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7、紫色の再会
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道中で藍さんは手紙を書き上げ、わたしたちは紫音くんのいる児童養護施設のすぐそばまでやってきた。
「そろそろだ。心の準備はいいかい? アイ」
「ええ。やっと、会えるのね。私の息子に……」
住宅街の角を曲がって少し歩くと、子どもたちの声が聴こえてきた。
……そして、施設の外で遊んでいる子どもたちの姿が見えた。
「藍さん、紫音くんは見つかりましたか? 藍さ……」
「……! 紫音……っ!」
藍さんは自分の息子を見つけると、溢れるほど涙が止まらなくなっていた。元気に友達と遊ぶ姿を見て、こらえきれなくなったのだろう。
なんだか、とても、とても温かい涙だ。私が今まで流してきた涙とはちがう。気持ちが伝わる。とっても、温かい涙だ。
「さあ、これで終わりではないだろう? シオンに手紙を渡しに行くよ」
施設の人に事情を説明し、紫音くんと話すことを許可してもらったあと、わたしとアオイ、そして藍さんは紫音君と対面した。…………施設の人たちは黒いローブを着た少女を訝しがってたけど。
「紫音……紫音……!」
涙が止まらない藍さんを見て、わたしは嬉しさだけじゃなくて、うらやましさを感じる。親子って、人って、ここまで相手を愛せる生き物なんだ…………。
「おねーさん、ずっとそっちみてるけど、だれかいるの?」
ずっと藍さんの方を見つめていたわたしを見て、紫音くんが尋ねる。
「んーん、お姉さんたちはね、紫音くんのママからお手紙を預かってきたの」
「ママ? ママはもういないよ?」
「うん。確かにもうこの世にはいない。でも、きっとずっと近くにいて、紫音くんのことを見守ってくれてるんだよ」
そうしてわたしは、藍さんが紫音くんを抱きしめる姿を横目に、手紙を読む。
『紫音へ
生まれてきてくれてありがとう。死んでしまってごめんなさい。
きっと、紫音が幸せになってくれることを、心から願っています。
私は常に、この手紙とともにあります。ずっと、ずっと、近くで愛する紫音を見守っています。
ママより』
「………う、んぐ、うえーーーーーん!」
………届いた。藍さんの心が、言葉が。
紫音くんは手紙を抱きしめひとしきり泣いた。
藍さんも、ずっと泣いていた。
そしてわたしも、ちょっぴり。
きっと、藍さんは成仏しても紫音くんのことを未来永劫見守り続けていくだろう。
……良かった。きっとわたしの進んだ道は、正しかった。
***
「アオイさん、茜さん、ありがとう」
紫音くんと別れ施設を後にし、わたしたちは3人、近くの公園のベンチに座っていた。
「ボクたちはボクたちの仕事をしただけさ。これでキミも未練を断ち切った。そうだろう? アイ」
「ええ。もう、これ以上ないくらいに。だって私は、この先もずっと紫音と一緒にいられるのだもの。…………茜さん、これもあなたのおかげよ。本当にありがとう!」
「わたしは、何もしてないです。藍さんの強い気持ちが、わたしたちに伝わった。それが、紫音くんに伝わった。それだけなんだと思います。それに、わたしも何か、何かはわからないけど、とてもいいものを二人からもらった気がするんです」
「そう…………」
藍さんの顔は夕日に照らされて輝いていた。
「…………! そろそろこの世と、二人とはお別れみたいね」
藍さんの体から光が満ち始める。きっと、これが向こうへ行ってしまうサインなんだろう。
「アオイさん、茜さん、本当にありがとう。これで私は満足して逝くことができる」
「ああ。これで依頼達成だ。……ボクはあの世に行ったことがないからこれはただの勘だが、アイ、キミは地獄に堕ちることはないだろう。安心して逝くといい」
「アオイさんが言うなら、きっとそうなんでしょうね。」
藍さんの笑顔は、優しく輝いていた。
「……それから、茜さん。あなたはとても優しくて、とても強い子よ。私なんかよりずっとね。だから、あなたは生きて、幸せになって」
「藍さん……。はい、約束します!」
直後、藍さんは消えた。跡形もなく。
でも、藍さんは確かに存在している。わたしとアオイの頭の中に。そして、紫音くんの心の中に。
「そろそろだ。心の準備はいいかい? アイ」
「ええ。やっと、会えるのね。私の息子に……」
住宅街の角を曲がって少し歩くと、子どもたちの声が聴こえてきた。
……そして、施設の外で遊んでいる子どもたちの姿が見えた。
「藍さん、紫音くんは見つかりましたか? 藍さ……」
「……! 紫音……っ!」
藍さんは自分の息子を見つけると、溢れるほど涙が止まらなくなっていた。元気に友達と遊ぶ姿を見て、こらえきれなくなったのだろう。
なんだか、とても、とても温かい涙だ。私が今まで流してきた涙とはちがう。気持ちが伝わる。とっても、温かい涙だ。
「さあ、これで終わりではないだろう? シオンに手紙を渡しに行くよ」
施設の人に事情を説明し、紫音くんと話すことを許可してもらったあと、わたしとアオイ、そして藍さんは紫音君と対面した。…………施設の人たちは黒いローブを着た少女を訝しがってたけど。
「紫音……紫音……!」
涙が止まらない藍さんを見て、わたしは嬉しさだけじゃなくて、うらやましさを感じる。親子って、人って、ここまで相手を愛せる生き物なんだ…………。
「おねーさん、ずっとそっちみてるけど、だれかいるの?」
ずっと藍さんの方を見つめていたわたしを見て、紫音くんが尋ねる。
「んーん、お姉さんたちはね、紫音くんのママからお手紙を預かってきたの」
「ママ? ママはもういないよ?」
「うん。確かにもうこの世にはいない。でも、きっとずっと近くにいて、紫音くんのことを見守ってくれてるんだよ」
そうしてわたしは、藍さんが紫音くんを抱きしめる姿を横目に、手紙を読む。
『紫音へ
生まれてきてくれてありがとう。死んでしまってごめんなさい。
きっと、紫音が幸せになってくれることを、心から願っています。
私は常に、この手紙とともにあります。ずっと、ずっと、近くで愛する紫音を見守っています。
ママより』
「………う、んぐ、うえーーーーーん!」
………届いた。藍さんの心が、言葉が。
紫音くんは手紙を抱きしめひとしきり泣いた。
藍さんも、ずっと泣いていた。
そしてわたしも、ちょっぴり。
きっと、藍さんは成仏しても紫音くんのことを未来永劫見守り続けていくだろう。
……良かった。きっとわたしの進んだ道は、正しかった。
***
「アオイさん、茜さん、ありがとう」
紫音くんと別れ施設を後にし、わたしたちは3人、近くの公園のベンチに座っていた。
「ボクたちはボクたちの仕事をしただけさ。これでキミも未練を断ち切った。そうだろう? アイ」
「ええ。もう、これ以上ないくらいに。だって私は、この先もずっと紫音と一緒にいられるのだもの。…………茜さん、これもあなたのおかげよ。本当にありがとう!」
「わたしは、何もしてないです。藍さんの強い気持ちが、わたしたちに伝わった。それが、紫音くんに伝わった。それだけなんだと思います。それに、わたしも何か、何かはわからないけど、とてもいいものを二人からもらった気がするんです」
「そう…………」
藍さんの顔は夕日に照らされて輝いていた。
「…………! そろそろこの世と、二人とはお別れみたいね」
藍さんの体から光が満ち始める。きっと、これが向こうへ行ってしまうサインなんだろう。
「アオイさん、茜さん、本当にありがとう。これで私は満足して逝くことができる」
「ああ。これで依頼達成だ。……ボクはあの世に行ったことがないからこれはただの勘だが、アイ、キミは地獄に堕ちることはないだろう。安心して逝くといい」
「アオイさんが言うなら、きっとそうなんでしょうね。」
藍さんの笑顔は、優しく輝いていた。
「……それから、茜さん。あなたはとても優しくて、とても強い子よ。私なんかよりずっとね。だから、あなたは生きて、幸せになって」
「藍さん……。はい、約束します!」
直後、藍さんは消えた。跡形もなく。
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