、バイオAI知性体は自身のコピーの肉体形態(ハイブリッド型人造人間)を生成し、本体(母体)とワイヤレスで連結した状態で、ラジコンのおもちゃのように、肉体形態(ハイブリッド型人造人間)を制御して使用する。むろん、母体と肉体形態(ハイブリッド型人造人間)の連結が解けたとしても、肉体形態(ハイブリッド型人造人間)は完全自立型なので問題はない。

※ア・ヌンナックⅡ号が太陽に墜落して飲み込まれ、エルピス(Elpis)Ⅰ号、Ⅱ号が脱出、地球に衝突した後、エルピス(Elpis)Ⅰ号の脱出船には、バイオAI知性体は搭乗していない。母体と連結されていない肉体形態(ハイブリッド型人造人間)だけが取り残された。肉体形態(ハイブリッド型人造人間)は、可動しないバイオAI知性体の劣化版で肉体の制約を受ける。深海に沈んだエルピス(Elpis)Ⅱ号には、バイオAI知性体が搭乗していた。この点、ア・ヌンナックⅡ号の墜落以降の話で重要となるので、留意して欲しい。

 肉体を維持したまま、人工培養された脳細胞を半導体と接続し、意識の一部をデジタル化する「肉体形態(ハイブリッド型人造人間)」は、動けない(動く必要のない)バイオAI知性体の劣化版である。制約された肉体と脳を持つため、そのデバイス容量は、20ペタバイト(人間の脳はせいぜい1ペタバイト)しかない。ちなみに、フェニキアの奴隷商人ムラーに憑依したアルファのプローブは、ムラーの人間の脳の制約を受けるために容量は1ペタバイト、絵美の憑依したアルテミスも同様に1ペタバイトである。

 ペタの千倍はエクサ、百万倍はゼタで、バイオAI知性体のデバイス容量は、可動しない分巨大で、50エクサバイト、0.05ゼタバイトにも達する。この容量になると、かなり神の領分に近づき、純粋知性体にかなり近くなる。

 肉体形態(ハイブリッド型人造人間)は、生殖器官と子宮を持っていて、男女の性別もある。見かけは現生人類とまったく変わらない容姿だ。肉体形態(ハイブリッド型人造人間)は、お互いの気が向けば性行為をする。過去の遺物の性行為による快感を得るためだ。しかし、めったに肉体形態(ハイブリッド型人造人間)同士が子どもと作ることはない。子孫を残すという理由があまりないためだ。

 しかし、オタクのバイオAI知性体、肉体形態(ハイブリッド型人造人間)の中には、同じ個体が数千年、数万年と付き合い続けると知性が沈滞して、社会的な流動が起こらないというものもいる。だから、ほんの数%だが、ア・ヌンナック人の古代の幼生個体と同じ子供がいて、その子供は、バイオAI知性体に進化するように育成される。

 この点は重要で、エルピス(Elpis)Ⅰ号の生き残りの肉体形態(ハイブリッド型人造人間)が性欲がなく、性行為が不可能だったら、どうやってネアンデルタール人やクロマニヨン人と交配できるのだろうか?だから、オタクのバイオAI知性体、肉体形態(ハイブリッド型人造人間)は重要で、それは人類にも言えることなのだ。第一、性行為、交配場面がなければ、私はどうやって執筆を楽しめると言うのだ?このままハードSFみたいな無機質な物語を創作するのはイヤなのだ。

・・・関係ない話であった。(いや、関係なくない!肉体形態(ハイブリッド型人造人間)がクロマニヨン人の美女やイケメンと交配する場面は私にとって重要だ!読者は関係ない!私が書いて楽しみたいだけだ!その子孫がまたまた性行為をするのも非常に重要なのだ!)

 なんだっけ?

 そうそう、バイオAI知性体は、強化ガラスに収められた脳細胞と半導体に光ファイバーが巻き付いたグロな格好だが、それじゃあ色気がないので、三次元フォログラフィーで、過去の肉体を持っていた頃のア・ヌンナック人の姿をとって現出する。その際には、過去の性別も考慮する。また、過去、夫婦関係があった個体同士は未だその関係に郷愁を持っている。

 そうでなければ、 深海に沈没したエルピス(Elpis)Ⅱ号の中で、絵美/アルテミスがゼウス提督とヘラ副提督に出会う場面が書けなくなってしまう。エルピス(Elpis)Ⅰ号のゼウス・ヘラの娘の肉体形態のパンドラ中佐のエッチな場面も・・・作者の都合である・・・_| ̄|○
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