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12.遭遇
俺が剣道部仲間と話していると、突然その声は耳に飛び込んできた。
「あ、会長と副会長だ!」
見ると内原と御堂が生徒会に顔を出さなくなった諸悪の根源、ダミアンが満面の笑みで立っていた。
しかも二人と一緒だ。
「え~?奇遇ですね!今日は部活の皆でご飯ですか?」
「ああ」
伊集院が淡々と返事を返す。
「いいですね!そうだ、折角ですしついでに生徒会の親睦も兼ねてご一緒していいですか?ほら、内原君と御堂君もいるので是非!」
「悪いけど、今日は遠慮してくれないか?」
「ええ~?どうしてですか?」
「今度のインターハイについての話をしてたから。悪いな」
「そんなの別に今じゃなくてもいいじゃないですか~」
どこか拗ねたように甘えた口調で伊集院に同席をねだるこいつに、正直俺は激怒寸前だった。
ふざけるなと怒鳴りつけたい気持ちが込み上げてきて、ギッと思わず睨んだところでそっと隣から手を重ねられ、『落ち着け』とばかりに軽く握られる。
「正直仕事をサボってばかりの内原達より、真面目に部活に取り組んでいる後輩達と過ごす時間の方が有意義なんだ。わかったらさっさとどこかに行ってくれないか?店にも迷惑だから」
俺の手を握りながら真っ直ぐにダミアンの方を笑顔で見遣り、キッパリとそう言い切る伊集院は文句なしにカッコよかった。
後輩達も皆伊集院にキラキラした目を向けている。
そしてキッパリと断られた方のダミアンはと言うと、なんとここでいきなり泣き出した。
もう高校生なのにそれはないだろう。女なら兎も角男だろう?
内原と御堂が慌てて慰めているが、そういう茶番はどこか余所でやってほしい。
「御堂。内原よりお前の方が頼りになる。そいつを連れて店を出ろ。男なら好きな奴にこんな場所で恥ずかしい思いをさせてやるな」
溜息を吐き、俺がそう言ってやると御堂はハッとした顔ですぐに行動に移してくれる。
これが内原だったらきっと余計に事態がややこしくなっただろうし、無難な人選だったと思う。
「すみません。これで失礼します」
そう言いながら御堂はダミアンを連れて店を出て行ったが、内原は去り際にこちらを睨んでから二人の後を追っていった。
きっと俺の言い方が気に食わなかったんだろう。
「災難だったな」
思わずそう溢したら後輩達も『本当ですよ』と皆頷いてくる。
そんな中、伊集院は皆を宥めるように『まあまあ』と苦笑して『さあ。食べようか』と改めて場を仕切り直した。
***
【Side.伊集院 誉】
折角の楽しい時間を邪魔するように乱入してきたダミアン達。
そんなダミアン達に有馬はとても怒っていた。
有馬は基本的にこういう相手の都合を考えず、無理矢理自分の意見を通そうとするような奴が大嫌いなんだ。
まあだからこそ俺もあの時の行動を後から物凄く後悔したのだけど…。
何はともあれここで騒ぎを起こすのは得策ではない。
そう思って有馬の手をさり気なく握って『落ち着け』と促し、さっさと行けとばかりにダミアン達を追い払いにかかった。
なのにここでまさかの泣き落としに出るとは。
俺には姉が一人いて、いつだってその手法で親の関心を掻っ攫っていっていたから、実は俺はこの嘘泣きのような『可哀想な自分』を演出してくるような奴が大嫌いなのだ。
だからここでその手段を取られて、もう本当にイラっとした。
でも俺が不機嫌を露わにするよりも前に、ここでサラッと有馬は御堂に声を掛けその場から退散させてくれる。
「御堂。内原よりお前の方が頼りになる。そいつを連れて店を出ろ。男なら好きな奴にこんな場所で恥ずかしい思いをさせてやるな」
そのセリフがまた似合うんだ。
『男なら好きな奴に恥ずかしい思いをさせてやるな』
これが俺をさり気なく助けるために紡がれた言葉だったら嬉しいのに────。
思わずそんなことを考えてしまう自分がいた。
有馬は文句なしにカッコいい奴だ。
有馬の『好きな奴』になれたら凄く守ってもらえそうな気がしてならない。
だからこそそれに焦りを感じた。
卒業したらまず間違いなくあっという間に彼女を作ってしまいそうだし、そうなる前に絶対に捕まえておきたいと改めて考え直す。
やはりここは気を緩めず、積極的に攻めるしかない。
「この後、どうします?」
食事を再開したところで、後輩の一人が徐にそんな言葉を口にした。
「あ、俺本屋に寄りたいんだけど」
ツイてることに、そのタイミングで有馬が希望を口にしてくれる。
(てっきり『すぐに帰る』と言うと思ってたのに)
これはある意味チャンスだ。
「あ、俺服を見に行きたいんで、帰りの時間だけ指定してもらっていいですか?」
「俺もちょっと文具を見に行きたかったんです」
しかも都合のいいことに後輩達はいつもの如く行きたい場所がバラバラだった。
これなら有馬と二人きりになるのは容易い。
「じゃあ5時に車のところで集合にしようか」
「了解です!」
本屋に行くのは俺と有馬の二人だけ。
まさに気分は初デート!
逃げられないように上手く行動しよう。
そんなことを考えながら俺はそっと微笑んだ。
「あ、会長と副会長だ!」
見ると内原と御堂が生徒会に顔を出さなくなった諸悪の根源、ダミアンが満面の笑みで立っていた。
しかも二人と一緒だ。
「え~?奇遇ですね!今日は部活の皆でご飯ですか?」
「ああ」
伊集院が淡々と返事を返す。
「いいですね!そうだ、折角ですしついでに生徒会の親睦も兼ねてご一緒していいですか?ほら、内原君と御堂君もいるので是非!」
「悪いけど、今日は遠慮してくれないか?」
「ええ~?どうしてですか?」
「今度のインターハイについての話をしてたから。悪いな」
「そんなの別に今じゃなくてもいいじゃないですか~」
どこか拗ねたように甘えた口調で伊集院に同席をねだるこいつに、正直俺は激怒寸前だった。
ふざけるなと怒鳴りつけたい気持ちが込み上げてきて、ギッと思わず睨んだところでそっと隣から手を重ねられ、『落ち着け』とばかりに軽く握られる。
「正直仕事をサボってばかりの内原達より、真面目に部活に取り組んでいる後輩達と過ごす時間の方が有意義なんだ。わかったらさっさとどこかに行ってくれないか?店にも迷惑だから」
俺の手を握りながら真っ直ぐにダミアンの方を笑顔で見遣り、キッパリとそう言い切る伊集院は文句なしにカッコよかった。
後輩達も皆伊集院にキラキラした目を向けている。
そしてキッパリと断られた方のダミアンはと言うと、なんとここでいきなり泣き出した。
もう高校生なのにそれはないだろう。女なら兎も角男だろう?
内原と御堂が慌てて慰めているが、そういう茶番はどこか余所でやってほしい。
「御堂。内原よりお前の方が頼りになる。そいつを連れて店を出ろ。男なら好きな奴にこんな場所で恥ずかしい思いをさせてやるな」
溜息を吐き、俺がそう言ってやると御堂はハッとした顔ですぐに行動に移してくれる。
これが内原だったらきっと余計に事態がややこしくなっただろうし、無難な人選だったと思う。
「すみません。これで失礼します」
そう言いながら御堂はダミアンを連れて店を出て行ったが、内原は去り際にこちらを睨んでから二人の後を追っていった。
きっと俺の言い方が気に食わなかったんだろう。
「災難だったな」
思わずそう溢したら後輩達も『本当ですよ』と皆頷いてくる。
そんな中、伊集院は皆を宥めるように『まあまあ』と苦笑して『さあ。食べようか』と改めて場を仕切り直した。
***
【Side.伊集院 誉】
折角の楽しい時間を邪魔するように乱入してきたダミアン達。
そんなダミアン達に有馬はとても怒っていた。
有馬は基本的にこういう相手の都合を考えず、無理矢理自分の意見を通そうとするような奴が大嫌いなんだ。
まあだからこそ俺もあの時の行動を後から物凄く後悔したのだけど…。
何はともあれここで騒ぎを起こすのは得策ではない。
そう思って有馬の手をさり気なく握って『落ち着け』と促し、さっさと行けとばかりにダミアン達を追い払いにかかった。
なのにここでまさかの泣き落としに出るとは。
俺には姉が一人いて、いつだってその手法で親の関心を掻っ攫っていっていたから、実は俺はこの嘘泣きのような『可哀想な自分』を演出してくるような奴が大嫌いなのだ。
だからここでその手段を取られて、もう本当にイラっとした。
でも俺が不機嫌を露わにするよりも前に、ここでサラッと有馬は御堂に声を掛けその場から退散させてくれる。
「御堂。内原よりお前の方が頼りになる。そいつを連れて店を出ろ。男なら好きな奴にこんな場所で恥ずかしい思いをさせてやるな」
そのセリフがまた似合うんだ。
『男なら好きな奴に恥ずかしい思いをさせてやるな』
これが俺をさり気なく助けるために紡がれた言葉だったら嬉しいのに────。
思わずそんなことを考えてしまう自分がいた。
有馬は文句なしにカッコいい奴だ。
有馬の『好きな奴』になれたら凄く守ってもらえそうな気がしてならない。
だからこそそれに焦りを感じた。
卒業したらまず間違いなくあっという間に彼女を作ってしまいそうだし、そうなる前に絶対に捕まえておきたいと改めて考え直す。
やはりここは気を緩めず、積極的に攻めるしかない。
「この後、どうします?」
食事を再開したところで、後輩の一人が徐にそんな言葉を口にした。
「あ、俺本屋に寄りたいんだけど」
ツイてることに、そのタイミングで有馬が希望を口にしてくれる。
(てっきり『すぐに帰る』と言うと思ってたのに)
これはある意味チャンスだ。
「あ、俺服を見に行きたいんで、帰りの時間だけ指定してもらっていいですか?」
「俺もちょっと文具を見に行きたかったんです」
しかも都合のいいことに後輩達はいつもの如く行きたい場所がバラバラだった。
これなら有馬と二人きりになるのは容易い。
「じゃあ5時に車のところで集合にしようか」
「了解です!」
本屋に行くのは俺と有馬の二人だけ。
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逃げられないように上手く行動しよう。
そんなことを考えながら俺はそっと微笑んだ。
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