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本編
0.それぞれのプロローグ
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※この作品は基本的にジークフリート視点とクロヴィス視点で進んでいきますので、よろしくお願いしますm(_ _)m
****************
【Side.ジークフリート】
俺はローナ帝国第二王子、ジークフリート=エリアス=ローナ。
今、天幕の中────俺の前で怒りに震える父と兄を前に自身もまた怒りに震えていた。
敵対国であるブラッドリアからの停戦申し立てが届いたのはつい昨日のこと。それはいい。
だがそこでのやり取りの中でブラッドリアの姫を一人側室に寄越せとこちらは要求した。
まあ互いに勝手に戦争を再開し始めないようにという体のいい人質のようなものだ。
こういうのは敵対国同士であればよくある話だし、こちらからも姫を一人出す手筈は整えてあった。
それなのに────。
「こちらをバカにするにもほどがある!!」
俺含めて三人揃って怒るのは当然だろう。
送られてきた書類にあったのは『ブラッドリアの第五王子、クロヴィス=カルヴェ=ブラッドリアを送るので、煮るなり焼くなり好きにしてほしい』という一文だったからだ。
姫ではなく王子。
しかも第五王子と言えば庶子として引き取ったものの厄介者とばかりに放置されていると専らの噂で、王族としての教育なんてほとんどされてないも同然と聞く。
捨て駒なのは明らかだろう。
そんな相手をこちらの姫と引き換えにしようなどと不届き千万。
しかもこちらが優位な状況での向こうからの停戦要求だったにもかかわらず、だ。
怒りたくもなる。
「あいつら…目にもの見せてやる」
怒り心頭の父は交渉は決裂だと言い放ち、バサッとマントを翻してすぐさま兵士達に指示を飛ばした。
「ふざけた奴らに鉄槌を!!天は我らに微笑んだ!全軍出陣!一気にブラッドリアを攻め落とせ!!」
「「「「おおお────っ!!!!」」」」
父の声でに士気を高めた兵達が雄叫びを上げながら戦闘準備に入る。
最早ブラッドリアは落ちたも同然だろう。
そんな事を考えた俺の前にひらりと一枚の写真が飛んできた。
恐らくそのクロヴィスという男のものだろう。
白に近い銀の髪に夕焼け色の瞳をした綺麗な男ではある。
(城を攻め落とすのなら、一目くらいは見れるかもしれないな)
他の王族はむごたらしく殺されようと自業自得だと思えるが、虐げられているという話が本当なのであれば一太刀であの世に送ってやるのがせめてもの優しさかもしれないなと思いながらそっとその写真を胸元にしまった。
***
【Side.クロヴィス】
「お~…燃えてるな」
城が燃える。
俺がこれまで暮らしてきた場所が。
山の上から城を見下ろす俺の名は、クロヴィス=カルヴェ=ブラッドリア。
今燃えている城に住んでた第五王子だ。
とは言え正当な血筋とは言い難い。
剣も魔法も得意だからこうして自給自足ができている、王の庶子。
つまり王が手を付けた侍女の子だったりする。
一応王の血を引いているから第五王子として引き取られていただけの名ばかり王子だった。
因みに城が燃えているのは俺が火を放って逃げたからではない。
ずっと戦争をしていた敵国にとうとう攻め落とされただけだ。
俺はいつものように山に食料を取りに来ていたから助かったというただそれだけの話。
今頃は敵軍に占拠されている頃だろう。
戻るだけ馬鹿を見るのは明白。
それなら後はもうこのまま逃げるに限る。
幸いと言うかなんと言うか、王族らしい教育も受けてはいないので粗野な仕草しかできないし、このまま逃げたとしても誰も俺が王族だなんて気づきはしないだろう。
容姿だって父よりも母に似ているから生きていくだけなら隠れる必要はない。
俺がまだ幼かった頃亡くなってしまったが、母の綺麗だった白銀の髪と温かみのある夕焼け色の瞳は今でも鮮やかに覚えている。
それを受け継げたのはちょっと嬉しい。
間違ってもあの腐った父の黒髪と血のような黒みがかった赤い瞳は受け継ぎたくはなかったから。
「さてと。行きますか」
そうして俺は身軽になった身体で、そっと踵を返したのだった。
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【Side.ジークフリート】
俺はローナ帝国第二王子、ジークフリート=エリアス=ローナ。
今、天幕の中────俺の前で怒りに震える父と兄を前に自身もまた怒りに震えていた。
敵対国であるブラッドリアからの停戦申し立てが届いたのはつい昨日のこと。それはいい。
だがそこでのやり取りの中でブラッドリアの姫を一人側室に寄越せとこちらは要求した。
まあ互いに勝手に戦争を再開し始めないようにという体のいい人質のようなものだ。
こういうのは敵対国同士であればよくある話だし、こちらからも姫を一人出す手筈は整えてあった。
それなのに────。
「こちらをバカにするにもほどがある!!」
俺含めて三人揃って怒るのは当然だろう。
送られてきた書類にあったのは『ブラッドリアの第五王子、クロヴィス=カルヴェ=ブラッドリアを送るので、煮るなり焼くなり好きにしてほしい』という一文だったからだ。
姫ではなく王子。
しかも第五王子と言えば庶子として引き取ったものの厄介者とばかりに放置されていると専らの噂で、王族としての教育なんてほとんどされてないも同然と聞く。
捨て駒なのは明らかだろう。
そんな相手をこちらの姫と引き換えにしようなどと不届き千万。
しかもこちらが優位な状況での向こうからの停戦要求だったにもかかわらず、だ。
怒りたくもなる。
「あいつら…目にもの見せてやる」
怒り心頭の父は交渉は決裂だと言い放ち、バサッとマントを翻してすぐさま兵士達に指示を飛ばした。
「ふざけた奴らに鉄槌を!!天は我らに微笑んだ!全軍出陣!一気にブラッドリアを攻め落とせ!!」
「「「「おおお────っ!!!!」」」」
父の声でに士気を高めた兵達が雄叫びを上げながら戦闘準備に入る。
最早ブラッドリアは落ちたも同然だろう。
そんな事を考えた俺の前にひらりと一枚の写真が飛んできた。
恐らくそのクロヴィスという男のものだろう。
白に近い銀の髪に夕焼け色の瞳をした綺麗な男ではある。
(城を攻め落とすのなら、一目くらいは見れるかもしれないな)
他の王族はむごたらしく殺されようと自業自得だと思えるが、虐げられているという話が本当なのであれば一太刀であの世に送ってやるのがせめてもの優しさかもしれないなと思いながらそっとその写真を胸元にしまった。
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【Side.クロヴィス】
「お~…燃えてるな」
城が燃える。
俺がこれまで暮らしてきた場所が。
山の上から城を見下ろす俺の名は、クロヴィス=カルヴェ=ブラッドリア。
今燃えている城に住んでた第五王子だ。
とは言え正当な血筋とは言い難い。
剣も魔法も得意だからこうして自給自足ができている、王の庶子。
つまり王が手を付けた侍女の子だったりする。
一応王の血を引いているから第五王子として引き取られていただけの名ばかり王子だった。
因みに城が燃えているのは俺が火を放って逃げたからではない。
ずっと戦争をしていた敵国にとうとう攻め落とされただけだ。
俺はいつものように山に食料を取りに来ていたから助かったというただそれだけの話。
今頃は敵軍に占拠されている頃だろう。
戻るだけ馬鹿を見るのは明白。
それなら後はもうこのまま逃げるに限る。
幸いと言うかなんと言うか、王族らしい教育も受けてはいないので粗野な仕草しかできないし、このまま逃げたとしても誰も俺が王族だなんて気づきはしないだろう。
容姿だって父よりも母に似ているから生きていくだけなら隠れる必要はない。
俺がまだ幼かった頃亡くなってしまったが、母の綺麗だった白銀の髪と温かみのある夕焼け色の瞳は今でも鮮やかに覚えている。
それを受け継げたのはちょっと嬉しい。
間違ってもあの腐った父の黒髪と血のような黒みがかった赤い瞳は受け継ぎたくはなかったから。
「さてと。行きますか」
そうして俺は身軽になった身体で、そっと踵を返したのだった。
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