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第二章 フォルクナー帝国編(只今友情堪能中)
51.告白の返事をした俺
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部屋に戻った俺は湯に浸かるでもなく冷たいシャワーを浴びながらさっきまでの事を考えていた。
思ってもみなかったメイビスからの告白。
しかも内容はちゃんとこちらの気持ちも考えられたもので決して押しつけがましくはなかった。
『ルマンド、今はまだ考えることが出来ないかもしれないが、俺の気持ちはお前だけに向いている。だから妹ではなく俺の方を向いてほしい』
確かにメイビスはそう言った。
つまりこれは俺のことが好きだから意識してほしいと言っているのだ。
好きだって直球で言われたらゴメン無理と返せただろうけど、あの言い方は狡いと思う。
イケメンは使う言葉まで上手なんだな。見習わないと…。
あと、キスにはびっくりしたけど二回目のは兎も角一度目のあれはなんか自然な感じだったし、雰囲気でキスした感じだったよな。
実はこれ以上ないほどのロマンチックなシチュエーションだったので俺的に何ら文句は無かったりする。
これで相手が見ず知らずのどっかの誰かだったら嫌だったかもしれないが、相手は自分もよく知るメイビスなのだ。
あんな風にされて嫌じゃなかったのはやっぱりイケメンだからだろうか?ストレートな俺でも受け入れられるイケメンは凄い。相手に嫌悪感を与えないコツとかってあるのかな?いや、落ち着け俺。
さて…どうしたものか。
返事待ちと言うことは告白されたことに間違いはない。
ちょっとちゃんと考えてみよう。
俺としてはこれまでメイビスとはずっと友情を深めていたつもりなんだけど、もしかして何か俺がやらかしてたんだろうか?
(俺…何やったっけ?)
メイビスとこれまでやったことは……。
一緒に買い物。一緒に戦闘。一緒にダンジョン。一緒に食べ歩き。一緒にお酒。一緒に温泉。一緒に…温泉?!そうだ!温泉だ!
あれがマズかったのかな?
いや、でも、ケインやヒースも一緒に入ってたしセーフだよな?うん。
じゃあ後は……ダンス?でもこれだってケインとは練習とは言え踊ったことがあるから特別おかしくはないはず。
他はないよな?
直近でもお泊り会とか友情の証をプレゼントくらいのものだし、別におかしくはない。
女子間で友情行動として成立しているものが男子間に変わっただけで友情行動にならないわけがないもんな。
結論!俺は全部友情の範囲内の行動だった!
特に勘違いさせるような言動もしてないはず。
俺から抱きついたりもしてないし、街で見かけた恋人同士みたいにイチャイチャもしてない。
勘違い要素はゼロだ。
だから純粋にメイビスは俺との日々で好きになってくれたんだろう。
間違いない。
でもこれからどうしたらいいのかわからなくて途方に暮れる。
前にルルの気持ちを理解しようと書庫に行って女性が好きな恋愛小説を手あたり次第読み漁ったことがあるんだけど、その中に何かいい返答の仕方はなかったかな?
できたら傷つけたくないし、友情だっておしまいにしたくはない。
そこから俺はうんうん唸りながら記憶を辿り答えを探した。
そこで見つけたのは告白された女子が「お友達から…」とはにかみながら応えるというもの。
それを思い出したところで「なんだ、友達からの交際でもいいんじゃないか」と安堵した俺はホッとしながら肩の力を抜いた。
これならもしダメだった場合も単なる友人に戻れるし安心だ。
そもそも恋愛的意味合いでメイビスのことを好きになれるかなんて現時点で全くわからないんだし、この答え一択だろう。
そう結論を出した俺は安心してやっと眠ることが出来たのだった。
******
「という訳で、友達からの交際でいいなら…宜しく?」
翌朝ケイン達の目を盗みこっそりとメイビスの部屋に返事をしにきた俺を前にメイビスは何故か楽しそうにクスクスと笑っていた。
本当に外さないなと言ってくれてるから悪い意味で笑ってるんじゃなさそうだけど…。
「じゃあ俺からの提案。コーリックに帰ってからも手紙のやり取りをすることと、お勧めの本を貸し借りすること」
そして笑顔でそんな提案をされた。
うん。なんか友達っぽい!これなら全然大丈夫だ。
「わかった。じゃあ絶対帰ったら近況を知らせる」
「うん。俺も必ず書くから」
それからこれをとメイビスは三冊の本を俺へと渡してくれる。
「確か恋愛小説も読むって言ってただろ?男女物は散々読んだだろうから、こっちはフォルクナーで流行ってる同性物の恋愛小説。ルマンドが好きそうなのを選んだつもりだから、良かったら読んでみてくれ」
「わかった」
(へ~、流石フォルクナー。そういうのもあるんだな)
これはちょっと興味深い。早速帰ったら読んでみよう。
後は月に一度はダンジョンに行ったり、ギルドで一緒に依頼を受けたりもしたいなと言われた。
こっちもそれは是非お願いしたいことだったから素直に快諾。
なんだこれまでとそんなに変わらないやとちょっと安心したところで、何故かそっと抱き寄せられた。
「後は、ルマンドが俺を恋人候補だって忘れないように、二人きりの時だけでいいから時々キスをしてくれたら嬉しい」
そ、そんな恥ずかしいことを耳元で囁かれても困るんだけど?!
もう何と言うか、意識するなという方が難しい気がする。イケメン凄い!
「…………わかった」
だからもうこう答えるしかなくて、恥ずかしいけどキスの場所は指定されなかったから取り敢えずそっと手を取って指先にチュッと口づけて誤魔化しておいた。
多分……これでもいいよな?
思ってもみなかったメイビスからの告白。
しかも内容はちゃんとこちらの気持ちも考えられたもので決して押しつけがましくはなかった。
『ルマンド、今はまだ考えることが出来ないかもしれないが、俺の気持ちはお前だけに向いている。だから妹ではなく俺の方を向いてほしい』
確かにメイビスはそう言った。
つまりこれは俺のことが好きだから意識してほしいと言っているのだ。
好きだって直球で言われたらゴメン無理と返せただろうけど、あの言い方は狡いと思う。
イケメンは使う言葉まで上手なんだな。見習わないと…。
あと、キスにはびっくりしたけど二回目のは兎も角一度目のあれはなんか自然な感じだったし、雰囲気でキスした感じだったよな。
実はこれ以上ないほどのロマンチックなシチュエーションだったので俺的に何ら文句は無かったりする。
これで相手が見ず知らずのどっかの誰かだったら嫌だったかもしれないが、相手は自分もよく知るメイビスなのだ。
あんな風にされて嫌じゃなかったのはやっぱりイケメンだからだろうか?ストレートな俺でも受け入れられるイケメンは凄い。相手に嫌悪感を与えないコツとかってあるのかな?いや、落ち着け俺。
さて…どうしたものか。
返事待ちと言うことは告白されたことに間違いはない。
ちょっとちゃんと考えてみよう。
俺としてはこれまでメイビスとはずっと友情を深めていたつもりなんだけど、もしかして何か俺がやらかしてたんだろうか?
(俺…何やったっけ?)
メイビスとこれまでやったことは……。
一緒に買い物。一緒に戦闘。一緒にダンジョン。一緒に食べ歩き。一緒にお酒。一緒に温泉。一緒に…温泉?!そうだ!温泉だ!
あれがマズかったのかな?
いや、でも、ケインやヒースも一緒に入ってたしセーフだよな?うん。
じゃあ後は……ダンス?でもこれだってケインとは練習とは言え踊ったことがあるから特別おかしくはないはず。
他はないよな?
直近でもお泊り会とか友情の証をプレゼントくらいのものだし、別におかしくはない。
女子間で友情行動として成立しているものが男子間に変わっただけで友情行動にならないわけがないもんな。
結論!俺は全部友情の範囲内の行動だった!
特に勘違いさせるような言動もしてないはず。
俺から抱きついたりもしてないし、街で見かけた恋人同士みたいにイチャイチャもしてない。
勘違い要素はゼロだ。
だから純粋にメイビスは俺との日々で好きになってくれたんだろう。
間違いない。
でもこれからどうしたらいいのかわからなくて途方に暮れる。
前にルルの気持ちを理解しようと書庫に行って女性が好きな恋愛小説を手あたり次第読み漁ったことがあるんだけど、その中に何かいい返答の仕方はなかったかな?
できたら傷つけたくないし、友情だっておしまいにしたくはない。
そこから俺はうんうん唸りながら記憶を辿り答えを探した。
そこで見つけたのは告白された女子が「お友達から…」とはにかみながら応えるというもの。
それを思い出したところで「なんだ、友達からの交際でもいいんじゃないか」と安堵した俺はホッとしながら肩の力を抜いた。
これならもしダメだった場合も単なる友人に戻れるし安心だ。
そもそも恋愛的意味合いでメイビスのことを好きになれるかなんて現時点で全くわからないんだし、この答え一択だろう。
そう結論を出した俺は安心してやっと眠ることが出来たのだった。
******
「という訳で、友達からの交際でいいなら…宜しく?」
翌朝ケイン達の目を盗みこっそりとメイビスの部屋に返事をしにきた俺を前にメイビスは何故か楽しそうにクスクスと笑っていた。
本当に外さないなと言ってくれてるから悪い意味で笑ってるんじゃなさそうだけど…。
「じゃあ俺からの提案。コーリックに帰ってからも手紙のやり取りをすることと、お勧めの本を貸し借りすること」
そして笑顔でそんな提案をされた。
うん。なんか友達っぽい!これなら全然大丈夫だ。
「わかった。じゃあ絶対帰ったら近況を知らせる」
「うん。俺も必ず書くから」
それからこれをとメイビスは三冊の本を俺へと渡してくれる。
「確か恋愛小説も読むって言ってただろ?男女物は散々読んだだろうから、こっちはフォルクナーで流行ってる同性物の恋愛小説。ルマンドが好きそうなのを選んだつもりだから、良かったら読んでみてくれ」
「わかった」
(へ~、流石フォルクナー。そういうのもあるんだな)
これはちょっと興味深い。早速帰ったら読んでみよう。
後は月に一度はダンジョンに行ったり、ギルドで一緒に依頼を受けたりもしたいなと言われた。
こっちもそれは是非お願いしたいことだったから素直に快諾。
なんだこれまでとそんなに変わらないやとちょっと安心したところで、何故かそっと抱き寄せられた。
「後は、ルマンドが俺を恋人候補だって忘れないように、二人きりの時だけでいいから時々キスをしてくれたら嬉しい」
そ、そんな恥ずかしいことを耳元で囁かれても困るんだけど?!
もう何と言うか、意識するなという方が難しい気がする。イケメン凄い!
「…………わかった」
だからもうこう答えるしかなくて、恥ずかしいけどキスの場所は指定されなかったから取り敢えずそっと手を取って指先にチュッと口づけて誤魔化しておいた。
多分……これでもいいよな?
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