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第1章 フェニキア
第11話 窓ガラスがない!
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純粋知性体の私/ぼくの話では、あるユニバースで、物理定数が変わる(光速とかプランク定数が0.1%変化するとか)ほどの極中性子星の爆発があって、物理定数の異なる別の宇宙が分岐した時、数十年間(例えば1980年代と2020年代程度)は、似たような人生を生きているほぼ同一人物が別の宇宙、マルチバースに存在しているという話だ。マルチバースを知った彼らはその人物を自分の『同位体』と言っているそうだ。
ここと別の宇宙の私や仲間は、そんな宇宙を第1、2、3、4ユニバースと名付けて、記憶転移装置というもので、第3から第1の同位体同士で記憶を転移させているらしい。なぜかというと、ガンマ線バーストが2035年に起こり、地球を直撃、種の大量絶滅が起こるのを知ったので、それを阻止しようとしているらしい。
私の第2ユニバースでの恋人の明彦は、第1、2、3ユニバースで、第1の2010年の自分から第2の1980年代の自分へ記憶を転移させている。彼は、第1、2、3、4ユニバースの彼の同位体が生存しているので、別の宇宙の自分の未来記憶を転移されても、ほぼ同一人物だから、あまり不都合がないのだろう。
しかし!しかしである!私、森絵美は、第1、3、4ユニバースでは生存しているが、1985年の時点で、第2ユニバースでは射殺されて死んでしまっているのだ。純粋知性体の私/ぼくは、第2の1985年の記憶を第2のまったくの別人の私の親友、神宮寺奈々に転移させて、奈々/絵美という一つの体に別の2つの人格を持つ人間にしてしまったようだ。同位体と違って、別の人間!別人格よ!
それで、彼女のクローンコピーの私は、知性体のプローブユニットによって、第2の1985年の日本人森絵美が、紀元前47年のコーカサス人のエミーの体に転移したのが今の状態だ!私は怒っているんです!
つまりだ、1986年の奈々/絵美は、同じ宇宙で親友同士で時代背景だって1年しか違わない。どうせ、奈々は明彦と寝るだろうけど(あのビッチめが!)、それは私も一緒に寝るのだから、多少は許せるのだ。
ところが、ここの私と来たら、1985年のニューヨークまでの記憶を持っていて、それが二千年も歴史を遡った、人種も違えば、人生もまったく違う18歳の白人金髪碧眼のコーカサス人の娘の体に入れられて、それで抱かれるのは、知性体が入ったフェニキア人なんである、のよ!わかる?なぜ、私だけこうなっちゃうかなあ?
この話のオチはどうなるのよ?私は、エミー/絵美の存在のまま、この紀元前の古代ローマ世界で死んでしまうのですか?もしかしたら、ムラーに処女をあげちゃったエミーは、避妊もしていないので、妊娠して、出産の時に死んじゃうかもしれないじゃないの!18歳の体で!私も一緒に!死なないにしても、5歳以上の平均寿命40歳代のこの世界で、後数年経ったら老化してババアとなって、20年後くらいには寿命で死んでしまうの!
どうしてくれるのよ!ムラー/知性体アルファ!
エミーに前面の人格が交代してしまって、セックスを知りはじめの中学生のように、エミーはムラー/知性体に犯されて、逝ってしまったので、ムラー/知性体の横に寝転がっているのは、また人格が交代した私、絵美なのだ。だから、18歳の娘の体を貪って、横に転がっているムラー/知性体にこういう文句を言うのは、私なんである。
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午前の燦々とした陽光が窓から入ってきて、空気は澄んで心地が良い。ムラーとエミーがセックスし終わったばかりなので、私/エミーのあそこもジンジンして良い余韻はある、
だけどなあ、窓ガラスがないもんなあ。窓には葦の茎で作ったスダレが垂れているだけ。エミーがアンアンすすり泣くのが外に聞こえたでしょうね。プライバシーをこの古代ローマに求めちゃいけないの?窓ガラスを作って欲しい!
おまけに、朝飯後のこういうセックスは、この時代では普通らしい。アンアン声が聞こえたって、みんな気にしやしない。
奴隷の家じゃあ雑魚寝だから、藁葺き小屋の一間の部屋の隣で十数人の子供がいる横で両親がアンアンしている。その子供だって、15歳とかで結婚したら、両親の横でアンアンするのだ。
少なくともムラーの家は、個室があって、壁は大理石貼り、ドアはある。タペストリーで音が筒抜けってことではない。
しかしだ、癪に障るのだ!
「そうでしょ?理不尽でしょ!どうしてくれるのよ!ムラー/知性体!どうオチをつけるのよ?」
「おいおい、キミとセックスしたばかりで・・・」
「私とじゃないです!エミーです!この小娘とです!」
「いやまあ、エミーとセックスして、その余韻に浸っているのに、文句を言うんじゃない、絵美」
「知性体が余韻なんて!」
「キミだって、レベルは低いが知性体で、アンアン言うじゃないか!」
「まあ、転移した人体の属性なんだから仕方ないわね、感じちゃうのは・・・」
「キミの質問に答えてあげよう。オチをどうするの!という質問だ。言ったように、俺たちは、エミーの部族のところにまず行く。それから中央アジア、前漢、朝鮮を経由して日本に行く」
「それで、日本に行って、最後はどうなるの?日本で私はこの体のまま、死んじゃうの?何千キロも旅するのよ!途中で死んじゃうかもしれないじゃない!」
「日本に行って、調査するって言ったじゃないか。それで、俺はこの体を抜けられるんだ」
「俺は、って、私は?私もエミーの体から抜けられるの?」
「俺は単なるプローブユニットなんで、機能限定、絵美をエミーの体から知性体として取り出すのは俺の本体しかできない。本体が戻るのを待つしかない」
「いつあなたの本体が戻ってくるのよ!」
「それはわからん。第4に行くとか、もしかすると、この第2の違う時代に行っているとか、俺にはわからん。俺の本体だから、気まぐれだ」
「冗談じゃないわよ!この時代の寿命は40年よ!後生きられても20年くらいでしょ?その間に本体が戻ってこないとどうするのよ?この体に入ったまま私は死ぬの?」
「寿命に関して言えば、基本的に紀元前の人類と20世紀の人類のDNAは違わない。違うのは、知識だ。この時代の人間は栄養素なんて知りゃしない。だから、長寿命になるような食事も取らず、不潔な環境で生きるから40歳代で死んでしまう。俺と絵美が気をつけて、食事に気を使い、病気にならなければ、20世紀の人間と同じような寿命になる。それから、俺がエミーの体の成長ホルモンと細胞老化因子を抑制した。体が無事であれば、誰だっけ?キミの言うクロエ・グレース・モレッツの姿のまま、理論的には120歳まで生きられるんだ」
「こら!エミー!わーい、とか喜ぶんじゃない!・・・ムラー、病気になったらどうせ死ぬでしょ?20世紀並の医者も病院もないんだから!」
「ガァガァ、叫ぶな!ま、これから、薬とか医療器具を作ろう。ペニシリンなどの抗生物質なら、この時代の器具でもできるだろう。医療器具も耐熱ガラス作りから初めて、作っていく。石鹸やシャンプーも欲しいんだろう?香水や化粧品も?」
「・・・まあ、今、ないものは仕方ないわね。ゴメン。でも、耐熱ガラスの前に、普通のガラスで窓を塞いで欲しいわ」
「キミの想像する薄い板ガラスは圧延機がないから無理だけど、小さい板ガラスを作らせて、ステンドグラスみたいなものは製造できる。防犯上問題だから、それはすぐにやろう」
ここと別の宇宙の私や仲間は、そんな宇宙を第1、2、3、4ユニバースと名付けて、記憶転移装置というもので、第3から第1の同位体同士で記憶を転移させているらしい。なぜかというと、ガンマ線バーストが2035年に起こり、地球を直撃、種の大量絶滅が起こるのを知ったので、それを阻止しようとしているらしい。
私の第2ユニバースでの恋人の明彦は、第1、2、3ユニバースで、第1の2010年の自分から第2の1980年代の自分へ記憶を転移させている。彼は、第1、2、3、4ユニバースの彼の同位体が生存しているので、別の宇宙の自分の未来記憶を転移されても、ほぼ同一人物だから、あまり不都合がないのだろう。
しかし!しかしである!私、森絵美は、第1、3、4ユニバースでは生存しているが、1985年の時点で、第2ユニバースでは射殺されて死んでしまっているのだ。純粋知性体の私/ぼくは、第2の1985年の記憶を第2のまったくの別人の私の親友、神宮寺奈々に転移させて、奈々/絵美という一つの体に別の2つの人格を持つ人間にしてしまったようだ。同位体と違って、別の人間!別人格よ!
それで、彼女のクローンコピーの私は、知性体のプローブユニットによって、第2の1985年の日本人森絵美が、紀元前47年のコーカサス人のエミーの体に転移したのが今の状態だ!私は怒っているんです!
つまりだ、1986年の奈々/絵美は、同じ宇宙で親友同士で時代背景だって1年しか違わない。どうせ、奈々は明彦と寝るだろうけど(あのビッチめが!)、それは私も一緒に寝るのだから、多少は許せるのだ。
ところが、ここの私と来たら、1985年のニューヨークまでの記憶を持っていて、それが二千年も歴史を遡った、人種も違えば、人生もまったく違う18歳の白人金髪碧眼のコーカサス人の娘の体に入れられて、それで抱かれるのは、知性体が入ったフェニキア人なんである、のよ!わかる?なぜ、私だけこうなっちゃうかなあ?
この話のオチはどうなるのよ?私は、エミー/絵美の存在のまま、この紀元前の古代ローマ世界で死んでしまうのですか?もしかしたら、ムラーに処女をあげちゃったエミーは、避妊もしていないので、妊娠して、出産の時に死んじゃうかもしれないじゃないの!18歳の体で!私も一緒に!死なないにしても、5歳以上の平均寿命40歳代のこの世界で、後数年経ったら老化してババアとなって、20年後くらいには寿命で死んでしまうの!
どうしてくれるのよ!ムラー/知性体アルファ!
エミーに前面の人格が交代してしまって、セックスを知りはじめの中学生のように、エミーはムラー/知性体に犯されて、逝ってしまったので、ムラー/知性体の横に寝転がっているのは、また人格が交代した私、絵美なのだ。だから、18歳の娘の体を貪って、横に転がっているムラー/知性体にこういう文句を言うのは、私なんである。
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午前の燦々とした陽光が窓から入ってきて、空気は澄んで心地が良い。ムラーとエミーがセックスし終わったばかりなので、私/エミーのあそこもジンジンして良い余韻はある、
だけどなあ、窓ガラスがないもんなあ。窓には葦の茎で作ったスダレが垂れているだけ。エミーがアンアンすすり泣くのが外に聞こえたでしょうね。プライバシーをこの古代ローマに求めちゃいけないの?窓ガラスを作って欲しい!
おまけに、朝飯後のこういうセックスは、この時代では普通らしい。アンアン声が聞こえたって、みんな気にしやしない。
奴隷の家じゃあ雑魚寝だから、藁葺き小屋の一間の部屋の隣で十数人の子供がいる横で両親がアンアンしている。その子供だって、15歳とかで結婚したら、両親の横でアンアンするのだ。
少なくともムラーの家は、個室があって、壁は大理石貼り、ドアはある。タペストリーで音が筒抜けってことではない。
しかしだ、癪に障るのだ!
「そうでしょ?理不尽でしょ!どうしてくれるのよ!ムラー/知性体!どうオチをつけるのよ?」
「おいおい、キミとセックスしたばかりで・・・」
「私とじゃないです!エミーです!この小娘とです!」
「いやまあ、エミーとセックスして、その余韻に浸っているのに、文句を言うんじゃない、絵美」
「知性体が余韻なんて!」
「キミだって、レベルは低いが知性体で、アンアン言うじゃないか!」
「まあ、転移した人体の属性なんだから仕方ないわね、感じちゃうのは・・・」
「キミの質問に答えてあげよう。オチをどうするの!という質問だ。言ったように、俺たちは、エミーの部族のところにまず行く。それから中央アジア、前漢、朝鮮を経由して日本に行く」
「それで、日本に行って、最後はどうなるの?日本で私はこの体のまま、死んじゃうの?何千キロも旅するのよ!途中で死んじゃうかもしれないじゃない!」
「日本に行って、調査するって言ったじゃないか。それで、俺はこの体を抜けられるんだ」
「俺は、って、私は?私もエミーの体から抜けられるの?」
「俺は単なるプローブユニットなんで、機能限定、絵美をエミーの体から知性体として取り出すのは俺の本体しかできない。本体が戻るのを待つしかない」
「いつあなたの本体が戻ってくるのよ!」
「それはわからん。第4に行くとか、もしかすると、この第2の違う時代に行っているとか、俺にはわからん。俺の本体だから、気まぐれだ」
「冗談じゃないわよ!この時代の寿命は40年よ!後生きられても20年くらいでしょ?その間に本体が戻ってこないとどうするのよ?この体に入ったまま私は死ぬの?」
「寿命に関して言えば、基本的に紀元前の人類と20世紀の人類のDNAは違わない。違うのは、知識だ。この時代の人間は栄養素なんて知りゃしない。だから、長寿命になるような食事も取らず、不潔な環境で生きるから40歳代で死んでしまう。俺と絵美が気をつけて、食事に気を使い、病気にならなければ、20世紀の人間と同じような寿命になる。それから、俺がエミーの体の成長ホルモンと細胞老化因子を抑制した。体が無事であれば、誰だっけ?キミの言うクロエ・グレース・モレッツの姿のまま、理論的には120歳まで生きられるんだ」
「こら!エミー!わーい、とか喜ぶんじゃない!・・・ムラー、病気になったらどうせ死ぬでしょ?20世紀並の医者も病院もないんだから!」
「ガァガァ、叫ぶな!ま、これから、薬とか医療器具を作ろう。ペニシリンなどの抗生物質なら、この時代の器具でもできるだろう。医療器具も耐熱ガラス作りから初めて、作っていく。石鹸やシャンプーも欲しいんだろう?香水や化粧品も?」
「・・・まあ、今、ないものは仕方ないわね。ゴメン。でも、耐熱ガラスの前に、普通のガラスで窓を塞いで欲しいわ」
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