【完結】俺はライバルの腕の中で啼く。

オレンジペコ

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13.友人みたいだ。

予期せぬ乱入があったもののその後は特に問題はなく食事に戻り、この後どうするのかと思っていたら後輩がちょうどそんな話を振ってくれた。
だから一応勝手はわからないまでも希望は言っておこうと思い、本屋に行きたいと言ってみた。
そしたら他の皆もそれぞれ行きたいところがあったらしく、5時までは自由行動ということに。
なるほど。ぞろぞろ連れ立って歩くよりもずっと効率的だ。
これならたまには一緒に外に出るのもありかもしれない。
そんなことを考えているうちに食事を終え、伊集院の声掛けで皆それぞれ行きたい場所へと散っていった。

その場に残ったのは俺と伊集院だ。
伊集院も本屋に行くようだし、本屋に入ったら自由行動でいいのかなと思っていたんだが、本屋に着くまであれこれ話していたら結局その日一日一緒に行動することに。
別に狙ったわけじゃないんだろうが、本屋でお勧めの本を教え合って参考書を見た後、この間の伊集院の部屋で流れていた曲の話になって、好みの音楽の話で盛り上がった結果一緒にCDショップに行くことになったのだ。

その道すがら、何故か明日伊集院を俺の部屋に招く流れになったけど、まあ伊集院の部屋にこの間お邪魔したんだし、別に構わないだろう。
それにしても伊集院と本の感想を言い合う間柄になるとは思わなかった。

(これだとライバルというより友人関係みたいだな)

そんなことを考えながら俺は伊集院と並んで歩いた。


***


【Side.伊集院 誉】

「じゃあ皆、また五時に」

そう言って散っていく後輩達の背を見送り、俺は有馬へと振り返る。

「有馬。さっき話してたサーカスシリーズの件だけど」

そう言いながら自然に有馬の隣をキープし、本屋の方向へと歩き出す。
これなら勝手に先に行かれることはないはず。

「この間『ロンドンの悪魔』だけ読んだんだ。他にもお勧めのタイトルがあったら教えてほしいんだが、聞いてもいいか?」
「ああ!『ロンドンの悪魔』は確かに秀逸だよな。それなら『リヴァプールの死神』も読んでみるか?あれも凄く面白かったから、誰かに勧めたかったんだよな」

好きな本の話だからか、有馬はすぐにお勧めの本を教えてくれる。
しかもついでに俺の好きな本まで訊いてくれた。

「伊集院は?普段どんな本を読んでるんだ?」
「俺はちょっと前まではドクターシリーズにハマってたな」
「ああ、あのドラマにもなってたやつか」
「そうそう。でも本で読む方が描写が細かくて、俺は好きだったな」
「そういうことってあるよな。ちなみにどれがお勧めとかあるか?」
「ああ。俺はやっぱり一冊目と四冊目がお勧めだな。主人公の過去が複雑に絡み合ってライバル同士で火花を散らしているところなんかは見ごたえがあったし」
「ライバル!それは俺も読みたい!」
「……可愛い」
「なんか言ったか?」
「いや、何も」

危ない危ない。
うっかり本音が漏れて警戒されるところだった。

それから一緒に本を暫く見てからCDを買いに行った。
有馬とちゃんと話してみると、音楽の好みも似ていて凄く嬉しくなった。

「お前の部屋に行った時、凄く落ち着く部屋だなって思ったんだよな」

しかも話のついでにそんなことまで言ってくれたから、つい『いつでも来てくれていいから』なんて返してしまった。
ドン引きされてないだろうか?
言ってから『しまった』と思ってさりげなく様子を窺ったものの、有馬は全く気にした様子もなく、『今度は俺の部屋にも来いよ。全体的にモノトーンだからお前の部屋とは全然違うし、もしかしたら落ち着かないかもしれないけどな』なんて普通に返ってきた。
意識されてないだけなんだろうけど、部屋に誘ってもらえたのは普通に嬉しい。
ここは便乗一択だろう。

「じゃあ明日遊びに行ってもいいか?今日買った本の感想とか話したいし」
「ん~…。そうだな。お前とはクラスも違うし、生徒会室だとそういう話も仕事があってできないもんな」

そしてあっさり『いいぞ』と言ってもらえた。

(やった!)

有馬の部屋に行ける日が来るなんて思ってもみなかっただけに、俺はそれはもう緩む頬を我慢するのが大変で仕方がなかった。

有馬の恋愛対象は女だし、男子校にいる限り有馬が誰かに惚れる心配はない。
こうして少しづつ距離を詰めて親しくなっていければ、絶対に二人の仲は進展するはず。

そして俺はその後も有馬と文具を見たり、時間潰しと称してカフェへと誘いさり気なく好みを把握したりしながら、時間いっぱいデートを楽しんだ。

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