最弱装備でサクセス〜どうのつるぎとかわの防具しか買えなかった俺だけど【レアリティ777】の効果が凄すぎて最強になってしまった〜

キミちゃん

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第一部 サクセス編(改稿版)

66 ボッサンの秘密

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 翌朝俺たちは全員食堂に集まった。


「ねぇ、あたちお腹空いた!」


 ちびうさは、昨日の事をもう忘れたのか、朝から元気いっぱいに走り回っており、今はリーチュンの足に抱きつきながらご飯をねだっている。
 ちびうさは大分リーチュンに懐いているようだ。
 リーチュンもちびうさに抱きつかれて嬉しそうにしてる。


「よし! 朝はアタイが作ってあげる!」

「ヤッタァ! あたち卵食べたい!」

 そういうと、リーチュンは勝手に調理場に入り始めた。


 いいのか?
 まぁいい、ちょっと俺も行って、金を握らせて許してもらおう。

 なんだか、あんな話を聞いたせいか、俺もちびうさを甘やかしたくなる。

 そんな感じで賑やかな朝食も終わると、早速今日も二手に分かれて情報収集を始めた。
 本来なら、今日は俺とリーチュンだったのだが、昨日の話で決まった通り、今日はイーゼと二人で行動する。

 リーチュンも、ちびうさと離れたくないのか、何も文句は言わなかった。


「じゃあみんな、頼んだぞ。とりあえず昼に一度宿屋に集まってくれ、途中経過が知りたい。」


 俺がそういうと全員頷いた。


「さて、イーゼ。どこから探しに行く?」

「サクセス様が行くところならどこでも。」


 早速俺はイーゼに聞くと、イーゼは突然俺の腕に自分の腕を絡めて言った。


「あのなぁ、俺はボッサンが見つかりそうな場所を聞いているんだが? あと、腕組むのはやめてくれ、恥ずかしい。」

「嫌です。今日は私とデートなんですから、腕を組んでくれなければ、どこにいそうか教えません。」


 くっ!
 俺も嫌なわけではない。
 特にこのむにゅッとする感触はやみつきになるくらいだ。
 ただ、ちょっと恥ずかしい。


「わかったわかった、じゃあこのままでいいよ。んで、どこ行けばいいんだ?」

「サクセス様はとんでもなく強運なので、適当に歩いていれば見つかるかと。」

「おいおい、んな適当な。そんなに上手くいくはずが……ん? なんか人が集まってるな。」


 俺がそんな事を言いながら歩いていると、防具屋の前に人集りができているのが見える。


「ほら、早速ですよサクセス様。ボッサンがどんな方かは知りませんが、多分あの中にいますわ。」


 イーゼは適当な事を言っているが、その目は、俺の運を信じて疑わない目だ。
 その目で言われると、なんだか俺も本当にそこにボッサンがいるような気がしてくる。
 そして、近づくにつれて怒号がハッキリと聞こえた。
 どうやら客と店主が言い合いになっているようである。


「なんで昨日は500ゴールドで買い取ったのに、今日は300ゴールドなんだ! ふざけんな、こんインチキ店主!」

「素人が適当な事言ってんじゃねぇよ。値段は毎日変わるもんだ。文句があるなら他に行け!」

 二人は掴み合って怒鳴っており、今にも殴り合いの喧嘩が始まりそうだった。
 周りの野次馬達は、二人の喧嘩を期待して煽っている。

 そして喧嘩をしている男の声は、昨日聞いた声だ。
 野次馬をかき分けて見てみると、そこにいたのはやっぱりボッサンだった。


「本当にいやがった……。」

「だから言ったじゃありませんか。早く喧嘩を止めに入りましょう。」


 早速俺は、二人の間に割って入ると、喧嘩を止めようとした。


「二人とも落ち着いてくれ、衛兵が来たら面倒だぞ。ボッサン、金は俺が払うから抑えてくれ!」

「あん? いきなりなんだってんだ!……お前は! 昨日のあんちゃん!」


 ボッサンは俺に気づくと、店主を掴むのをやめた。
 するとボッサンに掴まれていた店主は


「二度とうちの店に来んじゃねぇ!」


と捨て台詞を吐いて店の中に戻る。


 周りの野次馬達は、ことの顛末につまらなさそうにして、その場からはけていった。


「チッ! 誰がこんなゴミしか置いてない店に来るかよ! 潰れちまえバカ!」


 ボッサンは最後にそれだけ言ってその場から離れて行く。


「待ってくれ、ボッサン。話がある。」


 俺は、急いでボッサンを追いかけて行くと、ボッサンは俺に振り返って言った。


「なぁにぃちゃん。まだなんか俺に用があるのか? 何を聞きたいかはわからねぇが、他を当たってくれ。俺は今、腹の虫の居所が悪りぃんだわ。」

「あら、おじさま。そんなにつれないこと言わないでくださらない? 少しでいいのよ。」


 するとイーゼは色っぽい仕草でボッサンに近づいて言った。


「お、お、お、おおお。とんでもねぇ美人だなアンタ! んでなんだい? なんでも聞いてくれよ、なんなら落ち着いて話せるところに行こうか?」


 ボッサンは、イーゼを見た瞬間に態度がコロッと変わった。


 やはり、男はスケベだな。
 イーゼの色香に一発で落ちやがった。


「いいわよぉ、でもこの人も一緒じゃなきゃや~よ。」

「お、おう。構わねぇぜって、おい! 兄ちゃん、昨日あれだけいい女連れてて、今度はこんな色っぺぇネェちゃん連れてくるなんて……爆発しろ!」

「たまたまだ。二人とも俺の大事なパーティなだけだ。邪推すんなや。それより、落ち着いた場所行くんだろ? 早く案内してくれ。」

「はぁ……ったく世の中不公平だぜ。」


 ボッサンは、そう言いながら落ち着いた雰囲気のカフェに入っていった。
 三人は席に座ると、コーヒーと甘い物を注文する。


「んで、にいちゃん。何が聞きてぇんだ。まぁもうわかってると思うが、対価は払ってもらうぜ?」

「あぁ、わかってる。んじゃ早速聞かせてくれ……」

 俺がそう言おうとした瞬間、イーゼの人差し指が俺の唇にあたる。

 イーゼが俺の言葉を遮った。


「まぁまぁサクセス様。とりあえずコーヒーを飲んでからにしませんか? いきなり聞いても落ち着きませんよ。」

「かぁぁぁ! 本当にいいネェちゃんだな。どうだい? この後俺と……って冗談だって。毎回そんな怖い顔すんなよ。というか、少しは俺にも分けてくれ。」

「あらやだ、サクセス様が嫉妬してくれたわ。もう、可愛いんだから。」

「もう勝手にしてくれ。」


 俺は、何も言う気が失せたので、後はイーゼに任せることにした。


「それでネェちゃんは何が聞きたいんだ? 俺は、これでもまだ独身だぜ。」

「あら、それも気にはなりますが、とりあえず先に聞くことがありますの。あなたはなんでちびうさちゃんが見えるんですの?」

「はっはっは、いきなり何を。見えるに決まってるじゃねぇか。俺はまだ老眼じゃねぇぜ。」

 ボッサンが笑いながらそういうと、イーゼは鋭い目つきで更に問い詰める。

「そういうのはもういいですわ。そもそも、ちびうさちゃんと言う名前を言って、理解しているだけで、もうその答えは出ていますわ。それと単刀直入に言いますわね。あなた……ギルドマスターでしょう? いえ、正確にいうと元ですかね。」


 え?
 ボッサンがギルドマスター?
 なにそれ? どういうこと?
 いや、それもそうだが、確かに俺はちびうさの名前をボッサンに伏せていた。
 それで理解しているのだから、やはりこいつは何か隠している。
 

 すると、ボッサンの顔から笑みがが消え、明らかに様子が変わった。
 そして、焦った様子でキョロキョロと周囲を窺い始めている。


「ネェちゃん……どこでそれを? アンタどこまで知ってんだい?」

「ふふふ、秘密です。それで赤のオーブは今どこにあるんですの?」


 赤のオーブ!?
 え?
 ちびうさが持ってるんじゃ……
 あれ?
 でも確かに見たことないな。


「そうか、赤のオーブの事も知ってるか。だが残念、それは俺にも分からん。本当だ。」

「そうですか、わかりましたわ。では質問を変えますわ。三十年前に、あなたはマモルさんに何を頼まれたのかしら? ちびうさちゃんの事も含めて、他の事を頼まれていたはずだわ。それを教えて頂戴。」


 えええ!? マジかよイーゼ!
 つうか、そこまで話だっけか?
 いや、うん。
 サラッとだが話してるな。
 しかしそれだけで……。
 恐るべしイーゼ。


「そうか、遂にこの時が来たんだな。お前達がそうか……。わかった、話そう。ただ、これを聞いたなら、俺とお前達は一蓮托生だ。今後何があっても裏切らないでくれ。」


 今までのボッサンと違い、かなり真剣な様子だ。
 どうやら、これが本当のこいつらしい。
 まぁ、正直何の話なのかちんぷんかんぷんだがね。
 とりあえずここは知ったかぶりのポーズで黙ってよう。


「わかりましたわ、約束をします。いいですわね? サクセス様。」


 えええ!
 ここで振るの!?
 何の約束?
 あぁ、裏切らないって事か。


「当然だ、約束は守る。」


 とりあえず真剣な顔を作って重苦しく言ってみた。


 ふぅ、これで大丈夫だよな?
 もう俺に振らないでくれよ……。


「という事ですので、話して下さい。」

「わかった、話そう。どこから話せばいいか分からんが、ネェちゃんが言う通り、俺は昔ギルドマスターだった。俺はドワーフだから三十年経っても見た目だけはあまり変わらないが、これでも80歳だ。」


 え?
 そうなの?
 ドワーフって長寿なの?


「わかってましたわ。その体つきを見れば直ぐに気づきましたわ。」


 ふむ、流石100超えのイーゼは博識だ。
 そういえば、ちょっと前までモーホとか言うドワーフともパーティ組んでいたみたいだし、知ってて当然か。


「まぁエルフのネェちゃんなら直ぐ気づくわな。話を戻すぞ。マモルは……俺の親友だった。あいつは本当にいい奴だったよ。だが
、もうあいつもヌーウもいねぇ。俺は残されたちびうさをマモルから託されていたんだ。」

「そのようですわね、続けて下さい。」

「俺は、ちびうさの面倒を見ることを約束して、ある日マモルの家に行ったんだ。ただ、マモルがそんなに早く城に乗り込んだって知らなくてよ。マモルが死んだ事にも気づかなかった俺は……大分遅れちまったんだ。」


 ボッサンは、当時を思い出して悔やみきれない思いなのか、沈痛な面持ちになる。


「そして気付いた時には手遅れだった……。」

「手遅れというのは、マモルさん達の事ですか?」

「いや、それもあるがそうじゃねぇ……俺は、約束を守れなかったんだ。俺がマモルの家に行った時には……もう、ちびうさは死んでいたんだ。多分ずっと何も食べずに父親と母親を待ってたんだろうな……。家は綺麗に片付いていたし、腐り切った飯がテーブルには並べられていた……。」


 ボッサンの目には涙が溜まっている。
 思い出したのだろう。


 しかし、今はそこじゃない!
 ちびうさが既に死んでた?
 どう言う事だ?
 ちびうさは生きてるぞ?


 しかし、イーゼの表情は変わらない。
 どこか納得をしたような顔をしている。


「それは辛かったですね……。そうですか、そこであなたは見つけたのですね? 赤のオーブを。」


 ボッサンはバッと顔上げて驚いた顔をする。


「ネェちゃん、本当に何者なんだい?」

「私はただ、今ある情報から推理していただけですわ。実際に合ってるかどうかは、あなたの口から聞くまではわかりませんわ。」

「そうか、昨日の嬢ちゃんといい、ネェちゃんといい、大したもんだ。なるほどな、そこのにぃちゃんが連れてきた意味がやっとわかったぜ。アンタ大した食わせ者だよ。」

「俺の仲間は優秀だからな。」


 うん、俺が言えるのはこれだけだ。
 さっきからビックリし過ぎて、頭のネジがぶっ飛びそうだわ。


「それであってるのかしら?」

「あぁ、その通りだ。俺はそこでちびうさが赤のオーブを大事そうに抱えているのを見た。多分、父親と母親に見せたかったんだろうな。ちびうさは幸せそうな顔で……死んでいたよ。だけどな、そこで俺は更に驚いたんだ。突然その赤のオーブが光ると、消えてしまって、なんとちびうさが生き返ったんだ。嘘じゃねぇ、本当だ。」


 ふむふむ、つまりちびうさは死んだけど、生き返ったと……。
 もう無理。
 完全に頭パンクだよ。


「なるほど。わかりましたわ、それでもう一つの約束とはなんですの?」

「あぁ、それはな。真実の姿を現すヌーの鏡というアイテムを見つける事だ。いいか、よく聞け。この国の王はモンスターだ。間違いない。それを暴くために俺はこの三十年間必死に探していたんだ。」

「やはりですか……。それで見つかりましたの?」

「あぁ、最近やっと見つけた。カジノだ。カジノで五万コインと交換できる。それで俺は、コインをあの手この手で集めていたんだ。頼む! 俺にコインを……いや、アンタでもいい。ヌーの鏡を交換してきてくれねぇか? 俺はマモルとの約束を何一つ守れなかった。だからこれだけは守りたいんだ。頼む!」

 ボッサンは頭をテーブルにつけて、俺たちに必死に頼んだ。
 その姿に嘘偽りは無さそうだった。


 しかし、その時予想外の事が起こるのだった……。
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