最弱装備でサクセス〜どうのつるぎとかわの防具しか買えなかった俺だけど【レアリティ777】の効果が凄すぎて最強になってしまった〜

キミちゃん

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特別編

Episode of Siroma 5

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 ……………………。


 最後のグリムワール【ナイト オブ ヴァルプルギス】の世界に入ったシロマは、その光景を見て、言葉を失う。


「もうやめてぇ~」
「た、助けてよぉ~。」
「あたいが悪かった! もうやめてくれ!!」


 そこでシロマが見た光景は、今まで、シロマが倒してきたグリムワールの世界の魔女ーーそれら全てが十字架に張り付けにされ、火あぶりにあっていたのだ。


 そこは、町の広場。
 

「おら! 死ね! 魔女!」
「アンタ達のせいで、苦しんだんだからね!」
「俺達の痛みをしれぇぇぇ!」


 町の住民と思われる、多種族の者達は、そいつらに向かって叫びながら、魔女達に石を投げつけていた。
 燃やされている魔女達は、その投石を受ける度に、苦しそうな表情をし、懇願し続ける。
 そして、燃やされているはずなのに、なぜか、その体は燃え尽きることがない。
 つまり、死ぬことも消える事も許されず、火あぶりと投石の痛みを与えられ続けていたのだ。


「ひどい……どうして? 皆さんやめてください! もう彼女達は、浄化されています!!」


 シロマは民衆に向かって叫んだ。
 しかし、その言葉に振り向く者はいない……。
 火炙りになっている魔女達を除いて。
 魔女達はシロマの声を聞いて、一斉にシロマの方を見る。


「絶対に……絶対に復讐してやる! お前だけは許さない!」


 魔女達は、憎悪の目を民衆ではなく、シロマに向けて叫んだ。
 その目と声が、シロマの心をえぐる。


「違う! 私はそんな事の為に……。」

「何が違うんだい? 全部、お前がやったことじゃないさね。死ね! 死ね! 死んでしまえ! お前なんか消えろ! 消えてしまえ!」


 追い打ちをかけるように、呪いの言葉を吐く魔女達。
 シロマは、その言葉に耐えかねて、民衆に向かってやめるように説得し続ける。


「みんな! お願い! もうやめて! もう十分です!」


 そして民衆は、やっとその言葉を聞いてシロマに気付く。


「あんたがやり始めたことだろ? 俺達に文句言うなよ!」
「アタシはねぇ、家族をこいつらにみんな殺されたんだ。まだその復讐が終わってないわ!」
「ほら、君も一緒に石を投げて、魔女を浄化させてあげよう!」


 しかし、シロマの想いは届かない。


「違う……違う違う違う違う……こんなの違います! こんな事を、私は求めてません! やめないなら、強制的に……。」


 シロマが叫んだ瞬間、燃えている魔女達が不気味な声を上げ始めた。


「ぼぉぉぉえぇぇぇぇぼぉぉぉ!」


 10人の魔女は、その謎の言葉を叫ぶと同時に、暗黒の闇になって上空に舞い上がる。
 すると、10個の闇は、空中で融合した。


「この恨み……はらさでおくべきか~!!」


 呪いの声と闇が空一面に広がると、今度は、そこから何かが現れた。


 それは、胴体のない丸い物体。
 その物体には、10人の魔女の顔と、ぐにゃぐにゃした触手が生えている。
 まさに十面相の化け物……それが闇の空に浮かんでいた。


「しねぇ~! この世界ごと、全てきえされぇぇぇ!!」


 十面相の化け物は、その目から破壊光線を出すと、石を投げていた民衆や、周りの建物を次々と消し去っていく。
 破壊の光が町中に降り注ぎ、民衆は、為すすべなく消滅していった。
 阿鼻驚嘆となる町の光景。
 さっきまで魔女に対して石を投げていた連中も、破壊の光から逃げ惑い、叫んでいる。 


「た、たすけてぇぇぇ!」
「あんた、巫女だろ! 早くなんとかしてくれ!!」
「責任とりなさいよ!」


 そして、破壊光線から免れた民衆は、シロマのところに集まってくる。
 その民衆の口から出た言葉は、何とも自分勝手な言動。

 さっきまで楽しそうに、魔女達に石を投げていた者達。
 シロマは何度やめて欲しいと懇願したが、決して聞いてはくれなかった。
 それが危険になった途端、手のひらを返すように、自分に縋りついていく。


 シロマは、その民衆の姿を見て


 醜い……


と思った。


 それと同時に、自分のしてきたことが本当に正しかったのかわからなくなる。
 何が正しくて、何が間違っているのか……。
 頭の整理が追いつかない。


「私は……いえ、これはあなた達が……でも……。」


「いいから助けろよ! お前のせいだぞ!」
「そうよ! 私達、まだ死にたくないわ! お願い、早くあの化け物をやっつけて!」
「アンタは力を持ってるんだから守るべきだろ? 力ある者は弱い者も救って当然だ! さぁ早くしてくれ!」


 なかなか動こうとしないシロマを非難する民衆。
 シロマの頭は、完全に混乱した。
 しかしそれでも、目の前の破壊をそのままにするわけにはいかない。


 だから、動き出す!


「私は……あなた達のような人を助けたいわけでも、作りたいわけでもありません! これだけは覚えておいてください!!」


 それだけ言って、シロマは空中に飛んだ。


 向かい合う化け物とシロマ。
 化け物の目は、空に浮かんだシロマを捉える。


「ぎぃぃだぁぁがぁぁ、ごぉぉどぉぉじぃでぇぇやるぅぅ!」


 化け物はシロマを目でとらえた瞬間、破壊光線を放つ。
--が、シロマは手に取った弓で、光の矢を放ち、それを迎撃した。


 バチィィィィィン!


 黒と白の光の線が正面からぶつかり合う。
 しかし、勝ったのは白の光だった。

 白い光の矢は、暗黒を消し去り、そのまま化け物を貫通する。


「ぎょぉぉあぁぁぁぁぁぁぁ!」


 苦しそうに叫ぶ十面相の化け物。
 シロマはそのまま追撃の矢を放ちながら、化け物に向けて告げる。


「もうやめてください! あなた達は天に還り、新たなる生を受け、もう一度やり直してください!」


「いだっぃぃ! いだぁぁぃぃぃぃ! ぎえだぐなぁぁい!」


 光の矢を受けた化け物は苦悶の声を叫び続け、体中に穴ができる。

 シロマが放っている光の矢。
 それは、次元ごと貫く、【ディメンションアロー】

 その矢は、全ての物質を貫通させて貫く矢。
 どんなに凶悪な化け物でも、次元そのものを貫かれては、耐えられることはできない。
 正に、最強の攻撃であった。


 次々と胴体に穴が開いていく十面相の化け物。
 その胴体全てが白色に染まった時、空の闇が晴れる。
 すると、化け物の存在そのものが、まるで最初から無かったかのように消えていた。


「ごめんなさい……。」


 闇が消えた空で、シロマの呟きだけが空しく響く。


 シロマは、化け物を倒した事で地上に降りようとする。
 しかし、降りるべき場所がそこにはなかった。

 そう、空から下を見た瞬間、そこには町も民衆も、何もかもが消えている。
 降りるべき場所を失ったシロマは、空中でそのまま周りを見渡すも、当然何もない。
 
 そこは、ただの

 青に染まる空の世界で、そこに存在するのは自分ただ一人だった。


 不思議に思うシロマ。

 この世界が、今までと同じグリム世界であれば、目の前に一枚の紙(理の欠片)が現れて、本の外に出られるはずであった。
 だが、一向に理の欠片も現れなければ、元の世界に強制送還されない。


「どういうことですか……? あれがこの世界の魔女ではなかったのですか!?」


「そうだよ、君はやり遂げたんだ。シロマ、おめでとう! 君のお蔭で、この世界の穢れは消滅したよ。」


 誰もいないと思って呟いたシロマであったが、突然、背後から聞き覚えのある声が聞こえた。
 その声に振り返ると、そこにいたのは、やはりラビッツである。


「どうして? ラビさんは、ここには来れないはずじゃ……。」

「僕は、そんな事は言ってないよ? サポートの役目が終わったと言っただけさ。」


 疑問に思ったシロマであったが、確かにラビッツは、ここにこれないとは言っていない。
 それが間違いない事を、シロマは記憶している。


「確かに……そうですね。でも、それでは、なぜここに来たのですか?」


 当然の疑問だった。
 なぜ今になってラビッツが現れたのか。
 シロマには理解できない。
 だが、相変わらずラビッツは軽い口調で告げる。


「それはね、君に、お願いをしにきたからさ。」

「お願い? どういうことでしょう?」


 その言葉に、シロマは首をかしげた。


「とりあえず、ここじゃあれだから、地面を作るね。ほら、地に足を付けて、とか言うでしょ? はい、どうぞ。椅子も用意したから、まずは座って話そうか。」


 ラビッツがそう告げた瞬間、突如、シロマの足元に地面が現れ、そして、テーブルと椅子も現れた。


「え? ラビさん、こんな事できたんですか?」


 シロマは、その光景に驚きながらも、素直に椅子に座るのだった。
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