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鍵
しおりを挟む「それでは、現生徒会長の七瀬響也をリコールし、後任に一宮紫音くんに任せるという案について決をとります。」
副会長が高らかに宣言している。
ふざけるな、そんなことはさせない。
*********
昨日は生徒会を手伝い始めてから初めて転入生と副会長たちが押しかけてきた。仕事をしないばかりか邪魔するなんて。
「朝の報告だ。今日はホームルームが終わったらすぐに体育館集合だ。生徒総会があるらしい。」
生徒総会は生徒会が主催するもので全校生徒が参加し、教職員の立ち入りは一切禁じられる。生徒の意見を彼らに捻じ曲げられないようにするためだ。主に生徒全員に関係ある事柄について説明したり、意見を交換したり、決定したりする。
何かがおかしい。昨日の時点で会長たちはそんなことを言っていなかった。
「とりあえず、すぐに体育館に向かってくれ。」
みんなが不思議そうな顔をして教室から出て行く。それもそうだろう。生徒総会は通常、遅くとも1週間前には告知されるのだ。
「藤崎!」
来栖がこっちに来いと手招いている。
「朝比奈、ちょっと先に行っといてくれ。」
「分かった。」
「なんですか?先生。」
「藤崎、七瀬たちはもしかしたら生徒総会のこと知らないかもしれない。今日ギリギリで担任に連絡があったんだ。副会長の名前でサインしてあった。」
「何をするつもりですかね。」
「全校生徒を集めるなんて、やりたいことは一つだろ。予想が外れりゃいいがな。とりあえず俺はこのあとすぐにあいつらに伝えに行く。どうなるか分からんが、よろしく頼む。」
「分かりました。行ってきます。」
そう言って体育館まで急いだ。
生徒総会は体育館を完全に締め切って行われる。50年以上前の話になるが生徒総会に教師たちが乱入し、生徒による自治が妨害されたことがあるらしい。そのため体育館の扉は施錠されてしまうのだ。それも教師が開けられないような方法で。
体育館の前で朝比奈に追いつく。
「朝比奈、少し頼みがある。」
「何?」
俺は朝比奈に小さな鍵を握らせる。
「いいか、この鍵は体育館の鍵だ。生徒総会が始まってドアが施錠されるまで、トイレかどこかに隠れていて欲しい。始まったらドアの近くにいてくれて構わない。それで、もし生徒会長と会計が体育館にやってきたらこの鍵で開けてくれ。」
朝比奈は俺の顔をじっと見つめてからうなずいた。
「分かったよ。そのかわり、終わったら全部説明してね。この鍵の出どころとか……。それだけ約束。」
「分かった。」
さすがにここまで巻き込んでおいて放置するつもりはない。
「じゃあよろしく頼む。」
そのあと俺はある人に電話をかけた。
「生徒総会では手を出さないでくれ。俺がやる。」
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