118 / 397
第二部 新たなる旅立ち
第三十五話 テイク・ツー
しおりを挟む
「いやぁぁぁ!」
ガバっ!!
ビビアンは目覚めると、実家のペッドの中にいた。
全身からは嫌な汗が吹き出している。
ドガン!
「どうした!? ビビアン! 何があった!?」
父親がビビアンの叫び声を聞き、部屋に飛び込んできた。
「お、お父さん……。私……私……。」
「どうしたビビアン? 何があった? お父さんに話してみなさい。」
ビビアンは話せなかった。
当然である。
あんなとんでもない事を簡単に口になどできない。
そして、ふとベッドに置かれているカレンダーが目に入った。
このカレンダーは、サクセスを追いかけるために、その日になるまで毎日、その日が終わる度に×印をつけていたものだ。
そして、そのカレンダーに書かれている日付は、サクセスが村を出てから20日後である事を伝えてくれた。
良かった……。
夢だった……。
ほっとしたビビアンは、そのままベッドにグッタリと横たわる。
「どうしたっていうんだビビアン?」
「ごめんなさいお父さん。悪い夢を見て叫んでしまっただけだわ。心配させてごめんね。」
「いいんだよ。サクセス君がいなくなって、ビビアン元気なかったもんな。そうだ、今日はお父さんと一緒に山狩りでも行かないか? スカッとするぞ!」
「ありがとう。でも、今日はやめておくわ。少しこのまま寝たい気分なの。」
「わかった。でも気が変わったらいつでも言ってくれ。お前は俺の大事な娘なんだからな。」
それだけ言うと父親はビビアンの部屋から出て行った。
「こんな夢を見るなんて……不吉だわ。サクセスに何かあったんじゃ。」
すると今度は下から母親の声が聞こえてきた。
「ビビアーン! ビビアーン! お手紙来てるわよぉ~。誰かしらね? あ、サクセス君からだわ。」
ガバッ!
サクセスからの手紙と聞いて、一目散に一階に駆け降りた。
「どれ!? それね、貸して!」
母親の手に握られていた手紙を奪い取ると、また2階に駆け上がって、自分の部屋に入る。
封筒に書かれているサクセスの文字。
その手紙が間違いなくサクセスからの手紙である事を確信した。
すぅ~……はぁ~……。
「よし、開けるわ!」
心を落ち着けてから、手紙の封を開ける。
ビビアン様
ビビアン、元気してるか?
最後にあんな形で別れてしまったから、少し心配していたんだ。
ビビアンは寂しがりやだから、俺がいなくなって落ち込んでいるんじゃないかと……って俺が言える話じゃないな。
俺はさ、ずっとビビアンに守られてきた。
最初は嬉しかったよ。
でも、いつからかそんな自分が情けなくてさ……。
だから、ビビアンを守れる位強くなりたかったんだ。
「サクセス……そうだったんだ……。だから聞いても何も言ってくれなかったのね。でも、良かったわ。元気そうね。」
そこまで読んだビビアンは、さっきまでの不安から、サクセスから手紙が届いた事の嬉しさに変わり、笑みを漏らしていた。
そして、また続きを読み始める。
※続き
それでさ、とりあえず頑張ってみたんだ。
ずっと貯めていた300ゴールドで、ショボい装備買ってさ。
誰も俺みたいな弱そうな男の仲間になんかなってくれなくて、とにかく死ぬ気でスライムと戦ったさ。
でも、俺がやっと倒せたスライムは、大した金にならなくてね。
毎日パンの耳を少しかじって生活してたんだ。
ここで泣き言を言って帰れば、ビビアンに合わせる顔がないからな。
でもな、そんな俺に仲間が出来たんだ。
なんか俺が一人で苦労しているのを見て声をかけてくれた人達がいてさ。
これからその人達と一緒にダンジョンに行くことになる。
俺絶対強くなって、必ずビビアンを守れる男になるから!
だから待っててくれ!
サクセス。
「もう! サクセス! 無理しなくて良いのに! そっかぁ、サクセスは頑張ってるんだぁ。アタシの為に……。ふふふ。後十日ね、そしたらサクセスに会いに行けるわ。でも気をつけないとね、サクセスって見栄っ張りだから……。今度はあまり前に出ないようにしてあげようかしら。」
サクセスからの手紙を読み終えたビビアンは、手紙を抱きしめながら嬉しそうに微笑んでいる。
十日後が今から楽しみで仕方がない感じだ。
ビビアンが、手紙をもう一度封筒に入れて、ぶんぶんと振り回していると、案の定、封筒から入れたばかりの手紙が落ちてしまった。
「あれ? これなにかしら?」
それを拾おうとしたら、封筒の中にもう一枚手紙が入っていたらしく、それに気づく。
不思議に思いつつも、その手紙を手に取り内容を読んだ。
このたびは思いもかけないことで、まことに残念でなりません。お慰めの言葉もございませんが、どうかお力落としなさいませんように。
この手紙は、差出人が亡くなった時、その遺族の方等に冒険者ギルドから送られる手紙となります。
冒険者 サクセス 享年16歳
死亡場所 アリエヘン北側の森
遺体と冒険者カードにつきましては、この手紙が届く翌日にはご遺族までお届けする事となっております。
お悔やみ申し上げます。
…………。
…………。
「うそ……なんかの間違いだわ……。そんな……だって……。サクセスが死んだ? サクセスにもう会えない……。」
…………。
ビビアンは放心状態になった。
「サクセスのいない世界……。」
「サクセス……ごめんね。遅くなったけど、今……逢いにいくわ。」
そして花瓶の横に置いてあったハサミを手に取って、そのまま自分の首に切先をあてる。
ザシュ……。
ガバっ!!
ビビアンは目覚めると、実家のペッドの中にいた。
全身からは嫌な汗が吹き出している。
ドガン!
「どうした!? ビビアン! 何があった!?」
父親がビビアンの叫び声を聞き、部屋に飛び込んできた。
「お、お父さん……。私……私……。」
「どうしたビビアン? 何があった? お父さんに話してみなさい。」
ビビアンは話せなかった。
当然である。
あんなとんでもない事を簡単に口になどできない。
そして、ふとベッドに置かれているカレンダーが目に入った。
このカレンダーは、サクセスを追いかけるために、その日になるまで毎日、その日が終わる度に×印をつけていたものだ。
そして、そのカレンダーに書かれている日付は、サクセスが村を出てから20日後である事を伝えてくれた。
良かった……。
夢だった……。
ほっとしたビビアンは、そのままベッドにグッタリと横たわる。
「どうしたっていうんだビビアン?」
「ごめんなさいお父さん。悪い夢を見て叫んでしまっただけだわ。心配させてごめんね。」
「いいんだよ。サクセス君がいなくなって、ビビアン元気なかったもんな。そうだ、今日はお父さんと一緒に山狩りでも行かないか? スカッとするぞ!」
「ありがとう。でも、今日はやめておくわ。少しこのまま寝たい気分なの。」
「わかった。でも気が変わったらいつでも言ってくれ。お前は俺の大事な娘なんだからな。」
それだけ言うと父親はビビアンの部屋から出て行った。
「こんな夢を見るなんて……不吉だわ。サクセスに何かあったんじゃ。」
すると今度は下から母親の声が聞こえてきた。
「ビビアーン! ビビアーン! お手紙来てるわよぉ~。誰かしらね? あ、サクセス君からだわ。」
ガバッ!
サクセスからの手紙と聞いて、一目散に一階に駆け降りた。
「どれ!? それね、貸して!」
母親の手に握られていた手紙を奪い取ると、また2階に駆け上がって、自分の部屋に入る。
封筒に書かれているサクセスの文字。
その手紙が間違いなくサクセスからの手紙である事を確信した。
すぅ~……はぁ~……。
「よし、開けるわ!」
心を落ち着けてから、手紙の封を開ける。
ビビアン様
ビビアン、元気してるか?
最後にあんな形で別れてしまったから、少し心配していたんだ。
ビビアンは寂しがりやだから、俺がいなくなって落ち込んでいるんじゃないかと……って俺が言える話じゃないな。
俺はさ、ずっとビビアンに守られてきた。
最初は嬉しかったよ。
でも、いつからかそんな自分が情けなくてさ……。
だから、ビビアンを守れる位強くなりたかったんだ。
「サクセス……そうだったんだ……。だから聞いても何も言ってくれなかったのね。でも、良かったわ。元気そうね。」
そこまで読んだビビアンは、さっきまでの不安から、サクセスから手紙が届いた事の嬉しさに変わり、笑みを漏らしていた。
そして、また続きを読み始める。
※続き
それでさ、とりあえず頑張ってみたんだ。
ずっと貯めていた300ゴールドで、ショボい装備買ってさ。
誰も俺みたいな弱そうな男の仲間になんかなってくれなくて、とにかく死ぬ気でスライムと戦ったさ。
でも、俺がやっと倒せたスライムは、大した金にならなくてね。
毎日パンの耳を少しかじって生活してたんだ。
ここで泣き言を言って帰れば、ビビアンに合わせる顔がないからな。
でもな、そんな俺に仲間が出来たんだ。
なんか俺が一人で苦労しているのを見て声をかけてくれた人達がいてさ。
これからその人達と一緒にダンジョンに行くことになる。
俺絶対強くなって、必ずビビアンを守れる男になるから!
だから待っててくれ!
サクセス。
「もう! サクセス! 無理しなくて良いのに! そっかぁ、サクセスは頑張ってるんだぁ。アタシの為に……。ふふふ。後十日ね、そしたらサクセスに会いに行けるわ。でも気をつけないとね、サクセスって見栄っ張りだから……。今度はあまり前に出ないようにしてあげようかしら。」
サクセスからの手紙を読み終えたビビアンは、手紙を抱きしめながら嬉しそうに微笑んでいる。
十日後が今から楽しみで仕方がない感じだ。
ビビアンが、手紙をもう一度封筒に入れて、ぶんぶんと振り回していると、案の定、封筒から入れたばかりの手紙が落ちてしまった。
「あれ? これなにかしら?」
それを拾おうとしたら、封筒の中にもう一枚手紙が入っていたらしく、それに気づく。
不思議に思いつつも、その手紙を手に取り内容を読んだ。
このたびは思いもかけないことで、まことに残念でなりません。お慰めの言葉もございませんが、どうかお力落としなさいませんように。
この手紙は、差出人が亡くなった時、その遺族の方等に冒険者ギルドから送られる手紙となります。
冒険者 サクセス 享年16歳
死亡場所 アリエヘン北側の森
遺体と冒険者カードにつきましては、この手紙が届く翌日にはご遺族までお届けする事となっております。
お悔やみ申し上げます。
…………。
…………。
「うそ……なんかの間違いだわ……。そんな……だって……。サクセスが死んだ? サクセスにもう会えない……。」
…………。
ビビアンは放心状態になった。
「サクセスのいない世界……。」
「サクセス……ごめんね。遅くなったけど、今……逢いにいくわ。」
そして花瓶の横に置いてあったハサミを手に取って、そのまま自分の首に切先をあてる。
ザシュ……。
0
あなたにおすすめの小説
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
追放された『ただの浄化係』、実は国中の魔石を満たしていた精霊姫でした〜今さら戻れと言われても、隣国のイケメン皇帝が離してくれません〜
ハリネズミの肉球
ファンタジー
「おい、城の噴水が止まったぞ!?」
「街の井戸も空っぽです!」
無能な王太子による身勝手な婚約破棄。
そして不毛の砂漠が広がる隣国への追放。だが、愚かな奴らは知らなかった。主人公・ルリアが国境を越えた瞬間、祖国中の「水の魔石」がただの石ころに変わることを!
ルリアは、触れるだけで無尽蔵に水魔力を作り出す『水精霊の愛し子』。
追放先の干ばつに苦しむ隣国で、彼女がその力を使えば……不毛の土地が瞬く間に黄金のオアシスへ大進化!?
優しいイケメン皇帝に溺愛されながら、ルリアは隣国を世界一の繁栄国家へと導いていく。
一方、水が完全に枯渇し大パニックに陥る祖国。
「ルリアを連れ戻せ!」と焦る王太子に待っていたのは、かつて見下していた隣国からの圧倒的な経済・水源制裁だった——!
今、最高にスカッとする大逆転劇が幕を開ける!
※本作品は、人工知能の生成する文章の力をお借りしつつも、最終的な仕上げにあたっては著者自身の手により丁寧な加筆・修正を施した作品です。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
ハズレスキル『自動販売機』を授かって婚約破棄されましたが、 実は回復薬も魔力食も出せる最強スキルでした
暖夢 由
ファンタジー
十八歳の成人儀式で授かったのは、誰も聞いたことのない《自動販売機スキル》。
役立たずと嘲られ、婚約者レオンには即座に婚約を破棄され、人生が崩れ落ちたように思えた。
だがそのスキルには、食べ物を作り、摂取すれば魔力を増やし、さらに“治癒効果”を付与できるという隠された力があった。
倒れた母を救い、王都の名門・ヴァルセイン伯爵夫人を救ったことで、カミーラは“呪詛”という闇の存在を知る。伯爵邸で出会った炎の力を持つ公爵家次男レグナスとの出会いが、彼女の運命を大きく変えていく。
やがて王都全体に“謎の病”が蔓延。カミーラは治癒スープの炊き出しを行い、人々を次々と回復へ導く。
一方、病の裏で糸を引いていたのは………。
“無価値”と嘲られたスキルが、いま世界を癒し、未来を照らす光となる――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
治癒魔法で恋人の傷を治したら、「化け物」と呼ばれ故郷から追放されてしまいました
山科ひさき
恋愛
ある日治癒魔法が使えるようになったジョアンは、化け物呼ばわりされて石を投げられ、町から追い出されてしまう。彼女はただ、いまにも息絶えそうな恋人を助けたかっただけなのに。
生きる希望を失った彼女は、恋人との思い出の場所で人生の終わりを迎えようと決める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる