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怪物
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もう少し、もう少しで洞窟を抜ける。天竜湖まであと少しだ。
「剛造さん!もうすぐ出口です!」
久しぶりの天竜湖、子供の頃の記憶が蘇り、僕の歩調は更に早くなる。
出口の明かりが見えた!
僕らは洞窟を抜けた。
「剛造さん!あれです!あれが天竜湖です!」
そこには、子供の頃の記憶のままの美しい天竜湖の風景が広がっていた。湖畔に佇む真っ黒い廃墟を除いては…
「あれが天竜湖か。ヤツめ、今度の相手はひと味ちゃうぞ。」
天竜湖を見た剛造さんの態度が一変した。凄まじいオーラだ。天竜湖にいったい何がいるというんだ?
「剛造さん、そろそろ聞かせて下さい。ここには何がいるんですか?」
「そのうち分かるで。まずは準備や」
そう言うと剛造さんは、一本の釣竿を取り出し、準備を始めた。
「まっ、まさか魚なんですか?魚ごときの為にこんな大袈裟なことを?」
「魚といえば魚やな。」
準備を進めるにつれ剛造さんの闘志がみなぎっていくのが分かる。
剛造さんの闘志に圧され、僕は言葉を失い、ただただその背中を見つめていた。
しかし、その沈黙は長くは続かなかった。
50メートル程離れた場所でチベタンマスティフのイギーが突如けたたましい唸りを上げた!
バゥバゥバゥバゥ!、ガルルルルゥゥゥゥ!バゥバゥバゥ!!!
湖面に向かって吠え続けるイギー。
何かがイギーの近くにいる!
僕は思わず叫んだ。
「イギー!戻っておいで!早く!」
しかし、時既に遅し。その何かが突如水面を割って姿を現した。
ガバッ!
バックン!
水中に引きづり込まれるイギー。
キャイーンキャイーン……
「いっ、イギー!」
ガシッ!
咄嗟にイギーの元へ駆け寄ろうとした僕の腕を剛造さんが掴んだ。
「ご、剛造さん?離して下さい!イギーが!イギーがー!」
「行ったらアカン!君もヤツの餌食になってまう!」
「でもイギーが…イギー!!」
キャイーンキャイーン…イギーの声が徐々に小さくなる。チベタンマスティフのイギーが成す術なく、水中へと引きづり込まれた。
「イ、イギー!!!」
僕の目から涙が溢れ出た。
「ご、剛造さん!奴が、ヤツがそうなんですね?あの怪物の正体はなんなんですか!」
「やつか?やつは雷魚や。」
「雷魚??あの?」
「そうや、その雷魚や。しかし、見た通り普通の雷魚やあらへん。放射性物質によって巨大化し、凶暴化した雷魚のオバケや。」
「そ、そんな?そんなことって?」
「あるんや!実際に君も今、目にしたやろ?これが現実や。」
ま、まさか、この平穏な天竜村にそんな怪物が…、政府はこのことを隠し、天竜湖を地図から消したというのか?
「君の気持ちはよー分かる。必ずこの剛造様がイギーの敵を討ったる!このゴーゾースティックで!」
剛造さんの闘志がピークに達した。凄まじいオーラだ。
「よっしゃ!いくで!頼んだでー!ゴーゾースティック!!!」
そう言い放つと、剛造さんは、怪物がイギーを引きずり込んだ場所へと、キャストを開始した。
なんて力強く大きな背中なんだろう。この人なら、あの怪物を倒しイギーの敵を討ってくれるにいない。そう思えていた。
数分前までは… 。
「剛造さん!もうすぐ出口です!」
久しぶりの天竜湖、子供の頃の記憶が蘇り、僕の歩調は更に早くなる。
出口の明かりが見えた!
僕らは洞窟を抜けた。
「剛造さん!あれです!あれが天竜湖です!」
そこには、子供の頃の記憶のままの美しい天竜湖の風景が広がっていた。湖畔に佇む真っ黒い廃墟を除いては…
「あれが天竜湖か。ヤツめ、今度の相手はひと味ちゃうぞ。」
天竜湖を見た剛造さんの態度が一変した。凄まじいオーラだ。天竜湖にいったい何がいるというんだ?
「剛造さん、そろそろ聞かせて下さい。ここには何がいるんですか?」
「そのうち分かるで。まずは準備や」
そう言うと剛造さんは、一本の釣竿を取り出し、準備を始めた。
「まっ、まさか魚なんですか?魚ごときの為にこんな大袈裟なことを?」
「魚といえば魚やな。」
準備を進めるにつれ剛造さんの闘志がみなぎっていくのが分かる。
剛造さんの闘志に圧され、僕は言葉を失い、ただただその背中を見つめていた。
しかし、その沈黙は長くは続かなかった。
50メートル程離れた場所でチベタンマスティフのイギーが突如けたたましい唸りを上げた!
バゥバゥバゥバゥ!、ガルルルルゥゥゥゥ!バゥバゥバゥ!!!
湖面に向かって吠え続けるイギー。
何かがイギーの近くにいる!
僕は思わず叫んだ。
「イギー!戻っておいで!早く!」
しかし、時既に遅し。その何かが突如水面を割って姿を現した。
ガバッ!
バックン!
水中に引きづり込まれるイギー。
キャイーンキャイーン……
「いっ、イギー!」
ガシッ!
咄嗟にイギーの元へ駆け寄ろうとした僕の腕を剛造さんが掴んだ。
「ご、剛造さん?離して下さい!イギーが!イギーがー!」
「行ったらアカン!君もヤツの餌食になってまう!」
「でもイギーが…イギー!!」
キャイーンキャイーン…イギーの声が徐々に小さくなる。チベタンマスティフのイギーが成す術なく、水中へと引きづり込まれた。
「イ、イギー!!!」
僕の目から涙が溢れ出た。
「ご、剛造さん!奴が、ヤツがそうなんですね?あの怪物の正体はなんなんですか!」
「やつか?やつは雷魚や。」
「雷魚??あの?」
「そうや、その雷魚や。しかし、見た通り普通の雷魚やあらへん。放射性物質によって巨大化し、凶暴化した雷魚のオバケや。」
「そ、そんな?そんなことって?」
「あるんや!実際に君も今、目にしたやろ?これが現実や。」
ま、まさか、この平穏な天竜村にそんな怪物が…、政府はこのことを隠し、天竜湖を地図から消したというのか?
「君の気持ちはよー分かる。必ずこの剛造様がイギーの敵を討ったる!このゴーゾースティックで!」
剛造さんの闘志がピークに達した。凄まじいオーラだ。
「よっしゃ!いくで!頼んだでー!ゴーゾースティック!!!」
そう言い放つと、剛造さんは、怪物がイギーを引きずり込んだ場所へと、キャストを開始した。
なんて力強く大きな背中なんだろう。この人なら、あの怪物を倒しイギーの敵を討ってくれるにいない。そう思えていた。
数分前までは… 。
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