最弱装備でサクセス〜どうのつるぎとかわの防具しか買えなかった俺だけど【レアリティ777】の効果が凄すぎて最強になってしまった〜

キミちゃん

文字の大きさ
41 / 397
第一部 サクセス編(改稿版)

40 サプライズボックス

しおりを挟む
 この塔は地上六階建ての作りとなっており、一階毎のフロアの天井が高い。
 それを考えると、今のところ遭遇していないが、もしかしたら大型のモンスターもいるかもしれないな。
 あまり音をたてられない今、できれば御遠慮願いたいものだ。 


「思ったよりも、敵は雑魚ね。でもこれだけ多いと滾ってくるわね!」 

「油断するなよ。気を抜けば一気に押し込まれるぞ!」


 塔の二階に上がったところで、リーチュンに忠告する。
 現在の陣形は、前衛にリーチュン、ゲロゲロ、中衛にイーゼ、シロマ、そして後衛に俺。
 なぜ俺が後衛かというと、主に中衛の護衛をするためと突然のバックアタックを防ぐ為である。

 今のところ、塔に現れたモンスターは、

 ヒールスライム
 呪われた鎧
 ドラキュラマン
 海賊蟹
 デスカラス

だった。

 正直どの敵も、奇襲にさえ対応していれば全く問題ではない。
 しかし、問題はその数だ。
 流石に広くて高い塔なだけあって至る所に魔物がうじゃうじゃいる。
 リーチュンとゲロゲロは楽しそうだが、俺は、正直言って結構しんどい。
 俺はパーティに万が一が無いように、前後左右、そして上方にも警戒して進んでいるためだ。

 この塔に現れるドラキュラマンは、黒い羽根を閉じて黒い球に擬態すると、突然上から襲ってくるから上方にも注意が必要だった。
 毎回突然襲い掛かってくるから、心臓に悪い。
 まぁそのためが俺は後衛にいるのだがね。

 その後も順調に進んで行くと、俺達は三階のフロアである物を見つけた。
 そう、ダンジョンの醍醐味、宝箱である。 


「あ! 宝箱! 宝箱が沢山あるわ!」

 なんとそのフロアには八個もの宝箱が置かれていた。
 そして宝箱の先には、上の階に上がれる階段もある。
 リーチュンのテンションが上がるのも無理はない。
 俺だってそれを見た瞬間興奮していた。 


「おお、すげぇ! 初めてみたわ、宝箱!」


 俺は、リーチュンと一緒になって喜ぶ――が、中衛のイーゼだけは訝しめな目でそれを見ている……。
 さっそく俺とリーチュンは宝箱を開けようと近づくと突然イーゼが叫んだ。 


「お待ちください! こんな所にあるなんて怪しいですわ!」


 しかし、その警告は少し遅かった。
 俺はその声で止まることができたが、リーチュンは既に宝箱を開けようとしていたのだ。

 その時である……。

 リーチュンが開けようとした宝箱は自分で開いた。

 否!!

 開いたのではなく襲い掛かってきたのだ。

 どうやら宝箱だと思っていた物は、魔物だった。 


「きゃあぁぁぁ!」


 突然襲われたリーチュンは反応が遅れ、のぞき込もうとした顔面を、今まさにギザギザの牙がついた箱の蓋に噛みつかれようとしていた。

 まずい! 間に合わない!

 俺がそう思った瞬間、何かがリーチュンに体当たりをしてリーチュンを吹き飛ばした。
 体当たりをしたのは、ゲロゲロ。

 ゲロゲロは、俺よりも早く魔物を察知し、リーチュンを助ける為に動いていた。 


「ゲェロォォ!」


 ゲロゲロは、その小さな胴体を思いっきり宝箱にかじられて叫ぶ。
 すると、ゲロゲロの体から大量に血が流れだした。
 かなりダメージが深そうだ。

 ゲロゲロに遅れてその魔物に近づいた俺は、思いっきり剣を振りかぶり、宝箱の魔物をぶっ叩いた!

 ゲロゲロへの追撃は許さない!


 ゴン!


 フロアに鈍い音が響く。 


「くそ! 堅い!」


 宝箱には剣の跡がくっきりと凹むも、破壊はできなかったようだ。
 思いのほか敵は頑丈だった。
 叩いた俺の方が、手を痺れさせてしまう。

 がしかし……そいつは、そのまま灰になって消えた。
 どうやら破壊しなくてもいいようだ。
 だが、あの感じだと他のメンバーなら数撃は与えないと倒せそうにない。

 コイツは危険だ!

 ゲロゲロが受けたダメージからもわかるが、どうやらこいつの攻撃力は他の魔物に比べて異常に高い。 


「エクスヒーリング!」


 すると、いつの間にかシロマはゲロゲロに近づいて回復魔法を唱えていた。

 聞いたことがない魔法だ。
 どうやらレベルが上がった事で覚えた上級魔法らしい。
 その魔法はライトヒールと違って一瞬で傷が癒えはしない。
 しかし痛みも取り除いてくれるようで、ゲロゲロは、気持ちよさそうにしていた。

 そして数秒後には、ゲロゲロの傷が完全に消える。


「シロマ、ありがとう。ところで、その魔法はなんだ?」 

「ヒールの上位魔法です。レベルが大分上がった事で使えました。」 

「そうか……助かる。みんなすまない、俺のミスだ。」


 俺は油断したことに謝罪する。
 初めての宝箱に目がくらみ、一緒になって宝箱に飛びついてしまった。

 一歩間違えればリーチュン、そしてゲロゲロも死んでいたかもしれない。 

 俺は何をやっているんだ!
 油断しないと決めたじゃないか!


「違う! サクセスのせいじゃない、アタイのミスよ。ごめんね、みんな。次はもっと気を付けるわ。」


 リーチュンが申し訳なさそうに謝るも、イーゼの目は厳しい。 


「ゲロゲロがいなかった次は無かったでしょうね。どんなダンジョンでも一つのミスが致命的になる事は多いのですわ。サクセス様も肝に銘じておいてくださいね。」


 イーゼは俺と違い、こういった事を何度も経験をしているのだろう。
 それこそ、沢山の仲間の死も見て来たと思う。
 だからこそ、その言葉は重かった。

 俺は仲間を絶対に一人も失いたくない! 


「わかった。今の言葉は心に深く刻んでおくよ。ありがとうイーゼ。それでこの宝箱はどうすればいいんだ? 俺が開ければ平気か?」


 俺は宝箱をこの後どうするか聞いてみる。 


「いいえ、その必要はありません。いくらサクセス様でも奇襲は危険ですわ。大丈夫ですわ、いい魔法がございますから。【インパルス】」


 イーゼは突然その魔法を唱えると、小さな電流が杖から放たれて全ての宝箱に直撃する。
 すると、宝箱の中心に赤色と青色のオーラがもわっと浮かび上がった。 


「これで、どれがモンスターか直ぐにわかりますわ。青色く光れば罠や魔物はなし。赤色なら罠か魔物ですわ。」


 そのフロアに残っていた宝箱の内、一つは赤色、残り六個は青色だった。
 どうやら俺が開けようとしたのはセーフだったらしい。 


「思ったよりも赤が少ないな。じゃあ先に赤色の宝箱は、俺がぶっ叩いておけばいいか?」 

「そうですわね、サクセス様ならそれもありかと。一応罠の可能性もあるので気を付けてください。」


 イーゼからお許しが出た。
 俺はさっそく赤色の宝箱目掛けて、少し離れたところから剣を叩き込む。


 ガッチーーーン!


 剣が弾かれた!?
 なんでだ?
 さっきはめり込んだはずなのに。

 しかし宝箱は動かない。
 これはどういうことだ? 


「サクセス様、どうやらそれは罠のようです。ですので、開けないでください。」


 なるほど、これが罠か。
 毒矢くらいならいいけど、眠りガスとか出てきたらたまらないな。
 こんなところで寝てしまったらひとたまりもない。
 いい経験になった。 


「それでは安全も確認できたことですし、他の宝箱を開けていきましょう。」


 どうやらずっと静観していたシロマも、宝箱が気になっていたらしい。 


「ところでイーゼ、あれはなんていう魔物だったんだ?」 

「あれはサプライズボックスですね、あの系統だと一番弱い奴です。他にもデスミミックやデッドエンドといった上位モンスターもいますが色が違います。上位モンスターは即死系の技を使ってきますので、近づいてはいけません。遠距離から攻撃ですわ。」


 まじかよ、即死技とか超やべぇじゃん。
 それにこいつは、この強さで一番雑魚か。
 宝箱にリスクはつきものっていうのは、この事だな。

 だが、サプライズボックスなんて可愛い名前を付けた奴は殴ってやりたいぜ。

 そうこうしている内に、リーチュンとシロマは、いつの間にか全ての宝箱を開けていた。
 ほとんど低級回復アイテムだったが、一つだけレア物もある。


【疾風の杖】 攻撃力22 スキル ギバ レアリティ150


「おお、ギバってもしかして魔法か?」

「はい、私が使える風魔法で一番弱い奴です。でも魔力消費なく使えるならば、気兼ねなく使えるので便利そうですね。」

 シロマが喜んでいる。
 これはシロマに渡すか。 


「よし、じゃあこれはシロマが装備してくれ。風魔法なら音も少ないだろうし、その杖を使って前衛をサポートしてくれると助かる。」 

「わかりました! 嬉しいです!」

 シロマは、杖を抱いて喜んだ。
 杖に嬉しそうに頬ずりしている姿が、なぜか卑猥に見えるのは溜まっているせいだろうか……。

 何はともあれ、トラブルもあったが、全員無事でよかった。
 次からはもっと慎重にいかねば。

 そう決意した俺は、そのまま四階への階段を上っていくのだった。


 いにしえの塔 最上階 現在のパーティ 

 サクセス  戦士?(魔物つかい) レベル24(総合1175)
 リーチュン 武闘家        レベル37(総合205)
 シロマ   僧侶         レベル37(総合205)
 イーゼ   魔法使い       レベル38(総合210) 
 ゲロゲロ  フロッグウルフ    レベル35(戦闘力360)
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

追放された『ただの浄化係』、実は国中の魔石を満たしていた精霊姫でした〜今さら戻れと言われても、隣国のイケメン皇帝が離してくれません〜

ハリネズミの肉球
ファンタジー
「おい、城の噴水が止まったぞ!?」 「街の井戸も空っぽです!」 無能な王太子による身勝手な婚約破棄。 そして不毛の砂漠が広がる隣国への追放。だが、愚かな奴らは知らなかった。主人公・ルリアが国境を越えた瞬間、祖国中の「水の魔石」がただの石ころに変わることを! ルリアは、触れるだけで無尽蔵に水魔力を作り出す『水精霊の愛し子』。 追放先の干ばつに苦しむ隣国で、彼女がその力を使えば……不毛の土地が瞬く間に黄金のオアシスへ大進化!? 優しいイケメン皇帝に溺愛されながら、ルリアは隣国を世界一の繁栄国家へと導いていく。 一方、水が完全に枯渇し大パニックに陥る祖国。 「ルリアを連れ戻せ!」と焦る王太子に待っていたのは、かつて見下していた隣国からの圧倒的な経済・水源制裁だった——! 今、最高にスカッとする大逆転劇が幕を開ける! ※本作品は、人工知能の生成する文章の力をお借りしつつも、最終的な仕上げにあたっては著者自身の手により丁寧な加筆・修正を施した作品です。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

ハズレスキル『自動販売機』を授かって婚約破棄されましたが、 実は回復薬も魔力食も出せる最強スキルでした

暖夢 由
ファンタジー
十八歳の成人儀式で授かったのは、誰も聞いたことのない《自動販売機スキル》。 役立たずと嘲られ、婚約者レオンには即座に婚約を破棄され、人生が崩れ落ちたように思えた。 だがそのスキルには、食べ物を作り、摂取すれば魔力を増やし、さらに“治癒効果”を付与できるという隠された力があった。 倒れた母を救い、王都の名門・ヴァルセイン伯爵夫人を救ったことで、カミーラは“呪詛”という闇の存在を知る。伯爵邸で出会った炎の力を持つ公爵家次男レグナスとの出会いが、彼女の運命を大きく変えていく。 やがて王都全体に“謎の病”が蔓延。カミーラは治癒スープの炊き出しを行い、人々を次々と回復へ導く。 一方、病の裏で糸を引いていたのは………。 “無価値”と嘲られたスキルが、いま世界を癒し、未来を照らす光となる――。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

治癒魔法で恋人の傷を治したら、「化け物」と呼ばれ故郷から追放されてしまいました

山科ひさき
恋愛
ある日治癒魔法が使えるようになったジョアンは、化け物呼ばわりされて石を投げられ、町から追い出されてしまう。彼女はただ、いまにも息絶えそうな恋人を助けたかっただけなのに。 生きる希望を失った彼女は、恋人との思い出の場所で人生の終わりを迎えようと決める。

処理中です...