最弱装備でサクセス〜どうのつるぎとかわの防具しか買えなかった俺だけど【レアリティ777】の効果が凄すぎて最強になってしまった〜

キミちゃん

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第三部 オーブを求めて

第二十三話 サムスピジャポン

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「さっきは悪かったな、サクセス。それで、こいつの事なんだが……。」


 ボッサンはテーブルに着くなり、まずは俺に謝罪した。
 そういえば、いつの間にかボッサンの横に護衛の兵士がいない。
 どうやら、さっきの腕相撲の効果はあったみたいだ。

 そしてその代わりにボッサンの隣には、さっき腕相撲のレフリーをやっていた人が立っている。


「私から挨拶するでアール。先ほどは素晴らしい試合であったでアール。私はこの町のギルドマスター、ボクネンジンでアールよ。」

「あぁ、もういいよ。ボッサン。その代わり、今後色々手伝ってもらうから、覚悟しておけよ。それとボクネンジンさん、初めまして。私はサクセスといいます。そして、この隣で寝ているのが俺の仲間のカリー、後、俺の家族のゲロゲロです。」

「OH ご丁寧にありがとうでアールよ。君の話は、ボッサンから色々聞かせてもらってて、興味があったでアール。これからもよろしくでアール。」

「まぁ、挨拶はそれぐらいでいいだろう。ところで、サクセスはこの町に何の用があるんだ?」


 俺とボクネンジンが握手を交えた挨拶を終えると、ボッサンが聞いてきた。


「いや、この町に用があるって訳ではなくてね。俺の目的の場所は、ここから船で行かないと行けないんだ。それでここまで来ただけなんだよね。」


 俺がそう言うと、ボッサンはアゴに手をあてて何かを考え始める。
 何か変な事を言っただろうか?


「ふ~む。そうか、船か。それなら、俺とボクネンがいれば何とかなるだろう。だが、出航は無理だ。」

「え? なんで?」


 突然無理と言われて焦る俺。
 船があれば大丈夫じゃないのか?


「船員が集まらないからだ。実を言うとな、サクセス。さっきので気付いたと思うが、ガンダッダ一味という盗賊連中が最近現れてな、ここから出る船やここに来る船を襲いまくっているんだ。」


 またか……。
 あのクソ野郎……やっぱあの時、完全に潰しておくんだったな。


「なるほどね。それで、ガンダッダは今どこにいるんだ?」

「それがわかれば苦労しねぇよ。こっちも人集めて、奴らのアジトがある海の祠に向かったんだがな、なぜか察知されちまって、そこに行った時はもぬけの殻だったんだ。んで、多分だが、この町に奴らの内通者がいることがわかった。それで町の外から入る者を警戒してたって訳だな。内通者が招き入れる可能性があったからな。」

「そういうことか。なんかそんな事じゃないかと思ったよ。しかし困ったな、船が出せないとなると先に進めないぞ。」

「そうだなぁ……船員はみんなビビっちまってて無理だしなぁ。まぁとりあえずそれは置いておくとして、何があったんだ? 俺にできることなら、いくらでも手伝うから教えてくれ。」


 ボッサンがそう言ってくれたので、俺は少し掻い摘んで何があったかを説明した。
 そして俺の説明を聞くうちに、ボッサンの顔色が悪くなる。


「つまり……勇者が魔王になっちまったと……。そりゃやべぇな。勇者は人族の希望だ、そんな話が外に漏れたら世界は混乱するかもな。そういうことだったのか……わかった! 俺の方でも、なんとか人を集めてみるぜ!」

「私もギルドの力を使って船員を集めるでアールよ!」


 ボッサンとボクネンジンは前向きに協力を約束してくれた。
 王様とギルドマスターが集めてくれるならば、かなり心強いな。


「ちょっと待つでござる! それであれば、某が船長を務めるでござるよ! 船もあるでござる!」


 そこにいきなり、空気と化していたイモコが会話に入ってくる。
 さっきまでずっと静かだったから、その存在を忘れていた。


「聞いてたのか? 船長と務めるって、船を動かせるのかよ?」


 俺がそう質問をすると、イモコは自信満々の顔で頷いた。


「もちろんでござる。某はサムスピジャポンから船でこの町に来たでござるよ。もちろん、某が船長で、某の部下はまだこの町にいるでござる。某ならば船を出せるでござるよ。」


 おぉ! 意外なところに渡り船が!


「本当か!? それなら話が早いな、じゃあどのくらいで出発できる?」


「部下を全員集め次第でござるが……ところで、どこに向かうか決まってるでござるか? 距離によって必要な物が変わるでござるよ。」


 なるほど、確かにそうだ。
 船旅はしたことないが、要は食料とかの事だよな?
 しかし、そう言われても、具体的な場所はなぁ……。


「うし。みんなちょっといいか? 少し外に出て、女神の導に方角を指してもらうから、その先がどこに繋がっているか教えて欲しいんだ。」


「あぁ、いいぜ。俺も色々旅してきたから、ある程度なら予測できるしな。」

「某はここら辺の地理はわからないでござるが、一緒に確認するでござるよ。」

「私はここで待つでアール。」


 ボッサンとイモコは着いて来ると言い、ボクネンジンは待つらしい。

 まぁその二人に見てもらえば、大丈夫かな。
 そういうことなので、俺達は一度、酒場から出る事にした。


 外に出ると、夜も更けていることから辺りは閑散としており、時折見える民家の灯りが、まるで蛍の光が道を照らすように点在して光っている。
 街灯がないこの道も、その光を頼りに進むことができそうだ。


 俺達はしばらくそのまま町を歩いていくと、やっと開けた場所……というより海岸が見えてきた。
 この町の陸地側は、高い塀によって囲まれていたが、逆側は船着場等がある海辺となっている。
 遠くに灯台と思われる高い建物もあるが、時間のせいか、それともガンダッダのせいなのか、現在は灯りを灯していなかった。

 したがって、船着場には当然誰も人はいない。
 そこにあるのは、月明かりが照らすダークブルーの海が、夜空を映し出している光景だけだった。


 遠くの山から見下ろす海も素敵であったが、夜中に間近でみる海も捨てがたい。


 俺はしばし女神の導を出すことを忘れ、その光景を黙って見ていると、ザァァ……ザァァ……という波音が沈黙を包み込む。
 そして、俺の頬を優しく撫でるように吹いてくる潮風がなんとも心地良く、思わず目を瞑る。


「ここは、やっぱり夜に来ると良いな。灯台の灯りがあるともっと綺麗に見えるんだがな。」


 しばしの沈黙の後、それを破ったのはボッサン。
 その声を聞いて、つい目的を忘れてしまいそうになっていた俺は、我に返った。


「そうか。じゃあ次は灯台が照らしている風景も見てみたいものだな。よし、じゃあ女神の導で光を照らす。二人とも、その方角がどこに繋がってるかよく見てくれよ。」


 俺はそう言うと、盾に装着した女神の導に心の中で尋ねる。


 (道を示せ)


 すると、女神の導から放たれた一本の青い光線が、暗い海の上を走っていく。
 海が暗いからか、その光は今までで一番美しく映えわたった。


「ほう、こりゃぁまたすげぇな。ん? その方角は……」

「サムスピジャポン……某の故郷の方角でござる!!」


 ボッサンが何かに気付くや否や、イモコが叫んだ。


 どうやら、目的の場所はサムスピジャポンらしい。
 これも何かの縁か?


「なるほどな、じゃあ話は早いな。イモコ、航路はわかるか?」

「当然でござるよ、師匠。」

 
 俺の質問に即答したイモコは、いつの間にか俺の事を勝手に師匠と呼び始めていた。
 だが、まぁいいでしょう。
 これもきっと運命なんだろうし、仕方ないから弟子って事にしてやるかな。


 こうして、無事に次の目的地を確認し終えた俺達は、またカリー達がいる酒場に戻っていった。
 そして酒場に戻ると、直ぐにボクネンが近づいて来て、矢継ぎ早に告げてきた。


「すまない、ボッサン。面倒な事になったでアール。どうやら、ノロはガンダッダ一味と繋がっていたみたいでアールよ。さっき、町に紛れ込んだ一味の一人が吐いたでアール。急いでノロを探すでアール!」


 どうやら、今日のイベントはまだ終わっていなかったようだった……。
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