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第三部 オーブを求めて
第二十三話 サムスピジャポン
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「さっきは悪かったな、サクセス。それで、こいつの事なんだが……。」
ボッサンはテーブルに着くなり、まずは俺に謝罪した。
そういえば、いつの間にかボッサンの横に護衛の兵士がいない。
どうやら、さっきの腕相撲の効果はあったみたいだ。
そしてその代わりにボッサンの隣には、さっき腕相撲のレフリーをやっていた人が立っている。
「私から挨拶するでアール。先ほどは素晴らしい試合であったでアール。私はこの町のギルドマスター、ボクネンジンでアールよ。」
「あぁ、もういいよ。ボッサン。その代わり、今後色々手伝ってもらうから、覚悟しておけよ。それとボクネンジンさん、初めまして。私はサクセスといいます。そして、この隣で寝ているのが俺の仲間のカリー、後、俺の家族のゲロゲロです。」
「OH ご丁寧にありがとうでアールよ。君の話は、ボッサンから色々聞かせてもらってて、興味があったでアール。これからもよろしくでアール。」
「まぁ、挨拶はそれぐらいでいいだろう。ところで、サクセスはこの町に何の用があるんだ?」
俺とボクネンジンが握手を交えた挨拶を終えると、ボッサンが聞いてきた。
「いや、この町に用があるって訳ではなくてね。俺の目的の場所は、ここから船で行かないと行けないんだ。それでここまで来ただけなんだよね。」
俺がそう言うと、ボッサンはアゴに手をあてて何かを考え始める。
何か変な事を言っただろうか?
「ふ~む。そうか、船か。それなら、俺とボクネンがいれば何とかなるだろう。だが、出航は無理だ。」
「え? なんで?」
突然無理と言われて焦る俺。
船があれば大丈夫じゃないのか?
「船員が集まらないからだ。実を言うとな、サクセス。さっきので気付いたと思うが、ガンダッダ一味という盗賊連中が最近現れてな、ここから出る船やここに来る船を襲いまくっているんだ。」
またか……。
あのクソ野郎……やっぱあの時、完全に潰しておくんだったな。
「なるほどね。それで、ガンダッダは今どこにいるんだ?」
「それがわかれば苦労しねぇよ。こっちも人集めて、奴らのアジトがある海の祠に向かったんだがな、なぜか察知されちまって、そこに行った時はもぬけの殻だったんだ。んで、多分だが、この町に奴らの内通者がいることがわかった。それで町の外から入る者を警戒してたって訳だな。内通者が招き入れる可能性があったからな。」
「そういうことか。なんかそんな事じゃないかと思ったよ。しかし困ったな、船が出せないとなると先に進めないぞ。」
「そうだなぁ……船員はみんなビビっちまってて無理だしなぁ。まぁとりあえずそれは置いておくとして、何があったんだ? 俺にできることなら、いくらでも手伝うから教えてくれ。」
ボッサンがそう言ってくれたので、俺は少し掻い摘んで何があったかを説明した。
そして俺の説明を聞くうちに、ボッサンの顔色が悪くなる。
「つまり……勇者が魔王になっちまったと……。そりゃやべぇな。勇者は人族の希望だ、そんな話が外に漏れたら世界は混乱するかもな。そういうことだったのか……わかった! 俺の方でも、なんとか人を集めてみるぜ!」
「私もギルドの力を使って船員を集めるでアールよ!」
ボッサンとボクネンジンは前向きに協力を約束してくれた。
王様とギルドマスターが集めてくれるならば、かなり心強いな。
「ちょっと待つでござる! それであれば、某が船長を務めるでござるよ! 船もあるでござる!」
そこにいきなり、空気と化していたイモコが会話に入ってくる。
さっきまでずっと静かだったから、その存在を忘れていた。
「聞いてたのか? 船長と務めるって、船を動かせるのかよ?」
俺がそう質問をすると、イモコは自信満々の顔で頷いた。
「もちろんでござる。某はサムスピジャポンから船でこの町に来たでござるよ。もちろん、某が船長で、某の部下はまだこの町にいるでござる。某ならば船を出せるでござるよ。」
おぉ! 意外なところに渡り船が!
「本当か!? それなら話が早いな、じゃあどのくらいで出発できる?」
「部下を全員集め次第でござるが……ところで、どこに向かうか決まってるでござるか? 距離によって必要な物が変わるでござるよ。」
なるほど、確かにそうだ。
船旅はしたことないが、要は食料とかの事だよな?
しかし、そう言われても、具体的な場所はなぁ……。
「うし。みんなちょっといいか? 少し外に出て、女神の導に方角を指してもらうから、その先がどこに繋がっているか教えて欲しいんだ。」
「あぁ、いいぜ。俺も色々旅してきたから、ある程度なら予測できるしな。」
「某はここら辺の地理はわからないでござるが、一緒に確認するでござるよ。」
「私はここで待つでアール。」
ボッサンとイモコは着いて来ると言い、ボクネンジンは待つらしい。
まぁその二人に見てもらえば、大丈夫かな。
そういうことなので、俺達は一度、酒場から出る事にした。
外に出ると、夜も更けていることから辺りは閑散としており、時折見える民家の灯りが、まるで蛍の光が道を照らすように点在して光っている。
街灯がないこの道も、その光を頼りに進むことができそうだ。
俺達はしばらくそのまま町を歩いていくと、やっと開けた場所……というより海岸が見えてきた。
この町の陸地側は、高い塀によって囲まれていたが、逆側は船着場等がある海辺となっている。
遠くに灯台と思われる高い建物もあるが、時間のせいか、それともガンダッダのせいなのか、現在は灯りを灯していなかった。
したがって、船着場には当然誰も人はいない。
そこにあるのは、月明かりが照らすダークブルーの海が、夜空を映し出している光景だけだった。
遠くの山から見下ろす海も素敵であったが、夜中に間近でみる海も捨てがたい。
俺はしばし女神の導を出すことを忘れ、その光景を黙って見ていると、ザァァ……ザァァ……という波音が沈黙を包み込む。
そして、俺の頬を優しく撫でるように吹いてくる潮風がなんとも心地良く、思わず目を瞑る。
「ここは、やっぱり夜に来ると良いな。灯台の灯りがあるともっと綺麗に見えるんだがな。」
しばしの沈黙の後、それを破ったのはボッサン。
その声を聞いて、つい目的を忘れてしまいそうになっていた俺は、我に返った。
「そうか。じゃあ次は灯台が照らしている風景も見てみたいものだな。よし、じゃあ女神の導で光を照らす。二人とも、その方角がどこに繋がってるかよく見てくれよ。」
俺はそう言うと、盾に装着した女神の導に心の中で尋ねる。
(道を示せ)
すると、女神の導から放たれた一本の青い光線が、暗い海の上を走っていく。
海が暗いからか、その光は今までで一番美しく映えわたった。
「ほう、こりゃぁまたすげぇな。ん? その方角は……」
「サムスピジャポン……某の故郷の方角でござる!!」
ボッサンが何かに気付くや否や、イモコが叫んだ。
どうやら、目的の場所はサムスピジャポンらしい。
これも何かの縁か?
「なるほどな、じゃあ話は早いな。イモコ、航路はわかるか?」
「当然でござるよ、師匠。」
俺の質問に即答したイモコは、いつの間にか俺の事を勝手に師匠と呼び始めていた。
だが、まぁいいでしょう。
これもきっと運命なんだろうし、仕方ないから弟子って事にしてやるかな。
こうして、無事に次の目的地を確認し終えた俺達は、またカリー達がいる酒場に戻っていった。
そして酒場に戻ると、直ぐにボクネンが近づいて来て、矢継ぎ早に告げてきた。
「すまない、ボッサン。面倒な事になったでアール。どうやら、ノロはガンダッダ一味と繋がっていたみたいでアールよ。さっき、町に紛れ込んだ一味の一人が吐いたでアール。急いでノロを探すでアール!」
どうやら、今日のイベントはまだ終わっていなかったようだった……。
ボッサンはテーブルに着くなり、まずは俺に謝罪した。
そういえば、いつの間にかボッサンの横に護衛の兵士がいない。
どうやら、さっきの腕相撲の効果はあったみたいだ。
そしてその代わりにボッサンの隣には、さっき腕相撲のレフリーをやっていた人が立っている。
「私から挨拶するでアール。先ほどは素晴らしい試合であったでアール。私はこの町のギルドマスター、ボクネンジンでアールよ。」
「あぁ、もういいよ。ボッサン。その代わり、今後色々手伝ってもらうから、覚悟しておけよ。それとボクネンジンさん、初めまして。私はサクセスといいます。そして、この隣で寝ているのが俺の仲間のカリー、後、俺の家族のゲロゲロです。」
「OH ご丁寧にありがとうでアールよ。君の話は、ボッサンから色々聞かせてもらってて、興味があったでアール。これからもよろしくでアール。」
「まぁ、挨拶はそれぐらいでいいだろう。ところで、サクセスはこの町に何の用があるんだ?」
俺とボクネンジンが握手を交えた挨拶を終えると、ボッサンが聞いてきた。
「いや、この町に用があるって訳ではなくてね。俺の目的の場所は、ここから船で行かないと行けないんだ。それでここまで来ただけなんだよね。」
俺がそう言うと、ボッサンはアゴに手をあてて何かを考え始める。
何か変な事を言っただろうか?
「ふ~む。そうか、船か。それなら、俺とボクネンがいれば何とかなるだろう。だが、出航は無理だ。」
「え? なんで?」
突然無理と言われて焦る俺。
船があれば大丈夫じゃないのか?
「船員が集まらないからだ。実を言うとな、サクセス。さっきので気付いたと思うが、ガンダッダ一味という盗賊連中が最近現れてな、ここから出る船やここに来る船を襲いまくっているんだ。」
またか……。
あのクソ野郎……やっぱあの時、完全に潰しておくんだったな。
「なるほどね。それで、ガンダッダは今どこにいるんだ?」
「それがわかれば苦労しねぇよ。こっちも人集めて、奴らのアジトがある海の祠に向かったんだがな、なぜか察知されちまって、そこに行った時はもぬけの殻だったんだ。んで、多分だが、この町に奴らの内通者がいることがわかった。それで町の外から入る者を警戒してたって訳だな。内通者が招き入れる可能性があったからな。」
「そういうことか。なんかそんな事じゃないかと思ったよ。しかし困ったな、船が出せないとなると先に進めないぞ。」
「そうだなぁ……船員はみんなビビっちまってて無理だしなぁ。まぁとりあえずそれは置いておくとして、何があったんだ? 俺にできることなら、いくらでも手伝うから教えてくれ。」
ボッサンがそう言ってくれたので、俺は少し掻い摘んで何があったかを説明した。
そして俺の説明を聞くうちに、ボッサンの顔色が悪くなる。
「つまり……勇者が魔王になっちまったと……。そりゃやべぇな。勇者は人族の希望だ、そんな話が外に漏れたら世界は混乱するかもな。そういうことだったのか……わかった! 俺の方でも、なんとか人を集めてみるぜ!」
「私もギルドの力を使って船員を集めるでアールよ!」
ボッサンとボクネンジンは前向きに協力を約束してくれた。
王様とギルドマスターが集めてくれるならば、かなり心強いな。
「ちょっと待つでござる! それであれば、某が船長を務めるでござるよ! 船もあるでござる!」
そこにいきなり、空気と化していたイモコが会話に入ってくる。
さっきまでずっと静かだったから、その存在を忘れていた。
「聞いてたのか? 船長と務めるって、船を動かせるのかよ?」
俺がそう質問をすると、イモコは自信満々の顔で頷いた。
「もちろんでござる。某はサムスピジャポンから船でこの町に来たでござるよ。もちろん、某が船長で、某の部下はまだこの町にいるでござる。某ならば船を出せるでござるよ。」
おぉ! 意外なところに渡り船が!
「本当か!? それなら話が早いな、じゃあどのくらいで出発できる?」
「部下を全員集め次第でござるが……ところで、どこに向かうか決まってるでござるか? 距離によって必要な物が変わるでござるよ。」
なるほど、確かにそうだ。
船旅はしたことないが、要は食料とかの事だよな?
しかし、そう言われても、具体的な場所はなぁ……。
「うし。みんなちょっといいか? 少し外に出て、女神の導に方角を指してもらうから、その先がどこに繋がっているか教えて欲しいんだ。」
「あぁ、いいぜ。俺も色々旅してきたから、ある程度なら予測できるしな。」
「某はここら辺の地理はわからないでござるが、一緒に確認するでござるよ。」
「私はここで待つでアール。」
ボッサンとイモコは着いて来ると言い、ボクネンジンは待つらしい。
まぁその二人に見てもらえば、大丈夫かな。
そういうことなので、俺達は一度、酒場から出る事にした。
外に出ると、夜も更けていることから辺りは閑散としており、時折見える民家の灯りが、まるで蛍の光が道を照らすように点在して光っている。
街灯がないこの道も、その光を頼りに進むことができそうだ。
俺達はしばらくそのまま町を歩いていくと、やっと開けた場所……というより海岸が見えてきた。
この町の陸地側は、高い塀によって囲まれていたが、逆側は船着場等がある海辺となっている。
遠くに灯台と思われる高い建物もあるが、時間のせいか、それともガンダッダのせいなのか、現在は灯りを灯していなかった。
したがって、船着場には当然誰も人はいない。
そこにあるのは、月明かりが照らすダークブルーの海が、夜空を映し出している光景だけだった。
遠くの山から見下ろす海も素敵であったが、夜中に間近でみる海も捨てがたい。
俺はしばし女神の導を出すことを忘れ、その光景を黙って見ていると、ザァァ……ザァァ……という波音が沈黙を包み込む。
そして、俺の頬を優しく撫でるように吹いてくる潮風がなんとも心地良く、思わず目を瞑る。
「ここは、やっぱり夜に来ると良いな。灯台の灯りがあるともっと綺麗に見えるんだがな。」
しばしの沈黙の後、それを破ったのはボッサン。
その声を聞いて、つい目的を忘れてしまいそうになっていた俺は、我に返った。
「そうか。じゃあ次は灯台が照らしている風景も見てみたいものだな。よし、じゃあ女神の導で光を照らす。二人とも、その方角がどこに繋がってるかよく見てくれよ。」
俺はそう言うと、盾に装着した女神の導に心の中で尋ねる。
(道を示せ)
すると、女神の導から放たれた一本の青い光線が、暗い海の上を走っていく。
海が暗いからか、その光は今までで一番美しく映えわたった。
「ほう、こりゃぁまたすげぇな。ん? その方角は……」
「サムスピジャポン……某の故郷の方角でござる!!」
ボッサンが何かに気付くや否や、イモコが叫んだ。
どうやら、目的の場所はサムスピジャポンらしい。
これも何かの縁か?
「なるほどな、じゃあ話は早いな。イモコ、航路はわかるか?」
「当然でござるよ、師匠。」
俺の質問に即答したイモコは、いつの間にか俺の事を勝手に師匠と呼び始めていた。
だが、まぁいいでしょう。
これもきっと運命なんだろうし、仕方ないから弟子って事にしてやるかな。
こうして、無事に次の目的地を確認し終えた俺達は、またカリー達がいる酒場に戻っていった。
そして酒場に戻ると、直ぐにボクネンが近づいて来て、矢継ぎ早に告げてきた。
「すまない、ボッサン。面倒な事になったでアール。どうやら、ノロはガンダッダ一味と繋がっていたみたいでアールよ。さっき、町に紛れ込んだ一味の一人が吐いたでアール。急いでノロを探すでアール!」
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