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第十一話・残酷

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「エリカさんですか?」
「えぇ、あの子のたった一人の妹
あの子が中学生の時に生まれた子で
とても素直で活発な子だったのよ
年が離れてたけどとても仲良かったの
サトルはとても頭がよかったんだけど
あの子は運動真剣がよかった…二人とも
それぞれが自分にないものを持っていて
物凄く仲がよくて…特にサトルはエリカの
ことを可愛がっていたわ、だけどそんな
幸せは長くは続かなかったのよ…」
「え」
「エリカが小学生になってすぐのことよ
あの子が急に苦しみだして病院に行ったら
心臓にガンが出来てるって言われたの」
「そんな…」
「医者にはこう言われたわ、病気はもっと
前から出来ていて症状が見つかるのが遅すぎた
もう手術をしても手遅れだってね…
残酷よねあんなに若い子が命を落とすなんて」
「じゃあサトル先生が医者を志した理由って…」
「エリカのためよ、医者から話を聞いたとき
あの子は凄く悲しそうな顔をしていた
そしてエリカのいる病室に行ってこう言った
「俺が医者になってお前を助けてやる!」
あの子は自分の進路さえも捨ててしまうほど
エリカのことが好きだった…それゆえに
ショックが…大きすぎたのよね」
「え…つまり」
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