最弱装備でサクセス〜どうのつるぎとかわの防具しか買えなかった俺だけど【レアリティ777】の効果が凄すぎて最強になってしまった〜

キミちゃん

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特別編

Episode of Siroma 1

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「んん……あれ? ここは?」

 女神の間から転移したシロマは、意識が覚醒すると同時に目を開く。
 転移先で、一番最初に目に映ったのは、自分が寝ていたと思われるベッドだった。

 そのベッドは、どこぞの王様が使うような豪華な装飾品で飾られたベッドであり、ベッドを囲むように掛かっているシルクのカーテンが、その高級感を更に引き立てている。

 どうやら転移した先は、偶然にも高級なベッドの上であり、自分はそこで寝ていたようだ。


 ぎぃぃぃ……


 すると、突然ドアが開く音が聞こえた。
 慌てて布団の中に潜るシロマ。


(まずいです! 不法侵入で捕まっちゃいます!)


 シロマは焦る。
 この高級そうなベッドや、広い部屋を見る限り、ここはかなり高位の人間が住んでいる場所。
 こんなところに、勝手に入って寝ていたと知られたら、間違いなく捕まるであろう。
 しばらくは、そのまま布団の中でやり過ごそうと決めた。 


 コツッ コツッ コツッ


 何者かが部屋に入ると、足の音を鳴らして、自分の眠るベッドに近づいて来る。


 ドックん…… ドックん……


 心臓が爆発するかと思うくらい、シロマの胸を強く脈打つ。


 ジャーーー


 最悪な事に、その者はカーテンを開けて、ベッドの近くまで来てしまった。
 布団の中にいるとはいえ、どんなに頑張っても、布団は不自然に人の形に膨らんでいる。
 それでもシロマは、顔を布団で隠す事で、本来、ここで寝ている人だと勘違いしてもらえるように願った。

 だが、もしも今、ここに入ってきた者が、このベッドを使っている者ならばアウトだ。
 その為、シロマはそうではない事を信じて祈り続ける。
 
 しばらくその場で沈黙の時間が流れた。
 ベッドまで近づいて来た者は、傍まで来ると、何も言わず立ち尽くしているようだ。 

 それが、シロマには逆に怖かった。
 いつばれてしまうか、ひやひやものである。


(怪しまれてる!? このままじゃ……まずいです。)


 シロマは、もはや万事休すといった感じで、布団の中で強く目を瞑っていると、遂にその者が声を発する。


「怖がらなくても安心せぇ。ここにそなたを運んだのはワシじゃ。目は覚めておるんじゃろう? さぁ、起きよ、天命の巫女よ。」

 
 その低くしゃがれた声から、ベッドの前に来たのは高齢の男性とわかる。
 既に、自分が起きていることはバレていた。
 しかし、相手は自分をここまで運んだと言っている。


(どうすれば……。いいえ、ここは出るしかないですね。)


 シロマは、腹を括ってベッドから身を出し、顔をその声の主に向けた。


 そこにいたのは、眼鏡をかけた高齢の男性で、白い髭がアゴの下まで伸びている。
 一見して、魔法使いのように見えた。 

「あの……その、すみませんでした……。」


 状況がわからないため、シロマは、とりあえず謝罪する。


「何を謝っておる、天命の巫女よ。そなたは、我らの願いから召喚された者じゃ。まだ混乱しておるかもしれんが、巫女を害する者はおらんので安心せぇ。」


 どうやら、誰かと勘違いしている様子ではない。
 つまり、シロマはこの世界において、この世界の者によって召喚された事になっていたのだ。
 それを理解したシロマは、張り詰めていた緊張から解放され、肩の力が抜ける。


「そうでしたか。あなたが、私を召喚されたのですね? ところで、ここはどこでしょうか?」

「流石は天命の巫女じゃな。理解が早くて助かるわい。ここは古代図書王国アテナの王宮じゃ。そしてワシが、この国の王ダンブルド アニーテ ルガンダルフじゃ。 ワシの事は、王と呼ばず、ダンブルドと呼んでくれてかまわん。」

 
 その男ーーダンブルドは、この国の王であった。
 シロマは少しづつ、状況を理解する。


「丁寧なご挨拶、ありがとうございます。私の名前はシロマ。天命の巫女との事ですが、召喚されたばかりでよくわかっておりません。詳しく教えて頂いてもよろしいでしょうか?」


「ふぉっふぉっふぉ。シロマという名じゃったか。いい名前じゃ。だが、焦るでない。巫女……いや、シロマ殿には傍仕えを一名寄越す故、まずはこの城になれることが先じゃ。一度落ち着いたら、ゆっくり話そうかのう。ふぉっふぉっふぉ……。」


 その老人は何が面白いのか、愉快そうに笑って言うと、そのまま部屋から出て行った。
 それと入れ違うように、金色の髪をした、幼い感じの少女が中に入ってくる。
 白と黒を基調とした清潔感ある服装……。
 その服は、サクセスが、いつか着て欲しいと懇願されていた、メイド服だとわかった。

 つまり、この少女が自分の傍仕えとして、ダンブルドが寄越した者であろう。


「あ、あの。ふつつかものですが、一生懸命仕えさせていただきますので、よろしくお願いします。」


 その幼女は、大分緊張しているのか、足をガクガク震わせながらも、礼儀正しく挨拶をした。


(え? 私ってそんなに怖くみえるのかな??)


 ちょっとショックを受けるシロマ。
 シロマにとって、見た目で怖がられたのは初めての経験だった。
 しかし、本当は見た目ではなく、その存在に恐怖されたのだと、後にわかって安心する。


「はい、何もわからない私ですが、どうぞよろしくお願いします。私の名前はシロマです。あなたの名前も教えてください。」


 シロマが優しく微笑みながら、そう聞くと、突然声を掛けられたメイドは、焦りながらもすぐ答える。


「ひゃ ひゃい!! 私は、マイオニーでしゅ! あ、かんじゃった……。」


「ふふふ。そんなに畏まらないでください。私はそんなに偉い人ではありません。ですから、よろしければ友達になりませんか?」


「いえいえ! そんなの無理です! 御容赦ください。」


「わかりました。では、二人の時だけ友達でいましょう。外では、マイオニーさんの仕事を演じてくれればいいです。それよりも、色々聞きたい事があるのです。教えていただけますか?」


 シロマからの提案に茫然とする、マイオニー。


 それもそのはず。
 目の前にいるのは、天命の巫女。
 つまり、神が天からこの世界に遣わした、天使のようなド偉いお方。
 ぶっちゃけ、王より偉いと、王自身も言っていた。


 王より偉い人と友達?
 冗談でしょ?
 無理よ 無理無理!!


 それがマイオニーの内心だった。


 だが、簡単に断るのも無礼に当たってしまう。
 ここはひとまず首肯だけしておいて、実際には、天命の巫女を敬う態度で接すると心に決めた。


……という風に思っていた時期もありました。


 当初、マイオニーはかなり緊張しつつ、言葉を選びながら話をしていた。
 しかし、シロマが気さくに声をかけ続けてくれるものだから、ついうっかり友人と話すような態度になってしまう。
  これではダメだと自分を戒めるものの、そんな自分の態度をシロマは嬉しそうに見ている。
 それに甘えてはダメだと、自分に言い聞かせるマイオニー。

 故に更に気を引き締めて、「せめて身の回りの世話だけは、しっかりとこなす!」と行動しようとするも、結局これも、マイオニーがやろうとする前に、全てシロマが自分でやってしまった。


 その学習能力と几帳面さには、頭が下がる思い。
 自分よりも、よっぽどシロマの方がメイドに相応しく思えてしまった。


 これでは自分の立場がない


とマイオニーは凹んでしまうが、それを見たシロマは全く気にしない。

 それどころから、そんなマイオニーを慰めた。

 
 偉い立場なのに、決して偉ぶらない。
 それどころか、格下相手にも友達のように接していた。

 
 いつしかマイオニーにとってシロマは、尊敬できる親友みたいに思い始める。


 そしてシロマは、マイオニーが本当の意味で心を許してくれたおかげで、本来話してはいけない情報や噂等を知ることができた。
 ダンブルドも、色々と教えてくれたが、なぜか大事な事は隠されていた。
 それを知ることができたのは、マイオニーのお蔭である。


 シロマがこの世界に来て二週間。
 その間に手に入れた情報を整理する。


まず第一に

 この国は、そもそも一つの巨大な図書館で、できていること。
 驚くことに、建物そのものが国であった。
 そして建物の外は、出る事も出来なければ、見る事もできない。
 できるようになるためには、この図書館の中で、ある物を解放する必要があるそうだ。


次に

 シロマが召喚された理由は、そのある物を解放するためだということ。
 そのある物とは、この巨大な図書館の中で、この世界の理が書かれた本を見つけ出し、読み解く事だそうだ。
 それを読み解くことで、外の世界への扉が開かれるらしい。


そして最後に、

 シロマが探す本の名前は【グリムワール】と呼ばれる書物であり、それは一冊だけではない。
 この巨大な図書館の中に、無数に散りばめられているそうだ。
 シロマはその本を読むことで、その本の世界に入り込めるらしい。

 今までシロマと同じように、天命の巫女として召喚されてきた者もいたが、誰も理を解くことができずに、この世界から消えたらしい。

 これについては、ダンブルドが隠していた情報だ。
 マイオニーも絶対話してはならないと厳命を受けていたが、教えてくれた。

 更に詳しくマイオニーから聞くと、今までの天命の巫女は、その本の世界から戻ってこなくなったそうだ。
 つまり下手をすると、本の中で死ぬということを意味する。
 これは、かなりリスクがあった。
 ダンブルドが隠す訳である。

 以上が、この二週間でシロマが得た情報である。


「ふぅ~。これはやっかいですね。そもそも、グリムワールは一体何冊あるのでしょうか?」


 あまりに危険かつ膨大な作業に思えたシロマはため息をつく。
 そして、遂に、明日からシロマは、グリムワールの世界入り込むのであった。
 

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