【完結】佐渡ヶ島のエレーナ少佐 (近未来戦記①)

✿モンテ✣クリスト✿

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第2章 ロシア軍停戦、北朝鮮のミサイル攻撃

第17話 北、第一撃弾道弾

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 午後五時。エレーナ少佐からクルーたちにそろそろ管制室にお集まり下さい、取材を開始しても構いません、もうすぐ始まるようですと連絡があった。撮影機材を運搬して、管制室になだれ込む。
 
 管制室は、元々の自衛隊機材とロシア軍の管制機材がごったがえしている。クルーには隅の長机が与えられ、カメラの設置場所を指定された。「トイちゃん、機密分野のモニターはまずいですからね」と少佐に言われた。

 午後七時、北朝鮮の韓国への攻撃がまず始まった。奴らはまず、在韓米軍の本拠地ハンフリーズ基地(Camp Humphreys、京畿道平沢ピョンテク市 )、烏山オサン空軍基地(Osan Air Base、京畿道烏山オサン市)、水原スウォン空軍基地(Suwon Air Base、京畿道水原スウォン市 )とその周辺の韓国軍基地に攻撃を仕掛けた。

 BMDシステムのモニターの監視員が「北、攻撃を開始しています。38度線からのロケット砲多数・・・カウンター壊れてんじゃないか?・・・755発、 ハンフリーズ基地などに飛来。韓国側の迎撃行動微弱。被弾、被弾、被弾・・・」

 日本本土との通信員が「防衛省より入電。ソウルで韓国に潜入した北朝鮮工作員多数が破壊活動。大統領府、主要省庁を攻撃。大統領他閣僚は航空機で釜山に退避。ソウルの韓国軍、警察の抵抗は微弱。ソウルの一般市民に死傷者多数。韓国軍は航空戦力で38度線の北軍事拠点、平壌を爆撃」と伝えた。

「横田基地の朝鮮国連軍後方司令部より、内閣、首相に国連軍地位協定第5条に基づき、日本国内7ヶ所の在日米軍施設・区域(キャンプ座間、横須賀海軍施設、佐世保海軍施設、横田飛行場、嘉手納飛行場、普天間飛行場、ホワイトビーチ地区)の北朝鮮に対する韓国防衛作戦の使用許可を求めた。首相は米大統領と緊急協議、在日米軍施設の使用許可を了承」

「内閣は、緊急閣議を開催、韓国からの邦人避難民に対する対応を協議中。壱岐対馬への自衛隊増援部隊を編成中。自衛隊は、展開中の東シナ海、尖閣諸島、沖縄の諸島に加え、九州北部の軍備を増強中。韓国政府からの要請はなし、よって朝鮮半島への日本国の干渉なし」

「東シナ海より海自イージス艦二隻が日本海に急行中。首都圏を中心とした迎撃システム、SM-3、PAC-3、展開中。グアムから、B-52、B-1、B-2が横田、嘉手納、普天間飛行場への飛来を準備中。米国政府は日本政府に戦術核の国内持ち込みを打診。内閣は検討中。野党の反対が予想される」

「在韓米軍の鎮海チネ海軍基地、大邱テグ基地、浦項ポハン空港への攻撃は行われていない。星州ソンジュTHAAD基地はスカッドの攻撃を受けた模様。被害程度不明」

「市ヶ谷の防衛省より、北の核弾道ミサイル、滑空ミサイルの首都圏、佐渡ヶ島への攻撃を予想。佐渡ヶ島はロシア軍との共同防衛にあたれとのこと」

「首相が、ロシア連邦東部軍管区司令官と秘密協議中。ウラジオ基地からの日本本土防衛要請を打診している模様。北がロシア軍が駐留中の佐渡ヶ島を攻撃した場合、ロシア本土が攻撃されたと同等とみなす、と北に通告済み」



 佐渡ヶ島のガメラレーダーサイトの管制室では、緊急電源に切り替えられて、照明が非常用のみになった。暗い室内でモニターの光がそこここで明滅する。
 
 そこら中で、ロシア語、日本語、英語が飛び交っている。
 
 佐渡分屯基地の空自自衛隊員の数は少なく、ロシア軍の方が多い。迎撃兵器もロシア軍の方は、S-400が市内の学校と分屯基地、レーダーサイトに配置されている。自衛隊の防衛兵器と言えば、レーダーサイトの32基のSM-3とレールガンだけだ。
 
 しかも、SM-3は高高度大気圏外防衛用、レールガンは低空防衛用で、大気圏内の高度を飛翔する北のミサイルを迎撃する手段は自衛隊にはない。首都圏ならPAC-3があるが、佐渡には配備されていない。ロシア軍のS-400に頼るしかない。そもそも、SM-3とレールガンは佐渡には有ってはならない兵器なのだ。

 今や、自衛隊(米軍とも接続されているが)のBMDシステムは、S-400の指揮通信車とリンクされていて、レーダーサイトの管制室が、分屯基地、市内の学校のS-400の指揮通信車を統率している。

 弾道ミサイル防衛(BMD)システムのモニターの監視員が「北、舞坪里ムピョンリから弾道ミサイル、ニ基・・・予想弾着地点は・・・霊光ハンビッ原子力発電所・・・発射地点と弾着地の距離600キロ、高度1,800キロ、弾着まで23.5分」

「マズイ!朝鮮半島上空では自衛隊は管轄外だ!SM-3を撃てん!東京の許可も取っている暇はない!韓国の国民感情を考えても我々にはどうすることも・・・」鈴木三佐は頭を掻きむしった。
「海自のイージスは?」
「動きなし、市ヶ谷からの指示なし」
「米軍は?」
「在韓米軍の指揮系統はロケット砲攻撃で完全麻痺、星州ソンジュTHAAD基地も被害・・・第7艦隊イージスは・・・タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦アンティータム、チャンセラーズビルは台湾近海遊弋中・・・射程範囲外、迎撃不可能!」

 エレーナがマイクに飛びついた。「我々がやる!S-400 1号指揮通信車、エレーナだ!」
 「1号指揮通信車です、少佐」
「自衛隊のBMDシステムとリンクしているか?」
「リンク中です。こちらの超水平線レーダーも稼働中」
「北、舞坪里ムピョンリから発射の弾道ミサイルは?」
「はい、捕捉、追尾確認、射程内!」

「エレーナ、S-400じゃあ遠すぎて・・・」と三佐が言うと「説明している暇はない!1号指揮通信車、S-400四発すべて発射!」とエレーナがマイクに怒鳴った。
「ラジャ。発射間隔20秒、N-1、シュート・・・N-2、シュート・・・N-3、シュート・・・N-4、シュート・・・全弾、発射完了しました!初弾交差地点まで715秒!」
「よし!・・・ああ、神様!」

「エレーナ、S-400の射程外だろう?」
「ヒロシ、このレーダーサイトのS-400の内一基は40N6、超長距離用。射程3,500キロ、秒速4.8キロの弾道ミサイルまで対処可能なのよ」
「なんだって?なぜ、佐渡に超長距離用を持ってきたんだ?サドガシマ作戦の戦術では、日本本土への中距離射程で十分じゃないか?」
「参謀本部がこの状態を予想したのかもしれない。とにかく、間に合うかもしれない。霊光ハンビッ原子力発電所攻撃なら、核弾頭での電磁パルス攻撃の可能性が高い。霊光ハンビッが熱暴走してメルトダウンしたら、東にある米軍の鎮海チネ海軍基地、大邱テグ基地、浦項ポハン空港、そして、星州ソンジュTHAAD基地は死の灰をかぶる。ジェットストリームに乗って、佐渡も東日本も放射能汚染の甚大な被害を被るわ」
「突っ走ったな。ウラジオにも連絡しないで。思い切ったもんだ」
「仕方ないわよ。それに朝鮮半島上空、日本国、自衛隊は手が出しにくいものね」

「初弾交差地点まで600秒!」

 日本本土との通信員が「防衛省より入電。佐渡より四発のミサイル発射を確認。朝鮮半島方向。何をした?と言ってきてますが?」

「うるせえなあ」と鈴木。「私が説明しようか?」とエレーナ。
「いいよ、俺がやる」と言うと、状況を市ヶ谷へ報告した。「突発緊急時ですからね、エレーナ少佐の判断に任せた次第であります。霊光ハンビッに被弾して、熱暴走、メルトダウンが起これば、本土への被害も免れないでしょう」
 
「わかった。内閣には報告をしておく。これからは事前に・・・」
「何を言っているんですか?戦時に報連相ホーレンソウも何もないでしょう?分秒を争う。今も初弾交差地点まで・・・何秒だ?」
「352秒!」
「6分ですよ。これが外れたら、16分で霊光ハンビッに被弾します。そちらに打診している暇はありません」
「わかった、わかった。朝鮮半島絡みだから、気を使うんだ」
「迎撃行動は自衛隊ではなくロシア軍の応援、と言っておいて下さい!」
「了解」



 弾道ミサイル防衛(BMD)システムのモニターの監視員が「三佐!北、亀城クソンから弾道ミサイル発射を確認・・・12発です・・・方向、仰角・・・目標は・・・首都圏8発、関西圏2発、中部圏2発!」

「間髪入れずやりやがったな!」
「S-400、初弾交差地点まで60秒!」
「日本海のイージスからのSM-3、発射!48弾、目標に向かいます!」
「防衛省より入電。佐渡のSM-3の使用許可!本土へのミサイルの迎撃を開始せよと」

「日本海のイージスは二隻だったな。『ちょうかい』と『あたご』?台湾領域のイージス『まや』と『あしがら』は間に合わん!イージスが八隻もあって、四隻しか海にいないってなんなんだ!こんごう、きりしま、みょうこう、はぐろはどこだ?ドック入り?この大事な時に!」と三佐。「北はそれを狙ったのよ!」とエレーナ少佐。

 ロシア側の監視モニターについているアデルマン大尉が「S-400、N-1、10秒、9、8、7、6、5、4、3、2、1、初段ロスト!!次弾、20秒!」と少佐に言う。

「クソ!」
「N-2、目標接近・・・3、2、1、ビンゴ!一基、撃墜。N-3、ニ基目に接近、3、2、1、ロスト!!N-4、20秒!3、2、1、ビンゴ!ビンゴ!ビンゴ!」
「防衛省に連絡!霊光ハンビッ原発への二発の攻撃は撃墜!」

「よし!韓国のはケリが付いた!今度は日本本土か!クソっ!市ヶ谷のBMD管制室に我が方SM-3の発射指示を接続!ジャミングはないな?よし、市ヶ谷に発射順と目標は任せる。リモートに切り替え!」
「ヒロシ、SM-3は足りるの?」

「エレーナ、これ以上撃ちやがったら、足らんかもしれん。『ちょうかい』はこんごう型護衛艦で、旧式、垂直発射はMk.41 Mod6 VLS × 90セル。『あたご』もあたご型護衛艦で新鋭のまや型じゃない。Mk.41 Mod20 VLS × 96セル。ミサイル防衛の艦対空だけじゃない。SM-3、Mk21だけじゃなく、航空戦力迎撃用のシースパロー、Mk22だって搭載しないといけない。問題は、予算不足で全部のセルにSM-3もシースパローも装填されていない。両艦で48弾撃ったんなら・・・『ちょうかい』と『あたご』のSM-3の残弾は何発だ?」

「『ちょうかい』残り4発、『あたご』残り2発であります!」
「残り、6発。ここのSM-3、32発を含めて38発。弾道ミサイル1発に迎撃ミサイル3発が要るから、北がもっと撃ったら足らない」
「S-400が足りるといいけど・・・」
「次は佐渡かもしれない。霊光ハンビッ迎撃で場所を特定されたからな。S-400はある程度取っておかないと・・・PAC-3が対応できるのを祈ろう」

「北、亀城クソンから弾道ミサイル、12発にSM-3接近!接触、破壊、破壊、破壊・・・4発撃ち洩らしました!残り、首都圏2発、関西圏1発、中部圏1発!」

「ヒロシ、関西圏1発、中部圏1発は本土のPAC-3よりもS-400の方が近いわ!」エレーナが叫ぶ。

「防衛省!関西圏1発、中部圏1発、佐渡のS-400も使う!PAC-3とS-400で挟み撃ちだ!」
「佐渡、こちら市ヶ谷、岐阜の第四高射群が関西圏1発、中部圏1発にPAC-3対応中!」
「こちらは今撃てる!」
「了解!対応願う!」
「エレーナ!」

「了解!S-400 2号、3号指揮通信車、目標、2号は関西圏1発、3号は中部圏1発の弾道ミサイル!各自、2発斉射!撃て!撃て!撃て!」

「・・・S-400、目標接近!中部の1発・・・接触、破壊!関西の1発・・・外しました・・・岐阜の第四高射群、PAC-3、目標接近!・・・接触、破壊!やりました!12発、全弾迎撃成功!」

「今度、同数かそれ以上来やがったらヤバいぞ!SM-3、残弾、『ちょうかい』4発、『あたご』2発、佐渡が32発、38発だけだ!」



 藤田アナ、卜井ウライ アナが真っ青になって状況を見ている。この緊迫感でコメントができるアナなんていないわよ、と卜井ウライ は思った。「ねえ、佐々木ちゃん、撮ってるわね?撮ってるわね?」

「カメラ四台回してます!いいんですよね?編集なしのライブ中継で?」
「もう、いいわよ!北朝鮮や中国に見られたって、彼らにどうすることもできないもの。全世界に見せてやる!」
「音声は切ってます!三佐や少佐の声は北や中国に知られたらまずいんで」
「そうね。残弾がバレたらマズイもん」

「佐々木さん、音声は録音しといて。後で、編集したものには使おう」と藤田。
「大丈夫、バッチリです!」
「データは渋谷に送信してるわね?」
「衛星通信でやってます」
「あっちでデータ保管していて貰わないと、こっちは死んじゃうかもしれないから」

卜井ウライ アナ、私、オシッコ漏れそう!」
「私もちょっと漏れたわ」
「歯がガチガチいって、止まりません」
「私も震えがきてるわ」
「私、処女のまま死ぬの、イヤ!」
「お祈りして、お祈りして。神様にお願いして、生き延びて、ロシアのイケメンとセックスできますように!と祈って!私ももっとしたかったわよ!」

 藤田アナが「二人共この場面でなんて話を!」と言う。「藤田ちゃん、冷静じゃん!」と卜井ウライ アナ。

「いや、ぼくもオシッコ漏れそうだよ!こんなことなら、昨日の晩、卜井ウライ ちゃんのテントに忍んで、やらせてもらえばよかったよ」
「あんたね!・・・まあ、死ぬんだったら、そうだわよね。この場面がわかっていたら、あんたとやってたわ!」

卜井ウライ アナ、人間、死の恐怖が高まると、子孫を残そうと性欲が亢進するそうですよ」
「佐々木ちゃん、私なんか、今、亢進中よ!あそこがジンジンしてる!」
「・・・私もです・・・ジェットコースターに乗っている気分・・・これ、生き残ったら、本が書けそうですね。ベストセラー間違いなし!」
「生き延びたらね・・・」

「藤田ちゃん、あんた、何、前を押さえてるの?」
「ぼ、勃起しちまった!」
「アンドレ・マルローの小説にもあったわよ。男性は死ぬ時勃起するんだって」
「こんなことってあるんだ・・・」
「私もやっちゃいたい気分よ」

「藤田アナ、卜井ウライ アナ・・・」
「佐々木ちゃんだって、そうだろ?」
「・・・うん。そうです・・・」
「クソっ!こんななら、ロシアのイケメンの前に佐々木ちゃんをもらっておけばよかったよ!」
「・・・い、生き延びたら・・・さ、三人でしましょうか?・・・」

「佐々木ちゃん、その冗談、受けるぅ~」
「いや、あの、冗談じゃなくて、このストレス、誰かに抱かれないとダメみたい。あ~、生きてるなあって思える行為をしないと一生ついてまわりそうです」
「バレたら週刊誌物じゃん!」
「藤田さん、『バレたら週刊誌物』っていうことは、バレなきゃいいじゃありませんか?もう、こんな核攻撃のあった世界なんて、元に戻らないと思う。卜井ウライ さんも一緒なら安心です、私」

「佐々木ちゃん、それって、3Pだよ?」と卜井ウライ
「私、初体験が3Pでもいいです!世界は二度と戻らないんだもの!」と唇をワナワナ震わせて佐々木が言う。
「佐々木ちゃん、錯乱してるのよ。ほら、ハグしてあげるから。よしよし」
卜井ウライ ちゃん、水飲ませなよ。佐々木ちゃん、落ち着いて」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 非常用照明のみの暗い室内でモニターとスイッチ類の光が明滅しているだけで、室内は静寂に包まれた。北朝鮮の攻撃が途絶えたようだ。これで終わったんだろうか?

卜井ウライ ちゃん、ちょっと静まったね?」とNHKの藤田アナが日テレの卜井ウライ アナに聞いた。
「でも、鈴木三佐とエレーナ少佐が第二撃の話をしていたわね」
「とすると、また始まるんだろうか?」
「これじゃあ終わらないような気がする」
「鈴木三佐とエレーナ少佐に話を聞くか?今なら話ができそうだ」
「そうしましょう。ライブ中継の映像だけで、視聴者もなにがなんだかわからないと思う」
「現場にいる我々もわかってない」
「そうだよね。音声を聞き直さないとなにがなんだか」
「聞き直してもわかんないよ」

「ぼくは取材してくるよ」と藤田はエレーナたちの方に歩いていく。

「三佐、少佐、緊急時に申し訳ない。ちょっと現状を取材させて頂いてもよろしいですか?」
「いいですよ、今なら」と鈴木。
「あまりの展開に、何が起こっているのか、理解できないんですよ。後でネタに使いますので、これ、録画のみでライブしません。時間軸に沿って、何が起こっているのか、解説していただけますか」
「わかりました。私の理解の範囲内で。この地図がいいかな?」とモニターに朝鮮半島の地図を出した。

「最初の一撃が、在韓米軍の本拠地ハンフリーズ基地、烏山《オサン》空軍基地、水原《スウォン》空軍基地とその周辺の韓国軍基地です。ソウルに近い。38度線に近い。だから、射程が短い通常弾頭のロケット砲755発を撃ち込みました。これで、在韓米軍、韓国軍の指揮系統、航空戦力を叩いた。地図を見て下さい。ソウル近郊でしょう?」

【ソウル近郊の基地】
 ハンフリーズ基地(Camp Humphreys、京畿道平沢ピョンテク市 )
 烏山オサン空軍基地(京畿道平沢ピョンテク市) Osan Air Base
 水原スウォン空軍基地(Suwon Air Base、京畿道水原スウォン市 )

【韓国南部の基地】
 鎮海チネ海軍基地(Jinhae Naval Base、慶尚南道昌原市鎮海チネ区 )
 大邱テグ基地(Daegu Garrison、大邱テグ広域市南区)
 浦項ポハン空港
 星州ソンジュTHAAD基地

「次に、首都ソウルはミサイルを使わず、北朝鮮工作員多数の破壊活動を開始した。一説によると、脱北者を装った工作員などの工作員が、何千人、何万人もいると言われます。それで、韓国大統領官邸、省庁を攻撃した。こうなると、平壌ピョンヤンからも近く、ソウル市民は人質になったようなものです。ソウル近辺の米軍、韓国軍基地をまず叩いてますからね」と鈴木三佐がマップを指して説明する。

「工作員も韓国市民と見分けが付きません。彼らが韓国軍の軍服や警察の制服を着用したらどうなります?それで、流言飛語を流す。これから、ソウルの他の都市への交通インフラを破壊するかもしれない。市民978万人は逃げられません。大統領や閣僚も釜山プサンに逃げ出して、指揮命令系統は崩壊している」

「でも韓国南部の韓国軍、在韓米軍がいますよ?第7艦隊だって急派されている。北朝鮮の軍事力を叩けば自然と立ち枯れになると思いますが?」と藤田アナが三佐に聞いた。

「韓国南部の韓国軍、在韓米軍は、ロケット砲の数や射程もあって、第一撃でS-400が撃墜しましたが、スカッドで霊光ハンビッ原子力発電所を攻撃しようとしました。これは霊光ハンビッが破壊されれば、放射能汚染で、真東にある韓国南部の韓国軍、在韓米軍が戦力を失うことを意図したものです。虎の子のミサイルを使わなくても、原発が原爆代わりになります。ロシア軍のS-400で助かりましたが」と鈴木。

 エレーナが「私にも説明させて」と言った。「米国は在韓米軍の陸上戦力を削減し続けて、かつて四万人だったのが今三万人弱。それもソウルから南に基地を移しました。海上と航空戦力で韓国防衛を考えたからです。しかし、北朝鮮は孤立無援じゃない。中国の人民解放軍北部戦区がいます。みなさんもおわかりの通り、ロシアと同様、中国も一枚岩じゃない。北部戦区は北京の言うことを聞きません。西部戦区に核開発能力を取り上げられて、頭にきてます。だから、北朝鮮を支援して、核を手に入れようとしている。さらに、北の地下資源があって、北部戦区の朝鮮族高官はその権利を持っています。彼らは中国を乗っ取るつもりか、朝鮮半島を吸収して、東中国として分離独立するつもりか」

 これから、北部戦区の陸軍勢力は、北と中国の国境を越えて、38度線を目指して北と一緒に南進する可能性が高い。北部戦区の後押しもあって、米国も海上と航空戦力で北を押さえつけるのは難しい状況です。

「彼らは、38度線から36度線に国境を変更するつもりかもしれない。38度線から36度線の間にあるのは、サムソン、LGなどの半導体工場他工業施設。これが手に入れば、北京もあまり苦情を言わないでしょう。だから、霊光(ハンビッ)原子力発電所以東は、放射能汚染地帯にして、捨てた、とこういうことでしょう」エレーナが藤田に向かって厳しい表情で説明した。

「恐ろしい話だ」と藤田アナ。

「それだけじゃありません。在韓米軍の動きもおかしい。陸上戦力の損耗をおそれて、海上と航空戦力で反攻しようとしてますが、動きが遅い。台湾防衛もありますからね。日本防衛はもちろんのこと。私の私見ですが、アメリカは、台湾の工業生産能力を評価、替えがたいと判断、朝鮮半島を捨てた、とこう思えてしまいます」

「なんですって?」

「ウクライナみたいに陸続きの韓国は、防衛するにはコストが膨大にかかります。台湾と日本は、四方が海。防衛コストは低い。アメリカにとって、台湾と日本があれば、韓国の工業生産は捨てても代替可能、とこう判断したのでは?新アチソンラインですね」

「信じられない!」

「それは御自由に。でも、世界は、専守防衛や憲法九条では動いていない、専守防衛や憲法九条がどれだけ無力であるか、今回のウクライナ、台湾、朝鮮半島、留萌《ルモイ》、そして、このサドガシマ作戦でおわかりでしょう?ジュリアス・シーザーの言う通りじゃないですか?『人々は見たいと欲する現実を見る』ということ。『見たいと欲する現実』が本当の現実の前に崩壊したんです。日本人も目を覚まさないといけませんよ。事実、私たち佐渡侵攻のロシア軍の存在は、『見たくなかった現実』でしょう?それが藤田アナの前に立っている私、エレーナ・冴子、ジトコですわ。ただし、私たちがいたお陰でS-400、日本のために使えるじゃありませんか?」

「・・・よく考えさせて下さい」
「第二撃があるでしょうから、それも含めて」
「第二撃があるとすれば、どんな攻撃でしょうか?」

「私なら、仕損じた霊光《ハンビッ》原子力発電所攻撃の代わりで、スカッドで原発の真東にある韓国南部の韓国軍、在韓米軍を叩きます。今度こそは核攻撃で。同時に、第一撃と同等、それ以上の攻撃を日本にしかけます。在日米軍を叩いておかないといけませんからね。それも核を使って。自衛隊以上に叩く相手は米軍。だって、日本に韓国防衛の義務はありませんもの。それから、佐渡もS-400を使用したので、ここの戦略的意味に彼らは気づいた。佐渡も攻撃されますよ」

「今度こそ、マズイですね」

「超長距離S-400は、霊光ハンビッ防衛で撃ち尽くしました。もう、韓国を助けることはできません。むろん、佐渡、日本への放射能汚染を恐れたからやっただけで、それがなければS-400は使ってなかったでしょう。韓国の自前戦力で自国防衛してもらわないと。自衛隊は、反日の韓国領空です、半島に手が出せません。それに本土防衛で手一杯。だから、日米ともども、韓国を見捨てたんです」
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