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第2章 地中海編
第29話 クレオパトラ7世の妹
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う~、船酔いだ。これ、変でしょ?と思う。エミーが意識の前面に出ると船酔いなんてしない。私が出ると船酔いする。同じ体で、なんで違うの?アイリスが「絵美様、船酔いですか?お休みになられた方が・・・いっそのこと、エミー様が出てきた方がいいのでは?」と言う。たまに、意識の前面に出たいけど、出るたびに船酔いじゃあなあ。
アフロダイテ号、アルテミス号は、20世紀で言うベイルートの北のムラーの港から出港して、ゆるゆると進んだ。沖に出ず、沿岸をつたいながら、日暮れには港に入る。夜の航海は紀元前では禁物だ。今は、ハイファの港を後にして、テルアビブに向かっている。アレキサンドリアまでの航路の4分の1といったところだ。
並走しているアルテミス号の甲板から、ピティアスが手を振って水平線の方を指した。ムラーが望遠鏡でそちらの方を見た。「おい、野郎ども、同業者がガレー船できやがったぞ。こっちがコルビタ船なんで、商船だと思って襲ってくるかもしれんぞ。迎撃準備しろ!」と怒鳴る。
ソフィアとジュリアが駆け寄ってきて「絵美様、戦闘服に着替えましょう!」という。え~、あれ?ドロンジョ服?イヤだぁ~!エミーが、船酔いだし、戦闘なんだから、交代しろよと言う。え~、あんなの、念動力で一発じゃないの?
「ムラー、念動力であんなの一発で撃沈できるわよ!」とムラーに聞いた。
「絵美、そんなもんを見せたら、これから噂が立つかもしれないじゃないか?隠密でエジプトを襲撃するのに、バレたら元も子もないぜ。たかが、海賊船、別に、ピティアスたちにまかせりゃいい」と言う。「それより、お前、船酔いだろう?エミーに代われ!」と言われた。わかりましたよ。ハイ、交代。
ワハハ、出たぞ!とエミーが言う。「さあ、アイリス、戦闘服に着替えよう!」こいつ、自分でドロンジョ服を作って気に入っているもんだからって。あれは恥ずかしいでしょ?時代考証を考えてよ!と思う。
着替えた。私じゃない。エミーが、だ。あ~あ、股間のウサギの毛皮がまたついてる。ムズムズする。これって、意識、五感って遮断できないものかしらね?エミーが感じると私も感じる。逆も同じ。エミー、こら!戦闘でアドレナリンが出るのはいいけど、フェロモン、振りまいてるでしょ?あ~、こいつ、あそこがジンジンして、ちょっと逝ってる。蛮族の娘め!戦闘でエクスタシーを感じるのはお止めなさい!
ゴチャゴチャうるさいなあ、と言われた。わかりました。戦闘は任せました。好きにおやりなさいな。
ドロンジョが4人、甲板に立った。長身のエチオピア女の漆黒のソフィア。ちょっと中背のエミー(と私)。小柄なエジプト娘のアイリスとギリシャ娘のジュリア。デコボコじゃないの?なんなの?丘の家の森の訓練に参加したピティアスの手下は驚かないが、港で新規に雇った水兵は唖然として見ている。そりゃ、そうよね。
アイリスが侍女4人にキャビンに隠れていなさい、と命じた。エジプト王家の娘なのに細かい気遣いができる子だわ。クレオパトラ7世を抹殺したら、この子がエジプト王女になればいいのにね?
あら?でも、そうなると、クレオパトラはシーザーと子供を作らず、シーザーの死後、アクティウムの海戦で、オクタウィアヌス軍とクレオパトラ/アントニウス連合軍が闘わないことになる。それって、後世の歴史の改変でしょ?ムラーの言うクレオパトラを殺すというのはそういうことよね?このパラドックスはどうするのかしら?
待てよ?アイリスが言っていたじゃない?クレオパトラ7世は両性具有だって。両性具有って、妊娠できるものなの?受胎能力があるの?そもそも、7世が子供ができないなら、なぜ、私の覚えている歴史では、7世はシーザーとの子供を作れたの?既に、ベータがプローブを残して140年、そして、アルファのプローブと私が来て1年で、歴史が改変されたの?だったら、なぜ、私はまだ存在しているんだろう?なぜ??
ムラーに聞かないと。
ドロンジョ4人がボウガンを構えた。エミー(私)とソフィアがフルサイズで金属の矢。アイリスとジュリアが連射式クロスボウと木製の矢だ。敵の海賊のガレー船は2隻。両舷の櫂が規則的に水面を打って、ものすごい速力で近づいてくる。ムラーもピティアスも迎撃するつもりなのか、帆を降ろさせて、こっちは止まっている。
ガレー船の甲板で、海賊がロープを準備している。鉄鍵のフックが先端についていて、それでこちらの舷側にひっかけて接舷して乗り込むつもりだろう。もう、100メートルほどの距離だ。ソフィアがボウガンを構える。彼女のは、他のより重ね板ばねを二枚足して、編み合わせたワイヤーの弦を強くしている。セットするのに力がいるが、飛距離が他のより長い。
ガレー船が60メートルくらいに近づいてきて、ソフィアが矢を放った。甲板で接舷フックを準備している海賊の胸を貫いた。もう、次の矢をつがえている。速い。さらに、船が近づいた。エミーもアイリスもジュリアも矢を放つ。エミーのは指揮を取っている海賊に命中した。アイリスとジュリアは、ガレー船後部で舵を取っている海賊を蜂の巣にした。
ピティアスの手下どももボウガンを打ち込む。敵は、別の男が舵をとって、船を横付けにしようとしている。引っ掛けフックがこちらの舷側にかかった。こちらもフックでガレー船を引き寄せる。私たちのコルタナ船の甲板はガレー船のよりも2メートルほど高い。
ピティアスの手下が舷側を乗り越えて、ガレー船になだれ込む。こうなると、近接戦闘になって、ボウガンで味方を撃たないとも限らない。なるほど。戦闘って、距離によって戦術を変えるんだわ、と思った。
エミーのやつ、ボウガンを捨てて、ツーハンドの手斧を構えた。おいおい、向こうに乗り込むのか?止めて欲しい。ピティアスの手下に任せりゃいいじゃないか?エミーがジュリアに侍女を守ってろと怒鳴る。ジュリアが、え~、と言ってふくれる。まあ、しょうがないわね。侍女たち、可哀想だもん。
エミーとソフィアが舷側を乗り越えて、ガレー船に飛び移った。アイリスも続く。ソフィアは半月刀と鞭を振り回している。アイリスは甲板を転げ回ってボウガンで敵を撃っている。速射式だから、連射できるのだ。
エミーは手斧で海賊の首をちょん切り回る。この蛮族のコーカサス娘!まったく、血に飢えた女豹だ。手斧の血を舐めている。私にもヘモグロビンの味がわかった。舐めるんじゃない!舐めるのはムラーのチンコだけにしろよ!
エミー、指揮官の一人が我を忘れて殺しまくってどうするの!回りを見なさい!ムラーは何しているの?とエミーに言う。エミーがアフロダイテ号の甲板を見上げた。ムラーはボウガンを構えていた。撃った。飛んでいく矢の先をみると、海賊の頭目らしいヤツの胸に矢が突き立った。なるほどね、指揮官は冷静にしてないとダメなんだよ、わかった、エミー?
あっという間に海賊を制圧した。こっちも海賊だけどね。ソフィアがキャビンに入っていった。エミーとアイリスも続いた。キャビンの中には、女が6人いた。怯えている。そりゃあ、血の垂れた半月刀と手斧とボウガンを持ったドロンジョ三人が部屋に入ってきたんだから当たり前だ。こいつらも拐われてきたんだろう。あ~あ、また女が増えたよ。
6人は、5人がギリシャ系のようだ。残る一人はエジプト人の美少女。16才くらいだろうか?ギリシャ系はうなだれている。エジプトの小娘は、私たちを睨んでいる。
エミーが、ソフィア、こいつら連れて行っておくれ、まあ、ピティアスの手下も女日照りだから、あいつらにあげようぜという。エミー、それ、ひどいでしょ!絵美、何言っているんだ?こっちは侍女を入れて女8人だけど、ピティアスの手下は私たちに手をだせねえじゃねえか?可哀想だろう?こいつらはやつらの戦利品だぜ。ご褒美だ、と言う。頭の中でね。
ギリシャ人の女たちは大人しくソフィアに連れて行かれた。エジプト人の小娘だけが、部屋の隅に後づさり、こっちを睨みつけている。エミーが手を引っ張ろうとすると、その手をはねのけて「わらわに触れるでない!わらわをなんと心得る!わらわはエジプト女王クレオパトラの妹ぞ!」と言った。
エミー(と私)がアイリスを見る。アイリスは肩をすくめた。「こんな子、妹にいたかしら?」と言った。わけがわからない。エミーが「うっせえ!抵抗すんな!」と言って羽交い締めにしようとしたら、彼女がエミーの(私の)腕に思いっきり噛みついた。痛い!アイリスがボウガンの柄で小娘の頭を思いっきりひっぱたいた。エジプト娘は昏倒した。
エミーとアイリスが娘の腕をつかんで、引きずって、娘をアフロダイテ号の甲板に持ち上げた。ソフィアは既にギリシャ娘5人をムラーに引見させている。
ムラーが「エミーじゃねえ、絵美、おい、こういう場合、女はピティアスの手下にくれてやるんだと。なぐさんだ後、次の港で売っ飛ばすそうだ。どうする?良心の呵責ってヤツが疼くか?そうしなかったら、俺らのチームの結束に響くぞ。我慢しろ」と言う。
エミー、良いわよ。仕方ないわとムラーに言って。「絵美が、仕方ないって言ってるよ、ムラー。でも、このエジプト娘はちょっと調べたいね。こいつ、クレオパトラの妹だっていいやがる。アイリスは知らねえとよ」と言う。
「ほぉ、それは興味深い。わかった。縛り上げて、お前らのキャビンに放り込んで、侍女たちに監視させておけ」とムラーが言う。
戦利品をガレー船からこちらに移していたピティアスの手下に「野郎ども、ギリシャ女、5人が手に入った。お前らの好きにしろ。ただ、一人、エジプト女は俺がいただく。いいな?」と言った。手下共はウンウン頷いて舌なめずりした。可哀想なギリシャ女。手下5人で一人の女が犯されるんだね。私が優しくやってね、とお願いしても無駄だろうな。野蛮な世界だ。しょうがない。
でも、アイリスが知らない、クレオパトラ7世の妹だと言い張る小娘、何者なんだろうか?
隣りのアルテミス号を見ると、こっちと同じようなことをやっていた。ピティアスもやるじゃない?この一味、結構強いわ。頼もしい。エジプト兵士も同じ目に合わせて欲しいもんだわ。でも、敵はクレオパトラ。油断できない。
アフロダイテ号、アルテミス号は、20世紀で言うベイルートの北のムラーの港から出港して、ゆるゆると進んだ。沖に出ず、沿岸をつたいながら、日暮れには港に入る。夜の航海は紀元前では禁物だ。今は、ハイファの港を後にして、テルアビブに向かっている。アレキサンドリアまでの航路の4分の1といったところだ。
並走しているアルテミス号の甲板から、ピティアスが手を振って水平線の方を指した。ムラーが望遠鏡でそちらの方を見た。「おい、野郎ども、同業者がガレー船できやがったぞ。こっちがコルビタ船なんで、商船だと思って襲ってくるかもしれんぞ。迎撃準備しろ!」と怒鳴る。
ソフィアとジュリアが駆け寄ってきて「絵美様、戦闘服に着替えましょう!」という。え~、あれ?ドロンジョ服?イヤだぁ~!エミーが、船酔いだし、戦闘なんだから、交代しろよと言う。え~、あんなの、念動力で一発じゃないの?
「ムラー、念動力であんなの一発で撃沈できるわよ!」とムラーに聞いた。
「絵美、そんなもんを見せたら、これから噂が立つかもしれないじゃないか?隠密でエジプトを襲撃するのに、バレたら元も子もないぜ。たかが、海賊船、別に、ピティアスたちにまかせりゃいい」と言う。「それより、お前、船酔いだろう?エミーに代われ!」と言われた。わかりましたよ。ハイ、交代。
ワハハ、出たぞ!とエミーが言う。「さあ、アイリス、戦闘服に着替えよう!」こいつ、自分でドロンジョ服を作って気に入っているもんだからって。あれは恥ずかしいでしょ?時代考証を考えてよ!と思う。
着替えた。私じゃない。エミーが、だ。あ~あ、股間のウサギの毛皮がまたついてる。ムズムズする。これって、意識、五感って遮断できないものかしらね?エミーが感じると私も感じる。逆も同じ。エミー、こら!戦闘でアドレナリンが出るのはいいけど、フェロモン、振りまいてるでしょ?あ~、こいつ、あそこがジンジンして、ちょっと逝ってる。蛮族の娘め!戦闘でエクスタシーを感じるのはお止めなさい!
ゴチャゴチャうるさいなあ、と言われた。わかりました。戦闘は任せました。好きにおやりなさいな。
ドロンジョが4人、甲板に立った。長身のエチオピア女の漆黒のソフィア。ちょっと中背のエミー(と私)。小柄なエジプト娘のアイリスとギリシャ娘のジュリア。デコボコじゃないの?なんなの?丘の家の森の訓練に参加したピティアスの手下は驚かないが、港で新規に雇った水兵は唖然として見ている。そりゃ、そうよね。
アイリスが侍女4人にキャビンに隠れていなさい、と命じた。エジプト王家の娘なのに細かい気遣いができる子だわ。クレオパトラ7世を抹殺したら、この子がエジプト王女になればいいのにね?
あら?でも、そうなると、クレオパトラはシーザーと子供を作らず、シーザーの死後、アクティウムの海戦で、オクタウィアヌス軍とクレオパトラ/アントニウス連合軍が闘わないことになる。それって、後世の歴史の改変でしょ?ムラーの言うクレオパトラを殺すというのはそういうことよね?このパラドックスはどうするのかしら?
待てよ?アイリスが言っていたじゃない?クレオパトラ7世は両性具有だって。両性具有って、妊娠できるものなの?受胎能力があるの?そもそも、7世が子供ができないなら、なぜ、私の覚えている歴史では、7世はシーザーとの子供を作れたの?既に、ベータがプローブを残して140年、そして、アルファのプローブと私が来て1年で、歴史が改変されたの?だったら、なぜ、私はまだ存在しているんだろう?なぜ??
ムラーに聞かないと。
ドロンジョ4人がボウガンを構えた。エミー(私)とソフィアがフルサイズで金属の矢。アイリスとジュリアが連射式クロスボウと木製の矢だ。敵の海賊のガレー船は2隻。両舷の櫂が規則的に水面を打って、ものすごい速力で近づいてくる。ムラーもピティアスも迎撃するつもりなのか、帆を降ろさせて、こっちは止まっている。
ガレー船の甲板で、海賊がロープを準備している。鉄鍵のフックが先端についていて、それでこちらの舷側にひっかけて接舷して乗り込むつもりだろう。もう、100メートルほどの距離だ。ソフィアがボウガンを構える。彼女のは、他のより重ね板ばねを二枚足して、編み合わせたワイヤーの弦を強くしている。セットするのに力がいるが、飛距離が他のより長い。
ガレー船が60メートルくらいに近づいてきて、ソフィアが矢を放った。甲板で接舷フックを準備している海賊の胸を貫いた。もう、次の矢をつがえている。速い。さらに、船が近づいた。エミーもアイリスもジュリアも矢を放つ。エミーのは指揮を取っている海賊に命中した。アイリスとジュリアは、ガレー船後部で舵を取っている海賊を蜂の巣にした。
ピティアスの手下どももボウガンを打ち込む。敵は、別の男が舵をとって、船を横付けにしようとしている。引っ掛けフックがこちらの舷側にかかった。こちらもフックでガレー船を引き寄せる。私たちのコルタナ船の甲板はガレー船のよりも2メートルほど高い。
ピティアスの手下が舷側を乗り越えて、ガレー船になだれ込む。こうなると、近接戦闘になって、ボウガンで味方を撃たないとも限らない。なるほど。戦闘って、距離によって戦術を変えるんだわ、と思った。
エミーのやつ、ボウガンを捨てて、ツーハンドの手斧を構えた。おいおい、向こうに乗り込むのか?止めて欲しい。ピティアスの手下に任せりゃいいじゃないか?エミーがジュリアに侍女を守ってろと怒鳴る。ジュリアが、え~、と言ってふくれる。まあ、しょうがないわね。侍女たち、可哀想だもん。
エミーとソフィアが舷側を乗り越えて、ガレー船に飛び移った。アイリスも続く。ソフィアは半月刀と鞭を振り回している。アイリスは甲板を転げ回ってボウガンで敵を撃っている。速射式だから、連射できるのだ。
エミーは手斧で海賊の首をちょん切り回る。この蛮族のコーカサス娘!まったく、血に飢えた女豹だ。手斧の血を舐めている。私にもヘモグロビンの味がわかった。舐めるんじゃない!舐めるのはムラーのチンコだけにしろよ!
エミー、指揮官の一人が我を忘れて殺しまくってどうするの!回りを見なさい!ムラーは何しているの?とエミーに言う。エミーがアフロダイテ号の甲板を見上げた。ムラーはボウガンを構えていた。撃った。飛んでいく矢の先をみると、海賊の頭目らしいヤツの胸に矢が突き立った。なるほどね、指揮官は冷静にしてないとダメなんだよ、わかった、エミー?
あっという間に海賊を制圧した。こっちも海賊だけどね。ソフィアがキャビンに入っていった。エミーとアイリスも続いた。キャビンの中には、女が6人いた。怯えている。そりゃあ、血の垂れた半月刀と手斧とボウガンを持ったドロンジョ三人が部屋に入ってきたんだから当たり前だ。こいつらも拐われてきたんだろう。あ~あ、また女が増えたよ。
6人は、5人がギリシャ系のようだ。残る一人はエジプト人の美少女。16才くらいだろうか?ギリシャ系はうなだれている。エジプトの小娘は、私たちを睨んでいる。
エミーが、ソフィア、こいつら連れて行っておくれ、まあ、ピティアスの手下も女日照りだから、あいつらにあげようぜという。エミー、それ、ひどいでしょ!絵美、何言っているんだ?こっちは侍女を入れて女8人だけど、ピティアスの手下は私たちに手をだせねえじゃねえか?可哀想だろう?こいつらはやつらの戦利品だぜ。ご褒美だ、と言う。頭の中でね。
ギリシャ人の女たちは大人しくソフィアに連れて行かれた。エジプト人の小娘だけが、部屋の隅に後づさり、こっちを睨みつけている。エミーが手を引っ張ろうとすると、その手をはねのけて「わらわに触れるでない!わらわをなんと心得る!わらわはエジプト女王クレオパトラの妹ぞ!」と言った。
エミー(と私)がアイリスを見る。アイリスは肩をすくめた。「こんな子、妹にいたかしら?」と言った。わけがわからない。エミーが「うっせえ!抵抗すんな!」と言って羽交い締めにしようとしたら、彼女がエミーの(私の)腕に思いっきり噛みついた。痛い!アイリスがボウガンの柄で小娘の頭を思いっきりひっぱたいた。エジプト娘は昏倒した。
エミーとアイリスが娘の腕をつかんで、引きずって、娘をアフロダイテ号の甲板に持ち上げた。ソフィアは既にギリシャ娘5人をムラーに引見させている。
ムラーが「エミーじゃねえ、絵美、おい、こういう場合、女はピティアスの手下にくれてやるんだと。なぐさんだ後、次の港で売っ飛ばすそうだ。どうする?良心の呵責ってヤツが疼くか?そうしなかったら、俺らのチームの結束に響くぞ。我慢しろ」と言う。
エミー、良いわよ。仕方ないわとムラーに言って。「絵美が、仕方ないって言ってるよ、ムラー。でも、このエジプト娘はちょっと調べたいね。こいつ、クレオパトラの妹だっていいやがる。アイリスは知らねえとよ」と言う。
「ほぉ、それは興味深い。わかった。縛り上げて、お前らのキャビンに放り込んで、侍女たちに監視させておけ」とムラーが言う。
戦利品をガレー船からこちらに移していたピティアスの手下に「野郎ども、ギリシャ女、5人が手に入った。お前らの好きにしろ。ただ、一人、エジプト女は俺がいただく。いいな?」と言った。手下共はウンウン頷いて舌なめずりした。可哀想なギリシャ女。手下5人で一人の女が犯されるんだね。私が優しくやってね、とお願いしても無駄だろうな。野蛮な世界だ。しょうがない。
でも、アイリスが知らない、クレオパトラ7世の妹だと言い張る小娘、何者なんだろうか?
隣りのアルテミス号を見ると、こっちと同じようなことをやっていた。ピティアスもやるじゃない?この一味、結構強いわ。頼もしい。エジプト兵士も同じ目に合わせて欲しいもんだわ。でも、敵はクレオパトラ。油断できない。
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