エニグマ(王道ファンタジーを目指した小説です。)

sirosai

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第27話 捜索

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 翌朝、ニケ達三人はフェルトを捜索する為、手分けして街中を歩き回った。アルバートはフェルトの捜索予定であった場所を辿り、エディは宿から離れたエリア、ニケは宿に近いエリアを探し歩いた。大通りを端から歩いていたニケは、気付くと再び装飾品の店前に行き着いていた。

――フェルトさんが帰らなかった理由……帰らない……いや帰れない……捕まった?誰に?……。そう簡単に捕まるような人じゃないし……。

   悩みながら街を歩くニケは、気づくと昨日訪れたルーファスの家の前に立っていた。

――あっ……いけない、任務の最中なのに……。

「戻ろう……。フェルトさんを早く見つけないと!」

「おーーい!」

 急いで捜索に戻ろうとニケが身体の方向を変えた瞬間、ニケは自身を呼び止める聞き覚えのある声を聞いた。ニケが声の聞こえた方向を向くと、そこには嬉しそうにこちらを見ているルーファスが立っていた。

「よう!ニケ!また会ったな!なんだよ!?俺に会いに来たのか?!」

 ルーファスは嬉しそうな顔でニケに近づきここにいる理由を尋ねた。ニケはエルミナス兵であるフェルトを探しているという事を隠す為、適当な理由をつけてその場をごまかそうとする。

「あっ、おっおはよう。いっ今、知り合いのお姉さんを探しているんだけど、なかなか見つからなくて…さ…。」

「そうなのか、それは心配だな……。よしっ!俺も探してやるよ!」

「えっ!あっでも……悪いし……。」

 ルーファスの一方的な提案に困惑するニケは、遠慮してもらうよう必死に説得を試みた。しかし、ルーファスはニケの言うことを全て聞き流し、ニケの手を引っ張って街へと向かった。

「なんだよ!無理すんなよ!俺たちの仲だろ?水臭えなー!」

「ああ~、ちょっ、ちょっと~!」

 ニケは断ろうとも思ったが、滅多に出来ない友達という関係を壊したくないというのと、ルーファスの優しさを感じたからか、断れずそのまま同行してもらう事にした。時間はあっという間に過ぎ、日が暮れ始めた頃だった。何の成果も出せなかった二人は再びルーファスの家に戻って来ていた。

「だめだー!やっぱりテュミニーは人を探すには広すぎるー!」

 ニケの為に散々歩き回ったルーファスは、自宅に着いた途端倒れ込み弱音をあげた。

「だね……。疲れたー。」

 ニケもルーファスにつられて、ぐったりとしながら囁いた。

「ルーファス、ありがとう。今日は一旦帰ることにするよ。もしかしたら宿に帰ってるかもしれないし、もう日が落ち始めてるから。」

「うぅ……そうか?ごめんな……力になれなくて……。」

「何言ってるのさ!助かったよ!ありがとう!」

 ニケはルーファスの心遣いに感謝し、満面の笑みでルーファスの手を握った。

「あっ、うん……。」

 ルーファスは照れ臭さを一生懸命隠そうとするが、顔は真っ赤になり口調もいつもとは全く違うものになっていた。

「また来るよ!じゃあね!」

「おう!気をつけて帰れよ!」

 ルーファスに別れを告げ、帰り道を歩いていたニケはふとある事に気がついた。

「あっ、あれっ、けっ!剣がない!…………あっ!……さっき……ルーファスの家で横になった時……。」

 ニケは横になる際に邪魔になった剣をルーファスの住む家の壁に立てかけていた事をとっさに思い出した。

「大変だ……戻らないと……。」

 ニケは急いでルーファスの家へと向かった。路地を進み工房の前まで来たニケはドアをノックしようとしたが、その瞬間「ドンッ!!ガタガタッ!!ガチャン!!」という大きな音が工房の中から鳴り響いた。

――えっ!?なっ何だ!?

 不審に思ったニケは、足音を立てないように移動し、近くの窓を覗き込む。

「なっ!?」

 つい声を出してしまったニケは、とっさに口を手で覆った。ニケが窓から見たものとは、意識を失っているであろうルーファスを二人の大男が袋に入れようとしている光景であった。

「バッ!!」

ルーファスの下半身を持っていた一人の男が、物音に反応し咄嗟に窓の方を見た。

「ひいっ!!」

 ニケは間一髪のところで身を隠すことが出来た為、大男に見つかることはなかった。ルーファスの上半身を支えていた大男は驚き、仲間の大男に声を掛けた。

「おい、ガル!どうした!?」

「ん?あっ、いや、なんでもない。」

「さっさとずらかるぞ!」

「おう!」

 二人の大男は近くにある高級そうな武器には目もくれずルーファスを袋に入れた。その後、二人はすぐさまドアを開け何事も無かったかのように街の中へと進み始めた。

――なっなんで、ルーファスが!?

 ニケはルーファスが連れて行かれる方向を見つつ考え込んだ。その間にもルーファスをさらった大男達は、どんどんと街の方へと進んでいく。

――考えてる場合じゃない!跡をつけなきゃ!

 ニケは大男達の跡を追う決断をし、忍び足で工房内にある剣を回収した。

――跡をつけてアジトを見つける。そしたら戻ってエディ達に知らせて、協力してルーファスを助け出す!

 大男達の跡をしばらく付けていたニケは、段々と人気が無くなっていく事に気が付いた。

――どっ、どうしよう……。

 今はまだ人気があるからいいが、まともに尾行をしたことがない自分が、敵に見つからずアジトの場所を掴むことなんて出来るのか、ニケは不安に感じていた。

 幸運にもルーファスを担いでいる大男達は、ある建物に入ろうとしていた。

――あっ、あそこは……。

 そこは一見なんの変哲も無いただの花屋であった。

「バル!怪しい奴はいねえか?」

「おう。」

 大男達の姿が見えなくなってからしばらくして、ニケは細心の注意を払いながら花屋の奥を除いた。そこには誰一人おらず物音一つ聞こえなかった。不審に思ったニケは静かに店の奥へと足を進めた。人の気配がない事を確認したニケは辺りに目を向けつつ、五感を意識しながら動きを止めた。

「フワ……。」

 頬に微かな生暖かい感触を覚えたニケは、感触を感じた方へと目線を向ける。

――こっ、これは……。

 ニケが下を向くと、そこには床下倉庫の扉が設置されていた。ニケは恐る恐る耳を扉に押し当てる。

「チャッ……。カツカツ……。」

 ニケは扉の奥から十人以上の人の気配を確認した。

――うっ!……こ、これ以上は無理だ……。急いでエディ達に知らせよう!

 ニケは周囲に注意を払いながら店を出て、急いで宿に戻っていった。

※∮※⌘※∞※⁂※§※∮※⌘※⁂※

 三時間前。

 前日にニケと入った居酒屋付近でフェルトの捜索をしていたエディは、リンフォード商会の本部が近くにあることを聞きつけ、その建物へと向かっていた。

――エルミナスと関係が深いリンフォードなら、俺たちに協力してくれる可能性は充分にある。これほど大きな情報網と兵力だ。こちらに着いてくれれば大きな戦力になる。だが……人選を誤ると後々面倒臭いことになる……。

「しかしなあー、いったいどうすればいいのやら……。」

「あっ!あのっ!」

 エディは後ろから自身を呼び止める声を聞いた。エディに声を掛けたのは、一昨日暗殺者に命を狙われエディ達に命を救われた行商人のケインであった。

「あれ、あんたは……。」

「はい!あなたに命を救われた者です。一昨日は誠にありがとうございました。私の名前はケイン・タンバーです。以後お見知り置きを。」

 ケインはエディに向かって深々とお辞儀をした。エディはいいんだいいんだと言わんばかりに手を左右に振っている。

「いやいや、あんなところを見て素通りするわけにもいかないしな。」

「なんてお優しい方なんだ。この出会いに感謝します。」

 エディは頭をかきながら、思い出したかのようにケインを見つめる。

――確かこのおっさんは商会のお偉いさん、しかも恐らくはリンフォードの……。これはツキが回って来たかな。

「あの~。俺、まだこの街に着いたばかりで……もしよければここで起きている事を聞きたいんだけど……。」

「はい!何なりと!あっ!そうだ!私もご相談させて頂きたいことがありまして……。もしよろしければ私が所属する商会に来られませんか?」

「あれっ!商会の人だったの!助かるよー!ありがとう!」

 二人が移動しようとしたその時、ケインは申し訳なさそうにエディに向かって質問をした。

「そっそういえば、一昨日一緒にいた少年は今いないのですか?」

「ん?あ~、今は探し物があるとかで、どこかをウロウロとしているとは思うけど……。何かありましたか?」

「あーいえいえ、特に何かあるわけではないのですが……はははっ……。」

 何故、ケインがニケの事について聞いてきたのか、エディにはさっぱりわからなかったが、ここで深く追求する事にあまり意味を感じなかった為、気に留めていない様に振る舞いつつ話を流した。

※∮※⌘※∞※⁂※§※∮※⌘※⁂※

読んで頂きありがとうございます。

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